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介護のリスクマネジメントコミュの介護事故の裁判(介護職の個人責任肯定)

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昨年9月24日に名古屋地方裁判所で、訪問介護事業者による利用者の誤えん死亡事故の判決が出されました。介護事故の裁判では初めて、ヘルパー個人の賠償責任を認めるという厳しい判例でした。果たしてこの裁判はどのような経緯でこのような結果になったのか是非検証したいと思います。何回かに分けて詳細を分析したいと思います。
今回は事実関係の概略をお示しします。
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平成17年に起きた障害者への食事介助中に起きた誤えん死亡事故に対する、事業者とヘルパーへの損害賠償請求訴訟の判決が、9月24日に降りました。
この事故は通常の介護保険利用者に対する介護事故とは異なり、特殊な点が多い事故ではありますが、注目すべき事は「ヘルパー個人への賠償請求を裁判所が認めた」ことです。若干28歳の将来ある若者に対して、1000万もの賠償義務が課されるという大変酷な判決と言えます。
この裁判の判決に対する問題点を考えると共に、介護事業者に突き付けられたリスク管理のあり方についても考察してみたいと思います。
この判決に対する問題点をきちんと整理するために、判決文の内容などをかなり詳しく書きました。ちょっと読みづらいと思いますが、大切な内容ですので我慢して読んでください。
(注)判決文は一般公開されておらず、裁判所での閲覧しか許されていない(コピーも不可)ため、書き取り調査の情報を元にしています。従って限られた情報の中で判断せざるを得ず、不適切な点があるかもしれません。

【1】事故の概要及び判決文要旨
2008年9月24日、名古屋地方裁判所一宮支部で「訪問介護中に発生した誤えん死亡事故」の損害賠償請求訴訟の判決が下りました。事故と判決の概要は次の通りです。

○事故の概要
?裁判の骨子
裁判種別:損害賠償請求訴訟
事故発生日:平成17年10月25日
事故概要:被告ヘルパーの食事介助中に障害者である被害者が誤えんを起こして死亡した事案につき、誤えん発生時の対処に過失があるとして、両親が訪問介護事業のS会社、会社社長G、ヘルパーNを相手取って総額6000万円の損害賠償請求を行ったもの。

?前提となる事実
ホームヘルパーNは、平成16年3月28日に2級ヘルパー課程を修了し同資格を取得、同年6月29日に社長Gが運営する有限会社S介護センター(以下S会社と呼ぶ)に入社した。S会社は翌年度に社内研修、社外研修(※実施日及び実施内容不明)で食事介助の実技実習を実施。また、ヘルパーNは同年6月29日ガイドヘルパーの資格も取得している。
被害者Iさん夫婦(原告)は祖父母、夫婦、息子3人の7人家族で、次男Yさん(被害者)が障害者であったため、平成16年10月22日、S会社との間に居宅介護契約を締結した。被害者の状況は次の通り。
・Yさん(被害者)は、平成2年生まれ、中枢神経障害により、歩行、起立、座位不能。常時、食事、衣類の着脱、入浴、排泄、移動に介助が必要。

?事故に至るまでの経緯
S会社は契約締結後、被害者Yさんに対して、食事介助、入浴介助を週2〜4回提供、介助者2人が訪問し、ヘルパー2人で入浴介助の後、1人は帰り残った1人が食事介助をするという介護サービスを提供。ヘルパーNは、平成17年頃からYさんの食事介助を行っていた。Yさんの母が調理した食事をYさんの母の指定する方法で食事介助を行っていた。平成17年10月3日に他のヘルパーがYさんの食事介助中に、じゃがいもの煮物を喉に詰まらせた事実が確認されている。

?事故発生状況
平成17年10月25日午後7時頃Yさん宅に到着し、祖母から母が用意した食事を食べさせるように依頼された。(母と三男は事故当時不在)食事は一口サイズに切られたマグロの刺身、ご飯、ロールキャベツ、プリン。(※ロールキャベツの加工形状については不明)午後7時8分ころ、食事介助を開始。介助中の午後7時25分ころ、食事を8割程度食べたところで、上半身を前後に大きく揺らし、顔色が悪くなる。背中を2〜3回たたくも、反応なし。ムセはない。
被告Nは、祖父母に向かって、「おかしい。変です」と言う。祖母は、発作の時にいつも顔色が白くなることから、
「発作だわ」と言う。てんかん発作の座薬を入れる準備をする。午後7時30分ころ、座薬を入れても変化なし。祖父が「おかしい」と思って、近所に出かけた母に電話するが連絡がつかず。祖父が連絡に行こうとしたが車が故障中のため、ヘルパーNが運転し祖父を乗せて母の出先に行く。7時45分母を連れて帰宅。母は発作でないと判断し119番通報。気道確保のため、吸引器でかんぴょうを取り除く。(※誰が)ヘルパーNは、事業所の社長Gに電話で説明する。吸引と人工呼吸、心臓マッサージを指示し、救急車がくるまでやった。25日午後8時20分。誤嚥で死亡。

○判決の概要
?主文
1、被告S会社は、原告らにそれぞれ金1016万円及び平成18年3月3日から支払い済みに至るまで、年6分の割合で支払え
2、被告Nは、原告らにそれぞれ金1016万円及び平成18年3月3日から支払い済みまで、年5分の割合で支払え
3、その余の請求は棄却

?損害額の認定
・逸失損害:なし
・慰謝料:1800万円が相当である。原告らはこれを各2分の1ずつ相続。
・葬儀費用:140万円が相当である。
・過失相殺:過失相殺の割合は2割程度が妥当、過失相殺後の損害は1016万円。

?過失の認定について
・ヘルパーN、S会社の過失の検討
事故は食事介助中に発生し、S会社はこれを安全に行う債務を負っていた。ヘルパーNも、同様の注意義務を負っていた。ヘルパーNは、被害者Yさんの異変に気づいた際、異常事態の原因を自ら判断できなかったとしても、社長のGやS会社に連絡する程度の異常事態であると認識すべきであった。呼吸停止して、1分以内なら97%、2分以内なら90%、3分以内なら75%は助かる。早期にS会社ないし、社長Gに連絡すれば、十分に誤嚥による窒息死を防ぐことができた。S会社と社長Gに連絡を取るべきなのに、これを怠った過失が認められる。
・社長Gの故意又は重過失
故意については証拠なし。重過失について、S会社では、ホームヘルパーを雇用した際、新人研修を行い、新人教育マニュアル等を配布し、研修する。報告、連絡、相談の重要性や事故処理方法について、記載されている。これらの研修等によって、被告Nによる過失を防ぐことは十分可能。体制整備の不備とは認めがたい。

?Yさんの母の陳述
・ヘルパーNについて、
事故以降、話をしていない。まったく会話をする機会がない。障害者の食事介助は初めてと聞いて、驚きと同時に、入社まもない新人ヘルパーを食事介助させた会社に憤りを感じる。ひどすぎる。無責任。おばあちゃんの『発作だわ』の言葉のせいにしてしまう。なぜ、○○(次男のYさん)に一言も詫びてくれなかったのか。なぜ、おばあちゃんばかりに責任を押し付けて、自分の専門職として、『何度も言うように、判断は間違っていないと思います』という。ヘルパーの行動を省みないのでしょうか。○○が最後に見たものは、あなたの顔です。○○に一度も詫びていない。それが悔しくて、悔しくてたまりません。○○はヘルパーに殺された。Nヘルパーは反省していない。
・G社長について、
S会社は資格をとったばかりのヘルパーが多い。むせることは誤嚥の回避行為なのです。お金をいただいている以上、プロは家族と同じではいけない。事故は防げない。どう対処し、対応ができるかが、プロとしての責任です

?G社長の陳述
むせがなかったこと。おばあちゃんが発作と言った。すぐに救急車を呼べない。問題点もあったが、損害賠償としては疑問があります。私は、3年間、専門医療知識を積み、学び、一般病棟に勤めていた。ヘルパーは、医療知識は浅い、とぼしい。ヘルパーに対しては、状況判断をするのは限界があり、酷だと考えます。救急蘇生の教育を受けても、家族の判断を押しのけてまで次の行動に踏み切ることを一ヘルパーにさせるのは酷と考えます

コメント(2)

誤嚥事故はいつおこるかわからないので是非おねがいします。
個人の賠償は本当に厳しいと思いました。
ただ、私も誤嚥事故につながらないように食事介助の指導をしていかないといけないと感じたので『姿勢』について理解してもらえるように取り組みたいです。
まあ、この裁判は訴える側、訴えられた側、これを裁いた法廷、全てがあまりにお粗末という次第です。これが製造物責任法でメーカーを訴えるような裁判なら、もっと高度なレベルの高いやりとりになるはず。介護って舐められてるのかな?

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