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混沌図書館 深淵書庫コミュの艦橋のエインへルヤル 10話

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【バァル星系外縁部、転送門宙域戦3】
 連戦、海賊に囲まれ…。

『後方のヘリントン隊護衛艦、敵艦隊に追いつかれました。戦闘を開始』
 指揮艦であるヘリントンのアクリスに合流しようと移動させていたヘリントン隊護衛艦5隻が海賊に追いつかれた。AIの報告どおりに戦闘が開始された模様。
 戦闘の様子が護衛艦からこちらに伝えられる。後方に展開した海賊の数は7隻…。どうやら機動戦闘艦を中心とした足止め編成のようである。
「へーちゃん、後ろの護衛艦、耐えられそうか?」
「いや、かなり不利…」
 俺は正面からこちらに向かってくる海賊艦隊を迎え撃つ準備をしつつも後退を始める。護衛艦の救援には間に合わないが、せめてヘリントンとの合流は成功させておきたい。
『正面敵サーチに成功。右舷敵艦隊構成、重護衛艦5。重機動戦闘艦3。…左舷敵艦隊構成、重戦闘艦1。軽護衛艦9』
 AIの報告。正面2方向の海賊は長時間の戦闘を想定した艦隊構成…。
「う〜ん、こっちも最初の戦闘で大分消耗してるからなぁ…。下手に資金が潤ってる海賊ほど厄介な物は無いな」
 先に使い捨て同然の分艦隊で消耗させておいてから本隊による本格的な攻撃…。これが会戦などのイベント戦闘ならこちらも味方が多い分どうとでもなるのだが、個人戦闘だと流石に自分達の力で乗り切らないといけない。
「撤退するにも後ろ押さえられてるしな」
 ヘリントンはそう言って微速でこちらに向かいながらも神罰砲のチャージを開始している。照準が合い次第ぶち込むようだ。
『前方敵艦隊。密集隊列。…A・B・P散布を確認。散布濃度はA+』
「… … … …」
 AIの報告。うん、やっぱりそうだよなー。さっきの戦闘でこっちの戦法なんか筒抜けだよ。
「へーちゃん、効果薄くなるけどぶち込むならコマンドリンクで情報送るよ?」
「ああ、頼む。散布地域抜けるまで援護ぐらいしか出来ないけど」
 了承を得、再びヘリントンと艦隊を組む。そして情報を元に照準を合わせて神罰砲を発射するヘリントン。
『左舷艦隊、重戦闘艦に命中…。A・B・Pによる減退率高。ダメージは低』
 やはりビーム砲による攻撃は効果が無かった。実弾、ミサイルあたりじゃないと損害を与えられない状況…。その実弾系も先程の戦闘で残弾が限りなく0に近い…。そして海賊による攻撃が始まった。A・B・Pの壁の後ろから足を止めての巡航ミサイル攻撃。
「迎撃!」
 こちらも陣形を広げ範囲砲撃で弾幕を張る。しかし…。
『ミサイル迎撃、追いつきません。各艦自立回避運動に移行。護衛艦C、Eに直撃。損害は大破』
『続けてBに直撃。損害中破。…Jに直撃。撃沈されました』
 報告の通り爆光に消える護衛艦J…。
「くそっ、一番損害の受けている艦は?」
『護衛艦E、Cがもう持ちません』
「よし、Eを一番前に出して弾幕張らせろ」
 決断。後退させても流れ弾1発当たったぐらいで沈むのなら、他の艦を少しでも生かす為の壁になってもらおう。
『護衛艦E移動。Cが自立追随開始』
 護衛艦CのAIが護衛艦Eの僚艦としてその場に残る事を思考。最後まで戦うつもりらしい。
「むぅ」
 AIのその決断にちょっと感動…。そして俺は護衛艦C、Eをその場で固定砲台化させ、残った艦で態勢を立て直すべく急速後退…。数十秒後、集中攻撃を浴びて爆光の中に消えていく護衛艦C、Eを眺めながらもヘリントンとの合流を成功させた。
「紅夜、これからどうする?後ろでドンパチやってる俺の艦隊ももう持たないぞ?」
 へリントンのその言葉と共にAIが報告を入れる。
『後方へリントン隊壊滅状態。戦線維持不能。撤退させますか?』
 7対5と言う状況でよく持った方だ。せめて動ける艦だけでもこちらに合流させるべきか…。そう考えていた時、へリントンが提案を出す。
「いや、逃げても追いつかれるからこのまま最後まで足止めさせよう。紅夜の護衛艦で一番持ちそうなのは?」
「今の所、Dだけが無傷だが」
「それじゃ、さっきの後退みたくDを壁にして、残り全部で後方の機動戦闘艦に突撃って手もあるんじゃね?」
 その手もあるか。そう思った時…。
『報告。後方9.0に新たな艦隊が出現』
 マジですか!?それと同時に通信。海賊達からであった。
「わははは!分艦隊が一つだけだと思ったら大間違いだぜ!」
 海賊艦隊は俺達を四方から囲み、徐々にその距離を狭めつつある…。
「あー、これまでかな…?」
 ヘリントンはそう言いつつも神罰砲を威力の低い連続発射モードで撃ちまくる。ヤケクソ状態のようだ。俺もどうせやられるならと、残った中近距離ミサイルを全て発射。撃ちつくした後はビーム砲による攻撃しか残っていない。
『敵艦隊の攻撃。護衛艦A、B大破。D、小破。F、G撃沈』
 次々と入る損害報告。こちらも攻撃を加え、多少なりとも相手に損害を与えているのだが焼け石に水状態…。そんな中、俺の艦に衝撃が走った。
『本艦に直撃。エンジン出力50%低下』
 ここまでか…。見るとヘリントンのアクリスもかなりの損害を受けて動いているのがやっとの状態…。
「わははは!それぃ!トドメだ!」
 海賊、悪党面Aの勝ち誇った笑いが艦橋に響いた。…くそぅ!復活して今度出会ったら覚えてろよ!


 そう思いつつも覚悟を決めたその時だった…。


『左舷より高速で接近する未確認艦在り。数は1』

 索敵監視AIがそう報告した次の瞬間。
『未確認艦、左舷海賊艦隊に接触』
「え…???」
 報告と同時に、巨大な閃光が左舷海賊艦隊の中心部で広がった…。

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