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ヨハナザカントリーコミュのスサノヲ

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【福岡楼備】

 21世紀に入り情報通信技術の進歩、それにともない情報価値のは増大する。人々の活動範囲は情報空間に広がり物理世界と連続して、あらゆる人の活動に及んだ。
 政治、外交、経済など人と人の関係は情報に影響さされ、それを支える技術力は大きなアドバンテージとなる。軍事において衛星と潜水艦、さらに実戦ユニット(戦闘機、兵士)は情報連携により戦術は多様化、また地球規模に巡らされたインターネット網やGPS情報に戦略的に干渉する。 このような軍事の攻防は国家間交渉の基礎でありその優劣に及ぶ。
 インターネットは世界を結び巨大な情報空間を作り出した。人類は情報空間を共有し交流できる自由を得たが、反面情報に強く依存し影響され、思考や価値観の平準化が進んだ。つまり、恣意的に情報を支配するれば人々の思考に影響することも可能である。

 ’世界は情報空間の利益争奪をめぐる歴史へ移行した。
 そんな世界で一つの物語がはじまる。

 2030年、アジア最大の経済都市ハカタ自治区。
 日本は、多様化するアジア地域をはじめ世界各国との国交関係の緩衝として、旧福岡にハカタ自治区を制定したが、誘致された多くの外国企業の影響力が相対的に強くなり、防御機能として特別警備隊(スサノヲ)が組織された。

 福岡厳一(フクオカゲンイチ)は、内閣保安局の教官職を突然解任され東京都の消防連隊へ左遷された。その二週間後、公益核廃棄施設(旧福島原子力発電所)への核廃物検収に同行した際に、左翼系団体に襲撃さた。仮の死体が用意され葬式もなされ、福岡厳一は社会的に完全に死んだ。
 解任から1ヵ月後の早朝まだ始発電車の時刻前、都庁ビル屋上へリポートから飛立ったオスプレイJタイプのキャビンで福岡厳一は、内閣総理大臣から特別警備隊への任命を交付された。

・第一章、特別警備隊の召集


【東京都上空】
 福岡と対座する公安部の赤嶺岩男は任命書を渡した。
「これから、ハカタに行ってもらいます」
「それはいいが、私を殺してまで何をさせる気だ?」
「極秘の部隊を率いてもらいます」
「いまさら、現場にでるなど」
「すでに決定事項です」
「ならば、隊員の人選は好きにやらせてもらう」
「了解です」赤嶺はリストファイルを福岡に渡した。
 数人分がファイリングされていたが、福岡はそれを見もせずに秘匿回線を取り呼び出し暗号を押した。

「私だ、無事か?」と受話器の向こうから、福岡と同時期に自衛隊情報戦略部を解任された、有馬一夫の声が聞こえた。
「准将?」
「そうだ、私は死んでいるらしいので漏らすなよ!」
「俺は死んだなんて思っていませんよ」
「いま皇居の上を飛んでいる、見えるか?」
「ええ、しかし天候が悪くてやがて見えなくなります」
「米軍に探知されないように、偽装点を上書きしておけよ」
「了解、それで俺はどうします」
「明日の16時、ハカタ二条区に擬似脳も一緒に連れてこい!」と言うと、福岡は通信を終えた。
 二人の会話を 聞いて赤嶺は驚いた。
「米軍の衛星経由で、このオスプレイJを捕捉したんですか?」
「そう話していただろう」と福岡は頬をニヤリとした。
「米軍の抗性レベルを破るなんて、不可能です」
「そうでもないさ」と福岡は、渡されたファイルの二番目から眼を通した。


【琉球国(旧沖縄県)】
 有馬一(アリマハジメ)は琉球国(旧沖縄県)の勝連町にあるウナイ研究所の実験室にいた。ウナイ研究所は米海軍出資の民間の財団で人型兵器の開発をしている。四体の試験体が試作され二体は日本への借用とされていた。

「凄いな、本当に作ってしまうとはな!」と有馬は四体の試験体を前にして驚いた。  
「当たり前さぁー、莫大な予算を投入しているんだから」と開発技術者の一人でもある、ノリコ・キシャバは答えた。
 四対の試験体、その外観は成人男性に模倣されている。顔面は色白で目鼻立ちは、標準的な日本人よりもハッキリとしていて、西洋人との混血または沖縄人に近い。頭髪をはじめ毛色や瞳色は黒く東洋人の特徴である。どれも全く同じ姿形をしている。
 
「米軍の衛星回線に進入して、許可とったの?」とノリコは言いながら、試験体をブラケット装置から切り離そうと、制御パネルを操作している。
「翌朝には、ここを出たい」と有馬。
「連れて行くの?」ノリコはモニタに流れる試験体のコンディション情報を忙しく目で追っている。
「一体でいい」
「擬似能の起動は間に合わないわよ」
「向こうでやればいい」
「冗談いわないでよ、モバコンにOSを落とすのとは違うのよ」とノリコは、操作を続けながら右眉を小さく上げた。
「福岡准将の偽装死はすぐにばれる、特に中国やロシアの諜報網が捕まる前に外部との接触を絶ちたい」
「そう言われてもね、時間は増えないわよ」話している二人の後ろから突然一人の姿が現れた。
最初に気づいたのは、有馬’脅かすなよ’と声の先には、金髪の痩身の美女が立っていた。続けてノリコも’エミリ!’と手を止めた。

「衛星に侵入したね!」とエミリの顔に怒った表情。
「トレースされたのか?」と有馬はニヤリ。
「擬装点に書き換えられていたわよ、でも衛星にログインの記録があったのよ」
「だから?」
「そんなことできるやつ何人もいないわ、そしてあんたのその嫌味な顔」
 
「それより、明日福岡准将と合流する」と有馬。
「なにそれ?」と同時に、エミリの胸ポケットのCP(通信端末)がバイブした。
 エミリが、CP(通信端末)を取りだすと同時に相手の声が聞こえてきた。
「私だ、有馬は一緒か?」と福岡の声。
「はい、目の前に」とエミリは’まだ着信ボタン押してないのに?’と思いながら返答する。

「ワイルダー将軍と話した、君は私の指揮下に入った、詳しい話は明日だ」というと通信は終わった。
「そんなぁ、明日からナハカーニバルだったのよ」と言いながらエミリはCP(通信端末)を胸ポケットに戻した。

 試験体の切り離し作業が終わり、、四肢の関節に繋がったチューブが外れ、その先端から空気が小さく噴出した。
「一体は持って行きたいんだが」と有馬はエミリを見た。
「了解」と返事すると、エミリは急ぎ足で部屋を出た。

 ノリコは自分の、CP(通信端末)をズボンのポケットから取り出して、電源を切った。
「SIMに細工した?」と疑いの目で有馬をにらんだ。
 俺のCP(通信端末)も福岡准将からの通信だと、自動着信で回線が開くんだと答え、有馬は自分のCP(通信端末)を取り出し電源を切る。
 二人は、’まさか?’と同時に言いかけた時に、二人のCP(通信端末)は自動で電源が入り起動した。

 
【瀬戸内海上空】
 福岡と赤嶺はオスプレイJのキャビンに居た。
 福岡は赤嶺に渡されたファイルを、一通り見終え窓から瀬戸内海を見下ろした。
「米軍の方も、上層部の数人にしか知らせていません」と赤嶺。
「知るべき者は知るし、知りたい者は知るだろう」
 赤嶺は、話を続けようとしたが福岡の横顔を見て止めた。
「君が連絡役か?」
「はい、このままハカタの外交官事務へ移動になりました」
「それで、警備隊の上には誰が?」
「活動資金は総理調査室からと聞いています」
「不明瞭だな!」と福岡は窓の外を見たまま、横顔に疑いの表情が浮んだ。それを察した、赤嶺は話を続けた。
警備隊の設置はアメリカ側からも要請がありましたし、自衛隊でもハカタ都市の防衛機能を強化する計画が検討されていたということですので」
「その話はなんら君の説明を担保しない。それに警備隊のの必要性の有無は、軍人の仕事ではない、政治の役割だ」
「わかりました、直接お話を」と赤嶺は、秘匿回線を政府官邸につないだ。


 ハカタ自治区、旧福岡県に設立されたこの都市は、住民票登録で400万人、未登録者や近隣町村からの通勤者を含めば600万は超えていた。
 不法入国者、ハカタ自治区の経済規模は突出しており、先の世界大戦後から続く、日本経済の強さを示していた。
 しかしそれは、他の近隣小国の経済資源を集中させたことによる弊害であり、それは貧困国を生む構造的欠陥ともと言えた。貧困の生活を逃れ多くの者が、未許可でハカタ自治区へ流入した。その為、著しく環境劣悪の地域と次近代(未来的)に発展した地域とが混在した。

【早朝、ハカタ自治区】 
 ハカタ自治区中心より北方にある二条街(経済特別地域)へ国道が延びている。その途中にあるテダコ街(旧博多湾とその周辺)には、外国者の居住また商店が立ち並び、景観は雑多としていた。
 この二つの街を管轄する香椎警察署がある。警察署の前を走る国道には、所々の雨が上がりの水溜りに、朝焼けの紅が映っていた。

 青のクリアで塗装されたスポーツクーペが、警察署を飛び出してきて、スキール音をあげるながら国道の3車線幅いっぱいに大きくテールスライドし、そのまま二条区へ向かい加速した。
 運転席に中年の男が一人、乱れた長髪に青髭の割れた顎。厚い胸板に太い両腕、一見してわかる左眼の義眼は、ボンネットの青色を反射して光る。 
 車内のルームランプの位置には、ランプに代わり通信装置が取り付けられ、通話用のスピーカマイクが下げられている。男はマイクを取り呼び出した。
「付近のお巡りを、向かわせろ」
「連絡はしたがお前が一番近い!」
「くそ」と言いながら、ギアを3速から4速へシフトする。
「周辺2ブロックに、警官隊を張れ」
「署長も副署長も連絡ついてないし」とやる気ない声。
「なら、回線を機動隊へつなげ」と男はイラつきながら言うと、シワだらけのジャケットの内側から拳銃を取り出して助手席に投げ置く。

「こちら機動隊、どうぞ!」と応答してきた。
「何人か出してくれ、言っとくが許可申請はまだだ」
「いつもそうだろ、場所は聞いている」
「俺の方は10分くらいで到着する」と男。
「わかった、こちらが現場に到着する前に虚偽の申請書を電信で送れ、始末書はおまえ一人で書けよ」
「了解」言いながら男はギアを5速へシフトした。


【テダコ街、港湾】 
 青のスポーツクーペが警察署を飛び出した頃、テダコ街の港湾から中型サイズのクルーザー船が出港した。
 クルーザー船の先端には、中国大使御用との表示がある。大使御用とは、通行特権を示し、ハカタ自自治区への入出に何らの制限を受けない外交官特権である。
 クルーザのキャビンには、二人の男がいる。
舵を操作する男の方は右腕に中国共産党員の腕章があり、大使文字が読みとれる。もう一方は大男で上下真っ黒のスーツ、短髪の角刈り、左手の甲には銀色のメダルが埋め込まれている。

「コ・チイよ理解しているだろうが、言われたことは必ずやり遂げろよ」と大柄な男は、静かに言う。
「わかっていますが、最近いろいろやりにくいのですよ」
「そうだろうが、他の者と代わりたいと言うのか?」
「違います」とコ・チイは怯えている。
「そうだろう、私もねぇ君と仕事するのは楽しいし、いなくなると寂しいよ」と大柄な男は、左手の甲で静かに、コ・チイの頬を撫でた。
 コ・チイは、全身を震わせ顔は恐怖色に染まる
「私を降ろして戻ったら、工作員が港で待っているから」と男はコ・チイの頬を撫でている右手を止めて、軽く頬をたたいた。コ・チイは声なく返事する。
 正面から朝日がコ・チイの顔面をまぶしく照らすが、瞬きもせず前方を凝視したまま動かない。
 大男もまぶしいそうに左手で陽光をさえぎると、陽光を反射して光る甲のメダルには’爬龍(ハリュウ)’と文字が刻まれていた。

【ハカタ区、青のスポーツクーペ】
 朝焼けの国道、所々にある水溜りは朝焼けを反射している。国道を全速で走る青のスポーツクーペの助手席には拳銃と警察手帳が置いてある。運転席の男がキャビン中央に配置されるスイッチを指で押し下げると、助手席側の窓が下がり風が吹き込んだ。
 警察手帳は吹き込んだ風にめくられ開いたページには警部補古沢一と書かれてある。
 古沢は、テダコ街にあるソープランドに指名手配犯がいるとの通報を受け急行した。

 古沢は左眼の義眼の動きを確かめようとバックミラーを覗き、義眼の中心部で回転する焦点レンズを確かめた。
 
 突然! 前方の十字路左手から、ヘッド部だけの大型トレーラが古沢の走らせる車の前方に合流してきた。トレーラーの後方に追突しそうになり、ステアリングを回して避けると、トレーラーの左横に並んだ。
 追い抜こうとギアを5から3へシフトしてアクセルを踏む、ドロオオーゥとエンジンは唸り、一瞬おいてから後部サスペンションはストローク限界まで瞬縮し再加速する。
 同時にトレーラも加速し進路を妨害しようと接近してくる。古沢は衝突寸前にかわし、トレーラの前にでたがエンジンがもたつき、一瞬加速が鈍った。
 ッダーン、後部に激突されテールバンパーが脱落、トレーラの下に巻き込まれ’ギャオーン’と金属の悲鳴と共に路面にこすれて火花を発した。
 激突されたショックでグリップを失った後輪、車体は左右に激しく揺れたがステアリングを素早く切り返し立て直した。

 青のスポーツクーペは、加速してトレーラーの前に出たが、衝突の衝撃でエンジン制御用のコンピュータが不調となりメーターパネルの赤ランプを点灯させた。

 古沢は助手席の拳銃を取り後方のトレーラーに向け一気に全弾発砲した。弾は左前輪に当たりトレーラーは左右に蛇行しだし減速する。古沢はバックミラーで見ながら自分の車も速度を落とす。古沢はトレーラーの前で自分の車が止まるようにして速度をおとしていき、完全に停止しようとした時に突然トレーラーは爆発した。
 ゴゥオォオオンと激しく噴煙が拡散放射、共に轟音が当たりの空気を震わせる。

 爆風で古沢の車の後部は変形しながら、衝撃の半分を吸収し、残り半分はもの凄い勢いで車体を前方に押し出した。車体後部は押し上げられてフロントノーズは路面を擦りながら、この車の最大加速力を上回る速度で一直線に前進した。

 古沢は最初の衝撃の後すぐ、左手で左目の義眼をかばうようにおおう。前方に吹き飛ばされてるのを窓ガラスを見上げるように見ながら、次の衝撃を覚悟した。その覚悟の一瞬後、車は立体交差路を支えるコンクリートの柱に激突し、古沢は意識を失った。

@2012/11/27 14:30

 立体交差路の上に大型の三輪バイクが止まり、その後ろにはトレーラーの荷台部分が止まっている。バイクの運転席には黒服の長身、痩せた男が真下の衝突し損壊した古沢の車を覗きみている。バイクのハンドルの上部にはドロール(人型ロボット)の遠隔制御機が取り付けてある。 男は座り直しトレーラーに乗せていたドロールの信号が消失しているのを制御機で確認すると、チャンネルを切り替え別のドロールを操作した。
 トレーラーの荷台には、小型のヘリコプターが積まれている。その運転席にはドロールが座っていてヘリコプターの発進準備を始めた。

 シュンシュン、と小さく風をきる音以外にはヘリコプターからはの機動音は無い。
 ヘリコプターが静かに浮き上がると、男はバイクを降りて、下で壊れている古沢の車に向かって大声で話した。
「それぐらいで死ぬ奴じゃないな、お前を殺しに戻ってきたぜ」
 古沢はその声を聞くと意識を取り戻し、全身が無事なのを確認すると、急いで足下に落ちている拳銃を拾い弾を装填した。
 「探す手間がはぶけたよ、お前は極悪だから射殺の許可がでる予定なんだよ」と同時に古沢は、運運転席の窓から飛び出しながら、上方に向けて拳銃を全弾打発射した。
 古沢はそのまま走り、上の男から見えないよう立体交差を支えるコンクリートの柱に隠れた。
 古沢は援護を呼ぼうとポケットからCP(通信端末)を取り出したが、突然背後から突風に吹かれて落とした。なんだ!と振り向き見るとヘリコプターが降りて来る。義眼でない方の目は驚いて見開き、奥歯を強く噛みしめるとギリギリと鳴った。

「おおげさなことしやがて!」と古沢は言いながら死を覚悟した。

 

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