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混沌図書館 深淵書庫コミュの艦橋のエインヘルヤル 5話

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【カルバルーン市街、宇宙港への近道】
 ベタな荒くれ者達と…、喧嘩?


「おらぁ!なめてんじゃねーぞ!!!」
 買い物を済ませ、宇宙港へと帰る近道である細い路地を歩く俺達の前を逃げるように走り抜けた1人のプレイヤーと、すぐ前の曲がり角の先から聞こえてきた怒号…。
「???」
 俺達は顔を見合わせ、その怒号の正体を確かめる為に曲がり角から顔だけを覗かせて確認する。
「あぁ?何が『海賊魂』だ?そんなの俺達には関係ねーんだよ!」
 見れば、その先には声を張り上げてる『いかにも』な悪役面3人と…。
「お前達には誇りと言うものは無いのか?それに今時そのようなアウトローキャラは流行らないだろう?改心するが良いぞ」
 外見14〜15歳の女の子がその荒くれ相手に1歩も引かず、尚且つ相手を挑発するかの様に腰に手を当てて薄い胸を張っていた…。
「… … …」
「… … …」
 再び顔を見合わせる俺とヘリントン。
「…何だあのキャラ?」
 因みにこのゲーム、登録時に自分の年齢や性別等は《なるべく》正直に入力しないといけない。体格や髪型、年齢、顔等は自由にエディット出来るものの、性別だけは変更不可と言う妙なこだわりがある…。
 と、言う事は今現在目の前で襲われてる(?)女の子は多分本当に女の子、もしくは女性な訳で…。(サブ垢等で故意に偽らない限りの場合だが…)
「…助けた方がいい…のかな?」
 俺がそう言って現場に足を踏み出そうとした時、俺の襟首をヘリントンが掴んで引き止める。
「ちょっと待て紅夜。ひょっとしてあのキャラ、AIの可能性もあるぞ?だったら運営に記録が残る筈だし、もしも変に巻き込まれたら少し厄介なような気もするんだが…」
「それはそうだが…。しかしいくらAIでもこのゲームのAIパターンは限りなく人に近いし、それにAIだったとしても一応は女の子だ。助けるのが俺のジャスティス!」
 そう言って俺は路地へとその身を躍らせた。
「おい!止めろ!双方穏便に収めないと運営が来てアク禁食らうぞ!」
「ああ?」
 悪人面全員がこちらに振り返って俺を睨みつけた。これ以上無い位見事なガン、メンチ、因縁付けである。
「うるせーよ、関係ないヤツは引っ込んでろや!」
 リーダー格らしい1人がそう言って再び女の子に詰め寄ろうと振り返ったその時!
「えいやっ!」



『コキン!』…と、金属的な効果音が聞こえた様な気がした…。


 ちなみにこのゲーム、艦隊戦がメインだがプレイヤー同士の素手殴りも一応は可能である…。元々は相手と握手する等の機能だったのだが、数十回のアップデートを経て擬似的なストリートファイトも出来るようになったとの事。
 だが、操作するには複雑なコマンド等が必要な為に実行するプレイヤーは多くは無いが、実行して相手の設定HPをある程度減らすとダウンさせることが可能…と、説明文に書かれていたのを思い出した。


 しかし…。


「うわぁ…」
 一同唖然…。女の子の放った『蹴り』は悪党面A(仮名)の下半身を直撃。しかもクリティカル…。そしてその1撃は悪党Aをダウンさせる。
「… … …」
 確かにダウンするのはゲーム内のキャラであり、リアルのユーザーにダメージが及ぼされる事はまずありえない…、だけど…。
「…この攻撃は…、反則だよなぁ…」
 どっちかって言うと、男性ユーザーに精神的ダメージを与えかねない『金○攻撃』…。
「あ!兄貴ーーーー!!!」
「しっかり!兄貴!」
 涙目で倒れた悪党Aを抱き起こす仲間の悪党BとC…。俺とヘリントンは動けずにそんな哀れな彼等を眺めていると。
「うむ!では逃げるぞ。付いて参れ!」
 悪党Aを蹴り上げた女の子が、俺達の手を取っていきなり走り出したのだ。
「え?あっ…!ちょっ!」
 俺とヘリントンは、その女の子に引き摺られる様にしてその場から逃げ出した…。

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