“名古屋”異業種交流会 NB会コミュの食事を作ること：巻頭言１月号

　私は団塊の世代よりも５年ほど上の世代の男性である。その私にとって家事，とりわけ料理は苦手である。結婚して４０年程になるが，現職時代は殆ど家事らしい家事をしたことがない。妻は結婚とともに仕事をやめて専業主婦になった。私の転勤に伴う転居が５，６回ほどあったが，常に家族と一緒であったから，妻が家事を全部引受けてくれて，私は自分でやったことはない。時に気まぐれで風呂を沸かしたり，部屋の掃除をしたりすることはあった。食事の後の食器洗いを手伝ったこともある。この程度のことはその労を厭わなければ格別難しいことではない。問題は食事を作ること，料理である。

　５年前に定年で裁判所をやめたとき，大決心をして自分で料理を作ろうと考えた。妻は２５年ほど前からストーリーテリングを普及させる活動をしており，週日は，私が出勤して帰宅するまでの時間帯には殆ど外出する。その妻の活動は私の退職後も続いている。退職したのであるから，原則として週日の昼間，私は自宅に居る。そのために朝食と昼食を自分で作る必要が生じたのである。

　出勤しなくてもよくなった私はこれ幸いと夜更かしの朝寝坊となった。私が起き出す１０時頃には既に妻は外出して家にいない。そこで，先ず朝食が問題となる。結婚当初から妻の作ってくれる私の朝食は決まっており，十年一日の如く変わりはない。コーヒー，牛乳ときて，後は大皿にハム，ソーセージ又は卵と野菜三種を盛り合わせたもの，それにバーター・トースト１切れにジャム，それが全てである。これを私はナイフとフォークで食べる。箸は使わない。

　そういうわけで，妻の代わりに私が自分の朝食を作ることについて格別の困難はない。ハムはそのまま，ソーセージは茹でるだけ，卵は目玉焼きにするというわけで簡単である。野菜三種はトマトとレタスとブロッコリーに決め，ブロッコリーも茹でるだけである。

　問題は昼食である。昼に朝食と同じものを食べるわけにはいかない。そこで，料理入門の本を買ってきて，これを見ながら２，３回は新しい食事を作ってみたが，それ以上は続かなかった。本に書いてあるとおりに料理を作ろうとしても時間ばかりかかって耐えられずに挫折した。しかたなく，買ってきた切り餅を２個焼いてこれに醤油をつけて海苔を巻いて食べる。これが昼食である。カロリーに不足はないが，栄養素は炭水化物だけである。野菜がないので代わりにみかんかリンゴを食べる。栄養的なバランスとしては問題であり，妻も心配する。そこで，簡単なものでもよいから何とか健康な昼食を自分で作れるようになりたいと，今，切実に考えているところである。