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ダイオキシン中毒(カネミ油症)コミュの環境に広がる内分泌撹乱物質 何をするべきか? 2

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第5章
内分泌撹乱物質から環境を守るのに
どんな施策が必要か?


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以下の評価(アセスメント)は、これまでの法規制が実際にどう運用されているか、そこに何を追加すればよいかを分析した結果に基づいている。問題が多面的だし、関係する物質が色々あって環境に入り込む可能性のある経路も様々であるため、社会の各分野が関わってくる。

<第1節>リスク評価と環境基準(EQSs)*
環境にとって最もリスクの大きな物質に努力を集中できるよう、比較対照して優先順位をつけるための視点が不可欠である。化学物質を適切に管理するため、どの物質の危険性が相対的に高いのかがよくわかるようにすべきなのだ。これまで慣習的に行われてきたリスク評価の方法は、化学物質にさらされる度合とその影響の強さに関する情報に頼ってきた。ところが内分泌撹乱化学物質は多くが信頼できる情報を欠いているので、正しいリスク評価を実施するのが難しい。従って、相対的な優先順位が適切かどうかは、常にその時点の情報に基づいて判定しなければならない。また優先順位のリストを定期的に見直して、新情報が入るたびに改訂していく必要がある。ある化学物質に内分泌撹乱性があるかどうかを決定したり優先順位を付けたりする際の評価基準を確立するため、環境局は環境運輸地方省などの機関と協同で仕事をしている。この作業は、次に必要な施策を決める際に欠かせないだろう。

* environmental quality standards、環境の質に関する基準。

最近開かれたオスロ・パリ委員会(OSPAR)の会議で、危険物質対策の改訂が承認された。これによって優先取り組みリストに内分泌撹乱化学物質が入ることになった。98年に開かれる閣僚会議で最終合意する予定である。試験管実験と生体内実験でわかった影響の報告をもとに、内分泌撹乱が知られている物質を分類し、すでに暫定的なリストが作られている。優先順位を決めるには、これらの物質を相対的にリスク評価する作業がさらに必要になる。
環境局の調査にもとづいて優先カテゴリーに入れようと提案のあった物質を 表2 に示した。この表は取りあえず優先順位を査定してみたもので、現在進めている作業の結果が出れば改訂の必要が出てくるだろう。これらの物質をリストに入れた理由はいくつかある。内分泌撹乱の報告がある化学物質は、すでにEC法や各国間の取り組み、環境危険物質の規制にとりあげられたり、施策が提案されたりしている。ただしこれらは、ほとんど内分泌撹乱性以外の理由で施策の優先順位がつけられているので、内分泌撹乱効果の証拠が出れば、将来その基準を見直したり、必要な管理方法を考えたりすることが求められる。

その他、環境局後援の最新研究で得た証拠に基づいてリストにいれた化合物(アルキルフェノールとステロイド類)がある。また、環境やヒトの健康に影響があるという一般的な懸念から入れたもの(フタル酸化合物類やビスフェノール類)もある。環境局は、内分泌撹乱物質の優先順位をどのように決めたらよいか、優先リストにはどのような種類の化学物質をいれたらよいかについて、ご意見をいただきたいと考えている。

優先物質の暫定環境基準を至急に仕上げることが必要である。環境の有効利用を確保し野生生物を保護するため、どんな被害防止策や管理方法を追加すればよいかを査定するのが環境局にとって絶対必要な仕事である。一部の物質については何年も前から環境基準があったが、これが今でも有効かどうかは、内分泌撹乱物質の影響に関する新しい情報とつきあわせて、もう一度調べなおす必要がある。他の物質にはまだ環境基準がなく、情報が不十分であり、調査をしていない。環境基準をほかの物質にも広げるには、それを支持する情報がまず必要である。リスク評価と環境基準の設定が今どんな状態にあるかを、優先物質のカテゴリー別に考察して以下に示す。


ポリ塩化有機化合物*
ポリ塩化ビフェニール(PCB)類は、もうイギリスでは生産・使用が中止されている。しかし(特に電気)機器のうちにはPCB類を含むものがあり、いまも使われていることがある。そうした機器が廃棄されると、含まれている物質をリサイクルするための手間が必要になる。いまPCB類が環境に残留しているのは主に、時とともに汚染が蓄積され、分解されにくいことによる。環境汚染の発生源として考えられるのは、電気機器の不適切な廃棄、機器のトラブルによる漏出、廃棄場所からの揮発、下水汚泥への堆積、不完全な焼却などだ。PCB類は生体に蓄積し、食物連鎖によって拡散する可能性があるので、この種の残留物は重大な意味をもつ。特に不安なのは海洋環境で、鳥や哺乳動物の組織がPCB類を取り込むことが分かっていて、生態系に与えるさまざまな影響の報告とPCBの存在とが結びつけられている。
*ポリは多数の意味。塩素がいくつもついた有機化合物。

イギリスと北海沿岸諸国は90年の第3回北海沿岸国際会議で、PCBを含有する機器も含めて、残留しているPCB類で検出可能なものを段階的に削減・廃棄することに合意した。PCB類の段階的削減と廃棄は、EC法(EC指令 96/59/EEC)* の要請事項でもある。イギリス政府は、その後 97年3月に PCB対策計画を発布した。工業プロセスから環境に排出しているものについては環境局が規制しているが、報告によれば今はかなり低いレベルとなっている。
*環境に関するEC法とEC指令については、エルンスト・ワイツゼッカー 『地球環境政策』(有斐閣)に詳しい。
一般にECはEUに改称されたとされるが、ECの機構はEU内部にそのまま受け継がれて残っている。

しかし環境局は、環境排出量を着実に減らしていくため、現在行っている排出防止と管理の手法を継続する予定である。個々のPCB化合物(同族体* )には正式な環境基準(EQSs)がない。200種類以上のPCB同族体を相対リスク評価する研究に、いま環境局は資金提供している。積もり積もった汚染から環境を回復(レメディエーション)させるときに、何を優先物質にするか決める上でこの仕事は重要である。また環境に存在するPCB類の移動やその後の変転・影響について、的確なモニタリングと調査プログラムを継続し、知見を改善するつもりである。
*正確にいえば、PCBには10の同族体(同一の化学式をもつ)があり、それぞれが多数の異性体に分かれ、全部で209種類ある。ダイオキシン類・ジベンゾフラン類についても同様。

「ダイオキシン」 と呼ぶ一群の化合物は多様な同族体(約210種類)を含み、75種類のポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン類と135種類のポリ塩化ジベンゾフラン類からなる。環境局とその前身団体が資金提供して、大気・土壌・水域への放出を最近調査しなおしたところ、広範囲の発生源からダイオキシン類が少量ずつ出ている可能性のあることがわかった。中でも都市ごみの焼却場が重要であった。96年12月から都市ごみ焼却場に新たに導入した厳しい排出基準によって、この発生源からのダイオキシン排出は顕著に減少するだろう。ダイオキシン同族体について正式な環境基準値はない。しかし、汚染地域を原状回復させる方法を決めるとき、その目安になる評価レベルを出すための研究が続けられている。環境リスクに基づいて環境基準を設定する際の優先順位を査定するため、環境局は支援業務を継続する予定である。
農薬
農薬は種類がかなり多く、よく研究されている化学物質群である。イギリスでは350種類前後の活性成分が使用を認可されている。数多くの実験やフィールド研究から、いくつかの農薬について内分泌撹乱の証拠があがっている。
この報告書の目的からすると、農業用薬剤を2群に分けて考える必要がある。第1群は現在使われているもので、環境基準の体系による認可手続きが管理の基本的な仕組みになっている。第2群は認可が取り消されているが環境に残留しているもので、環境基準の設定されているものもある。

農薬の認可は5つの省が扱っている。独立の農薬諮問委員会(Advisory Committee on Pesticides) が助言を与える環境運輸地方省・厚生省・農水省もその中にふくまれる。認可手続きには環境局が加わるが、生殖研究をふくむ広い範囲のデータを考慮して行われる。EC指令の要請事項により、認可基準の数値が広範囲にわたって決められている。EC植物防疫製品指令に基づき、農業用薬剤のあらゆる活性成分をメンバー諸国がいま見直し中である。哺乳動物が受ける毒性の見直しには、オス・メスの生殖機能に影響する可能性や誕生前後に影響を受ける可能性が含まれている。環境毒性については、各生物がさらされる度合に応じてどんな影響が出るか、多種類の生物を対象として生殖機能の研究を要求することもありうる。内分泌撹乱効果を検出するために行う生殖機能の研究は慎重を要する問題であって、研究結果に照らして農薬諮問委員会が見直し作業を続けることになっている。

有機塩素系農薬にさらされたとき、野生動物が生殖機能に受ける影響については、農薬の種類によって文献が多数ある。環境局は「第1表」有機塩素系農薬の定期的な環境モニタリング・プログラムを継続している(「第1表」にはDDT・ドリン類・リンデンとして知られるヘキサクロロシクロヘキサン<HCH>が含まれる)。このプログラムは、「第1表」有機塩素系農薬の濃度が淡水域・汽水域でEC 危険物質指令(76/464/EEC)とその下位にある諸指令の要請事項を満たすよう監視している。大抵は環境基準を満たしていて、検出限界よりも低い場所がほとんどである。しかし、特にリンデンに関しては局所的に突出しているところもある。これは輸入羊毛の処理で生じた汚染の結果である。「第1表」農薬は現在使用されていないが、リンデンは例外的に限定使用が認められている。環境モニタリングによる証拠から、これらの物質が一般にだんだん減っていることが示されている。しかし環境で分解しにくく、動植物に蓄積されやすく、食物連鎖で濃縮されやすい性質があるため、懸念があることに変わりはない。確実にこの環境基準を満たすよう、環境局は調査と施策を続ける。

その他、内分泌を破壊する農薬が多数あると報告されている。しかし証拠は実験室で得られたもので、環境への影響を判断するのに使える情報は大変少ない。被害防止や管理の優先リストに載っている農薬もいくつかある。そこには政府のレッドリストも含まれるし、オスロ・パリ会議や北海沿岸諸国閣僚会議を通じて確認された物質も含まれる。EC 危険物質指令 「第2表」 物質に対する要請事項をイギリスの法令に移し入れるため、政府は最近その内容を諮問した。環境基準値の提案リストには、内分泌撹乱性があるかもしれないと報告のある農薬がいくつか含まれている。内分泌撹乱も含め、ありとあらゆる毒性効果を環境基準で確実に防止し続けようとすると、最新の科学データを常に見直すことが大切になる。これら優先物質が、基準や目標数値を満たしているかどうかを評価し一般的な動向を見極めるため、環境局は国家的な監視プログラムを継続する。

トリブチルすず(TBT)は新しく規制する「第2表」農薬の一つ。海産の軟体動物に見られる生殖器などの異常から、環境基準値がはじきだされた。25メートル未満の船に防汚塗料成分として使うことが87年に禁止されて以来、TBT の環境濃度が低下している証拠がある。(カキやヨーロッパチヂミボラなどの) 軟体動物の個体数も徐々に回復しつつある。しかし、これより大きな船舶にはTBT塗料が依然として使われている。船体を洗ったり塗り替えたりする時にドックから、また船体から直接流出するので注意が必要である。TBTは環境基準が指定されている物質なので、「統合的汚染管理」(IPC)に基づく規制が必要なドックもある。TBTの環境放出をどのように防いだらいいのかについては、産業界で議論されて来た。防汚剤に代わる製品を開発して使うのか、それともドックで用いる技術を改良するのか。TBT の環境排出を発生源で防ぐのに、どんな施策をとることができるのだろうか。これについてご意見を歓迎する。

羊を洗う(洗羊する)際の農薬使用とそれに続く羊毛加工は、監視を続ける必要がある。洗羊に使う殺虫剤ダイアジノンが環境基準を越えたという報告が、95年に最も多かった。おもにこれは羊毛加工を行う繊維工業と関係がある。しかし高地でも検出されているのは多分、農薬の使用法と洗羊廃水の捨てかたに誤りがあるためだろう。ダイアジノンやクロルフェンビンホスなどの有機リン農薬には内分泌撹乱の報告がある。洗羊に使う量が減っているのは、職業上の健康問題に関心が高まってきたことと、合成ピレスロイドを成分とする殺虫剤が代替として使われるようになりつつあることによる。合成ピレスロイドは水生生物に対して高い毒性を持つため、水環境に重大なリスクを与える。内分泌撹乱が報告されているものもある。この化学物質は環境での寿命が長いが、それがどんな影響を及ぼすかほとんど知られていない。新しい環境基準を設定し既存の基準を見直すときだけでなく、農薬の代替製品をスクリーニングするときにも、内分泌撹乱効果について的確な情報があれば検討対象とするべきだろう。


アルキルフェノールおよびアルキルフェノール・エトキシレート
アルキルフェノール類 (APs) とアルキルフェノール・エトキシレート類 (APEs) には工業用途が色々あり、環境への排出経路もさまざまである。APEs は繊維類の製造過程で使う合成洗剤に含まれるが、羊毛を洗浄した廃水の汚染が認められたために、APEs の使用は特に憂慮される問題となってきた。APEs は試験管内でも生体内でも疑似エストロゲン作用を持つことが証明されている。下水処理の過程や環境で APEs は分解してもとの APs になる。APs は APEs より毒性が強く、エストロゲン活性が大きい。旧イギリス河川庁(National Rivers Authority)は、自主的に羊毛洗浄の APEs 使用を中止する旨の協約を繊維製造業者から得た。羊毛の洗浄過程を担う大多数の業者はこの協約を守り、現在では他の洗剤を使用している。羊毛の洗浄過程は「統合的汚染管理」 (IPC) の対象になっている。環境局は河川の水質対策が効果をあげているかどうかを評価するため、監視プログラムを継続する。
APEs とその分解生成物の環境影響を憂慮し、92年のパリ会議でイギリスと参加各国は協定を結ぶに至った。協定によると、ノニルフェノールとその関連物質すべての環境排出を減らし、2000年までに各物質の工業使用を段階的に廃止する。ノニルフェノールの正式なリスク評価は(環境局内の国立環境毒物学・危険物質研究センターに移設されてまもない)化学物質アセスメント部が現在おこなっている。「既存物質規制」(Existing Substances Regulation) に上がっている物質を見直す計画の一環として、イギリス政府を代行して実施しているものである。ヒトと野生生物がノニルフェノールにさらされる可能性のある経路はすべて検討しているし、報告されている影響は全部考慮に入れている。影響の原因がノニルフェノールにあると認められた場合、その色々な用途についてのリスク評価をさらに検証する必要があるだろう。

環境局は、ノニルフェノールに環境基準値を設定する研究にも資金提供を行った。この研究では、環境毒性学による通常の実験結果だけでなく、ノニルフェノールとその誘導体の疑似エストロゲン効果に関する既出の文献も見直してみた。魚類に疑似エストロゲン効果を及ぼすことが知られている最低濃度よりさらに低い濃度で、魚類の成長率抑制などノニルフェノールの毒性を示す各種の影響がみられた。そのため、水生生物を疑似エストロゲン効果から守るだけでは十分ではないので、疑似エストロゲン効果をもとに環境基準を提案することはしなかった。オクチルフェノールなどの物質はノニルフェノールに近い系統にあり、環境に対して同等の影響を持つかも知れない。環境基準設定の可能性を検討するために、これからの研究が計画されている。


フタル酸化合物
フタル酸化合物は、様々な商品やペンキ・インク・粘着剤に可塑剤として広く使われている。したがって、その製造・調合・使用によって環境に出る可能性のある経路は多岐にわたる。動物実験でフタル酸化合物には生殖系に異常をもたらす証拠があるが、環境に与える影響はほとんど知られていない。
各種のフタル酸化合物に環境基準を設定しようという研究が旧・環境省(現在の環境運輸地方省)の資金提供によって行われたが、最終的な結果はまだ出ていない。これまでに報告のある環境影響を見直して、環境基準を提案するときの根拠にしようとしても、調査対象物質の内分泌撹乱効果についての情報が極めて少なかったからだと考えられる。内分泌撹乱も含めフタル酸化合物が環境に与える影響に関する最新情報に基づいて、この研究は更新する必要がある。各種フタル酸化合物のリスク評価は欧州各国によって進められている。これは「既存物質規制」に基づく現在の化学物質調査計画にも寄与するものである。対策を決定する際には、このリスク評価や他の関連情報を考慮する必要があるだろう。

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