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ダイオキシン中毒(カネミ油症)コミュの「ナノテクの危険性 4」化学物質問題市民研究会から

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6月29日 化審法見直しシンポジウム
当会の提言 「ナノ物質管理法の早急な制定」
安間 武 (化学物質問題市民研究会)

情報源:ピコ通信第119号(2008年7月23日発行)掲載記事
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2008年7月23日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/japan/pico_119_080723_nano.html

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 6月29日に東京国際フォーラムで、環境省主催の「化学物質審査規制法の見直しに関するシンポジウム」が開催され、当研究会を含むNGO/NPO の5団体が意見を発表しました。
 化審法は来年度に改正が予定されています。現在、厚労、経産、環境の三省合同の委員会で改正に向けて、見直しが行われており、秋にはパブリックコメントが実施される予定です。
 このシンポジウムは、化審法の見直しについて行政がNGO/NPOの意見を聞くという趣旨で開催されたものです。

■当研究会の発表の経緯
 当研究会は2006年以来、「有害性を懸念するに足る合理的な証拠があるのに、安全基準もなく、安全性が確認されていないナノ製品を市場に出して、人の健康と環境を危険にさらすことが許される根拠は何か?」という問いかけを、国、産業界、研究者、メディア、NGO、そして一般市民に向けてきました。
 一方、本年5月の国の化審法見直し委員会でなされたナノの取り扱いに関する審議では、本質的な討議はほとんど行われず、全く不十分な審議でした。
 そこで当研究会は、「ナノ物質管理法の早期立法」をこのシンポジウムで提言しました。以下に当研究会の発表内容の概要を紹介します。(当日発表パワーポイントPDF版は、下記環境省ウェブページに掲載されています)
 http://www.env.go.jp/chemi/kagaku/sympo/pr_1.pdf

■当研究会発表の概要
 ナノ物質の有害性報告の事例紹介、ナノ物質管理に関する世界のNGO/著名な機関の意見/勧告、化審法見直し合同会議等での国の見解等を紹介。これらに基づきナノ物質管理の要件を提案し、化審法の改正ではなく、ナノ物質管理法(仮称)を早急に制定すべきこと、及び新法制定までの過渡期対応を提案した。

■ナノ物質とは
 1ナノメートル=10億分の1メートルであり、毛髪の径の約5万〜10万分の1くらいの長さの単位。公式なナノ物質の定義はまだないが、少なくとも1次元が1〜100ナノメートルの物質であるということで世界的に合意が得られている。
 物質がナノサイズのように小さくなると、全く新たな特性を示すようになる。例えば

重量当たりの表面積が格段に大きくなる

表面活性度が高くなる

化学的、電気的、磁気的、光学的特性等が著しく変化する

 このような新たな特性は、新た特質を持つ新奇材料としてあらゆる分野で活用が期待されているが、一方で人や環境に重大な有害影響をもたらす可能性について懸念されている。

■多くのナノテク製品が市場に出ている
 ウッドロー・ウィルソン国際学術センターのナノテク製品目録によれば、既に世界中で市場に出ているナノテク製品は約600製品あり、毎週3〜4製品が市場に投入されている。その製品範囲は、電気製品、バッテリー、冷暖房空調、厨房用品、自動車用品、電子機器、 食品・飲料、子ども用品、衣料品、化粧品、身体手入れ用品、スポーツ用品、日焼け止め、家具、建材、装飾品、塗料、ペット用品、医療品等など極めて広範囲である。
 ナノ導入製品の市場規模は、2004年は1.4兆円、2007年は31兆円であり、2014年には約280兆円 (全製品の15%)になると予測されており、拡大の一途をたどっている。

■ナノ物質 日本では何が問題か?
 世界的に共通する問題点もあるが、特に日本での主な問題点は下記の通りである。

ナノ安全管理の責任省庁が明らかでない

ナノ安全管理に対する国の方針が示されていない

ナノ安全基準がない

有害影響の可能性があるナノ製品が安全確認なしに市場に出ている

アスベストの教訓が生かされていない

政策策定プロセスへの市民参加と透明性がない

 国は早急に方針を示し、ナノ物質の安全管理を確立すべきである。

■世界のNGOの懸念と警告
 ナノの安全性を懸念する世界のNGOが警告や提案を行っている。
●エンバイロンメンタルディフェンス(米)
 アスベスト、フロン類、DDT、加鉛ガソリン、PCB類等は商業的に有用でも、健康又は環境に害がないということではない。もし、製品が広く使用されるようになった後に危険が分かった時には、人の健康と環境が損なわれるだけでなく、長期の裁判や浄化修復の大きな出費や社会関係の大きな歪みをともなう。
●ETCグループ(カナダ)
 ナノ物質の有毒性に関する10の研究事例を挙げてナノ物質の危険性を警告し、安全性が確認されるまで、新たなナノ物質の商業的生産の一時的中止(モラトリアム)を求めている。

■ナノの危険性を示す研究報告の事例
 ナノ物質の危険性を示唆する研究が多数報告されているが、代表的なものを挙げる。

フラーレンと魚の脳 ナノ物質が酸化ストレスを引き起こす(2004年)
TiO2 ナノ粒子 脳細胞にダメージを与える可能性 米EPA研究者らの報告(2006年)
銅ナノ粒子はゼブラフィッシュに害を与える。ナノサイズの炭素や二酸化チタンよりもはるかに危険(2007年)
カーボン・ナノチューブの懸念 ナノチューブは血管系にダメージを与える(2007年)
ナノチューブ 微生物を突き通し、環境中にDNAを撒き散らす可能性(2007年)
ナノチューブの全てが同じに造られているわけではない。ナノ物質の環境リスク評価に重要な意味を持つ。(2008年)
「ナノチューブ」でがん マウスに中皮腫 形状が誘発か(2008年2月 国立医薬品食品衛生研究所)
アスベストに似たカーボン・ナノチューブは、アスベストのように作用する(2008年5月 英エジンバラ大学)
■世界の著名な機関の勧告
●英国王立協会・王立工学アカデミー報告
 イギリスのみならず、世界中に大きな影響を与えた報告書で21項目の勧告がある。

ナノ技術の工業的適用(R1- R2)

可能性ある健康、安全及び環境への有害影響 (R3- R7)

規制に関する論点 (R8-R15)

社会的及び倫理的問題 (R16-R17)

関係者と公衆の対話 (R18-R19)

ナノ技術の責任ある開発を確実にすること (R20-R21)

 この中で、形状が大きい場合のテストに基づいて行われた安全性評価は、ナノ粒子形状の化学物質には適用することができないという考えに基づいているとして、次のように勧告している。
R10:ナノ粒子又はナノチューブ形状の化学物質は、REACH の下に、新たな物質として扱われるよう勧告する。
R12: 消費者製品
(1)ナノ粒子形状の成分は、製品中での使用が認可される前に、関連する科学諮問機関による完全な安全評価を受けるよう勧告する。
(2)製造者は、ナノ粒子の特性がより大きな形状のものと異なるかもしれないということをいかに考慮したかを示す、ナノ粒子を含む製品の安全性を評価するために使用された手法の詳細を公開するよう勧告する。
●ウッドロー・ウィルソン国際学術センター 米EPAへの勧告2007年7月報告書
 ナノ物質について、製造、製品の使用だけでなく、製造中の廃棄物や使用済みナノ製品の廃棄処理について問題提起し、米国環境保護庁(EPA)に対し勧告を行っている。
●米化学会オンラインジャーナルES&T
 2007年11月 ナノとTSCA(有害物質規制法)
 TSCAの下で新規物質なら、製造者は市場に出す前にEPAにデータを提出しなくてはならないので、ナノ規制のチャンスとなる。しかしEPAは、ナノ物質をサイズが小さいという理由では新規物質として規制していない。
 米国立労働安全衛生研究所(NIOSH)の労働衛生専門家や環境活動家らは、ナノ物質のサイズが小さいこと、及び生物系及び環境との相互作用の仕方に基づいて、ナノ物質を新規物質と見なすよう強く求め、EPAのナノ物質及びTSCAに関する立場に批判的である。

■当研究会の意見表明
 2006年2月23日、当研究会は次のような意見表明を行った。

国は早急に環境及び人の健康を守るためのナノ安全管理の方針を示し、政策を立案し、実施すべき
ナノ技術の安全管理に関する各種基準(テスト、ハザード・曝露・リスク評価、安全)を設定し、リスク評価、社会的影響評価を行い、関連法改正、新規立法を実施すべき
安全が確認されるまでナノ物質の環境への放出とナノ製品の上市は一時的に止めるべき
ナノ技術の健全な発展のために、ナノ安全管理策定への市民参加と、完全で透明性のある国民への説明を確実にすべき
■欧米各国行政・機関の対応
 欧米の行政・機関のナノ安全管理に関する方針・施策は、2004年ごろから国民に示され、パブリックコメントなども行われている。
●米環境保護庁(米EPA)
 2005年に「ナノ技術:ファクトシート」、「ナノ技術白書(ドラフト)」を発表し、「パブリックコメント」を実施した。
 2008年1月には、製造者がEPAに既存のナノ物質及びナノ製品に関する情報を自主的に報告するという「ナノ物質ステュワードシップ・プログラム」を発表した。
 EPAは、現行有害物質管理法(TSCA)の枠組みの中でナノ物質を管理するとしており、ナノサイズの物質を新たな化学物質とは見なしていない。
●米国立労働安全衛生研究所(NIOSH)
 2006年「安全なナノ技術へのアプローチ」で、予防的手法が妥当としている。
●欧州委員会 (EC)
 2004年「欧州ナノ技術戦略に向かって」、2007年「ナノ物質リスク評価方法論」、2008年「ナノ科学及びナノ技術行動規範」などを発表している。
 2008年6月「ナノ物質の規制的側面」で、既存物質がナノサイズ物質として導入される場合は、REACH登録書類はナノの特性に対応して更新されなくてはならない−と提案した。
●英環境食糧地域省 (defra)
 2006年「人工ナノスケール物質の自主的報告計画」を発表し、製造者に協力を求めている。

■ナノの安全管理−日本の行政の対応 (1)(2007年まで)
 日本では内閣府、文部科学省、経済産業省、厚生労働省、環境省がナノ技術に関わっているが、ナノの安全管理の主管省庁がどこなのか明確でない。少なくとも2007年までは、これらの省庁は関連又は外部の研究機関に調査、研究業務を委託しているに過ぎず、安全管理に関し、政府又は省庁独自の立場や指針、施策を国民にきちんと示していない。

■ナノの安全管理−日本の行政の対応 (2)(2008年以降)
 2008年になって、厚労省及び環境省はようやく通達、検討会等で動き出したが、欧米に比べて3〜4年遅れている。
●厚労省
 2008年2月「ナノマテリアル製造・取り扱い作業現場における当面のばく露防止のための予防的対応について」という 通達を出し、2008年3月、4月、5月に第1〜4回ヒトに対する有害性が明らかでない化学物質に対する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会/第1〜3回ナノマテリアルの安全対策に関する検討会(第1〜3回合同会合)を開催した。
●環境省
 2008年6月「平成20年度第1回ナノ材料環境影響基礎調査検討会」を開催した。

■ナノの安全管理−日本の行政の対応 (3)(ナノサイズの物質は新規化学物質か?)
 ナノ物質はサイズが小さいことにより、全く新たな特性を示すので、新規化学物質とすべきとのNGOの主張に対し、国は化審法において粒子径が小さいことをもって新たな物質と見なしていないと下記会合で言明した。
 ・2006年7月20日 経産省化学物質政策基本問題小委員会第3回
 ・2008年5月29日 第3回化審法見直し3省合同WG

■ナノ物質管理の仕組みが必要日本においてはナノ物質管理に関する公開の議論はもちろん、ナノ物質管理そのものが全く行われておらず、安全性が確認されないままに、ナノ製品が市場に出ている。人の健康と環境を守るために、早急に下記基本要件を備えたナノ物質管理の仕組みを作ることが必要である。
●ナノ物質管理の基本的要件

ナノ物質管理の政策策定の全ての段階に市民を参加させる。

ナノ物質管理は予防原則に基づく。

ナノ物質管理は自主管理ではなく、法的強制力のあるものとする。

国は、安全性試験基準及び評価基準を確立する。

市場に出ているものを含めて全てのナノ物質を管理対象とする。

製造・輸入者は、ナノ物質を事前に届け出る。

製造・輸入者は、暴露シナリオを作成し、安全性試験を実施し、国にデータを提出する。

国は提出されたデータを評価する。

国は評価に基づき、ナノ物質の管理グレードを決める(許可、制限、禁止)。

安全性に関わるデータは全て公開する。

ナノ物質を含んだ製品に表示を義務付ける。


■新たな「ナノ物質管理」制定の提案
●「ナノ物質管理法」を制定する必要性
 提案するナノ物質管理の仕組みを実現するためには、下記理由により新たな「ナノ物質管理法」を早急に制定する必要がある。

提案するナノ物質管理は現行化審法では実現できない。(対象範囲、試験方法、評価方法、管理方法などが異なる。)
現行化審法をナノ対応にするためには大幅な改正が必要となり、複雑になる。
化審法見直し合同委員会でのナノ審議は残念ながら全く不十分であり、ナノ対応の抜本的改正は期待できない。
●検討会の設置

新たな「ナノ物質管理法」の制定を前提に大至急、検討会を設置し、法制定のための詳細な要件とスケジュールをまとめる。
この検討会には、ナノ物質の安全管理に関わるNGO、労働団体、消費者団体に意味のある参加をさせる。
検討会でまとめた要件とスケジュールに基づき、早急に法制定に着手する。
■「ナノ物質管理法」制定までの過渡期対応
 法制定が実現するまでに時間がかかることが予想されるが、その間、ナノ管理を放置しておくことは許されない。予防原則に基づく過渡期対応の暫定的管理を早急に実施することを提案する。
●既に市場に出ているナノ物質

製造・輸入者に試験データを含む所定のデータを提出させる。
国は提出されたデータと入手可能な他のデータに基づき、暫定的に安全性を評価し、暫定的管理グレード(許可、制限、禁止)を決定する。
●新規に市場に出すナノ物質

製造・輸入者に試験データを含む所定のデータを提出させる。
国は提出されたデータと入手可能な他のデータに基づき、暫定的に安全性を評価し、暫定的管理グレード(許可、制限、禁止)を決定する。
製造・輸入者は暫定的管理グレードが決定されるまで当該ナノ物質を市場に出すことはできない。
■結論
 化学物質管理もナノ物質管理も理念に変わりはない。
 人の健康と環境を守るためには、予防原則と「ノーデータ・ノーマーケット!」

(安間 武)

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