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ロシアン・リバー・バレーワインコミュのMaboroshi Vineyard

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自分のハンドル名と同じ「幻」を冠したワインがあるのを知ったのは、2年前。今思い起こせば、これがRRV産ワインとの最初の本格的な出会いだったかもしれない。

2007年の夏、マウント・シャスタ・シティにあるオーガニック・レストラン、Vivifyを訪れた。そのときに、ワインリストに「Maboroshi」という、日本的な響きのあるワインがあるのに気づいた。

女将さんのあや子さんに聞くと、日本人の男性が経営されているビンヤードだという。そのときは「へー」で終わってしまったが、昨年ふとそのことを思い出し、探してみたら幻ビンヤードのサイトが見つかった。

幻ビンヤードのサイト↓
http://www.maboroshiwine.com/maboroshi/

幻ビンヤードの詳細訪問記↓
http://sky.ap.teacup.com/msatweblog/357.html#readmore
http://sky.ap.teacup.com/msatweblog/565.html#readmore
http://sky.ap.teacup.com/msatweblog/754.html#readmore


パブリックにはオープンしてないとのことだが、オーナーの私市友宏氏あてに、ダメもとでメールを出したら訪問を許してくれた。

このときから年に数回、ことあるごとに私市さんのワイナリーを訪れている。

私市さんは大阪の造り酒屋に生まれた。しかし1991年に自分のワインを作ってみたいと渡仏。それからワイナリーやビンヤードでの修行、大学での授業などを経て2000年にセバストポールで現在の畑を購入。「幻ワイン」の生産に力を入れている。

セバストポールは、ソノマの町から北へ約45分。101号線の東側、ロシアン・リバー・バレーの南端の、落ち着いた農村風景が広がる土地だ。

幻ビンヤードへ向かうためには、細々とした農道や果樹園の間を進んでいかなければならない。途中、何度も右左折を繰り返す。車窓からはリンゴ畑、牧場、マスタードの野原、ビンヤードが垣間見え、のんびりした情景は飽きない。

101から約20分。果樹園の奥にある細い道を左折すると、幻ビンヤードの看板が見えてきた。

ゲートのパスコードを入れて門がギギギーっと開くと、家から200mほどの距離を、ワンちゃんが2匹ダッシュでやってきて迎えてくれた。

私市さんのご自宅に車を停めると、奥さんのレベッカさんがいつもの笑顔で迎えてくれる。そうこうしているうちに、日焼けした私市さんの顔が見える。お2人の顔を見ていると、また帰ってきちゃったよ、と言う気分になるのが不思議だ。

まずはビンヤードのトップにある、ピクニックテーブルへ。ここで奥さんの名前から取ったシャドネーのRebecca Kを味あわせてもらう。

柔らかな甘みと滑らかな舌触りが心地よい。それでいて大量生産ワインでは味わうことのない、個性的でしっかりとしたまろやかな後味。とても満足した味だった。

14エーカーのビンヤードのトップからは、マウント・セントヘレナやガイザーズビル、101号線、サンタローザなどが一望できる。また西側の丘の上からは、太平洋からの冷たい霧が朝夕このロシアンバレーに流れ込んでくる。

私市さんと2人だけで、つややかな新緑がなびくビンヤードを眺めながら、シャドネーのグラスを傾ける。沈黙が続いても不思議と居心地の悪さを感じないのは、私市さんの人柄か、ビンヤードの美しさからかは分からない。

自宅の階下にある試飲室で、今度は自慢のピノ・ノワールを飲ませてもらった。ちなみに、この試飲室は私市さんの手づくりだ。

さて、ピノ・ノワール。こんなことを言うのはおこがましいが、2006は香りをかいだ瞬間、ちょっとまだ若いなー、という気がした。

舌に乗せた感覚は、少々硬い。しかしその硬さの奥に柔らかい後味が尾を引き、あと1年置いておけばすばらしいワインに開花する気がした。なんて言うと、あんたはロバート・パーカー・Jr.か、と鼻で笑われそうだが。

続いて試した2005はすばらしかった。2006で「こうだったらもっといいのに」と感じた点がすべて実現していた。まず香り。柔らかさを秘めた香りが、ワインのグラスを回すごとに漂ってくる。

次に味。一口含む。2006で感じられた硬さがない。舌の上にじんわり柔らかく乗ってくる。そのまま優雅な香りと味がふっと口蓋へ抜け、のど奥にいつまでも残る。これはうまいっす。

自宅やレストランで私市さんのワインを口に含むと、ここから見える畑とSebastopol Hillsのなだらかな農村風景、遠くはセントヘレナ山やソノマ辺りまで見渡せる雄大でのどかな情景が目に浮かんでくる。

ワインがのどを駆け下り、ふっと鼻から息が抜ける瞬間、私市さんの日焼けした顔とブドウ棚、青い空と霧に包まれるソノマの山々が脳裏を駆け巡る。

不思議なワインだ。というか、ワインって本来、そういうもんなんじゃあないだろうか。どこで飲んでも、ワインを造っている人の心意気と土地の風土が詰まっている味が感じられるものこそ、おいしいと思う。

ワインを購入するとき、他人の評価を気にせずに自分の舌だけを信じてワインを選べば、買って帰った後でも「いつ飲もうかな、まだもったいないからとっておこう、でも飲みたいな」みたいに、ボトルの前を1人右往左往して、ニンマリすることになる。

柔らかな幻のピノ・ノワール2005は当然、ボトルの前を右往左往してニンマリするランクの1本だと感じた。

そういえば、日本人として自分のビンヤードでブドウを栽培し、醸造作業まですべて自ら行っているのは、ナパ・ソノマやロシアン・リバー・バレーを通じても、数人しかいないだろう。

私市さんの表情には、人には語ることのない苦労を基に培った、揺るぎない自信がにじみ出ている。決して自慢はしないが確固とした自信と経験、不屈の精神を持つものだけが兼ね備えた力強さだ。

自分の身1つでカリフォルニアのワインカントリーへ乗り込んできて、畑を開墾しブドウ園を開拓、ワイン作りに励んでいる私市さんの苦労や葛藤を描いたブログがある。下記がそのアドレス。

http://pinot.exblog.jp/

日本から訪れる人も多いらしく、ときどき「ブドウの実が大きくていいですね」と、ブドウ栽培者の神経を逆なでするような愚問を発する人もいるとか。

もし自分がオーナーだったら、そんなやつは「とっととOpusへでも行きやがれ」と、ワインボトルで殴りかかるかもしれない。

幻ビンヤード
2970 Thorn Road
Sebastopol, CA 95472
E-mail: tom@maboroshiwine.com
Web: www.maboroshiwine.com

試飲にはアポが必要。試飲料は無料だが、試飲させてもらったらボトルの1本くらいは買うのがエチケットだろう。

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