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連帯オール沖縄・東北北海道コミュの【東京新聞】 【ふくしま便り】 キノコ栽培重ねる工夫 山の幸 正しい情報で判断を

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【東京新聞】
【ふくしま便り】
キノコ栽培重ねる工夫 山の幸 正しい情報で判断を
2015年12月1日

自慢の菌床シイタケを持つ大野一宏さん=福島県天栄村で
写真
 奥羽山脈や阿武隈山地の豊かな森林に恵まれた福島県は、シイタケ、ナメコなどのキノコやその原木の一大産地として知られていた。ところが原発事故が起き、キノコは最も放射性物質が残りやすい食品という悪評にさらされることになった。田畑に比べて森林の除染は、一段と困難が付きまとうからだ。生産現場では、この窮地を乗り越えるため工夫を重ねている。その取り組みを紹介したい。
 最初に、福島のキノコは、種類、栽培方法で、何通りもの地域的な出荷制限があることを覚えておいてほしい。
 まず野生キノコについては、今年七月現在で出荷が認められているのは、会津地方の南会津町、金山町、檜枝岐(ひのえまた)村だけ。これ以外の地域では採取禁止で流通経路に乗るのは珍しい。
 一方、栽培キノコは、シイタケを例にとると、原木に植え付けた原木シイタケと、おがくずブロックに植え付けた菌床シイタケがあり、原木の場合、露地と施設で栽培されたものがある。合計三タイプに分類されることになり、それぞれのタイプで出荷制限の区域が違う。
 もっとも安全な菌床シイタケは、福島県全域で出荷制限はない。モニタリング検査では99%が五〇ベクレル以下にとどまった。
 天栄村で菌床シイタケを生産する大野一宏さん(60)は、「一番神経を使うのは菌床つくりだね」と話す。他県産のナラなどのおが粉に米ぬか、フスマ、栄養剤などを入れて成形するが、放射性セシウムを吸着するゼオライトも混ぜあわせる。完成した菌床は、県林業研究センターで検査をしてもらう。
 国が定めた放射性物質に対する菌床の指標値は二〇〇ベクレルで、この値を超過すれば使えない。さらに育てたシイタケが一〇〇ベクレルを超えれば出荷はできない。二重のハードルを越えてきた。
 「震災のときは、ひっくり返ったハウスの中を見て、人間やめようかと思いました。嫁に『あんた、死んでどうするの』といわれて、われに返ったぐらいです。立ち直れたのは嫁のおかげ」と話す。それでも原発汚染のイメージダウンで、シイタケの価格は震災前の六割ほどだ。
 「首都圏の消費者は、随分戻ってきてくれたけれど、関西方面の反応はまだまだ。福島の水は最高にうまい。この水を使っているからシイタケもうまいんだけどなあ」と顔を曇らせた。
 原木栽培は、菌床栽培よりコストや手間がかかるが、味が良いためこだわる生産者も多い。
 もともと、阿武隈高地のコナラやクヌギでつくるキノコ原木は福島県の特産品で、炭焼きに代わる林業の柱だった。震災前までは毎年、二万立方メートル以上を他府県に移出。遠くは九州まで運ばれた。ところが昨年度は千分の一程度の二十六立方メートルだけ。
 県林業研究所では、この事態を打開するために原木を洗浄するウエットブラスター装置を開発した。水と研磨剤の混合液を圧縮エアで吹きつけて、樹皮の表面を削り取る。車の部品を洗浄する機械を改良したという。
 放射性物質に関する原木の指標値は、菌床に比べて厳しく五〇ベクレルと設定されている。それだけ原木からキノコへ放射性物質が移行する割合が高いということだ。だが、この機械を使えば、数値が高かった場合、何度でも削れるという利点がある。
 阿武隈高地の中央にある玉川村。原木生産をしてきた阿崎茂幸さん(72)の作業場には、キノコ原木の非破壊検査機器が設置されている。県が約三千万円をかけて開発した。装置の中に原木をそのままで入れると、数分で放射線量を計測することができる。阿崎さんによると、二五ベクレルを超えるものは洗浄し、それでも線量が高めのものは、まきや炭に回す。そうした選別が、この装置によって可能になった。
 「天からの授かり物。これによって原木の出荷が現実味を帯びてきました。ここを拠点として阿武隈の伝統産業を再興したい」と阿崎さんは話す。
 鍋の季節。福島のキノコについて、正しい知識と情報を持って判断してほしい。 (福島特別支局長)

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