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リレー小説やってますコミュの風のバトン 第二章 In the Wind 第 32 話

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品村コーチが言った。
「夏合宿でも伝えたように、東日本出場予選兼秋季リーグの出場の話だ」

ここは聖緑学院大学陸上部の部室。
その造りは、人が50人も屋根に乗れば、今にも潰れてしまいそうなプレハブだった。

集まっていたのは、トラックの選手ばかりで、しかしなぜか、野球部の谷田監督もいた。藤村のことを心配して来たのだろうか?

フィールドの選手は梶田監督とグランドにいるようだ。

「最近のお前たちは、どうも9月20日からに迫っているという秋季リーグのへの緊張感がない」

「コーチ、リラックスしてると言ってもらいたいですねえ」
風間がチャチャを入れる。

むっとした品村だったが、かまわずに続けた。

「特に女子のほうに緊張感が無い。古田コーチも心配しているぞ。まあ、それはいい。古田からも強化メニューが出されるはずだ。俺が期待してるのは男子の4継だ。バトンの練習をみっちりやるぞ」

「大丈夫ですよ、コーチ。1年主体の4継だけど、みんなバトンの練習は夏合宿からずっとやってきてます。それに、短距離走も忘れてもらっては困る」
またも、風間だ。

「いや、陸上の花形はなんと言っても4継だ。絞らなければ、スケジュールの関係もある。おまえら、野球ができないぞ?」

プレハブ内に疑問の声が上がった。

「いいか、明治神宮野球大会へも出場できるチャンスが生まれたんだ。それは、谷田野球部監督に話してもらう」

プレハブ内がどよめいた。

谷田が前に出て話したのは、およそ、次のようなことである。


今年は、WBCにもサムライ・ジャパンが優勝し、その記念大会として、明治神宮野球大会への出場枠を増やすことになった。

その条件は、東京六大学春季リーグからと東都大学春季リーグからの上位チームに勝つか、いい勝負をすることにある。

幸いなことに、我が大学以外は、この話から降りたのだ。
もっとも、品村コーチの知り合いが、神宮大会の責任者である色雛会長であることが大きくものを言ったのだ。

つまり、品村コーチのご尽力によるものだ、品村さんに感謝してもらいたい。
色雛会長の鶴の一声で決定したのだからな。

聖緑は2試合、連戦となる。陸上大会のスケジュールにバッティングしないように試合は組むが、結構ハードなスケジュールになる。

とまあ、こんな感じ。


品村コーチは激しい口調になった。

「風間、お前は言ったよな。4継でも優勝して、明治神宮野球大会でも優勝してみせると!藤村との約束だとも」

風間は、まだ、すごい衝撃を受けていた。風間だけではない、藤村、堀井、木下、今井らはすでに感激のゾーンにいる。

プレハブ内は、あまりの驚きに騒然となった。

風間がみんなを振り返り、大声で言った。

「おい、みんな聞いたか、俺たちは4継で優勝し、野球でも優勝するぞ!女子部のほうも続いてくれ!やるぞおお!」

風間が拳を振り上げながら、吠えた。

「やるぞおおお、俺に続けえ」

みんなもそれに答えた。

「やるぞお!」

つばさも、弥生、蝶子も胸が高鳴った。その他女子部員も驚きで、胸がバクバクしていた。

「やるぞおお」

ポカンとしていた品村と谷田だった。

風間は何度も繰り返したのだ。

いつのまにか品村も谷田も一緒になって、拳を振り上げ、「やるぞおお」と繰り返していた。

グランドにいた梶田監督も大声に驚き、駆けつけている。

トラック部員らは、ひとつになった。

50人乗れば潰れそうなプレハブは、200人乗っても潰れはしない、強固な陸上部の部室となったのだ、そう思えた瞬間である。


2010/03/11 ちいーまん

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