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ダイオキシン中毒(カネミ油症)コミュの「クラスター爆弾禁止条約を批准」というけれど   

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「クラスター爆弾禁止条約を批准」というけれど   原田和明

6月10日 午前中の参院 本会議で、クラスター(集束)爆弾禁止条約の締結を全会一致で承認しました。条約締結は衆院でもすでに承認されており、国内の批准手続きは完了することになります。

毎日新聞は6月10日付で <クラスター爆弾 早期批准を歓迎する> と題して次の社説を掲載しました。

 「クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)」批准案が10日、参院本会議で可
 決される見通しとなったのは実に喜ばしいことだ。(中略)日本がいち早く
 批准にこぎつけることは誇ってもいいだろう。(中略)自民党などに防衛力
 低下を懸念する声があるのは確かだが、クラスター爆弾が日本の防衛にとっ
 て絶対欠かせない兵器かどうか。代わりに自衛隊が『精密誘導能力を有する
 装備品』導入を予定していることもあり、同爆弾の廃棄が直ちに防衛力低下
 につながると主張するのは難しかろう。(中略)クラスター爆弾についても、
 日本は軍事大国に、特に米国に条約参加を働きかけるとともに、被害者支援
 の面でも積極的に貢献すべきである。

この日のニュース報道では、同条約の批准が軍縮に向けての一歩のように見えますが、どうも新たな利権誕生で話がまとまったということのようです。というのは、クラスター爆弾禁止と引き換えに「政府は今後、自衛隊が保有する集束弾の廃棄方法の検討を進めるとともに、代替兵器として精密誘導能力を持つロケット弾の調達などを進める。」(6月10日10時23分配信 産経新聞)という交換条件がついているからです。さらに国会では、わざわざ親切なことに、アメリカ軍が日本国内でクラスター爆弾を使い続けることを保障する確認の質疑まで行なわれています。

 クラスター爆弾とは、容器となる大型の弾体の中に複数の子弾を搭載した爆弾のことで、主に航空機や地対地ロケット弾、砲弾などに搭載される。通常 の空対地爆弾とほぼ同サイズのケースの中に、小型爆弾や地雷で構成される 数個から数百個の子弾を内蔵する。このケースが発射、投下の後に空中で破 裂することで子弾を散布し、多数の小規模な爆発を引き起こすなどして広範囲の目標に損害を与える。(ウィキペディア「クラスター爆弾」)

憲法9条があり、「専守防衛」を旨とする自衛隊がなぜかこのクラスター爆弾を4種類ももっており、しかも日本国内で製造されていることもわかっています。調達費用の総額は 276億円で、アメリカ軍保有の親爆弾「CBU―87爆弾」〔1発 約170万円。全長:2.33m、外径:39cm、重量:431kg〕で計算すると、1万数千発を保有していることになります。政府は廃棄する方針ですが、航空自衛隊が保持しているクラスター爆弾(1種類)を廃棄するのに約100億円かかるとのことです。(2008.5.30 当時航空自衛隊トップの田母神俊雄航空幕僚長の記者会見)ただし 処理方法の調査はこれからだそうですから、「100億円」の根拠はなさそうです。

兵器の処分といえば、苅田港(福岡県)毒ガス弾事業の不正疑惑が頭に浮かびます。この汚職事件は03年1月、毒ガス弾処理のための調査委託事業を、防衛庁が一般競争入札に見せかけて社団法人「日米平和・文化交流協会」に落札させたもので、疑惑が処理を請け負った神戸製鋼とそれに関係する政治家に波及すれば守屋次官の収賄にとどまらず、大疑獄になった可能性があったことを、2007年11月民主党の平岡秀夫が国会で指摘しています。クラスター爆弾の処理事業で同じような不正疑惑が起きないことをどうやって担保するのか、マスコミも指摘していませんし、国会の議論も低調です。

衆院外務委員会(2009年05月08日)で篠原孝(民主党)は、「私は、兵器の開発、これは人道上問題があって、一般人にも危害を与えるから禁止する、地雷がそうですし、クラスター弾がそうです。イタチごっこを繰り返しているんじゃないかという気がするんですね。こんなことをしていると、つくって、買わせて、だめにして、そしてまた違う兵器をつくって、お金を使って、まただめにしてと、何か兵器をつくる会社だけがもうかるような気がするんです」と指摘しつつも、「(廃棄処分を)とっととやってください」との要請で 終わっています。

処分にかかる費用が不透明なまま、防衛省は気前よく、転用可能な発射装置の方も処分するそうです。

 条約案に日本政府が同意したことで、陸上自衛隊が保有する多連装ロケット  システム(MLRS)が全廃される見通しとなった。MLRSは 子弾644発
 を内蔵したロケット弾(クラスター弾)を12発搭載できる専用の装甲車両。
 約2000億円を投じた99両がすべて無駄になるばかりでなく、代替兵器の購入
 に巨額の防衛費が投じられることになる。(2008.5.31 東京新聞)  

国内のクラスター爆弾メーカーは小松製作所・IHIエアロスペース・石川製作所の3社です。IHIの前身は石川島重工で、戦後、アメリカGE社からの技術導入により、国産初のジェット戦闘機を防衛庁に納入した会社です。(第10回水俣秘密工場 GEN574)自衛隊に配備されているクラスター爆弾の77%が国産で、それ以外はアメリカからの調達とのことです。(辻本清美の質問主意書 H19.7.5 に対する答弁書 H19.7.10)自衛隊がクラスター爆弾を所有していた歴史は古く、枯葉剤機密カルテル(第28回 GEN613)には次のくだりがあります。

 楢崎弥之助(社会党)が「焼き尽くし、殺し尽くし、破壊尽くす代表的な兵
 器である枯葉剤、ボール爆弾、ナパーム弾を自衛隊はもっていないでしょう
 ね?」と質問したところ、蒲谷装備局長は何を血迷ったか「ナパーム弾はも
 っておりません。」とそれだけはっきりと答弁したのです。(1971.2.23 衆
 院予算委員会第三分科会)

楢崎の質問にある「ボール爆弾」がクラスター爆弾の一種です。ウィキペディア「クラスター爆弾」には、「ベトナム戦争においては、爆弾本体に野球ボール大の子爆弾を300個ほど内蔵し、その子爆弾ひとつの炸裂で600個ほどの金属球を飛散させる『ボール爆弾』が使用された」とあります。その頃すでにクラスター爆弾が自衛隊に配備されていたとなると、それはアメリカ製なのだろうと想像していましたが、アメリカからの調達は、クラスター爆弾が1988年から(辻本清美の質問主意書 H19.7.5に対する答弁書 H19.7.10)、上記多連装ロケットシステムは1992年から(2008.5.31 東京新聞)とのことですから、日本の軍需産業は朝鮮戦争、ベトナム戦争などをきっかけとしてアメリカの下請けとして早くから復活していたようです。

国会でクラスター爆弾のことが話題になったのも意外に古く、ベトナム戦争中の1967年5月25日参院予算委員会で亀田得治(社会党)がボール爆弾を持参して、使用禁止に対する政府の見解を質しています。

 亀田 「これをちょっと見ておいてください。めったに見れぬですから。だ
 いじょうぶですから。ボール爆弾です。(これは)軍事施設を破壊するため
 には何らの用をなさぬものです。もっぱら人畜に対する殺傷をやる。これが
 民間地帯等にもばらまかれておるのが現状なんです。で、フランスのサルト
 ルも非常にそういう点憤慨いたしまして、国連のほうに、このボール爆弾の
 使用禁止を求める運動をするということをせんだって記者会見で発表したよ
 うですが、どう思います? 人道の立場から。」

 外務大臣・三木武夫 「やはり国際的に、そういうことが戦争目的よりも、
 あまりひど過ぎるではないかというようなことが国際的な常識になったとき
 に、何らかの制約を必要とするのではないかという問題は起こり得ますけれ
 ども、今日では条約の問題にはならない、こういうふうに考えております。」

 亀田得治 「そんな条約論を私、言っているのじゃなしに、条約があろうが
 なかろうが、加盟しておろうがおるまいが、現にそういうことが行なわれて
 おるということがはっきりしたならば、これは憤慨するのはあたりまえなわ
 けでして、そういう立場から、日本政府としても検討してほしいということ
 なんです。」

今国会で議論された内容は当時とはまったく異なります。たとえば、衆院外務委員会(2009年05月08日)では、民主党の質問は次の通りです。

 鉢呂吉雄(民主党) 「今日は、核軍縮のみならず、クラスター爆弾、クラ
 スター弾の禁止条約もございまして、この種の軍縮に日本が先頭的な取り組
 みを、ぜひ中曽根外務大臣が果たしていただきたい、このように冒頭申し上
 げさせていただきます。」

鉢呂はたったこれだけです。「米軍の日本国内持込お構いなし」と答弁する中曽根外相に「軍縮に先頭的な取り組み」など期待できるはずがありません。

 篠原孝(民主党)「クラスター弾が、僕はよくわからないんですが、日本は
 海岸線が長い、海岸線の防衛について絶対必要だと。何でそんなこと、地雷
 と違うし、置いておくわけじゃないし、どうやって使うのかなというのが漠
 然としてよくわからないんですが、仮にこのクラスター弾が日本の防衛に絶
 対不可欠だとしたら、これを全面的に禁止、廃棄する、使用しちゃいけない、
 生産しちゃいけない、みんな何でもいけないとなると、安全保障上問題が出
 てくるんじゃないかと思います。
  このクラスター弾の廃棄と、クラスター弾にかわる兵器をちゃんと用意し
 て、日本の安全は大丈夫だという、この兼ね合いは一体どういう感じで動い
 ていくんでしょうか。」

篠原の質問はまるで自民党の質問のようです。40年前の亀田のような人道に対する信念からの質問ではありません。「僕はよくわからない」を連発して、質問に立つにあたっての準備不足も明らかです。政府答弁を引用する気になれませんので 省略します。自民党の質問になると、代替兵器はあるのか? アメリカを怒らせることに ならないのか? 程度の質問ばかりで、軍縮という考えはまったく出てきません。

 木原稔(自民党)「クラスター弾廃棄が我が国の防衛に及ぼす影響に関する
 認識を再度お伺いしたいんですけれども、何か広域の制圧能力を代替装備品
 で補うことができるのかどうか、クラスター弾廃棄に伴う我が国の抑止力低
 下を補うための政策を何かお持ちであるのかどうか、防衛省にお伺いします」

 防衛省防衛政策局長・高見澤將林 「我が国の防衛に遺漏なきを期すという
 観点から、できるだけ早くこのような機能を補完する、全部ではございませ
 んけれども、一部補完するための精密誘導型の装備品の導入をするでありま
 すとか、あるいは迅速に大量に攻撃できるような、そういった発射機能にす
 ぐれた、火力を集中できるようなシステムを整備するというようなことが重
 要になるというふうに認識をしております。」

 木原 「現在日本が持っている四種類のクラスター弾の合計は、これは装備
 の段階で二百七十六億円ということでありました。廃棄のための調査費とい
 うのが、これが二億円もうついております。実際の廃棄に係る費用は、これ
 から算出することになると思いますけれども、二百億円ぐらいかかるのでは
 ないかと言われております。
  代替兵器の導入の予算というのは、もうこれも平成20年度の補正予算で約
 60億円、21年度の予算では6億円ということで、代替兵器導入について準備
 は整いつつある状況ではないかと思うんですけれども、今年は防衛大綱の見
 直しの年でもありますが、そういった防衛力の低下、または、それを補完す
 るものということ、そういったことを総合的に考えた上で、今回の防衛大綱
 及び中期防の見直しの中でクラスター弾廃棄を踏まえた議論を行うべきだと
 感じておりますが、その辺、御見解はいかがでしょうか。」

 高見澤 「御指摘のとおり、平成20年度の補正予算におきましては、精密誘
 導能力を有する装備品ということで、M31ロケット弾あるいはレーザーJD
 AMというものを導入し、それを21年度予算でもお願いしているところでご
 ざいます。
  これからの戦い方というのを考えますと、戦闘様相も変化してまいります。
 そして装備体系の変化も必要でございますので、私どもとしては、ネットワ
 ーク化、つまり、情報をできるだけ迅速に集中してそれを有効に活用してい
 く、それで、しかも精密誘導能力を持つものを持って効率的、効果的に対応
 していくというようなことを考えております。」
 
 木原 「精密誘導弾というお話が出ましたが、これはピンポイントで目標の
 攻撃を行うことができるというもので、いわば点の攻撃であります。クラス
 ター弾というのは、これは面の攻撃だったわけでありまして、したがって、
 防衛力の低下というのは、これはやはり免れることができないわけでありま
 すので、しっかりとそれにかわる、補完すべき予算の獲得と、また装備の配
 置というものをしっかりと行っていただきますように、よろしくお願いいた
 します。この条約に関して最後の質問になるんですけれども、米軍の日本国
 内でのクラスター弾の保有、また日米共同演習などでは使用は可能なわけで
 あります。その認識でいいのでしょうか、確認のためお伺いします。」

 外務大臣・中曽根弘文 「米国はこの条約を締結しておりませんが、米軍に
 対しましてこの条約の義務が課されるということはないわけでございます。
 この条約は九条におきまして、締約国に対し、この条約が禁止する活動であ
 って、自国の管轄または管理の及ぶ範囲にあるものを防止し、及び抑制する
 ため、あらゆる適当な措置をとるよう求めているわけでございますが、米軍
 によるクラスター弾に係る活動はこれに該当いたしませんので、我が国はこ
 の活動を防止し、また抑制する義務を負っているわけではございません。」

木原は「クラスター爆弾の廃棄=防衛力の低下」との前提で質問していますが、クラスター爆弾は人畜の殺傷を目的にしており、装甲車などを破壊する能力はありません。それを誘導弾で代替するということは、クラスター爆弾の廃棄を口実にして、防衛力の強化を図ったと考えられます。

このような憲法軽視、条約の理念無視の議論を支えているのが、マスコミの論調です。2009.6.1読売新聞は<クラスター禁止 安全保障上の代替策を探れ>と、条約の理念に逆行する社説を掲載しました。(以下引用)

 人道的見地による軍縮は必要だが、安全保障を損なうのも困る。(中略)問
 題は代替兵器だ。条約案の対象外となる目標識別能力付き最新型爆弾は、ピ
 ンポイント攻撃には適しているが、広い範囲を攻撃し、「面を制圧する」こ
 とはできない。

 島国の日本にとって重要な、敵部隊の上陸を阻止する効果は小さいという。
 完全な代替兵器を探すのは簡単ではない。米軍との防衛協力を含め、戦術面
 の見直しなども検討する必要があるかも知れない。(引用終わり)

「戦術面を見直して、誘導弾を購入する」とは、専守防衛を敵の基地を叩くことにまで拡大解釈するということにならないでしょうか? 敵の基地攻撃までも専守防衛というとは思えませんでしたが、2009年04月27日参院「北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査委員会」において、官房長官・河村建夫は次のように答弁しています。

 政府は従来から、日本にとって急迫不正な侵害が行われる、その手段として、
 我が国国土に対して誘導弾等により攻撃が行われたような場合、そのような
 攻撃を防ぐのに万やむを得ないような必要最小限度の措置をとること。例え
 ば、誘導弾等の攻撃を防御するのに他の手段がないと、こういうような場合
 に敵の誘導弾基地をたたく、このことそのものは法理的には憲法が認める自
 衛の範囲に含まれると、こういう解釈、こういう考え方を取ってきておりま
 す。

防衛省はクラスター爆弾で敵の上陸を阻止する作戦だったが、禁止になったので、敵が上陸するような事態になる前に、誘導弾で敵の基地を叩くという作戦に切り替えるというわけです。それでも専守防衛だという。さらに、条約を批准しても、政府は米軍に日本国内で持ち続けることを認めるという。「まずは景気だ」ということで組まれたはずの補正予算が新たな兵器の調達に使われているし、ニュース報道とはまるで違う、防衛省、防衛族の焼け太りの構図が、はっきり現れています。

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