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眼鏡を外すと線が見える。コミュの蛇の章/42

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 「いつ頃、気付いたんですか?私が疫禍神だって。」
 かつんかつんと甲高い靴音を鳴らしながら藍は僕へと近づいてくる。
 「つい、さっきさ。本当に今の今までそうとは気付かなかった。」
 「へぇ案外、先輩って抜けてるんですね。」
 何が嬉しいのか藍はけたけたと笑う。
 歩みは止まらない。
 僕へとゆっくりとその距離を詰めてくる。
 「そう言うなよ。本当ならもっと早くに気付けていたはずなんだからさ。」
 わざとらしく自嘲気味に答えてみせる。
 別に虚勢を張っているつもりはない。
 張る必要も無い。――今の僕には・・・
 「そうですね。そういう意味では守倉・・・いえ、十色にも感謝しなくちゃいけませんね。なにせ、この結界『曖昧模糊』は彼の技なんですから。」
 そう言って少女は異形と化した兄・白のすぐ傍らで歩みを止めた。
 視界には二人の敵。
 両方を捉えられているのだから、これほど有難い状況は無い。
 恐らく、奴もそれを狙っているのだろう。
 全くサービス精神の強い奴だよ。
 「それにしても変ですね。今も結界は張ってあるんですけど、どうして先輩は平気なんですか?」
 本当に理解できないのだろう。
 少女は年相応の可愛らしい小首をかしげる仕草で疑問を強調してみせる。
 「さぁな。あんまり痛めつけられたんで脳がぶっ壊れたのかもしれないな。」
 適当に答える。
 結界内で思考の明瞭化が出来た理由、そんなのは分かりきっている。けれどそれを奴に教えてやる必要など無いだろう。
 「ふーん。そうですか。」
 腑に落ちない、という表情ではあるが藍は一応納得の言葉を口にした。
 「それじゃぁ僕からもいくつか質問させてもらおうか。」
 「ええ、構いませんよ。」
 余裕の表情・・・いや違うな。アレはそんな人間味のあるモノなんかじゃない。
 超然と、慄然と、整然と全てを見下す表情。
 文字通り「神」であるモノにしか出来ないであろう表情を人間の少女の顔に貼り付けて邪神が応える。
 「藍、お前が『本体』なんだな?」
 コレは質問というよりかは確認。
 これから話をしていく上での大前提をここで整理しておかなければならない。
 「少し違いますが、そうとってもらって結構です。兄は疫禍神としての肉体を、そして私はそれ以外の知識や呪力を受け持っています。言わば二人で一人という感じですが今の兄は私の操り人形ですからね。私が『本体』まぁ、今の所はそういうことにしておきましょうか。」
 含みのある言い方。
 今の所は・・・か。なるほど、やっぱりまだ続きがあるという事か。そして、その「続き」は恐らく僕の予想していることに間違いはないだろう。
 「随分と面倒な事を・・・それはつまり『オリジナル』として再誕するための準備ってところか。」
 「へぇ、そこまで予想がついているんですか。どうやら本当に結界の影響を受けていないみたいですね。」
 言葉でこそ驚いてみせるが藍の表情は依然として崩れない。
相変わらずの冷笑。
 全てを見下す声色。
 『神様』を相手にしているという状況を嫌でも実感させられる。
 「そうですよ。私はじき疫禍神として本来の力と姿を取り戻す。本当は全ての守倉の者を滅ぼしてから再誕するつもりでしたが、そうするにはあまりにも数が増え過ぎました。人間っていうのは本当に便利ですよね。年中発情しているんだからいくらでも子どもが作れる。」

コメント(1)

蛇の章/43
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