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ベン村さ来「と言えば・・・」コミュの【64・t・A・T・u】 平成15年12月3日(水)

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原典:http://www.owarai.to/ben/64.html
written by ベン村さ来
挿絵:橋本ポンセ

◆ いやぁ〜、我ながら更新しないねぇ。別に怠けてる訳じゃないのよ。この連載を始めた時は文化人とかが雑誌で「わからない読者は読まなくていいよ」みたいなテンションで自分の好きなこと適当に書くコラムに憧れていたの(何で今日はオカマ口調なんだろ?)。ところが平成13年あたりから高田文夫先生責任編集『笑芸人』(白夜書房)のスタッフに入れていただいて、翌年あたりから本格化してきたからさぁ大変!だって、それこそ「わからない読者は読まなくていいよ」ってなぐらいなお笑いの専門書だから手間がかかるのか からないの(どっちなんだ?)。しかも、大好きな演芸界の歴史なんかを専門に書かせてもらってるもんだから一切の欲求不満なし。気が付くといつもこの連載が後回しになってしまう。ホント、申し訳ない。(12月26日発売・vol.13は新作落語特集号。『戦後新作落語風俗年表』と『名人楽屋噺伝説』の2つの大きな歴史系企画を書かせていただきましたので乞うご期待!)


◆ さて、気が付くと「ロシアのテンプラ女子高生」「ロシアの萌え系売春婦」「ロシアの今いくよくるよ」(そこまで悪く言わなくても)こと『t・A・T・u(タトゥー)』が来日して東京ドームをガラガラにしていた。主催の日本テレビ(一部、私の知り合いのラジオ局も)は泣いたろうね。開催前からネットで前売券が最低値250円で売られて、初日は50分遅刻でたったの50分興行。観客もスタンド席を開けることなくガラガラ。こんなんだったら、マスターズリーグの試合の方がまだ儲かっただろう(少なくても損はしなかったハズだ)。ショータイムで大沢親分と張本勲さんの『男t・A・T・u』でもやればチケット完売だったのに(俺はダフ屋価格5万でも買うね)。詐欺と言わんまでも契約違反の違約金は取れないものだろうか。北方領土の歯舞諸島の小さいところ返してもらうとか、根室のロシアンパブで稼がせるとか、モーニング娘の外人枠でタダ働きさせるとか(あら、案外いいかも)。


◆ 『t・A・T・u』と言えば思い出すのが…私は前座を務めたことがある(11月23日の『お笑いセメントマッチ』で〆さばアタルヒカルがトークコーナーで話しましたがご静読下さい)。つまりだな、『ザ・ドリフターズ』が『ザ・ビートルズ』の武道館公演の前座を務めたように(「それを客で観ていたのがのちの志村けんだった」と勝手にトリビアする人がいるだろうが、実は志村が行った日の前座はドリフではなかった。ヘー!)私たち『お笑いセメントマッチ』は『t・A・T・u』の前座を本当に務めたのだ。時は10月26日、文京学院女子大学・文京女子短大の学園祭『文京祭』に我々はお呼ばれいたしました。メンバーはセメントマッチの主軸「〆さばアタルヒカル」、ゲストに『オフィス北野ライブ』の新人コーナーに某コンビで出ていた「ウクレレえいじ」、高田先生の付き人で立川志らく師匠の弟子「立川志らら」、そして企画・構成・司会の私の精鋭5名(笑)。


◆ 実は『文京祭』には昨年もお呼ばれしていて2度目。話すと長いがこちらのH教授が國士舘時代の英語の恩師、学園祭全体の設営会社のS社長が國士舘時代の同級生という大した癒着なのだ(その代わりギャラは○い=丸いではない)。ライブ会場も昨年と同じラウンジということで結構な油断で私は会場に先乗りした。今考えると朝から警備員の多さが目立った。それでも何にも知らない私は「また、メインステージに東京プリンでも来てるんだろ(ちなみに昨年がそうだった)」と思いつつも舞台・音響のチェック。ここでも同級生のS社長に緊張の影が見える。思わず、「どうしたんだ?」と尋ねると彼はとんでもないことを言い出した。「正雄(私の本名だ)たちのライブのあと、この舞台に『t・A・T・u』がドーム公演の宣伝で乱入するんだ」「ふーん」…一応、業界人の端くれとして同級生に冷静な姿を見せた。確かにアーティストとしての『t・A・T・u』には興味はない。しかし、「ロシアのコスプレ女子校生レズ」という上辺だけの情報に次第と興奮してきてしまい荒い息に。この桃色吐息を感じた彼は『欽ドン』のワルオのようなリーゼントを揺らしながら「『t・A・T・u』に変なことするなよ!あと、芸人仲間にはライブが終わるまで言わないこと。あいつらバカだから何かしそうで怖いよ」失礼な奴だ。私の仲間をつかまえてバカだと!彼はわかってない。我々はよくバカと呼ばれているが、そんな軽々しく言われるような生易しいバカではないのだ。


◆ みんな興味がないだろうからライブ内容は省略(笑)。ライブも終わり、帰り支度を始めるとさすがにメンバーたちがラウンジ内の異様な様子に気づいた。「何であんなに音響機材を組むんですか?」「何であんなに報道陣が多いんですか?」この2つはまだ可愛いもんだ。最後の質問にはおじさんも腰が抜けた。「何で俺らの時は観客40人ぐらいだったのに、終わった瞬間に400人になってるんですか?」さすがにここでネタ明かし。「実はこのあと『t・A・T・u』がドーム公演の宣伝で乱入するんだ」まぁ、この時の連中の顔ったらない。まるで今からロシアンコスプレ女子校生レズビアンパブに行くようだ(そのままだ)!同級生のS社長に確認すると舞台も一緒、通路も一緒、舞台袖の控室も一緒だという。つまり、『生t・A・T・u』をミッチリ、穴の奥まで堪能できるということである。そこで緊急会議が開かれた。まず、最初の議題は「挨拶はどうするか?」彼女たちは我々より知名度はあるが、芸能界では後輩である。私は浅草キッド門下に入って15年目、〆さばはたけし軍団14年選手、ウクレレも柄本明さんの付き人から始めてこの世界は10年超、志ららですら大師匠・立川談志家元が認めるところの二ツ目である。明らかに挨拶は向こうが「おはようございます」、舞台に出る前は「勉強させていただきます」、我々が帰る時は「お疲れさまでした」と言わせることにした。


◆ さらに、結論として「『t・A・T・u』がドタキャンなどの騒動を起こすのは師匠がいないからである。ここは先輩として一から教育すべきだ」ということなった。まず、彼女たちが控室に入ったら「散らかってるだろ!掃除しろ!」、それが終わったら「先輩にお茶だろ!お茶!」、さらに「そろそろ一番(太鼓)入れろ!」「タバコに火だろ!」「肩もめ!」「弁当買って来い!」「馬券買って来い!」「1人1000円以下で飲み放題の打ち上げ会場捜して来い!」など教育という名のシゴキを考えた(みんなロクな兄弟子がいないと思われる)。そして、ついに『t・A・T・u』が通路に現れた。その瞬間、「おはようございます!」と…我々が言ってしまった。引き連れてる屈強なボディガードに最初っから飲まれてしまった。『t・A・T・u』が舞台に上がる。その可愛らしさに思わず「勉強させていただきます」。もちろん、ライブのあとはライブの盛り上がりぶりに「お疲れさまでした」で見送ってしまった。どうやらあんな連中(スネてる)だが、売れてる人間には触れないオーラがあった。『t・A・T・u』も帰り、売れてるオーラからの呪縛も解けたので我々も帰ろうとしたが、〆さばヒカルがいない。なぜか彼だけ呪縛が解けずにひとり控室を掃除していた。  

原典:http://www.owarai.to/ben/64.html
written by ベン村さ来
挿絵:橋本ポンセ

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