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ゴルフの歴史コミュのゴルフ殿堂25 ジョイス・ウェザーレッド

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 生涯戦績38勝2敗。

 いや、ボクシングの話ではない。ゴルフトーナメントの戦績である。ちょっとこれは、俄かには信じ難い成績であるといえよう。

 何しろゴルフは、一対一の勝負ではなく大人数によって争われる競技だ。それにゴルフというのは運不運に大きく状況が左右されるゲームである。そのゴルフ競技で、40戦して二回しか負けていない。これはつまり、彼女の実力が他のゴルファーに比べて圧倒的に冠絶していたことを意味する。

 ジョイス・ウェザーレッドは恐るべきゴルファーだった。彼女はけしてロングヒッターではなく、超絶技巧を誇った訳でも、奇跡のパットを持っていた訳でもなかった。ボビー・ジョーンズは彼女と対戦して、彼女を「男女問わず、こんなにはっきり自分よりも優れていると感じさせる人とプレーしたことが無い」と絶賛しているが、そのコメントで「彼女がミスをするなど思いもよらぬことだった」と言っている。ウェザーレッドのゴルフはそういうゴルフだったのである。

 ウェザーレッドは1901年にイングランドに生まれたが、彼女の父はスコットランドのロイヤル・ドーノック・ゴルフリンクスの傍に別荘を持っていて、そこで子供のころからゴルフを仕込まれた。彼女の父は後に「パーフェクト・ゴルファー」という本を書き、コース設計もしたという程のゴルフ通だった。彼女と彼女の兄ロジャーはこの父からゴルフの英才教育を施された。

 最初は1mのパットから始め、それが100%入るようになると少しずつ距離を伸ばしてゆくという、一般的な覚え方と逆パターンで彼女たちはゴルフを覚えた。この方法でゴルフを覚えると、常にカップを強く意識する事が出来るようになると思う。

 長じて、トップアマチュアに育ったロジャーの仲間(男性)と競って腕を磨いたウェザーレッドであったが、競技にはあまり興味が無かったらしい。それが、周囲の勧めで半ば無理やり競技へと送り出されてしまった。1920年。19歳の時である。

 そのデビューはあまりにも鮮烈であった。イングランド選手権に出場し、あれよあれよとばかりに勝ち進んだウェザーレッドは、決勝で当時最強の女子ゴルファーであったセシル・リーチと対戦する。
 リーチは、この時全英女子アマチュアに四連勝中。その他の試合でも五位以下に落ちたことが無いという驚異的な戦績を誇り、男性のトップアマであるハロルド・ヒルトン(全英オープン二勝、全英アマチュア四勝)を向こうに回し、ハンディを9をもらった(二日間72ホールのマッチ)とはいえ勝ってしまったほどの女傑だった。
 ウェザーレッドは前半の18ホールが終わった時には4ダウン。しかも後半最初の2ホールをとられて6ダウンの状況になってしまった。ところがここから凄まじい逆襲が始まる。3連続バーディを含む大攻勢で一気に取り返すと、残り4ホールで遂に逆転。2アンド1で勝ってしまったのである。本人が「ゴルフ始まって以来の椿事」と言ったほどの、驚きの勝利であった。

 リーチにはこの翌年、全英女子アマチュア選手権で敗れているが、その翌年に9アンド7の大差でリベンジを果たし、24年にも勝って対戦成績を勝ち越している。結局彼女はリーチ以外には、23年の全英アマチュアでアラン・マクベス夫人に不覚を喫した以外は負けを知らない。イングランド選手権では5連勝。全英女子アマチュア選手権は22、24,25、29年に優勝。23年には18Hマッチプレーの完全試合というべき10アンド8のスコアを4回記録したという。

 ウェザーレッドを語る時必ず引き合いに出されるのがリーチと最初に対決したイングランド選手権での出来事である。そのホールはすぐ横に線路が通っていた。終盤、3mのバーディパットの構えに入ったウェザーレッド。そのヘッドがまさに動き出そうとしたその時、轟音をたてて急行列車が通り掛ったのである。誰もが、彼女が仕切り直すだろうと思った。ところが、ウェザーレッドは地響きが鳴り響く中、構わずストロークし、そのパットを沈めたのである。試合後、インタビューで記者がその事に触れると、ウェザーレッドは驚いたように言った。
「いつ列車が通ったんですって?」

 尋常ならざる集中力。それがウェザーレッドの強さの秘密であった。スイングに入る一瞬、空気が凍るような集中力に誰もが金縛りになったという。ボビー・ジョーンズが言った「ミスするなど思いもよらない」というのは、その気迫からくる印象だったのであろう。この集中力が終盤、奇跡的とも言える粘り腰を生んだ。

 しかし、気迫と精神力がプレーを支えるプレーヤーは、試合毎の消耗が激しい。特に圧倒的強さを誇るプレーヤーはモチベーションの持続が難しくもなる。ジョイスもそうだった。彼女は1925年の全英女子アマチュアを制覇したところで、大選手権からの引退を宣言する。

 ところが、4年後の1929年。ウェザーレッドの元にある手紙が届く。アメリカで当時無敵を誇っていた女子選手グレンナ・バレーからだった。
「私はあなたと戦いたい。セントアンドリュースで開催される全英アマチュア選手権に出てください。お願いします」

 バレーとウェザーレッドはそれまでに一度対戦していた。1925年のことだった。アメリカの新女王として自信満々でイギリスに乗り込んだバレー。しかし「最高のゴルフをした」と本人も認めるバレーを、ウェザーレッドがそれを上回るゴルフで打ち負かしたのである。その試合でウェザーレッドが引退してしまったせいでその後、二人が対戦することは無かった。バレーにとって、全英アマチュア選手権でウェザーレッドを打ち負かし、世界女王の座に着くことは悲願だったのである。

 挑戦に応じたウェザーレッドは練習を積み、セントアンドリュースに乗り込んだ。二人は順調に勝ち進み、なんとこれ以上無いことに、決勝戦で対戦することになったのである。あまりにも劇的な世界女王決定戦。セントアンドリュースは興奮の坩堝と化し、市民は子供に至るまでオールドコースへと走った。街中は完全にもぬけの殻になったという。こんなことは流石のゴルフ発祥の地でも初めてのことであった。

 試合はバレー有利で始まった。飛距離に勝るバレーは気迫に満ちたプレーでパットを次々決め、最初の9ホールを34で回り、5アップとした。
 しかし、ウェザーレッドは冷静沈着なプレーで盛り返し、18ホール終了時点で2ダウンまで盛り返す。後半に入りエンジンに火が入ったウェザーレッドは驚異的なプレーを続け一気に逆転。アウト終了時点で4アップと逆に大リードを奪った。
 バレーも良く粘り、15番までに2ダウンまで盛り返した。しかし15番でウェザーレッドが難しいパットを決めてバレーの勢いを食い止め、17番でロングパットを放り込んで突き放した。
 結局3アンド1でウェザーレッドが勝ったのだった。ウェザーレッドは結局、バレーに一度も負けることは無かった。

 ウェザーレッドはこの試合で実質引退し、後は英仏対抗や英米対抗に選ばれたり、小さな試合に出るくらいだった。面白いエピソードとしては1938年、観戦に訪れたミックスダブルスの試合で、パートナーが来られなくなった青年のために助っ人を買って出たという話がある。もちろん、この試合にも優勝している。1935年にはアメリカにエキシビション・ツアーに行ったが本人曰く「アメリカ旅行に行きたかったのだが、他に方法が無かった」のだという。大恐慌で経済的に苦しくなっていたかららしい。この時ウェザーレッドはかのベーブ・ザハリアスと対戦して、苦も無く破ったという。

 かなり長身の女性で、スイングを見る限りでは無理して飛距離を求めていないことから考えても、ステディなゴルフをしていたと考えられる。本人も「いかなる時でも相手を意識せず、自分の正しいフォームを生み出すことに集中する」と語っていた。これはジョーンズのオールドマンパーの思想に似たところがあると思う。しかしながらそれだけではその異常な強さは説明出来ない。

 1937年、アメリカを訪れたウェザーレッドはボビー・ジョーンズとエキシビションマッチを行っている。史上最高の男女アマチュアの対戦である。脊髄の病気が発覚していたジョーンズの誘いに、ウェザーレッドは真剣に応えようと決意する。マッチは大熱戦となり、勝負は最終ホールまでもつれ込んだ。ジョーンズ1アップの状態でパー3。ウェザーレッドは1オン。ジョーンズは2オン。最初に打ったウェザーレッドのバーディパットは惜しくも外れ、観衆が息を呑む中で打たれたジョーンズの5mのパット。これが見事に決まってジョーンズが辛勝した。

 ジョーンズを筆頭に、彼女こそ史上最高のゴルファーであったと評価する人は多い。

コメント(5)

凄い人ですねあせあせ(飛び散る汗)

スイングを見る限りでは・・・って事は、スイング見た事があるんですかexclamation & question
動画で持ってるとか目がハート

でも、1m〜練習したパットの動画の方を見てみたいっすハート達(複数ハート)
 ターヘーさん>

 多分、史上最強の女子ゴルファーだったでしょう。偉大さを伝えた過ぎて、長くなり過ぎました(笑)。

 写真がこの間、雑誌に出てたんですよ。動画は、見たことが無いんです。女性ゴルファーはどうしても映像資料が少ない・・・。
 ちなみに、これがスイング写真。

 小さいよう。でも、ウェザーレッドのスイング写真は手元にこれしか無いんですよ。超貴重。動画持ってる人いたら、youtubeにUP希望!写真でも可!
ほほう電球

確かに超貴重ですねぴかぴか(新しい)

脇に何か挟んでテークバックしてるみたいですねウッシッシ

トップからの下半身の動きが力強いっすねハート達(複数ハート)

なにより、足の長さが気になりますボケーっとした顔
 ターヘーさん>

 体を締めて、小さく身体を回すスイングですよね。方向性は凄く良かったと思います。

 175cm以上の身長だったようです。

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