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ピーリング☆ラブコミュの深ピーリング☆ラブ 深章#4

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深ピーリング☆ラブ 
  深章#4
     ―セカイのはじまりとおわり


登場人物
アタシ(如月キララ/37歳):記憶を取り戻しつつあるハンペンガール
ヒカル(14歳):キララの親友にして怒涛のチクワブガール


ルキア(14歳):シゲルさんとキララの一人っ子、現在漁師見習い中

ミツコさん(37歳):牛との融合を果たしたキララの親友カウガール

ギッチュー:イタチ
イワチ:脛毛の妖精

均さん(45歳):ヒカルの父にして鳥羽一郎の生まれ変わり
想オヂサン(40歳):ワカメを頭に載せた天才ワカメジャックダンサー


ナカザー(42歳):ヒカルの担任の経理&物理マニア、宇宙船の設計者
カサイ丼(55歳):元ダンスジャック総帥で現在は定食カサイ丼の支部長

林さん(14歳):無人島で遭難後、ゴリラとして保護された才女

シゲルさん(49歳):キララの夫にして映画界のカリスマ黒びかりP

珠子さん(28歳):均さんの嫁だがヒカルにとっては義理の母

アンJ(40歳):元カリスマモデルで女優、シゲルさんの義妹

鬼山(101歳):SとMの交差する闇の世界の帝王、キララの命を狙う

謎のソムリエ:敵か味方かあるいはボンマルシェ?
謎のジャガ:敵か味方かあるいは桃屋か

コメント(10)

アタシは無力だった。

アタシに今あるのはこのタップだけ。

青春をかけて体得したこのタップがアタシの武器。

だったはずなのに。


重いんだよね。
カ・ラ・ダ・
メ・タ・ボ・
DAKARA。

キレを失ったアタシのモミアゲダッシュ魂は
干からびたハンペンみたいに萎みそうになった。


そんな時。

ヒカルは笑った。
笑ったんだよね。

加齢毒ガスたっぷりの境界線で。


アタシってばオタンコ。
いつの間にか勝ち負けばかり気にしてた。


いつかのモジラの夜に悟ったはずなのにね。


アタシは。
ミツコや
ヒカルや
想、

それにシゲルさんといられれば幸せ。


みんなの中にアタシの居場所が合って。

ダンスがあればさ。
敵味方の壁なんてもう気にする必要はないんだよね。


アタシはアタシの今を精一杯。

アタシはヒカルに答えるように笑った。


そんな時。


ドンドンドドン。

大きく力強いこのビートは!!

和太鼓。


「さぁ、キララ。
 このグルーブに乗って踊るのよ!!」


Djブースを占拠するかのごとく突然現れたその人は…

「ポテトリン!!」


どこか郷愁のあるビート。

正確なリズムに刻まれるバチの咆哮。


アタシのタップ、
想のターンがキレを取り戻した。


アタシたちは土俵際ギリギリで踏ん張る。
持ちこたえる。

激しくフロアに叩きつけられる踵のステップが躍動する。


けど。
おかしいな。
押し込めない。

これだけじゃ足りないのだ。

ビートだけじゃ…。
ビートの上でリズムを刻む。
足下のステップ。


快調だった足取りもしかしやがて
勢いを盛り返してきた妖怪サンバーズに殺されていく。

アタシの足取りはアップアップ。

ヤバい。
ヤラレル。


そう思った瞬間、
ビートの上に旋律が重なった。

誰?


旋律の主は
檻の中にいたカサイ丼a.k.a.KSIだった。

それも!
馴染み深い黒々学園の校歌じゃね?


アタシのステップはスピードを増した。

すると
観客がざわつき始めた。

「おい、アレ
ウッドストックの四天王
妙子丼ペアレントじゃね?」

「そうだよ!
ホフディランのステージをぶっ飛ばした
伝説の夫婦ロックだよ!」

「うぉ!総毛たっちゃうよ!」

なんてオーディエンスの声が耳に入る。


え?

カサイ丼と
ポテトリンが?


ダメだ。
集中。

アタシは更に細かくステップを刻んで切り込んだ。

クルセーダーズはリズムに乗って
力強く盛り返していく。

それだけではない。

妙子丼ペアレントの紡ぎだす音に魅せられたオーディエンスが
次々とアタシたちの味方となったのだ。


「アナタ、キララちゃんでしょ?」

不意に声をかけられる。

新体操のコスチュームに身を包んだ人。

「モモカさん?」


モモカさんは笑うみたいに頷いた。

それに。
店長、
広子、
ワーキーお兄ちゃん、
キヨミちゃん、
クニコさん、
アンジョーさん、
ナントカ石くん、
ヘリさん、
ドクターシャウト、
カレーパン君、
アンJ、

それからシゲルさん。

ミンナがアタシたちのもとで
踊ってくれた!


アタシたちの勢いは加速し、

やがてサンバーズを蹴散らした。


ねぇ。
みんな。

アタシはね。
アナタタチが好きです。

どんな苦しいときも
ミンナが支えてくれた。

そのたびに
アタシはアタシを覆ってた皮脂を
削って削ってピーリングしてこれたんだ。

それがリアル。
アタシたちはとうとうサンバーズを吹っ飛ばした。

そして
モジラの天井からは
金色の紙吹雪。

ミラーボールの光が折り重なって、

アタシたちは
煙草の煙りと
アルコールの匂いと
加齢臭と
激しいカニ臭のたちこめた
フロアの真ん中で

なにか世界がひとつになったような気分になったのだ。

アタシはヒカルとミツコと手を取り合って
天に向かって拳を突き上げた!


ごごごごご。
するとオーディエンスの皆が床を踏み鳴らすチャントで
アタシたちを祝福してくれた。



ねぇ、
お母さん。

アタシのごっそり落としてしまった記憶。
リンクを探すための旅。

ここがどこか、とか
あたしが誰、とか

ホントはそんな重要じゃなかったんだ。

アタシは今のあたしを愛でる。
そして今いる場所に感謝する。

だから。
アタシはアタシを解放してあげなきゃ。

アタシは歓喜の輪からそっと離れ
ゆっくりと非常階段へと向かった。


そう。
これからアタシのラストダンス。
ドドメ黒い非常階段を上がる。

立入禁止のボイラー室の扉を開け、
アタシはその中に足を進めた。


ゆっくりと奥へと向かっていく。


ボイラー室はやがて行き止まりとなる。
アタシは端っこの壁に手をつく。

ズゴゴゴゴ。

壁が動く。

アタシは壁の中へと入っていく。


神出鬼没の隠し部屋。

「メス市場!」
アタシは低く呟く。


「はい!ご明察!」
闇の中から声!

そしてその闇に煌々としたスポットライトが照らされる。

鬼山である。
「よくここまで来たね。
とでも言っておくべきかね。」

鬼山はひどく落ち着いた口調で言った。

アタシは足に力を入れる。

「アナタには屈しない。」

アタシは爪先を一歩出す。

「アタシは全て知っている。
アナタの罪を。メス市場を!
アナタは裁判の証人にアタシが立てないように
交通事故を誘発し
記憶を奪った!」

「はい、その通り!」
鬼山はフフンと笑う。

アタシはまた一歩踏み出し続ける。

「そしてアタシの記憶と心を封じ込めた。
貴族刑事の鼻の穴の中に!

ここに来てなぜ記憶が戻ったのか
アタシ、不思議だった。

でもすぐに解った。
このディレクトリにアタシの魂があるってこと。」

「…」

「アタシの魂はこのメス市場にのどこかで
貴族とともに幽閉されてるのね。
アタシはそれを取り返す!」

「威勢がいいね、お嬢さん。
しかし君と広島君は核融合してるんだよ。
無理に引き離せば核分裂。
キノコ雲とともに君もこの世界もお仕舞いだ。」
鬼山は平然と言った。


「それはきっと大丈夫。」
アタシは笑う。

「だってインナースペースはアタシの頭の中の
妄想だもの。
だからこのディレクトリが消えるだけ。

そしてアナタはアタシと死ぬの。
魂を核爆発で蒸発させて。」

アタシがそう言うと
鬼山は眉をピクリとさせた。

「バカな。
君の連れてきた仲間も道連れだ。
彼らの魂も免れんぞ!」

「そうね、そうかも知れない。」
アタシは大胆不敵に笑う。


「ギッチュー!」
アタシは大声で白いイタチを呼ぶ。

ギッチューはするするとアタシの肩まで昇ってくる。

「みんなに伝えて。
一刻も早く脱出して欲しい。
緑の月エウロパから。

アタシは…
鬼山を倒す!」

そう言って、アタシはギッチューに伝言の口づけ。

ギチュー。

ギッチューは走っていった。


そして。

アタシの目の前には鬼の形相の
鬼山が立っていた。

じゅわ。
はんぺんキャッチ、ok!
「キエーッ」


アタシは敢然と鬼山に飛び掛る。


「バチコーン」

鬼山は長い乗馬鞭を打ち鳴らす。


お互いの初手は見切られる。


アタシは間髪おかずに次手。

「カーメー・・・」

ここはアタシの頭の中の世界…

「ハーメー・・・」

出る。出ちゃうよ。

「ハーッ」


アタシの手のひらから噴出されたエネルギー派は
鬼山に一直線。

「フン、子供だましに過ぎぬ。」

鬼山は左手一本でそれを弾く。


「こっちだってお見通しよ。」

そう。
アタシはカメハメハを囮に鬼山へ突進していたのだ。

「蟹光船!!!!!!!」


アタシはアリエールによって蛍光なまでの白いブリーフを鬼山の視界に放り込んだ。

ビッカーッ!!

ブリーフは殺人的な照りで鬼山の視界を奪った!!

「今だ!!」

アタシはだんご虫アタックで鬼山に突撃した。


「もらった!!」

アタシの攻撃が鬼山に届きそうになったとき!!


ビリリリリリリリリリリリリリ。


電気が走った。
アタシの体に。

「バ、バリヤーか!!」

アタシは電流の痺れで床をのた打ち回った。

鬼山は大きな電極を持っていた。

「これはね。
 調教に使うものなのだよ。
 調教、わかるかな?
 お嬢さんのような分からず屋を従順にしつけるための道具なんだよ。
 
 ファッファッファッファッ。」


鬼山は高笑い。


アタシはなんとか立ち上がる。
髪の毛がドリフみたいな事態になってるけど
これはこれでウェークポイント活かしのチャームポイントになるよね。
てへっ。


そんなことを思っていると…

ぼたぼたぼたぼた!!

天井から何かが降ってきた。

あ、熱い。
触れると焼けるようだ。

こ、これは!!??


天井を見ると見渡す限り赤い蝋燭が吊るされていた。


「蝋燭の雨は好きかね?」

鬼山はニヤリとする。


アタシは床を芋虫のように転がって蠟をかわす。


「こ、これじゃ勝てない!!」

アタシは意を決して鬼山に捨て身の突撃。

「でやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!」


しかし!!
アタシは鬼山の放つパドリングで尻を打たれ意識が遠のき
その場にうつ伏せに倒れた!!


薄れ行く意識。


アタシ、ここで死ぬのかな…。
薄れ行く意識の中で、
アタシはどこか違う世界に迷い込んだみたい。


そこは…
あ。
アタシんちのガレージ。
すなわちステージ・オブ・タエコだ。


酒屋のビンケースで組上げたステージの上に立っている人。
お母さん。


「お母さん。」

「キララ…。」

「お母さん、アタシ死ぬかもしれない。」

「あら、それは大変ね。」

「ちょっと冗談半分じゃないんだからね!!」

「あら冗談のミソ田楽だと思ってたわ、ごめんなさい。」

「もう。」

「で?どうしたの?」

「アタシね、鬼山に勝てないみたい。ここで魂ごと消滅しちゃうみたい。」

「もう諦めるの?」

「そうだよ。アタシって何やっても中途半端だし、諦めんのには慣れっこだよ。」

「誰に似たのかしら?」

「知らないよ。お母さんじゃなければお父さんでしょ?」

「あら、お父さんは途中で投げ出したりしないわよ。」

「それも知らないよ。ていうかお父さんは誰なの?」

「そんなの一目瞭然じゃない。」

「そうか、やっぱそうだったのか。認めたくなかったけどあれがお父さんなんだ。」

「いい男でしょ。」

「え?微妙。それよりアタシ死にそうなんだってば。助けてよ。」

「脛かじりね、あなたの性根。でも仕方ないわ。そう育てたの私だものね。」

「・・・」

「けどこれが最後。キララにしてあげられる最後。」

「最後?」

「そう。最後よ。アイダホにかけて最後。」

「うん。」

「あなたにこの魂の連なりをあげるわ。」

「魂の連なり?」

「そう。私やお婆ちゃん、曾お婆ちゃん、それよりもっともっと前から受け継いできたもの・・・」

「うん。」

「それをあなたにあげるわ。」

「うん。」

「さぁ、アタシの手にあなたの手を重ねて。」

「う、うん。解んないけど解った。」

ずぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ。

お母さんの手からアタシのカラダに吸い込まれていく「何」か。

アタシは脳の天辺をつんざくようなエネルギーを感じた。

「キララ。コレで最後。」

お母さんはアタシからそっと手を離した。


「バイバイ、キララ。」

「バイバイ、お母さん。」



アタシの意識がボイラー室に戻っていく。

アタシはむくっと立ち上がった。
立ち上がると
アタシの周囲は光のような水蒸気で覆われた。

「鬼山。あなたには負けない…!!」

アタシが足を踏み出すと地面が振動した。


「ま、まさか。
 この世に伝説のパワーオブプッシーが戻ったというのか?
 こやつが継承者だったとは・・・!!!!!!!!!!!!!」

鬼山は一歩後ずさりした。

鬼山は乗馬鞭を振るった。


アタシには効かなかった。
むしろ快感。
ジュンジュン☆ハンペンキャッチOK。


「う、うわぁ。」

鬼山はさらに後ずさり。


アタシは機を逃さない。

「だんご虫ヒップアタ〜ック!!!!!!!!!!!」


アタシは転がるように鬼山を尻に轢く!!

ドッカーン。

鬼山は吹っ飛んだ。

「まだまだ。」

アタシは間合いをつめる。


「カニの手刀アタ〜〜ック!!!!」

アタシは鬼山を手のひらで転がすかのように手刀で切った。

勝負はあった。

鬼山はもはや一歩も動けずに床に突っ伏したままだ。


「女はいつの時代も強いのよ。」

お母さんがどこかからそう言ってくれてる気がした。
アタシはゆっくりとメス市場の奥へと入っていく。


すると。

天井から麻縄で吊るされたアタシと貴族刑事の姿があった。

アタシと貴族の体同士は固く麻縄でくくられていた。

そして核融合を示すように
体の境界がなくなっていた。

アタシはなんだかとてもいやな気持ち。

貴族と一緒だなんて。

アタシの穢れない躯が貴族とドッキングしてるなんて。


ヤダーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!


とにかく。
アタシはこの2つの体を切り離し、
アタシを取り返さなければ。


でも、ホントは知ってる。
もう何もかも手遅れって事。

切り離してアタシの魂を取り返すことに何の意味もない。


核分裂で消滅するだけのこと。

儚くて。
脆い。


だから。
アタシはさっきギッチューにお呪いをかけた。
アタシの特技。

だから。
アタシはアタシを取り返すとかじゃなくて
アタシを解放するだけ。

終わりにするんだ。


インナースペースごと核爆発で消滅させるんだ。

ごめんね、貴族さん。
巻き添えにしちゃって。

でも、貴族さんにとっては
でっかい鼻くそとでっかいくしゃみの反動があるくらいだよ、きっと。


この縄を解けば…。
全てが終わる。


長い長いアタシの青春。


あの日あの時あの場所で
シゲルさんに出会った。

アタシの青春はあの時からジェットコースターみたくなったんだ。

後悔はしてない。

ミツコやヒカルやシゲルさんやいろんな人からいろんなものを貰った。

パワーオブプッシーを次の世代に継承させてあげることはできなかったけど、
アタシがみんなにしてあげられること。
何一つなかったかもしれない。
だから最後に。
ね。


インナースペースはアタシや鬼山ごと蒸発する。

世界は鬼山のSとMの呪縛から解放されて
きっといい世界になる。
それは希望だ。


新しいセカイのハジマリ
アタシのセカイのオワリ・・・


アタシは震える手で縄を解き始めた。
深ピーリングラブ
 深章#4
  To Be Continued

深章#5に続く

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