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アンチ・ファンタシーコミュの2013 アニメ芸術論

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【テーマ】 平行世界を題材にしたアニメーションを考察し、パラレ
ル・ワールドの発想を導くことになった量子力学に関する科学的知見
と哲学と科学の双方に影響を与えた背景知識について検証していく
【授業概要】アニメ作品『ノエイン もうひとりの君へ』を鑑賞しな
がら作品世界の設定要素を構築している量子論理的述語とこれを飛
躍させた仮構的設定概念を抽出していき、これらに影響を与えた科
学的/思想的発想と関連する様々な周辺的な知識を再検証しながら、
宇宙論と存在・現象解釈の根幹をなすと思われる基本発想に対する
理解を深め、個人存在の同一性解釈に対する再検証を行っていく
【到達目標】パラレル・ワールドという創作上の題材が生み出される
こととなった原因となる量子論理の存在解釈と、これに関連する科
学的な述語に対する理解を深め、哲学や思想との関連を理解する。
【授業計画】
1 回 第 1 話「アオイユキ」、第 2 話「イエデ」
家出の約束、“龍のトルク”、黒マントの幽霊 “俺はお前だ”
2 回 第 3 話「オワレテ・・・」、第 4 話「トモダチ」
“時空”、異時空の接近、初めて見る波形、お前は俺だから
3 回 第 5 話「ソレカラ・・・」、第 6 話「ナミダノジクウ」
Ouija board と Noein、観測者達、ホイーラーの泡、時空の無限分岐
4 回 第 7 話「タイセツナヒト」、第 8 話「カクシゴト」
存在記述、トンネル効果、デコヒーレンス、ゲシュタルト崩壊
5 回 第 9 話「トキヲコエテ」、第 10 話「アラシノヨル」
ゆらぎと慣性、平行世界と人格同一性、量子共鳴とポテンシャル
6 回 第 11 話「スレチガイ」、第 12 話「タタカイ」
量子テレポーテーションとベルの定理、神は骰子を振らない
7 回 第 13 話「ネガイ」、第 14 話「キオク」
情報存在とその物理的再生、記述と描画と現象の生成
8 回 第 15 話「シャングリラ」、第 16 話「クリカエシ」
重ね合わせとコヒーレンス、因果律の侵犯、過去の改変
9 回 第 17 話「マヨイ」、第 18 話「ワルイユメ」
Zero Point とアカシャフィールド、虚数空間と虚数時間
10 回 第 19 話「オモイデ」、第 20 話「モウイチド・・・」
絶対臨界、逆算固定、量子コンピュータ、ノイマン型
11 回 第 21 話「マボロシ」、第 22 話「ミライへ・・・」
並列時空、時空の相互リンク、データ存在と記述、存在の確定
12 回 第 23 話「オワリ」、第 24 話「ハジマリ」
時空の集束、粒子加速器、絶対観測者、無限の選択肢、カオス
13 回 平行世界と量子理論を扱った他のアニメ作品
『エウレカセブン』、『とある科学の超電磁砲』、『シムーン』等
14 回 平行世界を扱った他のゲーム作品
『世界の果てで恋を唄う少女 YU-NO』、『マブラヴ』等
15 回 レポート課題の提示と質疑応答
レポートの題目と主題設定について相談をする
【教科書名】『ノエイン もうひとりの君へ』
【参考図書】黒田誠『存在・現象・人格̶アニメとゲームとフィギュ
アにおける人格同一性』(牧歌舎)
【評価方法】レポート。manaba folio を用いて提出を行うものとする。
【履修について】コンピュータの基本操作を理解しておくこと。
【事前・事後学習等】ネット上の Fantasy as Antifantasy、Fantasy as
Antifantasy Daily Lecture を随時参照して参考資料を確認する
【備考】manaba folio のコミュニティ「2013アニメ芸術論」を活
用して参考資料の提示及び質疑応答を行う。

コメント(20)

もう一人の自分と出会う

第一印象は極めて悪そうでした。

Fate/stay night でも主人公士郎が自分自身の英霊となった姿であるアーチャーと出会った時、お互いに大きな反感と敵意を感じていました。ノエインの後藤ユウとカラスの場合と、フェイトの士郎とアーチャーの場合について、共通点と相違点を考えてみると面白いでしょう。


「影」の主題

実は「ドッペル・ゲンガー」なんかもこれですね。
アシュラ・ル・グインの「影との戦い」も、この主題が根底にありました。
「ペルソナ」などもこの現象の一例でしょう。

以下は黒田が書いた論文の一部です。

 例えばマクドナルドの処女作Phantastes : A Faerie Romance for Men and Women (1858)においては、妖精と妖精界はそれぞれ人間と客観的実在世界の影として存在する対照的な概念として捉えられていた。昼と夜が交代するがごとく夢と現実が交代して顕現し、その住民たる人間界と妖精界が互いを補い合ってより緊密で堅固な真の実在世界を形成している、という構図で人間の霊性の秘密と世界構築原理の神秘を記述することが、ファンタシー文学の思想的特質を最も顕著に表していると思われるこの作品の企図したところであった。典型的なドイツ・ロマン派の作家ホフマン(E. T. A. Hoffman)の「ブラムビルラ王女」(“Prinzessin Brambilla”, 1821)に描かれた夢幻界と現実界の一見不可解な二重構造と奇妙な連続性に照らし合わせてみれば、マクドナルドの本作品における創作戦略はたやすく理解できるだろう。これに従えば世界の機軸があたかも陰と陽の原理にも似た対称性から成り立ち、玄妙な相補性という関連のもとに妖精と人間がそれぞれ互いの影あるいは実体として機能していることになる。実体たる人間にとっては自分自身の中に潜む未知なる領域が影であり、さらに自分自身を除いた世界の全ての領域が影でもありうる。つまり全ての部分が全体を補完するために欠かせない要素であり、無数に存在する全ての部分の補完物として一つの全体がある。絶えざる断片化の果てに崩壊しつつある近代西洋的自我の存在原理を保障すべき、統合的な説得力を備えた超宗教的方位磁針が、このように全体性を支える影の原理の再評価として切実に模索されていたのであった。自分自身の一部をなしていながら、本体と分離した途端、人間界も自然界も含めて世界の全ての秘密を知り、森羅万象をわが物のように操る魔術的能力を発揮する不可解な影は、アンデルセンの短編「影」(“Shadow”)やワイルドの童話「漁師とその魂」(“The Fisherman and his Soul”)において描かれている影の場合にとどまらず、19世紀において様々な国において書かれた分身を題材にする物語群と等質の主題を共有していたものであり、同時にそれは魔法という知のシステムとしての概念の暗示する世界解式的原理機構とも密接に重なり合うものであった。意義有るものとして存在するかけがえの無い宇宙と、その中で確固たる守備領域を任じられている筈の唯一の自我を包括すべき普遍的原理を示す具象的存在物として、人の影たる妖精があったのである。

論文の全体は以下のリンクから
Heartless Children and Pan-religion
「用語辞典」を作ってみる

 基本設定のしっかり出来た作品を理解するには、導入された様々の用語の一覧表を作成するのが効果的です。『ノエイン』の場合なら「量子力学関連」、「古典力学関連」、「フィクション的な造語」等のように分類項目を工夫すると把握は確かになるとでしょう。備考として、いかなる場面でどの人物によって語られたかをメモしていくと全体像が見えてきます。「意味不明」や「理解不能」の要素がどのように活用されているかが、フィクション世界創造者のセンスを計る鍵となります。
「絶対臨界」とFate/stay night

「固有結界」という概念と比較してみる

 英霊存在を周辺から定義づけることになるであろう補足情報を、このゲーム作品はさらにいくつか用意している。アーチャーによれば英霊は本質的に概念存在であり、その実質は“固有結界”と呼ばれる一種の場の概念とも隣接するものであるらしい。

 ――――固有結界。魔術師にとって到達点の一つとされる魔術で、魔法に
 限りなく近い魔術、と言われている。ここ数百年、“結界”は魔術師を守る防御
 陣と相場が決まっている。簡単に言ってしまえば、家に付いている防犯装置
 が極悪になったモノだ。もとからある土地・建物に手を加え、外敵から自ら
 を守るのが結界。それはあくまで“すでにあるもの”に手を加えるだけの変化
 にすぎない。だが、この固有結界というモノは違う。固有結界は、現実を浸
 食するイメージである。魔術師の心象世界――心のあり方そのものを形とし
 て、現実を塗りつぶす結界を固有結界と呼ぶ。

 魔術師やサーヴァントが保持する空間を操作する魔術的な能力の成果である“固有結界”についての凛の言葉の、“現実を浸食するイメージである”という部分から、英霊自身の持つ霊体としての存在特性と等質の形而上的存在論仮説に基づいた“場”の理論が想定されていることが理解できる。それは敵対的な攻撃に対して防壁を施す、単なる“バリヤー”のような物理的機能とは明らかに異なるものである。ニュートン物理学的3次元空間とは位相を違える、意識との連続体として定義可能な拡張次元空間が、魔術で用いられるという“固有結界” なのであろう。これは重力定数やシュヴァルツシルツ半径等の規定値によって出現が確定するブラックホール等の物理的な事象地平現象とはまた異なる、時空と精神の統合体が時に発現し得る想念の一種の概念的相転移を暗示する発想と思われるものである。あるいはまたこの造語は、科学の世界でも実験の結果として確証されている、物理現象の生成に関与する意識体による“観測効果”の事例を反映した含蓄ある概念として理解することもできるだろう。
 宇宙に現出する客観的物理現象とされるものの生成における欠かせない要因として、知性を備えた意識存在の関与が仮定されねばならないことは、既にアニメやゲームの世界では周知の事実になっている。原形質次元での量子存在の振る舞いの“不確定性”という特質は、全ての可能な運動経路を素粒子である電子の軌跡として仮想的に記述する手法として、ファインマンの“歴史総和法”の創出を導くことになった。さらにその重ね合わせ可能な多義性を理解するために、エヴェレットは無数の平行世界に分岐する宇宙像として、“多世界解釈”の発想を唱えることとなった。観測効果が及ぼされて波束の収束を得る以前の量子的“原存在”は、相反する無数の可能性が互いを打ち消し合っている“コヒーレンス”の状態にあるとされる。“シュレーディンガーの猫”の名で知られている逸話が、この観測者による干渉と事象発現のメカニズムの原理を語る著名な例である。多義性の原形質“存在”を“現実”の事象として確定させるのは、高等な知性を備えた意識の干渉という観測効果による可能性の一部の抽出としてもたらされる“デコヒーレンス”である。意識の主体が観測行為あるいはその意思の影響の結果及ぼす現象世界の具現化という発想は、既に多くのエロゲーやアニメ作品において様々の優れた仮構的反映が試みられているものなのである。[i]“魔術師の心象世界――心のあり方そのものを形として、現実を塗りつぶす結界”という表現が、個人存在の意識が現実世界の具現化に作用する根本原理をさらに踏み込んで導入した、『Fate/stay night』の選んだ文学的記述である。オッカムのウィリアムに代表される直裁な一意的論理至上主義の影響の許に、20世紀に至るまで唯名論的世界観が支配していたモダニズム的思想状況の後を受けて、これに対立する意識内部と外部実在の相当性を容認する実念論的発想の復権がポストモダン以降の特質として強く認められるのが、現在のエロゲー界の趨勢のようである。[ii]

Identity of Summoned Heroes: Aspects of Psyche and Phases of Persona in Fate/stay night

[i] アニメ化とマンガ化の双方がなされている賀東招二のSFノベル『フルメタル・パニック』(富士見ファンタジア文庫、1998―2010)では、操縦者の意思を“物理的な力”として現実化する機能である“ラムダ機関”を備えた搭乗型兵器アーム・スレイブ(AS: armored mobile master-slave system)が出現する。この戦闘用の対話型コンピュータ・システムが搭載している秘密兵器のラムダ機関は、人間の精神機能と意識外部の物理現象を仲介するためのインターフェイスとして考案された装置なのである。
 アニメ『ノエイン』(赤根和樹、2005)では作品世界設定に関与する重要概念としてコヒーレンスとデコヒーレンスという宇宙論の根幹に影響を与える量子力学的述語が導入されると共に、平行世界間の干渉により“もう一人の自分”との遭遇を果たすという、自己同一性概念拡張の主題が主軸として導入されている。
 アニメ『Chaos Head』(2008、原作はニトロプラスの同名のゲーム作品)では、主人公であるヴァーチャル人格の保有する妄想を具現化させる能力として、思念の現実化の問題が中心主題として採用されている。
 劇場版アニメ『交響詩篇エウレカセブン』(ボンズ、2009)では、神話と夢が個人の意識内で連続的に交錯してこれらを実体化させることが可能な観測効果の応用技術が導入され、現実世界と仮構世界を包含する統合的次元の存在が示唆されている。
[ii] アニメ『ゼーガペイン』(サンライズ、2006)では、外敵による侵略を受けたコミュニティにおいて個人存在のそれぞれと彼等の生きる環境の全てをコンピュータ記憶媒体に変換保存して隠蔽することにより、世界の壊滅的危機を回避する様が描かれている。現象存在と情報存在の相互変換の可能性が描かれているこの作品の示唆するものは、個人存在の意識が仮構(ヴァーチャル情報)世界と現象世界を通貫して“存在”し得る意識・概念連続体という拡張場の仮説である。
 アニメ『シムーン』(スタジオディーン、2006)では、“神の乗機”と呼ばれ敬虔な頌歌を奏でる舞踊のために用いられる装置は、時・空のそれぞれを核とする複合体からなる“テンプス・スパティウム”と名付けられた飛行機械である。巫女達がこれに搭乗して捧げる“リ・マージョン”と呼ばれる詠唱/舞踊行為は、神に捧げる敦実な祈りであると共に、支配者の圧政を補助するために用いられる殺戮兵器としての効果をもたらす一つのテクノロジーでもあるとされている。
 アニメ『とある科学の超電磁砲』(鎌池和馬、2009)では、ハイゼンベルグの不確定性原理と密接な関連を持つ理論として、“パーソナルリアリティ”と呼ばれる現実認識のあり方が能力開発の講義と補習授業の課題項目として繰り返し背景に導入されていた。主観意識と客観存在の区別を設けない現象―意識の統括的把握の可能性が、超能力や魔法という主題の背後に秘匿されているのである。
座標と多様体 「Ergo Proxy」の場合

 水中から自分を助け出してくれたピノに、リルは現在地の座標を尋ねて彼女が本物のピノであることを確認しようとする。リルの要請に即座に応じて、この地点の客観的な座標を正確に答えるピノである。しかしピノの語る現在位置は、地球表面を2次元の平面と看做して任意の位置を2つの変数でもって特定する、デカルト座標の理念に基づいたものである。2次元球面としての実際の地球上の3次元空間上の物理的な位置関係を正確に反映させるためには、“多様体”として定義可能な関数の付加を行うことによって修正を加える必要を認めるのが、座標概念の本質であった。このように存在物の個別性を物質の延長性として捉え、座標的空間概念において存在性自体を分別することができることを前提としていたのがデカルトの科学的存在解釈であったが、『エルゴ・プラクシー』においてはこの制約を超出した純観念的な多様体概念をさらに拡張する存在理念が語られていくことになる。


座標と存在

水に溺れたリルは、自分を助けてくれたのが本物のピノかどうかを確かめるために、現在位置の座標を尋ねる。AIであるロボットのピノなら、このような純科学的な問いに対して即座に答える力があると考えたからである。「座標」は、客観的な位置関係を科学的に記述するための最も明白な手段であると考えられる。地球表面の場合のような曲面や、4次元以上の多次元立体空間における座標を示す場合にも、「多様体」として修正データを加えた座標記述を行うことで対応できる。しかし意識や時間を含めた量子論理的「位置」は、さらなる高次元の「多様体記述」を行わなければ、空間概念を超えた心理的・多世界的「位置関係」を特定することはできないだろう。


存在記述

「体に力が入らない」と訴えるアトリに対して、トビは「パイプラインを外したのだからしょうがない。」と答える。さらにトビは、「パイプラインを外せばラクリマから僕らの位置を把握することはできない。存在記述データを送ることもできなくなる。」と続けている。
 異なる平行世界の特定の位置を把握することが「座標特定」だが、そこに量子存在と化したトビやアトリ達を転送するのには「存在記述データ」を送ることが必要であるとされているのである。「量子存在」は「物質」としての確定した様態を持たない素材としてのデータそのものなので、「観測者」に相当する存在による「記述」が行われなければ決まった姿形や能力を維持することもできないのである。これはゲームの中のキャラクターが画面に表示されるのと全く同じメカニズムを前提としている。ゲームのディスクの中に書き込まれた情報をプレイヤーの操作に応じて抽出し、画面上に映像として表示するためには、ゲーム機によるデータ記述という行為が不可欠なのである。「量子存在」は「物質存在」ではなく様々に変容することが可能な「概念存在」なのである。
 これに対して「龍のトルク」であるハルカの現在位置を確認するためにトビが行っていたのは、3次元空間における「座標特定」であった。



物質粒子ならば空間上の位置を特定するだけで「存在記述」は一通り完成しそうですが、記憶や想念までを含めた「意識存在」の記述にはさらに次元軸を拡張する必要がありそうです。さらにまた歴史上の功績や一般民衆の抱く共通印象までを含めた「人格存在」の座標特定となると、もっと様々な要素を加味する必要も出てきそうです。自己の人格記述を申告ゲーム「アリスゲーム2」を作ってみたので、参考にしてみて下さい。

5 付録 アリス・ゲーム.docx

アリスゲーム回答.xls

マジックサークル

たぶんCERNなどで使用されている粒子加速器「シンクロトロン」と同じようなものでしょうね。シンクロトロンの場合なら電子や陽子などを磁力を利用して高エネルギー状態で衝突させて、別種の素粒子の生成等を行うために稼働されていますが、『ノエイン』の場合は「θ素粒子」を生み出すのが目的であると語られていました。「θ素粒子」とこの作品で呼ばれている架空の量子が既存の哲学や科学で用いられて来たどのような概念と重なり合うものであるかを考えることにより、この作品の鑑賞者としての観測効果を発動させることになり、本来不定形である仮構世界の意味を視聴者各々にとっての主観的事実として確定させることになるでしょう。
「私」と「世界」の相互作用

量子理論の根幹となる「意識の主体による観測効果の結果存在を確定する世界」という発想は、「自分という存在の意味」を見出し「生きる目的を創出する」ことを可能にするものとして、宮沢賢治に決定的な影響を与えました。「詩と科学と宗教をひとつのものにする」という宮沢賢治の詩作の理念については、以下の公開講座の資料を参照して下さい。

宮澤賢治の詩と宗教と科学―仮構と現実の一体化を図る思想
https://www.academia.edu/8026816/Speculative_Attempt_to_Integrate_Fictional_World_and_Reality
重ね合わせー曖昧性ー多義性

選択肢のそれぞれを確定することなく潜在的な可能性のままに並列的に保持している状態は、「多義的」な情報を含む「曖昧」なものです。映画や小説などに応用された「多義性の記述」、「曖昧性の表現」は、量子的不確定性の仮構的反映として理解されるものです。例えば映像作品『闇のバイバル』では、意図的に多義性と曖昧性を効果的に導入することにより、独特の表現手法からなる作品世界が構築されていることが指摘できます。

以下の論文を参照して下さい

映画の中に描かれた夢幻世界―多義性の世界『闇のバイブル』
https://www.academia.edu/7911015/Meanings_and_Ambiguity_in_Visual_Art_Pleroma_Motive_in_Valerie_and_Her_Week_of_Wonders
量子論理と「パーソナルリアリティ」

『とある科学の超電磁砲』では、エスパー能力に欠かせない感覚として「パーソナルリアリティ」が8話の授業などで、何度も教室で教えられていました。ハイゼンベルグの「不確定性原理」と深い関係があり、「確率論」という考えとも密接に関わるのが、この「自分だけの現実」の獲得なのだそうです。



観測効果とシュレーディンガーの猫

この概念も同じ問題を反映していますが、これは「魔法の原理」としては『Fate/stay night』で語られていた「固有結界」に相当するものでしょう。

詳しくは『Fate/stay night』を論じた以下の資料を確認して下さい。

「英霊召喚における人格概念」
https://www.academia.edu/7884950/Identity_of_Summoned_Heroes_Aspects_of_Psyche_and_Phases_of_Persona_in_Fate_stay_night


佐天さんの補習の時にも 月詠 小萌先生によって語られていたのでした。



観測効果と「自然が芸術を模倣する」

量子力学の「観測効果」の発想を適用すると、現象の生成に関する以下のような議論が導入されることになります。

意識の主体による観測/知覚/記述等の行為が、生成/創出/理解等の主体的関与を行うことによって始めて、存在/現象/属性等の従来客観的事象性とされてきたものを現出せしめるという一般公式を導入することにより、あらゆる概念要素を相補的な行列的重ね合わせとして再変換し、相異なる範疇に属する概念の全てを仮定された任意の基礎概念の相互作用的表象として理解/記述することさえもが可能とされることとなったのである。これに従って、オスカー・ワイルドが行った“芸術論”としての位相における「自然が芸術を模倣する」というあまりにも有名な言明が、実はこの観測効果の原理に対する心霊面的様相としての表現形であったものとして看做すことにより、世界の保持する意味性に対するより発展的な宇宙論的考究を推進していくことも可能になるのである。当然のことながらそこには、新たな統合的世界解釈を進めることを容易にするさらなる場の概念の拡張の模索の必要性が示唆されねばならないこととなる。

私と世界と仮構/魔法
https://www.academia.edu/7892608/Supernatural_System_Theory_and_Antifantasy
哲学に及ぼされた量子力学の影響

 素粒子の検出のために霧箱内に表現された実験の観測結果を記述する、純然たる数式の意味する概念と思われるものに対して、通常言語による解釈を当てはめて情念的理解を企てようとした際においては、既存のシステム理論や一般的表象からの類例の選択のみならず、むしろ古代思想や隠秘哲学などの前提理論からの緩用的借用がしばしば行われざるを得なかったのは、実は一般言語に基本思考を依存する人間知性のあり方を考えれば当然のことであった。ニュートン力学によって既に厳密な定義を与えられて見事に体系化されたかのように思われていた、“時間”や“空間”や“質料”等の基幹因子に対する新たな概念措定の必要が認識されるに至った時、ハイゼンベルグその他の人々が行ったように、ニュートン以前ばかりでなくさらに時代を遡って、アリストテレスやソクラテス以前の古代世界の思想家達の所説をも改めて再検証し、従来の科学の枠組みを遠く離れた様々の類比的記述さえもが、言語記述としての採用を再び検討されねばならなかったのである。そして当初は、語る言葉とそれによって指示されるべき実質の間の如何ともし難い乖離が、しばしば指摘されざるを得ないことがあったのも、無理からぬことであった。

量子論理とパラドクスと不可能世界─アクチュアリズムとアンチファンタシー

https://www.academia.edu/7865216/Quantum_Logic--Paradox--Impossible_Worlds_Actualism_and_Antifantasy

https://www.academia.edu/9934010/Quantum_Logic--Paradox--Impossible_Worlds_Actualism_and_Antifantasy_2
フィクション論に及ぼされた量子力学の影響

コスモスとカオス

 どの観測者にとっても絶対的な同一性を確認することができる「客観的物理存在」が、科学という仮説の前提としたものでしたが、そのような整然とした秩序のことを古代ギリシア人は「コスモス」と呼んでいました。現在、宇宙のことを「コスモス」と呼ぶのは、そのような古い「現実認識」に基づいています。しかし量子力学が露にした本当の「あるがままの世界」の実相は、人間知性にとって納得のいく論理的理解が可能な「整然とした秩序」の世界などではなく、「意味不明の渾然とした理解不能」なものであったのです。ちなみに古代ギリシア人はこのような「無秩序」を呼ぶ言葉として「カオス」を用いていました。コスモスを保障するのがゼウスの神を代表とする古代ギリシア神話の神々でしたが、その神々と敵対することもある異質の勢力としてカオスの力が存在することも認められていました。ギリシア神話の無秩序の神ディオニュソスが、理性の神であるアポロに対抗する世界の闇の力を暗示するものでした。この混乱を司る神はローマ神話では酒の神バッカスと呼ばれています。
 「現実」は実はカオスに他ならなかったことを痛感させられたのが、量子力学の発見であったと言えるでしょう。現在制作されつつある仮構の多くはこのような「現実認識」を強く反映しているようです。


『ピーター・パン』とカオス

20世紀初頭の俗物主義の王国イギリスにおいて新機軸の作品世界を構築しつつあった小説家バリは、前世紀にファンタシー文学において支配的であった汎宗教確立の願望と、人間原理による自然に対する意味性賦与という切実な形而上学的指向を嘲笑するかのように、あるがままの自然と無意識の本能性の具現化した姿を“パン”という古代神の名のもとに改めて神格化してみせたのであったが(3)、20世紀後半においてようやく文化の爛熟らしきものを体験するに至った蒙昧の愚民の帝国アメリカでは(4)、ビーグルというかつて長らくファンタシーの根付くことのなかったこの新大陸に生まれた卓越したファンタシー作家が、より分極先鋭化した近代的知性の影として無知そのものを、新たなる神話的創造物としてファンタシー空間の中に顕現させてしまったのであった。

(3)
19世紀中葉、キリスト教的崇高とギリシア的ロゴスの呪縛からの脱却を図りつつあったヨーロッパ人達は、その過程で「内省」という病理を抱え込み、『ファンタステス』のアノドスの場合のように、霊的向上という高邁な理想を宿すことのない無目的的な存在性というあるがままの自然が体現する現実世界の影の姿を直視することを強いられたが、実はこの典型的に思弁的なファンタシー作品において彼の発見した影が担わされていた、科学的真実の幻想を排した受容の必要性が暗示する絶望と希望の両義性は、分節化され尽くした宇宙(コスモス)を解体し、一旦未分化の初期状態(カオス)に還元することにより、世界の不条理の総てを個人の思念の中の問題として位相変換する殲滅工作を夢想する、一面では全一主義的な心理療法でもあり、また一面においては極めて過激な全体主義的破壊願望でもあるファンタシーの内包する反射的内省機能を、『ピーターとウェンディ』以前に既に見事に反映しているものなのであった。

不毛の王国の貪欲なストイスト─『最後のユニコーン』のフック的アンチ・ヒーローと神格化された無知
https://www.academia.edu/7899846/The_Avaricious_Stoist_of_A_Barren_Kingdom
ゲーム世界におけるストーリーの不確定性

 システム的には、様々な芸術表現において創作行為と鑑賞を有機的に連関する価値基準を構築すべき内在原理が、“パースペクティブ”として個々の作品中に必然的に仮定されることとなる。『ハムレット』が復讐劇としての枠組みを持ち、『忠臣蔵』が“仇討ち”という消失点の裡に作品世界の奥行きを定められているのと同様に、“エロゲー”における作品世界鑑賞の基軸あるいはプレイヤーとしての能動的体験試行を実行するための固有の流儀は、個々のヒロインを対象としてそれぞれ毎の“攻略”を行うために選択肢の抽出を推進するという、特有の様式の裡にある。攻略対象となるヒロイン毎の基本属性に従って予め設定された“好感度”等の条件の蓄積が一定水準に達すると用意されていた“イベント”が発生し、ヒロイン個々との可能的関係性として潜在していた“ルート”の発現が確認され、最終的には攻略対象となるヒロインとのエッチシーンが導かれることにより進め手のヒロイン攻略の試行が完遂されることとなる。これは恋愛小説や冒険小説あるいはアクション映画やミステリー映画等それぞれの仮構世界において暗黙の了解として仮定されていた、仮構作品賞玩における意味的基盤を形成する目的意識や価値基準等を裏付ける基幹座標軸と等質の、送り手と受け手の間の契約事項なのである。エロゲー世界の進行を支配するこの内在的ルールは、鑑賞者の意識内に仮構が意味をなす世界として受容されるための前提条件となる意味性構築機構を決定する、純システム的な暫定原理なのである。特徴的なことは、エロゲーの大部分においてヒロイン攻略ルートは線的に単一の結論へと収束することは想定されておらず、むしろ選択肢の組み合わせの結果相反する物語描像が個別的に現出して、複数の拡散した“ストーリー収束”場面が実際に導かれることにある。

召喚魔法と個人存在―『Fate/stay night』における存在・現象・人格概念
https://www.academia.edu/7884950/Identity_of_Summoned_Heroes_Aspects_of_Psyche_and_Phases_of_Persona_in_Fate_stay_night
観測効果と多義性

 宇宙に現出する客観的物理現象とされるものの生成における欠かせない要因として、知性を備えた意識存在の関与が仮定されねばならないことは、既にアニメやゲームの世界では周知の事実になっている。原形質次元での量子存在の振る舞いの“不確定性”という特質は、全ての可能な運動経路を素粒子である電子の軌跡として仮想的に記述する手法として、ファインマンの“歴史総和法”の創出を導くことになった。さらにその重ね合わせ可能な多義性を理解するために、エヴェレットは無数の平行世界に分岐する宇宙像として、“多世界解釈”の発想を唱えることとなった。観測効果が及ぼされて波束の収束を得る以前の量子的“原存在”は、相反する無数の可能性が互いを打ち消し合っている“デコヒーレンス”の状態にあるとされる。“シュレーディンガーの猫”の名で知られている逸話が、この観測者による干渉と事象発現のメカニズムの原理を語る著名な例である。多義性の原形質“存在”を“現実”の事象として確定させるのは、高等な知性を備えた意識の干渉という観測効果による可能性の一部の抽出としてもたらされる“コヒーレンス”である。意識の主体が観測行為あるいはその意思の影響の結果及ぼす現象世界の具現化という発想は、既に多くのエロゲーやアニメ作品において様々の優れた仮構的反映が試みられているものなのである。

召喚魔法と個人存在―『Fate/stay night』における存在・現象・人格概念
https://www.academia.edu/7884950/Identity_of_Summoned_Heroes_Aspects_of_Psyche_and_Phases_of_Persona_in_Fate_stay_night
理性(科学)の現界

ギリシア神話の神々は、タイタン族との熾烈な戦いの中でゼウスの開発した新兵器“雷”を武器に彼等の仇敵を駆逐し、かろうじて世界の支配権を手にすることになったのである。苛酷な抗争と必死の創意工夫の結果ギリシアの神々が打ち立てた内部秩序が“コスモス”と呼ばれるものであり、その整然とした安定性は人による信仰を土台として始めて維持されるものであった。当然の事ながら“コスモス外”には、他の神格の勢力圏であるコスモス的秩序とは別種の異次元空間が存在し、その敵対要素の反映はコスモス内においてさえも“カオス”の滲出としてしばしば認知されていたものである。理性の機能の保証された空間とは、実は普遍性の対極とも言うべき甚だしく閉塞的な場だったのである。

科学とSFと哲学的省察『エルゴ・プラクシー』における神と人と“自分”(1)
https://www.academia.edu/7892277/Science_Science_Fiction_and_Speculation_God_Man_and_Self_in_Ergo_Proxy_1
量子力学

基本は「ダブルスリット」実験から

『マヴラヴオルタネイティブ』の夕呼博士の解説などで

「重ね合わせ」(superposition)
「観測効果」(observation effect)

この二つの概念を理解して下さい。

物質存在となる以前のポテンシャリティの世界は論理そのものが異質の法則に従う


絡み合い(entanglement)

「量子テレポーテーション」という発想は量子の持つこの性質から導かれた
『ゼーガペイン』の基本設定として用いられている


シュレーディンガーの猫

量子存在における「重ね合わせ」がミクロレベルに限らずマクロレベルの存在や現象に反映されることがあるのか、を考察した思考実験です。現象を確定させる「観測行為」がどの時点でなされるかに従って様々な解釈が可能になります。



ポテンシャリティ

量子存在の事象として発現する以前の潜在的可能性のことを言うが、アニメ作品や現実の出来事にも様々な関連事項を指摘することができる。

アンジェリーナ・ジョリー
遺伝子に乳癌因子を持つことから乳房の予防的切除を決断した

『サイコ・パス』
犯罪者係数が測定されると犯行実施以前に拘束される
可能的犯罪実行者の予防的排除が行われる管理制度に基づく社会

『新世界より』
応用科学的な機械文明を捨てて人間精神の呪術の力でエコな生活をしている未来社会
しかし個人の内部の無意識が実現する「悪鬼」の誕生や、呪術の漏出が招く「業魔」の生成が壊滅的危機を招くことから常に人の心の内側に畏怖する管理世界となっている
危険な因子を持った共同体構成員の予防的排除が教育委員会の主要目的となっている



波動と夢

量子は実は「粒子」として確定したものではなく「波動」の性質を持つので、自由に他の様態に変換することが可能です。時には意識体の感覚/知覚する「夢」や、あるいは「神話」等の仮構とも変換可能であると理解されるのが、全ての物質粒子を形成する量子存在の特性です。『エウレカ7劇場版』ではそのような神話ー夢ー現実連続体仮説が、重要な主題として採用されていました。量子存在が粒子としても波動としても記述可能な不確定性を備えていることの哲学的理解からは、様々な形而上的応用理論を抽出することが可能になります。



量子的飛躍(quantum jump)

 量子は粒子とは異なり波動的性質を持つが、連続的に存在傾向を推移することはなく、段階的に跳躍してエネルギー値や属性を変化させる。このような非線形の様態変化が「量子的飛躍」と呼ばれるものであるが、実は量子存在の測定されるミクロの範囲に限らずマクロな現象世界においても、このような飛躍的推移の現象は多く観測されている。
 ニュートンが古典力学の世界観において仮定した科学の標準モデルは、必ずしも実際の現象世界が示す存在様態を忠実に記述するものではない。現実の世界はニュートン力学が予測したような静的な規則性に制御されたものではない。この事実は現在では「フィードバック系」、「乱流モデル」、「カオス理論」等の概念で理解されている。



定常宇宙モデルと突発的変動

実際のところ、原理的には現実世界とは全く異なる別種の公理系である筈の仮構世界も、その体系の末節の大部分においては、むしろ現実世界に密接に接合しており、モダニズム的な完結した芸術作品としての“アート”解釈において楽観的に考えられていた程、現象性から超然と遊離した“閉じた”系である訳ではない。しかも、仮構世界のみならず当の現実世界そのものが、極大と極小の次元界面においては物理的に異次元に連接している “開いた”系であり、結局のところある意味では世界描像としては不完全な公理系に過ぎないものであることすらも分かってきた。ニュートンの構想した万有引力の支配による定常宇宙モデルは、巨視的なシステムは微小な偏差を打ち消し合う均一化の機能を保持していて、その結果宇宙に常にコスモス的安定を保障するであろう、という経験則的な直観に支えられていた訳であったが、実は宇宙構造の多くの部分を占めている循環系とフィードバック系においては、むしろ時として微細な偏差の増幅がなされた結果不規則的な変動がもたらされることにより、世界の実相はむしろカオス的な様相を示すものであることが解明されてきたからである。

量子論理とパラドクスと不可能世界─アクチュアリズムとアンチファンタシー
https://www.academia.edu/7865216/Quantum_Logic--Paradox--Impossible_Worlds_Actualism_and_Antifantasy
「魔物」と科学

「ラプラスの魔」と決定論
「マクスウェルの魔」と永久機関
エントロピー増大則と熱死

「魔」はdemonで、キリスト教の「悪魔」とは異なります
ローゼンメイデン

『ローゼンメイデン』2期4話

だからお前が「まかない」を選んだ時、世界もまたローゼンメイデンが始めからこの世にいなかったという選択をしたのよ

⇒確定した

過去の改変が可能

量子力学的「行動」「存在」「時間」「世界」は、現象世界的定義を逸脱するものとなる



ユングの「共時性」

時間軸を固定された一つのものと限定することなく、分岐する複数の世界線の瞬時毎の選択として意識存在の体験する「時間的推移」を解釈し直した時、従来「運命」や「偶然」等の言葉で理解されて来たものの内実も、また新たな感覚で捉え直されることになります。その一つがユングが唱えた「共時性」という概念です。『ローゼンメイデン』の真紅のセリフから、以前は無意味であった関係を持たない雑多な事物が、「ローゼンメイデンの存在する世界」として様々の偶然が符牒することになる「運命的経験」の内実を、超科学的に考察してみましょう。これは「奇跡」の存在を弁護する一つの仮説となるものです。
ブライアン・ホィットワース

唯物論的前提に基づいて質量単位の相互作用として全てを捉えようとする従来の科学的世界観を反転して、“情報”として世界の全体と個々の存在物の意識/知覚の双方を連続的に理解しようとする発想は、システム理論学者アーヴィン・ラズロ(Ervin Laszlo)の唱えた“アカシャ理論”(Akashic theory)等が既によく知られているものだが、よりゲーム世界の仮構的特質と近接した概念でこれを論じているのが、ブライアン・ホィットワース(Brian Whitworth)の「ヴァーチャル・リアリティとしての物理世界」[i]である。ホィットワースは観測や実験の結果から帰納した結果としてでもなく計算式から得られた推論としてでもないが、飽くまでも現在の物理学が直面している様々の疑問点を解消する一つの説得力ある仮説として、現宇宙が一個のヴァーチャル・リアリティとして誕生した可能性を情報理論学者の立場から語っている。相対性理論と量子理論のいずれもが、それぞれの計算式は実験結果に正確に適合し実際に様々の応用技術として既に多方面で利用されてはいるものの、“客観的物理存在”としての事象の記述としてはあまりにも“意味不明”で、必ずしも理論として成功しているとは言い難いからである。ホィットワースの試みは、現在の科学的世界観の基本前提となっている質量・空間・力・時間・エネルギー等の全ての要因をディスク上に記録されたデジタル情報と等質の意味の複合体として捉えて世界を演算処理過程にある仮想的スクリーン上の描像として記述することにより、より直観的把握可能な宇宙像を提示しようとするものである。非ユークリッド幾何学が公理の一部の反転を採用して完結した整合性を保つ幾何学空間を新たに提示し得たように、ホィットワースも科学思想の前提となる“客観的物理存在”という“公理”を、外部世界により操作される“演算過程”と置き換えるのである。[ii]飽くまでも数学的な記法として現実世界の諸現象を粒子や波動や行列やあるいは1次元の振動体である“スーパーストリング”として数式化して演算処理の対象とする試みは様々に実施されてきたものの、我々の生きる現実世界は当然ながらこれらの要素のいずれかによって実際に構成されている訳でもない。これらの既存の近似的演算記法を採用した制約ある仮説を脱却して、現宇宙の誕生の根幹的枠組みをコンピュータに電源を投入しゲーム世界がモニタ上に信号として表示されるヴァーチャル世界のメカニズムとの類比を用いて捉えようとした彼の理論を適用すれば、確かにアインシュタインによって突きつけられた難題であった“光速一定”や量子理論によって暴かれた“宇宙の非局所的作用”や“トンネル効果”等の現実世界を支配している不可解な事象を解明する手だてを与えるのみならず、時間・空間・質量・エネルギー等の全てがプランク単位によって“量子化”されている不可思議をよく説明することができるし、量子存在の“不確定性”の謎に見事に解明の糸口を提供することさえなし得ている。ホィットワースは単なる直観に留まることなく、様々の “状況証拠”となる科学的検証結果を巧みに積み上げて、“実在物理世界説”を凌駕することが可能と思われる説得力ある“ヴァーチャル世界説”を展開してみせているのである。

召喚魔法と個人存在―『Fate/stay night』における存在・現象・人格概念
https://www.academia.edu/7884950/Identity_of_Summoned_Heroes_Aspects_of_Psyche_and_Phases_of_Persona_in_Fate_stay_night
2013アニメ芸術論(芸術と科学)レポート課題

量子力学が導入した事象と世界の実相についての新見解は科学の基本定義をいかに覆すものであり、それが仮構記述にどのような影響を与えたかについて語りなさい

あるいは

『Noein』の主題もしくはこれに関連する事柄に関して独自にテーマを設定して調べる、論考する、等を行っても構いません。その場合は題名に趣旨を反映させ、レポートとしての基本方針を明確にすることを忘れないよう注意して下さい

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