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連帯オール沖縄・東北北海道コミュの【色平哲郎氏からのメール】「世界」海渡論文抜粋2

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【色平哲郎氏からのメール】
「東電強制起訴・世紀の裁判で何が裁かれるのか・原発事故の隠された真実」
「世界」2015年10月号、海渡雄一論文、より抜粋、その2


2014年7月の第一回の検察審査会の議決以降も、添田孝史氏による『原発と大津波 警告を葬った人々』(岩波新書)や、2014年秋から年末に公開された政府事故調の一部調書、さらには東電株主代表訴訟における証拠提出などにより、津波対策に関する新たな証拠が次々に明らかになった。

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事実関係を時系列に沿って整理しておこう。

1995年1月、阪神淡路大地震が起き、これを踏まえて、1997年に福島沖の津波地震の想定が、政府の七つの省庁がまとめた津波想定方法「太平洋沿岸部地震津波防災計画手法調査」として示され、
この中で、日本海溝の津波地震が予測されていた。このことは添田氏の著書で明らかにされた。

2002年7月31日、政府の地震調査研究推進本部(推本)の地震調査委員会により「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」(長期評価)が公表された。
これは、三陸沖北部から房総沖の海溝寄りの領域内のどこでもMt(津波マグニチュード)8・2前後の津波地震が発生する可能性があるというものであった。

しかし、2002年2月に土木学会の津波評価部会が公表した津波評価技術は、過去に発生した領域で繰り返し同じタイプの津波地震が発生するという考え方に基づいており、過去に津波地震が発生した明確な記録のない福島沖については考慮されなかった。
しかし、太平洋プレートはつながっているのであるから、福島沖だけが大地震を起こさないということは、テクトニクス力学上もあり得ない誤りであった。

2004年末にはM9・1のスマトラ島沖地震による大津波が発生し、22万人を超える人的犠牲がもたらされるとともに、インド南部のマドラス原発が大津波に襲われ、プレート境界地震による津波の被害の深刻さをしめした。

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耐震設計審査指針の改定作業が進行中であった2006年3月24日、金沢地裁で志賀二号炉の運転差し止めを認める判決が下された。

この判決では、旧指針では原発の安全性が保障できず、新たな耐震設計審査指針の制定が必要であるとされた。

こうした判決が出た以上、他のすべての既設の原子炉についても、新指針を満たすことが安全性確保の前提であると考えるのが当然である。これをバックフィットというが、この方針を貫くと全国の原発が一斉に停止することとなるため、できる限り速やかに新指針に適合するように改修を完了する
という方針がとられた。
これをバックチェックという(後にも述べるが、この誤った方針のために福島原発事故が避けられなかったのであり、その反省から、原子力規制委員会の定める新規制基準では、いくつかの猶予措置はとられているが、原則としてバックフィットの考え方がとられたのである)。

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2007年7月16日、中越沖地震に見舞われた柏崎刈羽原発では、想定された基準地震動を大幅に上回る地震動により、約3000カ所の故障が生じた。建屋内の地下の浸水なども起きていた。
この地震を教訓として、想定を超える地震・津波に備えるべきであった。
だが、むしろ東電は、想定を超える地震動が発生しても大事にならなかったと慢心した。

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東電は、2008年2月26日、東北大学の今村文彦教授から、「福島県沖海溝沿いで大地震が発生することは否定できないので、波源として考慮すべきである」旨の指摘を受けた。
2008年3月18日には、関連会社の東電設計から、推本の長期評価を用い、明治三陸沖地震の津波の波源モデルを福島県沖海溝沿いに設定した場合の津波水位の最大値が、敷地南部で「O.P.プラス15・7メートル」、すなわち、小名浜地方の年間平均潮位から15・7メートルも上回る旨の試算結果が出された。
このような津波が発生すれば、福島第一原発のタービン建屋の設置された10メートル盤を大きく超えて浸水してしまうことは明らかであった。

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2008年6月10日には、土木調査グループの担当者が、武藤副社長に対し、資料を示しながら、15・7メートルの試算結果を報告し、合わせて、原子炉建屋等を津波から守るために敷地内に防潮堤を設置する場合には、約10メートルの防潮堤を設置する必要があること等を説明した。

東電が準備していた防潮堤の高さが10メートルだったという事実も新たに明らかにされたものであり、この防潮堤があれば、地盤の高さが10メートルであるから、今回の津波には耐えられたと考えられる。

武藤副社長はいくつかの検討を指示したが、2009年(ママ、08年のまちがい)7月31日には、土木調査グループに対し、これまでの方針を変更し、耐震バックチェックにおいては推本の長期評価は取り入れず、土木学会の津波評価技術に基づいて実施するよう指示した。
そして、推本の長期評価について土木学会の検討に委ねることとした。
その結果、耐震バックチェックの最終報告をする予定であった2009年6月の期日は延期されることとなった。
このバックチェックの期日延長の事実も、政府事故調の報告書には示されていない。

2008年9月10日に東電内部で開催された耐震バックチェック説明会で配布された「福島第一原子力発電所津波評価の概要(地震調査研究推進本部の知見の取扱)」という資料がある。
同日の議事概要には「津波に対する検討状況(機微情報のため資料は回収、議事メモには記載しない)」とあり、この文書が会議の終了後に回収されたことがわかる。

この文書には、「今後の予定」として、「改定された『原子力発電所の津波評価技術』によりバックチェックを実施。
ただし、地震及び津波に関する学識経験者のこれまでの見解及び推本の知見を完全に否定することが難しいことを考慮すると、現状より大きな津波高を評価せざるを得ないと想定され、津波対策は不可避」と記載されていた。

推本の知見を完全に否定することが難しい、より大きな津波高を評価せざるを得ない、津波対策は不可避、とされている。
土木学会への検討依頼は不可避の対策を先送りするものでしかないことをこの文書は自白している。

この会議には当時の福島第一原発の小森所長らしか出席していなかった。
しかし、その認識が会社の最高幹部に直ちに知らされ、共有されたことを示す証拠も見つかった。

勝俣社長以下の幹部が出席した2009年2月の「平成21年2月11日中越沖地震対応打ち合わせメモ」と「福島サイト耐震安全性評価に関する状況」がそれである。
耐震安全性評価報告書の構成(一般的構成)の表の枠外に、手書きのメモがあり、「地震随伴事象(津波)」の部分に、「問題あり」「出せない」「(注目されている)」と記載されている。
この会議でも津波問題が主に議論されたこと、対策をとらなければならない状況を東京電力が会社を挙げて必死に隠蔽していたことがわかる。
本項で取り上げた新たな証拠は東電株主代表訴訟において、東電が裁判所の求めに応じて提出したものである。

(「東電強制起訴・世紀の裁判で何が裁かれるのか・原発事故の隠された真実」
「世界」2015年10月号、海渡雄一論文、より抜粋、その2)

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