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ピーリング☆ラブコミュのピーリング☆ラブ エピローグ

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ピーリング☆ラブ 

       エピローグ

          古城ヒカルのリアル

コメント(1)

あれから何年経っただろう。


「古城さん。208号室、バイタルどうですか?」

「あ、安定してます。」

「そう。良かった。少しは慣れた?」

「はい。」


アタシは漁師にもならず、民宿も継がず
あれから猛勉強して医師になった。

まだ研修中の身だけど。


アタシは208号室へと歩いていく。

「キララさ〜ん。
 調子はどうですか?」




エウロパから帰ってきて
アタシはすぐに収容所にキララさんがいるか確認しに行った。

そして。
キララさんが言ったとおりキララさんの肉体はそこにあった。

とても不思議だったけど
もうなにも疑う気持ちはなかった。

それからキララさんの言ったとおり、
ギッチューでインストールをすると
キララさんは目覚めた。


なんの記憶もない状態で…。

なんの記憶も?

それでも時折、
ふとした瞬間にキララさんは夢を見た話をする。

そして。

「あなたとは夢の中であったことがあるの。」

なんて言うものだから、アタシはその度に泣いてしまった。


やがてアタシは医師になって
キララさんと一緒にこの病院に来たんだ。

アタシは「可能性」について
あるいは「未来」について何一つ諦めていない。


そうそう。

言い忘れてたけれど、民宿も漁船も健在だよ。
均さんは生涯現役だって張り切ってる。

アタシは帰ってから
珠子さんと話せるようになった。

キララさんとイワチのおかげだ。

今では実の親子以上に仲がいい。
珠子さんが仕事でこっちにくるとよく2人で遊びに行ってる。


カサイ丼はショービズの世界に戻って
いまではHIP HOP界のドンだ。
時々、会うとたこ焼きをご馳走してくれる。
キャビア入りポン酢がけの豪華なやつだ。


ナカザーは中学の校長になったみたい。
ロボコンで毎年優勝する名物校だ。


シゲルさんは時々、キララさんに絵葉書を書いて寄越してくれる。
最近は全然会ってないけど
ラスベガスでパチンコとゲイバーを大ヒットさせて大忙しみたい。

けど絵葉書はラスベガスでも何でもなくいつもシゲルさんのタンクトップ姿の写真。
こ、濃すぎ。


けれど結局
あの3人だけは見つからなかった。
ミツコさんとオヂサンとポテトリンさん(←この人とは面識ないけど)。

あの時、
エウロパと一緒に消えてしまったのかしら?

ってタコさんにこないだ会って話したとき

「妙子は生きてる。
 メカで占い的師に見てもらったから間違いない。」

って言ってた。

メカ?

あぁ。
iPadのことね。

アタシも。
あの3人はいつか帰ってくるような気がしてる。
気がしてるって言うより、それは確信に近い。

何でかっていわれても解らないけどさ。


アタシはキララさんと病院の屋上に上がった。

ここはシブヤの街が一望できるんだ。

きっとシブヤの街が、キララさんの脳の中の大きなウエイトを占めているはずだから。

「ねぇ、白衣ちゃん。
 あの赤いお屋根キレイだね。」

キララさんは喜々として言う。

いまも古びずにマルヤマチョウに燦然と赤い屋根を光らすモジラ。

この光景こそが大切なのだ。


「キララさん、そろそろリハビリしましょうか。」

アタシは促してキララさんの車椅子を押す。

長いことベッドに横たわっていたキララさんの足腰はだいぶ弱く
日々のリハビリ、訓練がとても大事だった。

キララさんにとってはつらいリハビリ。
それでも愚痴ひとつこぼさない。


「ちゃんと一人で歩けないとね。
 白衣ちゃんの結婚式に行くんだから。」

「そうだよ、キララさん。
 オシャレして来てくれなきゃ困るんだから。」


アタシは来月結婚する。
相手はルキアだ。

今では沿海の海洋生物の研究をする大学教授。
キララさんの立派な一人息子。


屋上にひとつ風が吹く。

風よ。
未来をつれて来い。

それで充分。










------------------------完-----------------------------

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