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リレー小説やってますコミュの虹色プリズム (十六) 第二章 銀幕の裏側で

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シャッ!
勢い良くカーテンが開けられる。
朝の柔らか・・・ではない強い陽射しが、閉じた目の上から強く突き刺す。

「お兄ちゃん!朝だよ!」

「・・・まだ眠いでござるよ・・・あと5分・・・」

「今日がミーティングの最終日なんでしょ!?遅刻していいの?」

「ミー・・・?」


そうだった。
昨日必死で書き上げたシナリオ、ちゃんと提出しないと月森さんに怒られる・・・。

俺は跳ね起きた。というのは大げさで、少し勢いをつけて上体を起こした。

「ラーメンだから、早く来てね」

・・・夏なのに。そして朝食にラーメンって、そろそろやめて欲しい。

可愛らしいカップ麺なんかじゃなく、普通にラーメンどんぶりにたっぷりと作ってくれるのだ。
・・・再び折れそうになる心を奮い立たせ、俺はようやく立ち上がり、背伸びをした。

「お兄ちゃん、もうすぐ実力テストでしょ?部活ばっかりやってて大丈夫?」

すみれはラーメンをどんぶりによそいながら痛いところを突いてきた。

「一応勉強もしているし、英語と数学以外は大丈夫」

適当に誤魔化そうと試みる。

「・・・英語と数学こそ大切なんじゃないの?」

やっぱりすみれってしっかりしているな、と思った。


誰に似たんだろう・・・。


熱々のラーメンを食べ終え、学校へ向かう。
今日が終わったら、基本的には3年生は部活から引退する。
月森さんとも、顔を合わせる回数が減ってしまう。

そう思うと言い表しようのない気持ちになる。

もちろん部活へは、映画を作るため、映画について学ぶ為に行っているのだが、
そこに紛れ込んでいる小さな楽しみのひとつが月森ひかりであることは、
認めざるを得ない事実のひとつだった。

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夏休みも、終わりが目前に迫っている。
毎年、夏休みの終わりは、小さな心残りと言うか、寂しさと言うか・・・そんな感覚がある。

もっと勉強できたんじゃないか。もっと楽しめたんじゃないか。
もっと・・・きらきらした夏休みにできたんじゃないかって。

きらきらした、というのは、小さい頃から思っていた「夏」のイメージだ。
時間と言う目に見えないものが、夏休みの間は、きらきらと光り輝いて流れる気がしていた。
何となく、だけど。

でも今年は、心残りなことは何も無かった。
小学校1年のときから考えれば12年目。
12年目にしてやっと私は、充実した夏休みを送れた訳だ。

受験が迫っているのに何を考えているんだと、
割と教育熱心な両親は合宿参加を反対したが(父は、先生が同伴しないというのも気に掛かったようだ)、
それを押し切って参加してよかった。
両親はうるさかったが、ミーティングも、8割は参加できたし。

『絶対後悔するわよ』

母が言った言葉は結構長い間胸につっかえていたけれど、今はスッキリしている。
映研のこと以上に、勉強もしたからだ。
希望しているF大学については、A判定が出ている。油断はできないけれど。

・・・もし参加していなかったら、逆の意味で後悔するところだった。きっと。


ふふっと、思わずひとりで笑ってしまった私を、翠が見逃すはずはなかった。

「ひかり先輩っ!ミーティングが早く終わったのが、そんなに嬉しいんですか?」

イスの上に置かれたカバンに、ノートとペンケースをしまっていた私の顔を覗き込むようにして、
翠が面白そうな笑顔を向ける。

「え・・・?違う違う、ちょっと考え事してたらつい笑っちゃっただけよ」

そう言いつつ、私は慌てて手を横に振った。
本当に笑ってしまってたみたい。恥ずかしいなぁ。



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