ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

連帯オール沖縄・東北北海道コミュの孫崎享/集団的自衛権は日本防衛のためではない

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
孫崎享氏の視点ー<2013/08/07>

集団的自衛権は日本防衛のためではない。米軍が自衛隊を傭兵的に使うシステム

安倍首相は集団的自衛権の容認を促進しようとしている。

 安倍首相の私的諮問機関「安保法制懇」は集団的自衛権の行使容認を
提言する方針を決めた。

 合わせて内閣法制局長官に、かつて「安保法制懇」の事務方を務めた
小松駐仏大使を任命することを決めた。

 これまで、いろいろな所に集団的自衛権の問題点を寄稿してきたが、
次に、私が文芸春秋社の『日本の論点』で寄稿したものを下記に添付する。

―「日本独自の戦略を持たない限り、集団的自衛権行使を認めることは、
米国の戦争に追随させられるだけである」―

日米安全保障関係の最大の問題点は極めて重要な案件について、
しばしば目的、内容を国民に正確に伝えることなくとり進めてきたこと
にある。

集団的自衛権もまた、この範疇に入る。

小泉元首相は2004年6月27日のNHK党首討論番組で、
「日本を守るために一緒に戦っている米軍が攻撃された時に、
集団的自衛権を行使できないのはおかしい。憲法を改正して、日本が
攻撃された場合には米国と一緒に行動できるような形にすべきだ」
と述べた。

集団的自衛権の是非を考える時、日本人の多くこの小泉元首相の論理を
判断の基準にする。しかし小泉元首相が述べた「日本を守るために一緒に
戦っている米軍が攻撃された時に、集団的自衛権を行使できないのは
おかしい」という表現は間違っている。現在日米間には日米安保条約がある。
この条約の第五条は「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、
いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするもの
であることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に
対処するように行動することを宣言する」と規定され、
「日本を守るために一緒に戦っている米軍が攻撃された時には日本は
行動をとること」は条約上の義務になっている。

では条約上明白なことを何故今必要と述べているのか。それは目指す
ものが別に存在し、それを一般国民うけする台詞で容認させようと
試みているからである。
2007年4月発足した柳井元駐米大使を座長とする有識者会議は
集団的自衛権行使に関する四の個別事例研究を進めた。
これが集団的自衛権の目指すものと言ってよい。       

(1)同盟国を攻撃する弾道ミサイルをMDシステムで撃破する

(2)公海上で海上自衛隊の艦船と並走する艦船が攻撃された場合、
自衛艦が反撃する

(3)陸上自衛隊がイラクで行った復興支援活動のようなケースで、
自衛隊と一緒に活動している他国軍が攻撃された際に駆けつけて反撃する      
     

(4)国連平和維持活動(PKO)で、海外で活動する自衛隊員が任務遂行への
妨害を排除するため武器を使用する。

 この有識者会議は小泉元首相のいう「日本を守るために一緒に戦っている
米軍が攻撃された時には日本は行動をとること」とは別の提言をしている。
当然である。現行安保条約に含まれていることを必要だと提言するはずがない。

集団的自衛権は日米軍事協力の在り方の変更を目指している。一つは範囲で
ある。安保条約では、「日本国の施政の下にある領域」とされている。
今一つは場合である。安保条約では「一方に対する武力攻撃」という場合に
限定している。これに対して、有識者会議は「ミサイル防衛のケース」、
「公海上併走している時」、「イラクのような場合」としている。

提言の一つミサイル防衛は一見もっともらしい。
「北朝鮮が米国に向けミサイルを発射し日本の上空を飛んでいるのに黙って
見過ごしていいか?」北朝鮮が米国にミサイル攻撃する際、最短距離をとる。
地球儀で見ればわかるが、ミサイルは日本上空でなく、ロシア上空を越えて
米国に到達する。いつ打ち落とすのか。米国上空ではない。ロシア上空ではない。
だとすれば、ミサイル発射前に攻撃することしかない。
北朝鮮内にあるミサイルを攻撃すれば、当然北朝鮮は200−300実戦配備
されているノドンを日本に発射する。日本にこのリスクをとる国益はない。

「陸上自衛隊がイラクで行った復興支援活動のようなケースで、自衛隊と一緒に
活動している他国軍が攻撃された際に駆けつけて反撃する」は何を意味するのか。
日本が純粋に復興支援を行っていても、米国は敵と交戦を行っている。
純粋に復興支援を行う日本と,交戦をしている国とでは敵の対応が異なる。
米国と一緒に交戦することで,以降日本は交戦部隊と位置づけられていく。

集団的自衛権では有識者会議は(3)(4)で復興支援活動やPKOに言及して
いる。自衛隊が復興支援などで海外に展開することについては米国軍部に
次の狙いがある。

「新ガイドライン(97年日米間で合意)に盛り込まれた国連のPKO、
人道支援、災害援助活動はいずれもグローバルな日米協力を視野に入れた
ものである。このような頻繁に起こり、緊張度の低い作戦行動を共同で行う
ことは、同盟の性質を転換させるために不可欠な実際上の手続き、作戦面での
政治プロセスを制度化する可能性を持つからである。」
(元国防省日本部長ポール・ジアラ著「新しい日米同盟の処方箋」、
1999年)

 米国は自衛隊に復興支援等で日米協力をさせ、それを次第に軍事協力にする
ことを意図している。

それが有識者会議の(3)、(4)の狙いである。

 集団的自衛権の問題は独立した動きではない。

世界を舞台に自衛隊を米国戦略のために利用したいとする米国の動きと
連動している

サミュエルズMIT教授は著書『日本防衛の大戦略』で
「日本は安全保障の範囲を拡大すべきであるというアメリカの要求がこれほど
大幅で執拗になったのは、これまでにないこと。在日米軍基地と日米同盟を
世界的な安全保障戦略の道具として利用するのは米国の明確な意思』と
記述している。

二〇〇五年日本の外務大臣、防衛庁長官と米国の国務長官、国防長官の間で
締結された「日米同盟 未来のための変革と再編」はサミュエルズ教授の
指摘を具現化したものである。ここでは日米軍事協力の範囲を日米安保条約の
「極東」から「世界」にし、方法を「国連の目的と両立しない他のいかなる
方法も慎む」から「国際的安全保障環境の改善」に変更した。
集団的自衛権をめぐる動きは、まさに「日米同盟 未来のための変革と再編」
を日本の法制面などで整える動きと言える。従って、集団的自衛権の是非には
今日の米国戦略の評価を行うことが不可欠である。

今日の米国戦略は世界の平和と安定に貢献しているか、否か、
それが今問われる。

(1)現在米国戦略はテロとの戦いを柱としている。
しかし、テロ行為は通常政治的目的のため行われている。外交的手段で解決を
図る道がある。

この解決を充分に追求することなく専ら軍事手段で解決を図るのは間違って
いる。

(2)「ウェストファリア条約」の理念(主権を認め、武力を抑制)は
国連憲章に活かされ、日米安保条約も含め、紛争に対応する従来の基本的理念
である。しかし「日米同盟 未来のための変革と再編」のめざす
「国際的安全保障環境の改善」は将来の脅威を除去することを目指し、
むしろ国際社会で不安定を拡大する行動である。

 実は「集団的自衛権を強化すべきか否か」の問題の根幹は日米協力の在り方
について「個別政策に問題があっても日米関係全体のために受け入れるべき」
とする考え方と、「個別政策への協力は各々の是非を判断し行動すべし」
とする考え方のいずれを選択するかの問題である。

かつては、「米国追従は日本の国益」とする論が有力であった。
しかし、今情勢は変わった。中国経済が米国を追い抜くことが現実味を増した。
本年発表された内閣府の『世界経済の潮流』は2030年中国GDPは米国の
1.3倍という予測を出している。今や米国内で「アジアにおける最も重要な
パートナーは誰か」との問に日本でなく中国とする考えが優勢になってきた。
特に有識者の中で顕著である。日本が米国に忠誠を誓えば米国は日本を大切にしてくれる時代は過ぎた。米国は自己の国益で動く。
日本もまた自らが戦略を持ち、個別の政策が真に国益に合致するかを真剣に
判断せざるをえない時代に入っている。この中「集団的自衛権」という
米国従属政策の強化する動きは1960年の安保改定で日本の国益を守る
ため、最低限必要とした枠組み(軍事協力を極東、及び攻撃される時に限定)
すら撤廃しようとしている。

「集団的自衛権」は日本の安全保障面で危険性を増大させる。
日本の国益に反する動きだ。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

連帯オール沖縄・東北北海道 更新情報

連帯オール沖縄・東北北海道のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング