だと
いったんは、破いて捨てたコンサートチケットだったが、ガラス細工のお土
産とワインが姑の差し金だと知ったみずほは泰之に食ってかかった後、ゴミ
袋のチケットを目にし気が変わる。セロテープで修繕して、コンサート会場へ
向かったのだ。コンサート会場でのみずほの描写については、別の項で取り
上げることとして、ここでは「光がどの時点でみずほに惹かれたのか」だけに
焦点を絞ってみよう。
コンサート終演後、ロビーで大勢のゲストに囲まれる光を見て、みずほは黙
って、会場を去る。これは当然だろう。世界的に有名な、若き天才音楽家が晴
れの舞台がはねた後、自分のような顔見知りのために時間をとれるはずがな
い。みずほの立場なら、誰でもそう考えたはずだ。しかし、光はタキシード姿
のまま、外の横断歩道までみずほを追いかけて来る。おそらく、光はみずほが
本当に会場に現れたなら、一緒に夕食に出かけようと決めていたに違いない。
それは、何故か。会員制レストランでの二人の会話にその答えがある。
みずほ 「・・・いいんですか？ 大切な演奏会の後で、私なんかといて、本当
に良いのかなぁって・・・。」
光 「感想を聞きたかった。コンサートの後で集まってくる人達っていうの
は知り合いだったり、コネのある評論家だったりして、本音の意見が
聞けないんだ。ぼくの作った曲を君みたいな普通の女の子がどう思
うのか、知りたかった。」
自分が作曲家だと知らないみずほなら、遠慮なく「聴いたまま」の感想を語っ
てくれるかも知れない。もちろん、お世辞やおべんちゃらを言うだけの取り巻き
しかいない退屈な場から逃れたいという気持ちもあっただろう。しかし、クリエイ
ターという人種は誰でも「自分の作品」が第三者の目にどう映ったか、大いに関
心があるものだ。天才音楽家、堀井光も例外ではない。彼は、みずほからの感
想を待ちきれないといった面持ちで、尋ねるのだ。
光 「どうだった？？」
みずほ 「私、あなたが作曲家だって知らなかったから・・・。最初はただ、び
っくりしちゃって・・・。でも、素敵だった。」
光 「どういう風に？ どう素敵だった？？」
光は「普通の女の子」に過ぎないみずほから、音楽的見地から的確な批評が
聞けるとは思ってもいない。そんな話は聞き飽きているからだ。おそらく、素人
らしい生の感情がストレートに表現された「心地よい褒め言葉」を期待していた
のだと想像する。表現能力は稚拙でも、聴衆の生の声は彼の欲求を大いに満
足させるものだからだ。しかし、わくわくさせながら耳を傾ける光にとって、みず
ほの口から飛び出した感想は、彼の期待をはるかに超える内容だった。
みずほ 「空飛ぶ絨毯！」
光 「空飛ぶ、絨毯？？」
（明らかに、みずほの表現に意表を衝かれた光）
みずほ 「身体が軽くなってきて、風が吹いてきて、いつも重たい足でドタ
ドタ走っている世界を上から見下ろしているみたいだった・・・。」
ここからのみずほは、能弁である。高校時代、友人達と作ったアンサンブル
でフルートを吹いていた頃の思い出話を嬉しそうに、笑顔を輝かせて、一心に
語る。それを聴く光は、みずほの話に惹き込まれた。いつしか表情が消え、真
剣な眼差しで彼女の顔を見つめている。
みずほ 「・・・無理に明るくなろうと思わなくても、音楽って心を明るくし
てくれるのよね。こんなに素敵で、こんなに自由なものがある
ってことを、どうして今まで忘れていられたんだろうって思った。
・・・ごめんなさい。感想にも何にもなってない・・・。」
ここまで、光はただ黙って、みずほの話に集中している。「普通の女の子」
だと思っていたみずほが、「実は、王女だった」というくらいの衝撃を受けてい
るように見える。この時こそが、光がみずほに惹かれた瞬間に間違いない。
豊かな感受性と、魂の奥深くで音楽を捉える温かくて、優しい心。音楽に生き
る光にとって、自分の音楽をこれほどまで愛し、理解してくれる女性は何もの
にも換え難い、貴重な存在だ。
会話の後のダンスで、みずほのお父さんに電話し、「・・・明日にでも赤い
バラを持って、お嬢さんをお迎えに行きたいんですが・・・」というのは思わず
口をついて出た、本心だろう。
この時、光が何を感じていたのかは『２ｎｄ Ｓｔｅｐ』で明かされる。図書館を
出た後、公園のベンチで交わす二人の会話をみてみよう。みずほが結婚して
いると知って、ボーイフレンドでも恋人でもない「普通の男の友達」になりたい
と提案するシーンである。
光 「・・・この間、君と話していて、本当に真っ直ぐで豊かなものを持っ
ている人だなぁと思った。自分では気がついていないのかも知れ
ないけど・・・。仕事とか立場とかに関係なく、話し合える友達がい
たら素敵じゃないか。」
光の心には、みずほを特別の存在とする何かが芽生えた。それでは、みず
ほが光に惹かれたのはどの時点だろうか。別の項で考えてみたい。
（この項、終わり）
産とワインが姑の差し金だと知ったみずほは泰之に食ってかかった後、ゴミ
袋のチケットを目にし気が変わる。セロテープで修繕して、コンサート会場へ
向かったのだ。コンサート会場でのみずほの描写については、別の項で取り
上げることとして、ここでは「光がどの時点でみずほに惹かれたのか」だけに
焦点を絞ってみよう。
コンサート終演後、ロビーで大勢のゲストに囲まれる光を見て、みずほは黙
って、会場を去る。これは当然だろう。世界的に有名な、若き天才音楽家が晴
れの舞台がはねた後、自分のような顔見知りのために時間をとれるはずがな
い。みずほの立場なら、誰でもそう考えたはずだ。しかし、光はタキシード姿
のまま、外の横断歩道までみずほを追いかけて来る。おそらく、光はみずほが
本当に会場に現れたなら、一緒に夕食に出かけようと決めていたに違いない。
それは、何故か。会員制レストランでの二人の会話にその答えがある。
みずほ 「・・・いいんですか？ 大切な演奏会の後で、私なんかといて、本当
に良いのかなぁって・・・。」
光 「感想を聞きたかった。コンサートの後で集まってくる人達っていうの
は知り合いだったり、コネのある評論家だったりして、本音の意見が
聞けないんだ。ぼくの作った曲を君みたいな普通の女の子がどう思
うのか、知りたかった。」
自分が作曲家だと知らないみずほなら、遠慮なく「聴いたまま」の感想を語っ
てくれるかも知れない。もちろん、お世辞やおべんちゃらを言うだけの取り巻き
しかいない退屈な場から逃れたいという気持ちもあっただろう。しかし、クリエイ
ターという人種は誰でも「自分の作品」が第三者の目にどう映ったか、大いに関
心があるものだ。天才音楽家、堀井光も例外ではない。彼は、みずほからの感
想を待ちきれないといった面持ちで、尋ねるのだ。
光 「どうだった？？」
みずほ 「私、あなたが作曲家だって知らなかったから・・・。最初はただ、び
っくりしちゃって・・・。でも、素敵だった。」
光 「どういう風に？ どう素敵だった？？」
光は「普通の女の子」に過ぎないみずほから、音楽的見地から的確な批評が
聞けるとは思ってもいない。そんな話は聞き飽きているからだ。おそらく、素人
らしい生の感情がストレートに表現された「心地よい褒め言葉」を期待していた
のだと想像する。表現能力は稚拙でも、聴衆の生の声は彼の欲求を大いに満
足させるものだからだ。しかし、わくわくさせながら耳を傾ける光にとって、みず
ほの口から飛び出した感想は、彼の期待をはるかに超える内容だった。
みずほ 「空飛ぶ絨毯！」
光 「空飛ぶ、絨毯？？」
（明らかに、みずほの表現に意表を衝かれた光）
みずほ 「身体が軽くなってきて、風が吹いてきて、いつも重たい足でドタ
ドタ走っている世界を上から見下ろしているみたいだった・・・。」
ここからのみずほは、能弁である。高校時代、友人達と作ったアンサンブル
でフルートを吹いていた頃の思い出話を嬉しそうに、笑顔を輝かせて、一心に
語る。それを聴く光は、みずほの話に惹き込まれた。いつしか表情が消え、真
剣な眼差しで彼女の顔を見つめている。
みずほ 「・・・無理に明るくなろうと思わなくても、音楽って心を明るくし
てくれるのよね。こんなに素敵で、こんなに自由なものがある
ってことを、どうして今まで忘れていられたんだろうって思った。
・・・ごめんなさい。感想にも何にもなってない・・・。」
ここまで、光はただ黙って、みずほの話に集中している。「普通の女の子」
だと思っていたみずほが、「実は、王女だった」というくらいの衝撃を受けてい
るように見える。この時こそが、光がみずほに惹かれた瞬間に間違いない。
豊かな感受性と、魂の奥深くで音楽を捉える温かくて、優しい心。音楽に生き
る光にとって、自分の音楽をこれほどまで愛し、理解してくれる女性は何もの
にも換え難い、貴重な存在だ。
会話の後のダンスで、みずほのお父さんに電話し、「・・・明日にでも赤い
バラを持って、お嬢さんをお迎えに行きたいんですが・・・」というのは思わず
口をついて出た、本心だろう。
この時、光が何を感じていたのかは『２ｎｄ Ｓｔｅｐ』で明かされる。図書館を
出た後、公園のベンチで交わす二人の会話をみてみよう。みずほが結婚して
いると知って、ボーイフレンドでも恋人でもない「普通の男の友達」になりたい
と提案するシーンである。
光 「・・・この間、君と話していて、本当に真っ直ぐで豊かなものを持っ
ている人だなぁと思った。自分では気がついていないのかも知れ
ないけど・・・。仕事とか立場とかに関係なく、話し合える友達がい
たら素敵じゃないか。」
光の心には、みずほを特別の存在とする何かが芽生えた。それでは、みず
ほが光に惹かれたのはどの時点だろうか。別の項で考えてみたい。
（この項、終わり）
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コメント(10)
＜うーちぃさん＞
＞そうそうこのレストランでの会話が決め手だと
＞ワタシは思います
初めて出会った公園では、いたずらっ子のように奔放さと無邪気さを見せて
いた光ですが、みずほがコンサートの感想を語るところでは、完全に聞き手に
回っていましたね。普通の女の子の、心地よい褒め言葉が出てくるだろうとい
う光の予想は裏切られ、思わず、聞き入ってしまったのでしょう。彼の真摯な
表情、眼差し。実に良いシーンだと思います。
＞みずほが光に言った感想「空飛ぶ絨毯！」
＞これは光にとって今までにナイ感想で
＞みずほが楽しそうに語る学生時代の話
＞光にとっては新鮮だったんだろうなぁって
本当ですね。曲想を「空飛ぶ絨毯」としたみずほの表現力はよほど新鮮だっ
たのでしょう。彼が部屋一杯のバラを贈った時、カードの言葉（「いつか、空飛
ぶ絨毯に乗って迎えに行きます」）に光の感動が伺えます。
＞みずほが光に惹かれたとこ・・・
＞ワタシはココじゃないかって思うとこアルので
＞同じだったらいいなぁって思ってます。。。楽しみです
それは、お聞きするのが私も楽しみです！
＞そうそうこのレストランでの会話が決め手だと
＞ワタシは思います
初めて出会った公園では、いたずらっ子のように奔放さと無邪気さを見せて
いた光ですが、みずほがコンサートの感想を語るところでは、完全に聞き手に
回っていましたね。普通の女の子の、心地よい褒め言葉が出てくるだろうとい
う光の予想は裏切られ、思わず、聞き入ってしまったのでしょう。彼の真摯な
表情、眼差し。実に良いシーンだと思います。
＞みずほが光に言った感想「空飛ぶ絨毯！」
＞これは光にとって今までにナイ感想で
＞みずほが楽しそうに語る学生時代の話
＞光にとっては新鮮だったんだろうなぁって
本当ですね。曲想を「空飛ぶ絨毯」としたみずほの表現力はよほど新鮮だっ
たのでしょう。彼が部屋一杯のバラを贈った時、カードの言葉（「いつか、空飛
ぶ絨毯に乗って迎えに行きます」）に光の感動が伺えます。
＞みずほが光に惹かれたとこ・・・
＞ワタシはココじゃないかって思うとこアルので
＞同じだったらいいなぁって思ってます。。。楽しみです
それは、お聞きするのが私も楽しみです！
「空飛ぶ絨毯」この表現はピュアですよね〜。
感性が豊かなヒトなんだなぁ。って感じました。
この後のみずほさんの告白。
主婦であるコト、もう少し夢を見たいと望んだコト、
この告白で「素直な正直なヒト」だと感じましたです。
光さんがみずほさんの魅力に気付くには充分かなぁと思います。
が、
大量のお花を贈った時点では
まだ本気で「このヒトを奪う」という気持ちは固まってなかったように
みちるは思いましたです。
セレブな光さんにとっては大量なお花の贈り物も、
そう大層な意味は無いように思えて。
「大切にしたいピュアな友人」に対しての贈り物だったと勝手に解釈を。
なのでみちるは、
光さんがみずほさんに本気になったのは『２ｎｄ Ｓｔｅｐ』ではないかな。
と思っております♪
感性が豊かなヒトなんだなぁ。って感じました。
この後のみずほさんの告白。
主婦であるコト、もう少し夢を見たいと望んだコト、
この告白で「素直な正直なヒト」だと感じましたです。
光さんがみずほさんの魅力に気付くには充分かなぁと思います。
が、
大量のお花を贈った時点では
まだ本気で「このヒトを奪う」という気持ちは固まってなかったように
みちるは思いましたです。
セレブな光さんにとっては大量なお花の贈り物も、
そう大層な意味は無いように思えて。
「大切にしたいピュアな友人」に対しての贈り物だったと勝手に解釈を。
なのでみちるは、
光さんがみずほさんに本気になったのは『２ｎｄ Ｓｔｅｐ』ではないかな。
と思っております♪
＜みちるさん＞
＞「空飛ぶ絨毯」この表現はピュアですよね〜。
＞感性が豊かなヒトなんだなぁ。って感じました。
みちるさん、さっそくコメントありがとうございます！
コンサート会場で
『フライング』の演奏を聴くみずほの表情、すでに目がうるうるしていました
ね。苦しくツラい日常生活から解放された瞬間なんだなぁと思いました。そ
して、会員制レストランでの会話。普通の女の子の、普通の誉め言葉が出
てくるだろうと思っていた光が、「空飛ぶ絨毯」で意表を衝かれ、黙って、み
ずほの感想に聞き入ってしまう。彼がみずほに惹かれていく表情が、実に
良かったです。
＞この後のみずほさんの告白。
＞主婦であるコト、もう少し夢を見たいと望んだコト、
＞この告白で「素直な正直なヒト」だと感じましたです。
目のつけどころが良いですね〜。そう、みずほって、とにかく誠実というか
正直なんですよ。結果的に隠したり、ごまかしたりすることになってしまいま
すが、最初はとにかく、打ち明けようとする姿勢がありますから。物語の冒
頭、左手小指を怪我して結婚指輪をしていなかったこと、最初に用意した落
ち着いたスーツを猫におしっこされて、着替えたのが「可愛くて、若く見える
ワンピース」だったからこそ、光はみずほを独身と勘違いする条件なんです
よね。
あのレストランで出てきたワイン、実は、亮子が買ってきて泰之がみずほに
渡したワインと同じなんですが、わかりました？ あの時、みずほは我に返っ
て、自分が結婚指輪をしていないことに気がつき、つい、腕時計を見てしまう。
光が門限の話や、厳しいお父さんの話を持ち出し、ダンスしながらお父さんに
電話をかけて、「・・・明日お嬢さんをお迎えに言って良いですか？」と尋ねるシ
ーン、苗字を聞かれ、「・・・香山です」と答えるみずほはかわいそうでした。
＞光さんがみずほさんの魅力に気付くには充分かなぁと思います。
ダンスの時、光にとってみずほが特別な存在になっていたのは間違いない
のではないかな、と私は思いました。あの電話は、彼の素直な気持ちでしょう。
＞が、
＞大量のお花を贈った時点では
＞まだ本気で「このヒトを奪う」という気持ちは固まってなかったように
＞みちるは思いましたです。
はい、「大切なお友達」だったのでしょうね。
＞セレブな光さんにとっては大量なお花の贈り物も、
＞そう大層な意味は無いように思えて。
＞「大切にしたいピュアな友人」に対しての贈り物だったと勝手に解釈を。
ここは重要なところですね〜。私も部屋を埋め尽くす大量の薔薇は、彼の財
力の大きさと同時に、彼が一般常識の外にいる「おとぎ話の王子様」なんだな
ぁという印象を強くしました。すごく嬉しいでしょうけど、あれだけたくさん送って
来られると、普通は家族が「なんだか、おかしい」と思うはずです。あの鋭い亮
子がよく不審に思わず、また、「なんて無駄遣い！」と叱らずに済ませましたよ
ね。後半の展開からすれば、ちょっとした奇跡の部類かも知れません。
＞なのでみちるは、
＞光さんがみずほさんに本気になったのは『２ｎｄ Ｓｔｅｐ』ではないかな。
＞と思っております♪
幼稚園のオルガンで「Heaven's Song」を光が弾いた時ですね。みずほの、あ
の涙を見て、理性で自分を抑制できる男性は滅多にいないと思います。光の中
で、「お友達」という理想像はがらがらと音をたてて、崩れて行ったはずです。
光は「2nd Step」のラストシーンでは、完全にみずほが「かけがいのない存在」に
なっていました。
私もそう思います。
＞「空飛ぶ絨毯」この表現はピュアですよね〜。
＞感性が豊かなヒトなんだなぁ。って感じました。
みちるさん、さっそくコメントありがとうございます！
コンサート会場で
『フライング』の演奏を聴くみずほの表情、すでに目がうるうるしていました
ね。苦しくツラい日常生活から解放された瞬間なんだなぁと思いました。そ
して、会員制レストランでの会話。普通の女の子の、普通の誉め言葉が出
てくるだろうと思っていた光が、「空飛ぶ絨毯」で意表を衝かれ、黙って、み
ずほの感想に聞き入ってしまう。彼がみずほに惹かれていく表情が、実に
良かったです。
＞この後のみずほさんの告白。
＞主婦であるコト、もう少し夢を見たいと望んだコト、
＞この告白で「素直な正直なヒト」だと感じましたです。
目のつけどころが良いですね〜。そう、みずほって、とにかく誠実というか
正直なんですよ。結果的に隠したり、ごまかしたりすることになってしまいま
すが、最初はとにかく、打ち明けようとする姿勢がありますから。物語の冒
頭、左手小指を怪我して結婚指輪をしていなかったこと、最初に用意した落
ち着いたスーツを猫におしっこされて、着替えたのが「可愛くて、若く見える
ワンピース」だったからこそ、光はみずほを独身と勘違いする条件なんです
よね。
あのレストランで出てきたワイン、実は、亮子が買ってきて泰之がみずほに
渡したワインと同じなんですが、わかりました？ あの時、みずほは我に返っ
て、自分が結婚指輪をしていないことに気がつき、つい、腕時計を見てしまう。
光が門限の話や、厳しいお父さんの話を持ち出し、ダンスしながらお父さんに
電話をかけて、「・・・明日お嬢さんをお迎えに言って良いですか？」と尋ねるシ
ーン、苗字を聞かれ、「・・・香山です」と答えるみずほはかわいそうでした。
＞光さんがみずほさんの魅力に気付くには充分かなぁと思います。
ダンスの時、光にとってみずほが特別な存在になっていたのは間違いない
のではないかな、と私は思いました。あの電話は、彼の素直な気持ちでしょう。
＞が、
＞大量のお花を贈った時点では
＞まだ本気で「このヒトを奪う」という気持ちは固まってなかったように
＞みちるは思いましたです。
はい、「大切なお友達」だったのでしょうね。
＞セレブな光さんにとっては大量なお花の贈り物も、
＞そう大層な意味は無いように思えて。
＞「大切にしたいピュアな友人」に対しての贈り物だったと勝手に解釈を。
ここは重要なところですね〜。私も部屋を埋め尽くす大量の薔薇は、彼の財
力の大きさと同時に、彼が一般常識の外にいる「おとぎ話の王子様」なんだな
ぁという印象を強くしました。すごく嬉しいでしょうけど、あれだけたくさん送って
来られると、普通は家族が「なんだか、おかしい」と思うはずです。あの鋭い亮
子がよく不審に思わず、また、「なんて無駄遣い！」と叱らずに済ませましたよ
ね。後半の展開からすれば、ちょっとした奇跡の部類かも知れません。
＞なのでみちるは、
＞光さんがみずほさんに本気になったのは『２ｎｄ Ｓｔｅｐ』ではないかな。
＞と思っております♪
幼稚園のオルガンで「Heaven's Song」を光が弾いた時ですね。みずほの、あ
の涙を見て、理性で自分を抑制できる男性は滅多にいないと思います。光の中
で、「お友達」という理想像はがらがらと音をたてて、崩れて行ったはずです。
光は「2nd Step」のラストシーンでは、完全にみずほが「かけがいのない存在」に
なっていました。
私もそう思います。
＜kapoさん＞
＞私も、ドラマを通して「どこにそんなに惹かれたのかな」はずっと気になってま
＞した。
精力的なコメントアップ、ありがとうございます！kapoさんも、光が
「ごく普通の主婦」であるみずほのどこに惹かれたのか、気になっておら
れたんですね〜。
＞公園でのエピソード自体がまず弱いと思うんですが、コンサートの後食事に
＞誘うってことは、もう公園の時点でかなりグっと来てたんだと思うんですよ。て
＞ことは、顔や雰囲気がものすごく好みだったんじゃないかな。としか思えない
＞んです。
光が公園でみずほに出逢った時、みずほの容姿が好みだったかどうか
は正直なところ、わかりません。
でも、彼はチロを返した後も、ペットシ
ョップでピースケを買った後も黙って去って行きますから、自分からみず
ほと友達になろうという気持ちは皆無だったと思います。容姿だけで気に
入っていたとしても、初対面の相手をいきなりお茶にも誘わない、いたって
常識的な大人の態度ですね。みずほが後を追って来て、どうしてもお金を
返したいと懇願したからこそ、コンサートのチケットを手渡しました。その時
点では、光はみずほが「来ても来なくても構わない」と思っていたのは確実
です。連絡先はおろか、みずほの名前すら尋ねていませんからね。光にと
って、みずほに対する関心はその程度だったとわかります。
コンサートの後、みずほを食事に誘ったのは、来てくれたのが意外だった
し、嬉しかったこともあるのでしょうが、光自身が語っているように、みずほ
を口実にしてうるさい取り巻き達から逃れたかったからだと私は思います。
食事中の会話でも、それまで通り、光が会話の主導権を握って、楽しそうに
あれこれ語っていましたが、みずほが光の音楽の感想を語り始めてからは、
主従逆転しています。この時の光の表情には、みずほが豊かな感性を持っ
ていたことに対する驚きが見て取れますが、いかがでしょうか？
＞私も、ドラマを通して「どこにそんなに惹かれたのかな」はずっと気になってま
＞した。
精力的なコメントアップ、ありがとうございます！
kapoさんも、光が
「ごく普通の主婦」であるみずほのどこに惹かれたのか、気になっておら
れたんですね〜。
＞公園でのエピソード自体がまず弱いと思うんですが、コンサートの後食事に
＞誘うってことは、もう公園の時点でかなりグっと来てたんだと思うんですよ。て
＞ことは、顔や雰囲気がものすごく好みだったんじゃないかな。としか思えない
＞んです。
光が公園でみずほに出逢った時、みずほの容姿が好みだったかどうか
は正直なところ、わかりません。
でも、彼はチロを返した後も、ペットシ
ョップでピースケを買った後も黙って去って行きますから、自分からみず
ほと友達になろうという気持ちは皆無だったと思います。容姿だけで気に
入っていたとしても、初対面の相手をいきなりお茶にも誘わない、いたって
常識的な大人の態度ですね。みずほが後を追って来て、どうしてもお金を
返したいと懇願したからこそ、コンサートのチケットを手渡しました。その時
点では、光はみずほが「来ても来なくても構わない」と思っていたのは確実
です。連絡先はおろか、みずほの名前すら尋ねていませんからね。光にと
って、みずほに対する関心はその程度だったとわかります。
コンサートの後、みずほを食事に誘ったのは、来てくれたのが意外だった
し、嬉しかったこともあるのでしょうが、光自身が語っているように、みずほ
を口実にしてうるさい取り巻き達から逃れたかったからだと私は思います。
食事中の会話でも、それまで通り、光が会話の主導権を握って、楽しそうに
あれこれ語っていましたが、みずほが光の音楽の感想を語り始めてからは、
主従逆転しています。この時の光の表情には、みずほが豊かな感性を持っ
ていたことに対する驚きが見て取れますが、いかがでしょうか？
＜kapoさん＞
長くなったので、切りました。続きです。
＞その後あの大量なバラをミセスにプレゼントをするってことは、勝負に出てま
＞すよね。会話で感動したぐらいじゃあれだけの勝負はしないような…。
大量のバラを贈ったのは、みずほが結婚していることを知った後ですから、
もし、光が結婚しているみずほに対して「勝負に出ている」とすれば、この物
語はかなり違ったテーマになって来ると思います。実際は、光が自ら明かし
ているように、「男と女の間でも普通に友達になれる」ことを実践しただけでし
ょう。あのバラの山は、セレブである光が桁違いに裕福で、いささか一般常
識に欠けていることを表現すると同時に、みずほという得難い感性の持ち主
と出会えたことに対する「喜びの大きさ」を物語っていると考えます。
＞どうしても「ルックスがものすごく好み」になっちゃうんですが。もしかして当た
＞り前の大前提でしたか？
光がみずほに惹かれたのが「ルックス」だというご指摘は、実はkapoさんが
初めてです。でも、もし、光がみずほに惹かれたのが容姿だとすると、光とみ
ずほの共通性が語られる部分とうまく合致しないと思います。彼らは共に孤
独であって、心から理解しあえる友達を求めていたという点で似たもの同士で
したから（絵本『セロ弾きのゴーシュ』のエピソード）。光がみずほに惹かれた
のは「ルックス」ではなく、あくまで彼女の「感性」だと私は解釈しています。
長くなったので、切りました。続きです。
＞その後あの大量なバラをミセスにプレゼントをするってことは、勝負に出てま
＞すよね。会話で感動したぐらいじゃあれだけの勝負はしないような…。
大量のバラを贈ったのは、みずほが結婚していることを知った後ですから、
もし、光が結婚しているみずほに対して「勝負に出ている」とすれば、この物
語はかなり違ったテーマになって来ると思います。実際は、光が自ら明かし
ているように、「男と女の間でも普通に友達になれる」ことを実践しただけでし
ょう。あのバラの山は、セレブである光が桁違いに裕福で、いささか一般常
識に欠けていることを表現すると同時に、みずほという得難い感性の持ち主
と出会えたことに対する「喜びの大きさ」を物語っていると考えます。
＞どうしても「ルックスがものすごく好み」になっちゃうんですが。もしかして当た
＞り前の大前提でしたか？
光がみずほに惹かれたのが「ルックス」だというご指摘は、実はkapoさんが
初めてです。でも、もし、光がみずほに惹かれたのが容姿だとすると、光とみ
ずほの共通性が語られる部分とうまく合致しないと思います。彼らは共に孤
独であって、心から理解しあえる友達を求めていたという点で似たもの同士で
したから（絵本『セロ弾きのゴーシュ』のエピソード）。光がみずほに惹かれた
のは「ルックス」ではなく、あくまで彼女の「感性」だと私は解釈しています。
＜kapoさん＞
＞瑞穂の感想はそんなたいしたものには思わなかったけど、実際音楽の感想をあ
＞そこまで述べる人間もなかなかいませんね。それが自分の制作の狙いと一致し
＞てたら芸術家は嬉しいですもんね。
正に「そこ」がピンポイントだったんでしょうね。光にとって、他のファン達
のように素敵だったとか、感動したとか「ありきたり」の言葉で表現しなかっ
たみずほは驚きだったし、自分が思いもしなかった「空飛ぶ絨毯」にはまい
ったと思います。おっしゃる通り、モノを作る人間が一番喜ぶのは、自分の
作品を的確に、豊かに評価してくれる理解者の言葉であり、それが次の制
作の刺激にもなるのでしょう。
＞瑞穂の感想はそんなたいしたものには思わなかったけど、実際音楽の感想をあ
＞そこまで述べる人間もなかなかいませんね。それが自分の制作の狙いと一致し
＞てたら芸術家は嬉しいですもんね。
正に「そこ」がピンポイントだったんでしょうね。光にとって、他のファン達
のように素敵だったとか、感動したとか「ありきたり」の言葉で表現しなかっ
たみずほは驚きだったし、自分が思いもしなかった「空飛ぶ絨毯」にはまい
ったと思います。おっしゃる通り、モノを作る人間が一番喜ぶのは、自分の
作品を的確に、豊かに評価してくれる理解者の言葉であり、それが次の制
作の刺激にもなるのでしょう。
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