日本人の心の歴史コミュの【文献紹介】日本の詩歌

和歌，俳句に代表される詩歌は，日本文化の清華です。古来，日本文化の伝統を究めんと志す者は，まず，和歌，俳句などの詩歌に沈潜しました。

このトピックでは，和歌，俳句に限らず，漢詩，歌謡，現代詩なども含めて，古代から現代まで，通時的に，日本の詩歌に関する文献を紹介してゆきます。

既読，未読を問いません。

著書名，著者，出版社名は最低限，挙げてください。

内容の紹介，感想等にも触れていただければありがたいです。

コメント(2)

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[1] mixiユーザー 05月20日 09:03

簡野道明講述「和漢名詩類選評釈」(明治書院)

「甲寅の春より，夏に渉り，虚舟先生病を伊豆の修善寺に養はるるや，予等かはるがはる湯薬に侍す。先生，病閒無聊，日夕予等の為めに和漢古今の詩を講述せらる。予等随つて聴き随つて筆し，其の稿本積みて堆を成せり。偶明治書院主人来り省し，一見して曰はく，此の如き好書，独り二三子をして私せしむるは惜むべし，若かず公行して遍く天下の士子に嘉恵せんにはと。先生も亦敢て拒まず，排簒繕写して剞劂に付せしめらる。これ此の書の世に出づる所以なり。・・・
先生最も気節を尚ぶ，故に勤王志士の詩の如き，苟も立懦廉頑の資たるべきものは字句の閒微瑕ありと雖もこれを捨てず，先生人物において許可するところ少し，然れども時に趙松雪，銭齋輩の詩を採るものは，蓋し所謂人を以て言を廃せず・・・の意なるべし。・・・
近時学風軽佻，青衿読むところの書，晦淫の綺語にあらざれば，多くは街談巷説の閒文字のみ，士気の日に萎●して，習俗の月に汚下に流るるは，決して偶然にあらず。大廈の将に顚れんとするや，一木の支ふるところにあらずと雖も，区区たる此の巾箱の書も，幸に家家に流伝して，人人の吟誦するところとなり，知らず識らず感憤興起の資となり，移風易俗の一助ともならば豈啻に編者の欣幸とのみ言はんや。　大正三年孟秋　編者識」(例言五則より)

[2] mixiユーザー 05月06日 11:01

山本健吉編「日本詩歌集　古典編」（講談社）

「日本の詞歌集を選びたいとは，私の長い念願で，昭和３４年には，平凡社のある叢書の一冊として，同名の書物を編んでいる。忽卒の編纂で，意に充たないことも多かったが，絶版となって久しく，再刊を望む声も聞えた。ことに故福原麟太郎氏は私に逢うたびにそのことを言われた。もともと私は，英国のゴールデン・トレジュアリやオックスフォード詩選などを頭に置いていたから，英文学者の福原氏にある程度の満足を与えていたのではないかと思う。記・紀・万葉以来の日本の詩歌を，国民のものにしようという願いに発したもので，私はたとえば誰々選と名乗った詞歌集のような，個の好みで一貫したものより，もっと幅広い嗜好に執し，場合によっては私の個の嗜好は捨ててもよいとした。日本の詞歌集としてはそれがまず必要で，個々の詩人の自分の好みによる先週は，それらの人々に委ねればよい。私は稿を改めての今度の改訂でも，出来るだけ幅広い集積の中から，選択は読者自身の自主性にまかせればよいとした。」（「まえがき」より）

編者は１９０７年生まれの文芸評論家。こうした東西の古典を自己薬籠中のものとした「文人」がかつては何人かいて，ご意見番よろしく睨みを聞かせていたのが，最近は，こうした人をとんと見かけなくなりました。

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