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最先端有機化学文献紹介コミュのメチルエチルケトンの付加反応に於ける不斉認識について

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http://pubs.acs.org/doi/pdf/10.1021/ja2028958

メチル基とエチル基の違いをこれだけ高選択的かつ汎用性の高いリガンド(BINAP)で
認識するというのはかなりのインパクトがありますね。Science、Nature chemistryに
掲載されても決して見劣りしない内容であると私は思います。

コメント(1)

解説もずいぶん御無沙汰な気が致しますが、それだけ魅力ある論文なので簡単に
内容の解説を行いたいと思います。

筆者らは当初は2座のキラルホスフィンリガンドであるMeO-BIBOPを用いて
アルデヒドのプロパルギル化を行っていたようです。ここまでは極くありふれた
研究になるのですが、次にケトンへの付加を検討する際メチルエチルケトンを
基質に用いた場合に思いの外高い不斉収率(69% ee)が出たのがモチベーションと
なったのでしょうか、他の2座ホスフィンについても検討を重ね2座キラルホスフィン
の代表格であるBINAPを用いたときに不斉収率がさらに10%向上することを見出して
おります。最終的には−83℃まで冷却することで転換率を保ったまま極めて高選択的に
反応を行うことに成功しました。

次にこの条件の下で各種ケトンへの付加を行っておりますが、アリールアルキル
ケトンは当然のごとく軒並み高い収率、不斉収率を達成しておりますが、検討した
基質の中で唯一benzofuryl methyl ketoneのみが84% ee程度の不斉収率に留まって
おります。続いて、生成物であるプロパルギルアルコールの用途について添付画像の
2枚目に示しておりますが、ラクトンやアルドール体、そして酸化によりβ−
ヒドロキシカルボン酸に導けるなどその用途が多岐に渡ることを示しております。

最後に反応機構と不斉誘起機構について考察を行っておりますが、反応機構は
添付画像3枚目のような触媒サイクルを提案し、不斉誘起機構についてはBINAP−銅
錯体のX線結晶構造解析の結果を元に遷移状態モデルの提案を行っております。
不斉誘起に関しては正直もう少し実験を重ねる必要があると感じるのですが、実験
結果は素晴らしいの一言につきると思います。この研究がアカデミックでは無く
製薬企業によって行われていることもとても意義深いものではないかと感じて
おります。ありふれた言葉になりますが、「必要は発明の母」と言ったところで
しょうか。ベーリンガーのプロセスチームも相当層が厚いようですね。

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