アンチ・ファンタシーコミュの２０１２ゲーム芸術論

シラバス内容

【テーマ】ゲーム世界の基本設定を認識と存在と事象の本質的関連として言語哲学の発想に焦点を当てて考察する。仮構作品がゲームとして持つストーリー進行要素を、世界の存在原理として解釈する。
【授業概要】ゲーム作品『Renaissance』を実際にプレイしながら、それぞれのキャラクター攻略におけるストーリー分岐とマルチ・エンディングの存在を平行世界とループ構造とループからの跳躍という統合的主題との関連から考察していく。作品の中心的主題となっている言葉と意味と世界の相互関連の本質を理解し、科学の基幹前提を超越した思想体系としての宗教的仮説の哲学的把握を試みる。
【育つ力】
A　自分を知り誇りを持つ力
【授業計画】
1回　ゲームとしての基本構造性を、“宇宙法則”として捉える。
“ストーリー選択肢”と“時間割選択肢”という原理法則
2回　言語哲学における言葉と意味と世界、文節化と不可分性
置き換えと対象化、対照言語学、サピア=ウォーフの仮説
3回　言語の基本構造：関係性と系、普遍性と固有性
人は「言葉で作られた網を世界に投げかける」
4回　錬金術の前提原理、隠秘学、スコラ哲学の唯名論と実念論
究極目的は「ミクロコスモスとマクロコスモスの合一」
5回　世界を観念として捉える：神の言葉（想い）としての世界
情報理論と暗号理論、「意味」という世界の基本単位を研究する
6回　戦国時代の日本への布教、イエズス会と宣教師、ローマ法王
プロテスタントとカトリック、宗教戦争と世界布教戦略
7回　活字印刷機と布教キャンペーン、『コンテツムス・ムンジ』
神と悪魔、正統と異端・邪教
8回　人格の基本要素：魂と肉体、魂魄、ハートとボディとソウル
変換記述：「魂の図像」という概念、言語の集積体としての魂
9回　思考と世界：書き言葉と話し言葉、表音文字と象形文字
人格の持続と廃絶と意味情報：死と消滅と記憶、時間停止と記録
10回 “人格”と魂と肉体、霊格とペルソナ、エリスとマリア
降魔術と魔法陣、芸術の創作動機と“イデア”
11回心霊現象としての悪魔との契約、神と悪魔と人間の霊的位相
肉体と魂の結合、人格固有性と人格を認知する固有能力
12回切魂刀と「魂存在を映像として知覚する」という知覚／記述
「あなたは絵を描くことで世界をあなたの思うままに変形させ、」
13回唯心論と唯物論―世界の心霊的解釈と観念論
現実、いや人間の作った社会というものは、言語で成立している。
14回フランシスコ会、ドミニコ会、異端審問、イルミニズモ
ボニ・ヴィリと実念論と「神の言葉」、錬金術と言葉の発見
15回エピローグと分岐ストーリーの統合
レポート課題の提示と質疑応答
【教科書名】 PCゲーム作品『Renaissance』（彩文館）
【参考図書】随時指示する。
【評価方法】考察の要点を指示した課題レポートの作成。
manaba folio の掲示板に設けた質疑応答への積極的参加。
【履修要件】コンピュータの基本操作を理解しておくこと。
【事前・事後学習等】講座開設の度に提示される鑑賞の要点と考察の課題点を確認し、応用的考察を創造的表現を用いて記述していく。
【備考】参考資料の提示と質疑応答の受付として manaba folio のコ
ミュニティ「２０１２ゲーム芸術論」を活用して行く。

コメント(1)

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[1] mixiユーザー 10月01日 21:56

参考論文
　この講座で研究する「Renaissance」と関連性のある主題を持ったゲーム作品として、昨年度に講義を行った「Fate/stay night」があります。参考にこの夏休みに書き上げたFate/stay night論へのリンクを下に記します。論文中で言及されている「マブラヴ」や「猫撫でディストーション」も、本講座で論考を行う量子論理的存在解釈と人格同一性の問題と重要な関わりを持つ作品ですので、各自参照しておいて下さい。

召喚魔法と個人存在 ―『Fate/stay night』における存在・現象・人格概念
http://antifantasy2.blog01.linkclub.jp/index.php?blogid=1214&archive=2012-09

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