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混沌図書館 深淵書庫コミュの艦橋のエインヘルヤル 11話

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【バァル星系外縁部、転送門宙域戦4】
 その場に現われたのは…。

『左舷海賊艦隊中央で広域殲滅弾数発が炸裂』
 AIの報告。
『重戦闘艦大破。護衛艦1から9、撃沈を確認』
 俺はその報告に思わず唖然とする…。助かったとかそう言ったレベルじゃない衝撃。
『未確認艦、重戦闘艦に攻撃。撃沈。左舷海賊艦隊、消滅』
 爆光の中に浮かび上がる白い艦影。流線型をしたデータに無い機動戦闘艦…。

 俺は、あの艦を知っている…。

『未確認艦、移動を開始。右舷海賊艦隊へ』
 仲間の惨状に驚いたのか、攻撃の矛先を俺達から未確認艦へと移す海賊艦隊。高速で接近する未確認艦に向けて砲撃を加え始めた。
 だが未確認艦は海賊の放った弾幕の全てを凄まじいまでの機動力で回避する。
『未確認艦。右舷海賊艦隊に攻撃』
 ビーム砲による攻撃、だがその直前に海賊艦隊はA・B・Pを放出、防御膜を形成する。しかし…。
『未確認艦。A・B・P散布地帯に突入、突破』
 そして一番近くに居た重護衛艦の側面へ艦首が突き刺さるような近距離で急停止。

 海賊の重護衛艦に搭載されているAIは判断に迷った。
 先程まで前方に居た筈の目標艦が一瞬にしてA・B・P散布地帯を抜けたかと思うと、何故か『自分』の横っ腹に艦首が突き刺さんばかりの距離で停止しているのだ。
 『自分』に搭載されているビーム砲を旋回させて撃てば回避される事無く命中させる事が出来るだろう…。しかしその前に相手が撃てば…?
 旗艦に乗っている『自分達』の『所有者』から下されていた命令は『敵艦の殲滅』…。コンマ数秒悩んだ結果、AIはその命令を守ろうと砲を敵艦に向けて旋回させようと…。

『未確認艦、重護衛艦を攻撃。撃破』
 殆ど零距離から護衛艦の横っ腹に向けて撃ち込んだビーム砲による攻撃。重護衛艦の誇る分厚い装甲であろうとも、近距離からの一点集中攻撃には紙切れ同然であった。
 爆光に包まれる護衛艦。未確認艦は既に次の目標の横っ腹に先程と同じように張り付いている。

「な…!!!」
 右舷艦隊を指揮していた悪党Aは、目の前で繰り広げられた信じられない敵艦の動きに驚愕していた。
 ついさっきまで仲間と共にカモとなった艦隊をいたぶっている最中に、突然現われた一隻の機動艦によって仲間が指揮する艦隊が消滅…。そして次に自分の艦隊が襲われて重護衛艦一隻が瞬時に沈められたのだ。そして新たな獲物に選ばれた次の護衛艦が攻撃を受けようとしている…。
 彼は迷わなかった。
「敵艦に向け全力で攻撃!護衛艦ごと沈めろ!」
 その命令に忠実に従う海賊艦隊。仲間の護衛艦と、それに張り付いている敵艦に向けて攻撃を開始。
『未確認艦、高速離脱』
 だが既に艦隊による攻撃は止められなかった…。仲間の砲撃によって撃ち抜かれる護衛艦の装甲。一瞬のタイムラグの後、味方からの攻撃を浴びた護衛艦は爆光の中に消え去った。
『護衛艦撃沈。未確認艦、本艦に急速接近』
 悪党Aの乗る重機動戦闘艦の目前に突如湧いたように現われる未確認艦。そして置き土産を一つ残して離脱する…。
「なっ!?」
 重機動艦の艦橋の真ん前にポツンと浮かび、ゆっくりとこちらに向かってくる物体…。悪党Aがその正体に気付いた時には既に手遅れだった。


『広域殲滅弾炸裂。右舷海賊隊消滅しました』
 眼前の宙域が巨大な閃光で覆われると同時にクリューデアビス?とアクリスに通信。相手は未確認艦からである。
『…えー、とりあえずは無事な様子じゃな?』
 聞き覚えのある声と口調。
「「ウ…、ウェスタナ!?」」
 俺とヘリントンの声がハモった。

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