ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

経済読書会−東京経済政策研究会コミュの東京経済政策研究会(第20回)活動報告

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
東京経済政策研究会(第20回)2011年10月15日開催の活動報告です。

(公式サイトの活動報告:写真付き)
http://keizaikenkyu.com/houkoku/houkoku20.html

テーマ:震災復興

参加人数:53人

主な参加者属性、職業:国家公務員、地方公務員、ウェブ会社経営、メーカー勤務、コンサルティングファーム勤務、ITエンジニア、大学教員、歯科医師、学生、FP、秘書、ライター
etc


流れ:

・司会役の岩本より挨拶とTSEPの概要説明(5分)
・発表担当の山田から、震災復興のボランティア経験と課題図書の内容を解説(30分)
・6グループに分かれ、事前に用意した論点に沿って議論(70分)
・休憩、名刺交換(15分)
・各グループのファシリテーターより討論の結果を相互に発表(15分)
・終了後、懇親会(90分)


議論:

論点1:国内の産業の中で、特に震災の影響が大きい(苦労している)ものは何か。また、どのような対策が必要か。

【岩本チーム】
・金型メーカーで働いているが、計画停電と節電の影響は甚大だった。製造ラインを簡単に停止することはできない。
・IT投資が先送りされる傾向がみられる。
・リチウムイオン電池の日本メーカーのシェアは、震災前に50%あったが、震災後は生産が滞り韓国に追い抜かれてしまった。

【山田チーム】
・影響については、原因を「津波」「地震」「放射能」「風評被害」で分けて考える必要がある。
・製紙業界がかなり苦労をしている。
・震災の影響と、円高の影響をきちんと分ける必要がある。

【石渡チーム】
・東北の被害は、短期的と中長期的なものに分けられるという前提のもとで議論が進んだ。
・具体的に、短期的な被害というのは、風評被害によって青森県や千葉県産の農産物が売れなくなったことや自動車や製糸業の工場がダメージを受けたことなどの話があった。
・中長期的な被害は、震災前から続く過疎化や海外空洞化などの問題を加速させたことであり、それぞれのスパンに見合った対策を講ずるべきという結論に至った。

【小林チーム】
(1)供給が需要に追いつかない
・(ソフトウェア開発で)多くの中国人やインド人の開発者が帰国してしまい、開発プロジェクトが進まなくなった
・あらゆる産業で、工場が流されたり人がいなくなりして、操業できない状態が続いた。特に生活雑貨、医療品などは需要があるにもかかわらず操業できずダメージが大きかった。

(2)需要が無くなった話
・農業、漁業のほか、原発関連製品の売上が激減した
・原子力関係の研究開発予算が大幅カットされ、解雇される研究者もいた。

【高橋チーム】
・漁業の影響が大きい。
・とれる魚が安全であることの証明や、風評被害などの影響がでている。
・地震のために、海底の地形が変化している。生態系にも影響があるかもしれない。
・沖合漁業から遠洋漁業へというような変化が必要。
・漁場を太平洋ではなく、日本海を対象とするなどの変化も必要。

【永井チーム】
・津波、原発、電力この3つの視点から論じるべき
・サプライチェーンの寸断の影響が大きい。また、取り換えのききにくい代替性の低いもの(地域の生活・雇用など)は影響が大きい
・農地など全てが一緒に流されてしまっていて、高齢者の方の気力や体力が問題。実際に消費者が安全性を目で見て確かめるような仕組みを作って、風評被害に対策すべき


論点2:復興財源の捻出としてもっとも有効な資金調達の方法は何か?また、財源の捻出には痛みが伴うため、その手法の実行にあたって必要なプロセスは何か?

【岩本チーム】
・法人税引き上げは空洞化をさらに加速することになるため良くないとの意見が太宗。
・基幹税だけでなく、たばこ税や酒税をもっと引き上げるべき。
・増税分が復興に使われることを明確化することが重要。既存の税を増税するのではなく「復興税」という新しい税を作った方が分かりやすくて良い。

【山田チーム】
・全員から少しづつ徴収できるという点で消費税が一番納得しやすい。
・増税については、用途を震災復興に限定し、内容を明らかにすることで負担者に納得してもらいやすい形を取るべきという意見が多数。
・スピードが大切なので、まずは国債発行して復旧にあたり、増税は後回し。経済成長により税収アップをめざすべきという意見もあった。

【石渡チーム】
・国債や所得税などの代替手段がある中で、財政破綻のリスクを挙げる国債発行や労働供給に好ましくない影響を与える法人税と所得税よりは、消費税が望ましいとの意見がでた。
・消費税増税の前提として、事業仕分けによる歳出の無駄削減があるという指摘が出た。
・事業仕分けによって、歳出の透明性向上を図り、国民の理解を得る一方で、事業仕分けの費用についても考慮すべきとの話もあった。

【小林チーム】
(1)歳入
・短期的には国債、中長期的に増税が理想的という意見がほぼ多数。
・財務省が「増税したい」という思いが強く、世論を誘導している感が強い。
(2)歳出
・公務員給与カット・国会議員の人数削減はやるべき。
・ただ国家予算において公務員の人件費が占める割合はそんなに多くないから、その他の部分を削ったほうが効果的かもしれない。

【高橋チーム】
・消費税が有効である。
・ただし、期限付きとし、目的を震災復興とすることを明確にし1−2%の増税とすべき。
・あるいは、震災復興税という名前で目的をはっきりして増税すべき。

【永井チーム】
・歳出カット(主に公務員の人件費)をすべき
・国債の発行は数年単位ならば問題はないので、国債発行で対処すべき。税はそれを前提に長い目で考えるべき問題
・震災の影響は現在の世代が負担すべきなので、税が望ましい。ただし、税の徴収前、徴収後においてきちんとした説明がなされるべき。
・国債発行は世代の先送りにならない。日銀の国債引き受けで対応すべき
・消費税が望ましい。法人税や所得税はすでに諸外国よりも高く、消費税増税が公平。


論点3:被災地域の復興に、長期的に見て最も有効な復興はどのようなデザインで行うべきか。具体的には、震災前の地域を復活させるのを目標にすべきか。

【岩本チーム】
・被災地に行くと、中年層以上は住んでいた場所に戻りたいと思い、若年層は戻らなくてもよいと考えている印象。いずれにせよ、国や自治体が方針を決めない限りは被災者が住居を構えられないため、早く方針を決めてあげることが重要。
・復興を急いで進める必要はない。むしろ自然と調和する形でゆっくりと進めるべきではないか。
・憲法で居住の自由が保障されているので、強制的に移住させるわけにはいかない。被災者の方々が住みたくなるような町をつくるべき。
・ハードインフラだけでなく、コミュニティのようなソフトインフラの再構築も重要。

【山田チーム】
・利権構造を産まない工夫をした上で、被災地の人たちにお金をあげて自由にやってもらうべきという意見があった。(地方分権型復興)
・資本を投下するからには、将来世代のためになる街づくりをおこなうべきで、全てにおいて今住んでいる大人たちの基準を重視してはいけない。

【石渡チーム】
・現状の高齢者を中心とした街づくりを構築していくべきか、それともこれからの将来世代を見据えた都市計画を行うべきかという対立軸のもとで議論が進んだ。
・具体的な案としては、移民の受け入れや英語教育の充実などが挙がった。
・中央政府や地方自治体を含め、誰が主体となっていくかを留意すべきとの意見があった。

【小林チーム】
以下の観点から復興のデザインを行うべき
(1)津波の被害を受けた沿岸部の地域の復興方針
・この地域は歴史的にも何度が津波の被害を受けており、人が定住したり大規模な工場を建設するのはリスクが大きい。
(2)津波の被害を直接は受けなかった地域の復興方針
・このままでは人や企業が東北から離れてしまい、復興が難しくなるので、人や企業を呼び込むために以下のような特区を設置する。
(2-1)放射能の汚染がない、あるいは軽度の地域
(2-2)放射能汚染が強い地域(福島第一原発付近の地域)

【高橋チーム】
・原発の影響のある福島とそれ以外の地域を分けて考える必要がある。
・震災前の地域を復活させるのではなく、新しい都市デザインを作るいい機会であると感じる。
 (これはボランティアに行って実際に現地の状況をみてきた方もほぼ同じ意見であった。)
・震災前のコミュニティをそのままにしておくことは重要。

【永井チーム】
・生産性やインフラ整備などを通じて、より効率的な都市にすべき
・津波災害の防止を優先すべき。具体的には高台に住宅を移す。
・国が「高台に住め」というべきでない。国と地方の役割をきちんと考えるべき。


論点4:被災地(東北)の都市デザインは具体的にはどのようなものにすべきか。

【岩本チーム】
・首都機能の一部一転というアイデアに対しては、賛同する声が大きかった。
・機能移転の具体的な案として、「国会議事堂を物理的になくす(国会議員は地方に分散)」、「立法府又は行政府のいずれかを東北に移す」といったアイデアが出された。

【山田チーム】
・税制優遇のみを行う「特区」を作るべきという意見が多数。

【高橋チーム】
・これまでのコミュニティを分解せずにある地域に集中して再配置する。
 (場所へのこだわりより、人へのこだわりの方が強い。・極端なことをいえば、超大規模ビルで1階は○○地域の人たち、2階は△△地域の人たちというような配置。)
・東海大地震のリスクを考えて、東海の産業を東北に持ってくるという意見と、地震や津波を恐れるのではなく、逆に、どんな地震や津波にも耐えられる都市をつくり世界にその技術を発信するべきという意見がでた。

【永井チーム】
・国は復興資金を地方に渡し、自治体が住民のニーズを優先して復興すべき
・日本全体のデザインを考えていないのに、地方のデザインを考えるのは順番がおかしい
・観光業に特化すべき。被災地では今後人口が減っていくと考えられ、また自然公園など維持コストの低いものを設置して運営する方が合理的である


論点5:被災地域における2050年の未来都市を目指して、どの様な政策・取り組みが必要か?(3つ)

【岩本チーム】
1.研究機関の誘致・拡充
・被災地には放射線、津波の研究者にとっては重要なデータがたくさんある。
・関連する研究拠点をつくり、海外の研究者も積極的に誘致すれば、今後の学術の発展にも寄与することになる。
・また、今後東北で自然エネルギーを普及促進していくことを踏まえると、理系学問が強い東北大学に「再生可能エネルギー学部」をつくり、その分野における研究者や技術者を育成していくことが望ましい。

2.自然調和型産業(第一次産業)への回帰
・無理をして先端都市にするのではなく、第一次産業中心の産業構造に回帰させる。
 (その方が自然とも調和するしローコスト)
・例えば「農業都市」。計画的に大規模農場を作れば、農業の生産性向上にも寄与する。

3.「先進医療タウン」の構築
・東北は少子高齢化が進んでいる地域。
・東北に先進医療分野の研究機関や企業を誘致し、産業集積を形成すれば、少子高齢化という大きな問題の課題解決の実験の場にもなる。

【山田チーム】
1.学園研究都市の構築
・各種優遇措置で、大学、研究機関を積極的に東北誘致し、研究都市をつくる。
産業を都市単位で生み出すのは大変だが、研究者は研究環境の整っている場所に比較的容易に移動するため、研究都市の方が早期で実現しやすい。

2.最先端の農業地域化
・東北の1次産業の重要性は見捨ててはいけない。
国内消費だけではなく、輸出を目標とした農業のあり方を模索。農協漁協などの組織を再編し、株式会社の参入を積極的に進め、
場合によっては海外の穀物メジャーなどの企業を呼び込むなど、ドラスティックな農業改革を行べき。将来世代が担える農業。


3.空港と道路整備による、国内外からの工場誘致
・東北は、実は「東京に近い」交通インフラが整っている点が強み。仙台空港などの滑走路を4000m級に拡張し、東京、東北間の高速道路を完全無料にし、物流メリットをさらに強化する。
・あわせて、国内、海外の工場を積極的に誘致する。
・実際に、中国の王手ショベルメーカーが会津若松に工場を作るなど、東北のメリットに注目している海外企業も存在する。

【石渡チーム】
論点4と5
1.環境都市の構築
・ 原発ではなく、自然エネルギーを中心とした電力によって賄われ、また東北の中心となる環境都市をつくるべき。それによって、新しい雇用や研究開発が生み出される可能性もある。
2.老人に優しい街づくり
・現在、東北にいる高齢者を中心とした老人に優しい街を作り上げていくべきとの提案もあった。そのことによって、医療や介護サービスの充実、文化活動の促進といった効果が見込める。

【小林チーム】
論点4と5

1.津波の被害を受けた沿岸部の地域の復興方針
・この地域は歴史的にも何度が津波の被害を受けており、人が定住したり大規模な工場の建設はリスクが大きい。
・田舎は田舎らしく。無理に未来っぽくする必要はない。自然都市や国立の自然公園などにする。
・住むなら高台の地域を基本とし、津波の被害を受けた地域は自然をそのまま残し、自然都市や国立の自然公園などにして活用する。
・それでも津波の被害を受けた地域に住みたい人がいる場合は、土地を格安で売るかわりに、災害援助の優先度を低くする。
・あるいは各家庭で簡易ボートなど津波対策を義務付ける。

2.津波の被害を直接は受けなかった地域の復興方針
・このままでは人や企業が東北から離れてしまい、復興が難しくなるので、人や企業を呼び込むために以下のような特区を設置する。
(2-1)放射能の汚染がない、あるいは軽度の地域
・社会全体で行うのは難しいが限られた地域では実現可能性のある制度などを導入する。社会実験の意味も含まれており、
うまくいった地域があればそれをモデルとして導入地域を徐々に増やしていく。
(例)
・ある特区ではベーシックインカムを導入する
・ある特区では公務員を0(もしくは極少数)にする
・ある特区では法人税、所得税、相続税などの大幅な減税を実施する
・・相続税を0にし、移民を受け入れることにより、海外の高資産家の流入を加速させる効果がある(カナダのように。ただし入国の条件としてある一定額以上の資産を持っている人のみ受け入れるようにするなど、条件を設ける)
・・東北(特に仙台あたり)は東京からも遠くなく、商業地としてのポテンシャルも高い。法人税減税ほか、外国企業の誘致を積極的に行う。アジア系の製造業などをターゲットにすると良い。
(2-2)放射能汚染が強い地域(福島第一原発付近の地域)
・商業用の電力供給元として原発は減らすべきだが、原子力の研究開発は維持すべき。よって、福島第一原発付近を原子力研究開発特区として、研究者などを受け入れ、世界で最高峰の原子力技術の確率を目指す。核融合発電の研究なども行う。

【高橋チーム】
1.要塞・防災都市
・地震が多い国日本の技術力の高さで要塞・防災都市を実現し世界にその技術を発信。

2.自然エネルギーの活用
・洋上風力等の自然エネルギーを活用。

3.第一次産業の法人化
・新しいテクノロジーとの融合。新しいテクノロジーを活用することで若者を呼び、これまでも高齢化が課題であったこの地域の生産性を高める。
・実現のためには、法人税等を優遇する特区を設けることや社会保障を手厚くすることで安心してチャレンジできる状況を作るなどの意見が交わされた。

【永井チーム】
1.地域の実情を反映した都市設計
・例えば、漁村がメインの地域ならば高台に住宅を持っていき、低地には人が住まないようにする。有力企業の生産拠点の地域ならば、その地域につなぎとめる誘因を強化すべき。

2.自然エネルギー都市
・自然エネルギーへのかじ取りがあるのだから、風力発電など自然エネルギーを取り入れた都市設計をすべき。(逆に自然エネルギーよりも天然ガスの方が経済的だから、天然ガスを用いた発電を主体とすべきとの意見も。)

3.規制緩和の徹底推進
・特区にして規制緩和をすすめる。例えば、観光産業を強化する文脈で、カジノやギャンブル。あるいは金融特区を交通の便の良い地域に設置する。

以上の点のほかに、どのような点に留意して政策を考えるべきか、以下の2点が挙げられた。
・2050年に価値の出ている政策であるか
・被災地域の人口減少などがあるため、将来的にコミュニティーが存続しているのか



講評:

 今回は、震災復興をテーマに議論をしましたが、いつもとはやや趣向を変え、各チームで復興のアイデアを議論してもらい、それらを相互に発表しました。議事録にあるとおり、6つのチームから様々な面白いアイデアが出されました。
 6月に成立した復興基本法では、復興は「21世紀半ばにおける日本のあるべき姿を目指して行われるべき」と規定されています。日本全体が閉塞感に包まれる中、震災をテコとして東北をいかに素晴らしい地域・都市に変えていけるかは、日本の今後の将来をも決定づけることになるように思います。
 今回の勉強会では、自由なディスカッションの中でやや過激、大胆な意見も示されましたが、実際の行政においても、40年後の日本の「あるべき姿」をイメージしながら、多少の大胆さをもった政策が進められるべきではないかと思います。
(岩本)


震災復興というテーマであったため、現地でのボランティア経験をもった方の参加者も少なくなく、リアルに現場の状況を見た方の視点を加えての議論ができたことは大変有意義だったと思います。
 議論の機会に飢えている参加者の方が多いためか、リラックスした雰囲気の中で自由なアイデアが交わされていました。
 震災復興に対しては、今回のディスカッションにもあったような、「逃げるんじゃなくて立ち向かう」、とか、「ピンチをチャンスに」、というようなポジティブさが必要であり、そんな雰囲気の中で生まれる
アイデアが具現化されていくことを望んで止みません。
(高橋)


震災復興という極めて関心の高いテーマの中で、日頃のニュースを見ていて感じたこと、仕事を通じて感じたこと、被災地域に住む知人・友人とのやりとりから気がついたことなど、実に様々な視点から議論がなされたのではないかと思います。
 今回の勉強会では、国ないしは地方自治体の政策的観点から、主に議論がなされました。印象的だったことは、国や地方自治体の復興案として挙げられている政策に対して、参加者の方は懐疑的であった点です。「本当にその様な都市デザインが求められているのか?」、「住民のニーズが反映されているのか?」その様な声が多かったように思えます。復興に関しての政府の意見は独り歩きしてしまっていて、国民の認識との間にギャップが生じてしまっているのかも知れません。その様なギャップがあるのだとしたら、それを埋める事もまた、震災復興の重要なテーマの1つなのではないでしょうか。
(永井)

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

経済読書会−東京経済政策研究会 更新情報

経済読書会−東京経済政策研究会のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。