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フルトヴェングラー批評(II)コミュの1953.10.26-11.27/ローマ/ワーグナー「ニーベルンクの指環」/ローマRAI放送響

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(EMI CZS7 671 232)

ローマで放送用に聴衆を招いて演奏会形式で収録した実況録音。

ラインの黄金:10月26日
ワルキューレ:第1幕;10月29日、第2幕;11月3日、第3幕;11月6日
ジークフリート:第1幕;11月10日、第2幕;11月13日、第3幕;11月17日
神々の黄昏:序幕と第1幕;11月20日、第2幕;11月24日、第3幕;11月27日

コメント(4)

1952年の春、RAIローマでフルトヴェングラーはワルキューレ第1幕のみの演奏会と、神々の黄昏第3幕のみの演奏会を持ち、その結果に大きく満足したと伝えられる。そこから、指環全曲を放送用に制作する企画が生まれ、明けて1953年に舞台を伴わない演奏会形式での上演として実現した。
ラインの黄金は全曲通しの一幕もので、10月26日一晩で演奏されたが、他の公演は一幕につき一晩の公演で、最終の神々の黄昏第3幕の11月27日まで、四部作全曲が約一ヶ月の間にわたって上演された。聴衆には時間厳守と風邪ひき厳禁が条件とされた。
50年スカラの指環をすでにRAIは収録していたはずで、よくもこの企画が成立したものだと驚く。スカラでは全曲舞台上演であったため、大きなカットが2カ所、細かいカットがかなりの部分にあったと伝えられる。それらが今企画の理由であったかどうか、知るすべは無い。

録音は各公演前日の午前と午後、当日午前の3つのリハーサルと、本番の公演が録音され、翌日これらのテープからフルトヴェングラーとディレクターが放送用テイクを選んだ。
編集されたテープはその後ディスクにコピーされ、保管された。

フルトヴェングラーの死後、EMIはRAIと交渉に入り、すでに存在するワルキューレ以外の3つの楽劇を発売しようとしたが、RAIは4部作すべてを一括することを主張し、企画は頓挫した。
また、ヨーゼフ・グラインドルとヴォルフガング・ヴィントガッセンの二人が、当時グラモフォンの専属であったため、DGとの交渉にも大きな時間を要した。結局フルトヴェングラー未亡人の懇願により、やっとDGから発売の許可を得ることになる。
しかし、この時点ではEMIでは発売を見送る気分に支配されていた。この雰囲気が変わるのは、フィリップスがこのRAIの指環の発売を決定した時で、1971年末であった。

EMIではRAIのディスクから再びマスターを起こし、イコライジング等を施し、ついに1972年、世界各国のEMI系列から販売され、巨匠の指環全曲が正規盤として公になった。
EMI ミュージック ジャパンからリリースされたSACD、TOGE11037をボーナスを待って入手しました(^^;)
これは良かったです、驚きました!
輸入盤CDが4000円を切って入手できるところ、今さらこんな大金を払うのに、相当の覚悟とボーナス支給が必要でしたが、付録の冊子を読みたいとか、いろいろ言い訳をつけて、清水の舞台から飛び降りるつもりでレコード店のレジに運んだ手は、きっと震えてたに違いありません。
ああ、報われた〜(*^^*)
TOGE11037の解説には、サイモン・ギブソンにより以下の内容が記されています。
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イタリア放送協会がEMIのためにこれらの録音のテープ・コピーを作成したのは1972年でした。EMIのアーカイヴには数セットのテープがありますが、我々は、イタリア放送協会から送られた最初のセットを用いることを決定しました(このセットは1990年にこの《指輪》がCD用にリマスターされた際には使われていません)。この決定にはいくつかの理由がありますが、そのすべては音質に関わるものです。これらの「オリジナル」テープは、1990年のリマスターで使用されたものよりも、高域成分の豊かな、ずっと広がりのある音質を持っており、声についても管弦楽についてもはるかに良い広帯域にわたる音を提供できると思います。
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ところが初出LP東芝AB-9601Rのリーフレットにはピーター・アンドリューにより、
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・・・LP盤のもとになったコピー・テープはイタリア国立放送所有のメタル原盤であり、これらのテープを後にLP用に編集したものである。原盤の音質にムラがあったが、ロンドンのEMIスタジオで改良を行った。
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と記されています。
さらにポール・J・ミンチンのテキストには
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・・・1959年に、指揮者の未亡人エリザベート・フルトヴェングラーは、ローマで、RAIの事務局からリング全曲のディスク一組を贈呈された。・・・中略・・・1959年にエリザベート・フルトヴェングラーに贈られた一組の原盤を用いて、[ラインの黄金]のテープが編集された。その間の年月における或る傾向に支配されるけれども、レコード会社の技術家がオリジナルな金属部品から新しいヴィニール・プレスに切ることができることを心にとめて、綿密に編集するなら、すばらしい音を実現できるという確信は充分であった。
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とあります。
(続く)
(承前)

私が気にしているポイントは、何故今回のリマスタリングは金属原盤に遡って行われなかったのか?ということです。
そこで、あらためて上記のテキストを読み直すと、金属原盤からの音源採取がEMIによって行われたとは一言も書かれていないことに気づきました。また、未亡人に一組の全曲セットが贈られていますが、これが金属原盤であるとは記されていません。
これまで私は未亡人に贈られた「金属原盤」を元にしてEMIが「板起こし」したものと考えていたのですが、ひょっとしたら、これこそが誤解で、金属原盤は未だにRAIにあり、RAIが「板起こし」して作ったテープをEMIに提供し、これをマスターにしてイコライジングを施し、初版が刊行され、またCDでのリマスタリングが行われてきたのか、と、考え直した次第です。

すべて推測ですので、制作現場とコンタクトの取りようがない私人の推論でありますが、ともかく、今回のSACDリリースは、他のRAIパデレーニ音源とは一線を画す素晴らしい音質で、ほんとうに感激しました。

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