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眼鏡を外すと線が見える。コミュの蛇の章/44

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 「なるほど。計画自体は完璧。最後の最後の詰めが甘かったな。」
 それでようやく全ての謎に納得がいった。
 「ええ、そうですね。詰めが甘かった。確かにそれは認めましょう。憑依した白はすぐさま変態を始めました。本来ならその瞬間から兄の意識は私の支配下に置かれるはずでした。けれども十色の力が兄を私の縛鎖から守った。」
 そして、憑依されたことにより藍・疫禍神の計画に気付いた白は即座に逃走。自分が幽閉されることはイコール疫禍神の再誕につながるという判断だったのだろう。
 けれどもそれにより守倉白は一族郎党から追われる身となった、か。
 「白が逃げたことで私は計画を変更せざるをえませんでした。場合によっては白は守倉の者に殺されてしまうかもしれない。そうなっては元も子もありませんからね。」
 「その計画の変更っていうのが『神隠し』だったんだな?」
 「ええ、その通りです。」
 僕の問いに藍は面白いほど素直に答えた。
 それはいたいけな幼女のような。
 それは痛い気な少女のような。
 けれどもその瞳には・・・人間らしさなど欠片もなかった。
 「離れていても私と白は繋がっている。当り前ですよね。元々は一つだったんですから。彼は人間の心を持った異形。私は異形の心をもった人型。私の行動はそのまま白にも繋がっているんです。」
 どこか含みのある言い方。何を言わんとしているのかは容易に想像できる。
 「私が見ているモノは彼も見ている。私が聞いているモノは彼も聞いている。私が味わうモノは彼も味わっている。私が嗅いでいるモノは彼も嗅いでいる。私が触れたモノは彼も触れている。私が感じるモノは彼も感じている。」
 そこで藍は今までに見せたことのない禍々しい笑みを見せた。
 「私が殺したモノは彼も殺している。」
 一瞬の静寂・・・そして
 「あっははははははははははははははははははははははははは!!!!!!」
 洞窟いっぱいにこだまする狂笑。
 耳をつんざく勢いで響く轟音。
 この空間全体が崩壊するのではないかと錯覚するほどの声が響く。
 「20人よ!!!20人!!それだけの人間を殺してようやく彼は壊れてくれたわ!!それだけ殺してようやく私の意識に取り込まれてくれた!!よくもまぁ、それだけの間、精神が保ったものだわ!!彼の心を出来るだけ速く壊してあげようとそれはもう出来うる限り凄惨な殺し方を演出してあげたのに、それなのに20人!!どれだけ私が苦労したのか分かってるのかしらねぇ『コレ』は!!」
 そう言って隣に立ち尽くしていた異形を藍は思い切り蹴り飛ばした。
 はぁはぁはぁはぁ・・・
 暗い洞窟の中に少女の荒い息遣いだけが響く。
 他には音など無い。
 「それで、その惨殺行為の隠蔽のために特殊結界『曖昧模糊』と『奪名』が使われたってわけか。」
 はぁはぁはぁ・・・すー。
 「ええ、そうよ。守倉の土倉の礎の杖を使ってね。」
 呼吸を整えて藍は頷いた。


コメント(1)

蛇の章/45
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