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文豪てっしーを見守る会コミュの【ライン】(5-4)(長編)

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 その時は、真美が送る側、大樹が受け取る側で今とちょうど反対だった。胸を二回叩くと「信じている」で三回叩くと「ありがとう。絶対に諦めない」だった。他にも合言葉はいくつかあったが、どれも簡単なものだった。


 「ところで理沙、いまセットカウントは?」大樹は理沙に状況をきいてみた。


 「今2‐3で、相手がリードしているわね。このセット取られると負け」


 「そうったいね。でも2セットは取っとるんやね?」勝てるチャンスは十分にある。大樹はそう考えていた。


 「それでも向こうのペアがかなり上手いのよ。相手の後衛、あっ後ろで構える方ね。中学の頃、九州大会に出とったらしいよ。真美たちさっきのセットは一点も取れなかったし……」


 理沙は初心者でもわかるように丁寧に解説した。もっとも中学の頃テニス部だった大樹にしてみれば、そんな解説がなくても相手を実際見れば上手いか下手かすぐにわかることだった。


 大樹は相手校の後衛を見た。小柄な女の子だった。シャツのそでをまくりあげ、そこから見える右腕は、その小柄な体に不釣合いなほど引き締まり、黒く日焼けしていた。確かにあの腕なら九州大会出場もなんか頷けた。背中についているゼッケンには「城南、長野」と書いてあった。


 「まぁでも真美は全然諦めとらんみたいやね。目がそう言っとる」大樹はじっと真美を見ながら言った。


 「さすが塚本君、真美のことよくわかっとうよね。さすが彼氏。」彼氏だから全てわかっている、そう言われているような気がした。正直彼女だからと言って真美のことを全てわかるかと言われるとそんなはずもなかった。逆にわからないことの方が多い。しかしそれでも大樹はテニス関連のことになると真美のことを手に取るようにわかった。それだけ二人にとってテニスは特別な意味があった。


 「そういえば……」大樹はふと思った。真美と瑤子の二人がペアを組んで試合をしているのを見るのは、中学1年以来、4年ぶりだった。


 元々大樹と良祐と真美と瑤子は同じ中学校のテニス部で一緒だった。1年の終わりに、真美が親の都合で隣の区の中学校に転校するまで、真美と瑤子はペアを組んでテニスをしていて、大樹は毎日のように隣の男子テニスコートからその光景を見つめていた。何度か実際に試合をしたこともある。

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