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ピーリング☆ラブコミュの真ピーリング☆ラブ 第4クオーター

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真ピーリング☆ラブ
   第4クオーター
     ―☆の煌き、あの人の笑顔


M県M阪の片田舎。
町は漁港とM屋の「○はんですよ」の海苔工場、
それにブランド牛の畜産業に支えられ
細々と栄えている。

アタシはそんな冴えない町で
フワフワと漂うように生きていた。

あの人に逢うまでは…。


登場人物
アタシ(古城ヒカル/14歳):怒涛の新ハンペンガール
キララさん(37歳):記憶を喰らう脳の病を負った旧ハンペンガール

ルキア(14歳):シゲルさんとキララさんの一人っ子

均さん(45歳):ヒカルの父にして鳥羽一郎の生まれ変わり
想オヂサン(40歳):流浪のワカメジャックダンサー


ナカザー(42歳):ヒカルの担任の物理マニア
カサイ丼(55歳):元ダンスジャックの総帥で現在は定食カサイ丼の部長
林さん(14歳):ヒカルのクラスメイトだったが現在は無人島でゴリ(ry

シゲルさん(49歳):キララさんの夫にして映画界のカリスマP
ミツコさん(37歳):世界no.1のカウガール称号を持つキララさんの旧友
珠子さん(28歳):均さんの嫁だがヒカルにとっては義理の母

アンJ(40歳):元カリスマモデルで女優、シゲルさんの義妹

謎のジャガ:敵か味方かあるいは桃屋か

コメント(19)

ねぇ。
お母さん。

宇宙ってどんなとこだと思ってた?
地球ってどんなとこだと思ってた?

少なくともアタシにとっての世界ってのは
牛か自転車でいける範囲のことだった。

けどここは携帯の電波さえも入らないよ。
異世界。
非日常。

外気圏を越えたスターシップは
地球の外側の軌道に乗った。

キャビンの丸窓から外を見てみる。
真っ暗闇。

闇の向こうには瞬く光。☆。
そして目下には…


「わぁ。
 あれが地球か?
 すっげぇ。
 青くて丸いじゃん!!
 地球儀より丸いじゃん!!」
ルキアは興奮気味に言った。

「そうじゃの。
 地球は丸い、丸いはたこ焼き。
 地球さんもたこ焼きの仲間だったんだなぁ。」
とカサイ丼はシミジミ。


ぼぉっと浮かぶ。
蒼い☆。
キレイ。
涙脆いアタシはなんだか涙腺が崩壊寸前なんだ。

ロシアの宇宙人飛行士さんが
「ワタシはペリカン」
って言ったのにも頷ける。

飛びたい。
もっと。
あの美しいセカイを。

アタシはあんな美しい所にいたってこと。
どうしてちっぽけなことでクヨクヨしたり悩んだりしてたんだろ?
とか思ったけど、やっぱそれが人間だし。
それでいいんだと思う。
って勝手に自己肯定。

それよりも。

「オヂサン、どこに行けばいいの?」
アタシ、オヂサンに訊く。

「インナースペースは簡単に言うと過去の中にあるんだ。」

「って言うと?」

「つまりはブラックホールさ。」

「え?」

「時間軸を逆転させるんだ。
 光時間を遡るってこと。」

「全然意味わからないんですけど、助けてナカザー。」
アタシチチンプイプイ。

「ワームホールやなくてブラックホールを利用して巻き戻すってこっちゃね。」
ナカザー自信満々。

「せにゃけど、そのブラックホールはどこにあるんや?」
均さんは至って冷静。

オヂサンは一方を指差す。

「エウロパ。」

それが木星の緑の衛星だって知るのはずっと後の話。
スターシップは快調。
均さんの腕前はやっぱ凄い。
プラズマの風も荒波もなんのその。

漁船の形をした
NOWでYOUNGな宇宙船はこの真空地帯でもビッカビカに目立ってる。

アタシたちはそんな船内で
エウロパに着くまでの数週間を過ごすことになった。


「UNO!!」
ルキアが叫ぶ。

「ダウト!!」
オヂサンが叫ぶ。

「丼ジャラ!!」
カサイ丼が叫ぶ。

って。
みんな。
一つのゲームをみんなでしようよ。
ほんと独り遊びが過ぎるなぁ。


アタシは…。
別に何するわけでもなく
キララさんと話したり、キララさんと遊んだりしてた。
伊勢の砂浜でしてたことそのまんま。

けどあの時と違うのは
キララさんのコウトウムケーな話が
ホントはコートームケーなんかじゃないってこと。

ミッシングリンク。
その繋がりを失っているだけで
話はすべて一つの場所に帰結するってこと。

インナースペース。

それはひょっとしたらパンドラの箱なのかもしれない。
開けてはいけない玉手箱なのかもしれない。
そう考えたらすくんだ足がひどく不自由になるんだ。
勇気がないってこと。


夜になると均さんと話した。
夜って言っても、宇宙自体がずっと夜だからキララさんが眠る時間が夜なんだけど。

お父さんと時間を割いて話す機会なんて
殆ど無かったからさ。

いろんな話。
ガッコでいぢめられた話や、タバコを吸ったときのクラクラした話、
収容所での穏やかな生活の話、
キララさんの話。
日ごとにテーマは変わったけど
とにかく思いつくまんま。

アタシはいつだって一人勝手に思いのまま話しちゃって
均さんはただ静かに聴いてるだけなんだけど

「せやな。」
「問題ないが。」

っていう均さんが時々言ってくれる短い相槌に救われたりするんだ。
そんな時思う。
アタシっていままでなんて一人相撲で生きてきたんだろう、ってこと。

「一人で生きていかなきゃ」
って決めたあの日、
空に立ち上る煙突からの煙が悔しくて
黒いスカートの裾をギュッと握った。

父の負担になりたくなくて。
祖父母の負担になりたくなくて。

ヲトナの振りをしてただけなんだ。
その頑なが殻を作って、ヲトナでもコドモでもない面倒くさい砂場に潜り込ませたんだってこと。


「均さん、アタシはね。
 キララさんに逢えて変われたの。」

「ほうか。」

「そうなの。
 だからね。
 この旅はホントのキララさんを見つけるだけじゃなくて
 ホントのアタシを見つける旅でもあるとおもうんだ。」

「うん。」

「そしたらさ。
 きっと…」

アタシはけれど言葉を飲み込んだ。

珠子さん。
アタシたち、家族になれるよね。
月の裏側って見たことある?


夕べ。
初めて月の裏を見たんだ。
スターシップの小さな丸窓から。

それで充分。


航海は順調で
ナカザーによると第一宇宙速度に入ったとかなんとかで
これからは駆け足でいけるから
あと1週間くらいでエウロパに着くそうだ。

なんだ。
案外近いのね。

問題はあと1週間分の食料があるかってこと。

予想外に出航してしまったアタシたちに残されている食料は
カサイ丼のケータリングについていたサバ缶。
それにたこ焼き。

状況の飲み込めてないキララさんはともかく
カサイ丼が空気を読まずに大食漢を発揮してしまって
イカ焼きもピスタチオもモランボンも桃屋のザーサイも食べ尽くしてしまったのだ。

「この役立たずのタコが!!」

「しょぼーん↓」

カサイ丼は叱ったから良いとして・・・

「イザとなったら・・・」
アタシ、オヂサンの方を見る。

「ボクのブリーフはあげないぞッ!!」

いるかボケ。
ブリーフなんかより・・・

乗っけてるでしょ。
頭に。

「増えるワカメちゃん。」

アタシ、オヂサンの頭にかぶりつく。

「no more アマゾネス〜!!」

キャビンの中にオヂサンの断末魔の声が響いた。

フイーッ。
お腹いっぱい。

オヂサン。
また水分上げるからワカメ増やしてね(水分=カサイ丼の聖水←極秘)。

満腹になったアタシは夢見心地で
「エウロパってどんなとこなんやろ?
 イケメンくんいるかな?」
なんてロマンチックに思いを馳せていたのだ。
いつかどこかへ行こうと思っていたんだ。

それはずっと遠くのようで
ずっと近くのよう。
明確な場所は持たずに
けれどいつかはたどり着きたい場所。

それがどこか、って?

いまはまだ判らないけど。

それで充分。



火星を超え、
アタシたちはいよいよ木星の軌道圏内に入った。

木星はガスの塊ってナカザーの授業でも習ったけど、
すごいガス臭いんですけど!!
もぉ鼻がもげそうなほどに。

「ナカザー!!
 木星は温泉卵臭。
 死ぬ、死んでしまう!!」

アタシのたうつ。


「木星は水素やき匂いなんかせん。」

ナカザーものたうつ。
みんなのたうつ。

そんな中で平然とした人。
「スマン、ワシが屁ぇコイタ。」

タコキターーーーーーーー!!!!!!!

ってwww
木星じゃなくて尻丸出しのカサイ丼の仕業だったのか!!


なんてことをしているうちに、
木星の脇に緑の衛星が見えた。


緑の月。
エウロパ。

キレイ。


その時!!

ドカーン!!

衝撃が兄弟舟を襲った。
「左舷損壊!」
ナカザーが叫ぶ。


「か、舵がきかん!」均さんは力一杯操舵把を動かそうとしてるけど、
舵はビクともせん。


兄弟舟は激しいダッチロールを繰り返す。

お、墜ちるの?

ツ、イ、ラ、ク

アタシの人生。
あっという間だったな。

ある意味、
「真っ逆さまに堕ちてデザイヤ!」


左舷を失った兄弟舟はアンコントローラブルに陥り、

目下のエウロパの大気圏に吸い込まれるように
墜ちていったのだった。
アタシは古城ヒカル16歳。
名前はまだない。


ん?
だから、ヒカルだってば。


アタシは走馬灯の間に
そんな禅問答を繰り返していたってこと、
今ならハッキリ思い出せるのにね。


真っ逆さまに堕ちてデザイヤな兄弟舟は
緑の月、エウロパの湖上に
軟着陸したのだった。

「死ぬかと思ったね、月子さん。」

キララさんは今日も無邪気に元気です。


助かったのは均さんの腕のお陰。
風と潮流をよむ海のヲトコのインスピレーション。

「腕ダコの奇跡!」

はいはい、カサイ丼。


とにかくエウロパは緑の月で
湖畔の風景は地球のそれだった。


「学会では眉唾物やったが
エウロパは酸素も大気も
ニンゲンのセカイのコピペやね。」

ナカザーは目を爛々。


アタシたちは兄弟舟を湖畔の陸に
引き揚げて

湖の砂辺にテントを張ったのだった。


誰も言わず。
誰も語らない。

宇宙=そらで受けた衝撃。

あれは確かに他者の悪意。

アタシたちは。

話を避けるように。


砂を踏みしめたのだった。
♪燃〜えろよ 燃えろ〜よ〜 カサイのあ〜た〜ま〜

ってww
カサイ丼のボウズ頭がゆでダコファイヤー!

ここで話を遡ると。

アタシたちはエウロパの湖畔でキャンピングしてて、
食料を調達しようとオヂサンとゴリラが森に入ったわけ。

んで、
オヂサンが野生のパワーで捕まえてきたのが…
ゴリラ。

ノッケからゴリラが二頭になっております、ていう具合の大混乱。
判りづらいので林ゴリラと谷口ゴリラって名付けたのは甘いメモリー(命名はキララさん)。
意味ワカメ。


そんなありえん展開をよそに
伊勢のヲトコたちは一本釣り。

ビビッときた大物ヒットで
均さんが釣り上げたのは
体長2mはあろうかというホッケだったわけだ。


ホッケ焼を食べたい動機が爆発で
さっそくバーベキューの支度。

薪を積んで
組み上げて
建ちあげて

ん?
焚火ってレベルじゃねえな。


「キャンプファイヤーだね。」
ってキララさんが言ったが最後。

ゆでダコは真っ赤に蒸されていったのだった。


あはは。

これじゃ、いかーん!
ファイヤーを囲んでのオクラホマミキサーが最高潮を迎えようとしていた瞬間である。

「しっ、静かに!息を潜めて!」

キララさんが言った。
その声に呼応するようにオヂサンはファイヤーをワカメで消した。
そして二人に促されるように、
アタシたちは湖畔の森に潜り込んだのだった。


アタシたちが去った湖畔の岸辺、
森で気配を消すアタシたちの眼前、

奴等はやってきたのだった!


幾重もの人影。

「オーナー!
彼等は今しがたまでここにいたようです!」

薪に手をかざした男が熱を感じとり言った。

「はい、ごくろうさん!
近くにいるだろうから探しなさい!」

オーナーと呼ばれた男はそう指示を出した。
オーナーと呼ばれる男は大層年齢を感じさせる風貌であったが、
大柄な体躯もあり類稀なる威圧感を備えていた。

それが証拠にオヂサンとゴリラ×二頭、さらには焼きだこまでガクブルではないか!

「やはり…。
生きていたのか!」
オヂサンは前ワカメを指で掴みながら言った。


「何者?」

アタシは声を潜めながら聞いた。


「暗黒とSMの支配者、
鬼山!!」


アタシたちのドMハードな闘いが
始まった瞬間だった。
森をゆく。
流れる緑色の景色は
夕暮れとともに闇に溶けてく。

アタシたちの足取りは重く
けれど足音をたてぬように慎重で
爪先ばかりが突っ走るのだ。

アタシたちはやがて森深くの洞穴にたどり着いた。

今夜はここでビバーク。

洞穴の奥で手回し発電のライトをたく(準備のいいナカザーの私物だ)。
光が漏れないように洞穴の入り口には林ゴリラが探してきてくれた
バナナに善く似た葉を覆い被せた。

「今日の晩飯は焼きバナナだね、こりゃ。」
とオヂサン。

って。
さっきホッケ食べたでしょうが。

それよりも!

「オヂサン!
鬼山は何者なの?
何が目的なの?
宇宙丸を攻撃してきたのも鬼山なの?
ねぇ。ねぇってば!」

気づいたらアタシはオヂサンの首をワカメで締め上げてた。


「落ち着けや。ヒカル。」

均さんがそんなアタシを制す。

ふぃーっ!
アタシ、オヂサンの首のワカメをほどク。
すると…オヂサンは泡を吹いて昏倒した。

「ありゃ。寝ちゃったがや。」

アタシ、呆れる。


「鬼山はね。」
突発的にキララさんが口を開く。

「鬼山は封じ込めておきたかったんじゃないかな。」

「え?何を。」
アタシ、聞く。

「何を…って。何かじゃない?」
キララさんはポヤポヤと笑った。


「だからアタシたちはね。かちわってでもこじ開けるの。」

「何かを?」

「そ。何かだよ。桃屋の瓶詰めの中身みたいなね。」
キララさんはそう言ってから、
ただただ虚空を見上げた。


そこにあるのは。
未来ですか?
キララさん。
緑の月。
エウロパ。


アタシたちの旅は
ここで終わりだろうか。

薄暗い洞穴の中で息を潜める。


アタシたちが求めていたもの。

光の彼方に置き忘れてきた記憶。

キララさんの記憶。
インナースペース。


けど。
アタシたちはどこに不時着したのだろう?

インナースペースなんか幻みたいで

アタシたちは得たいの知れぬ鬼ナントカに
ナントカされかけている。

鬼ナントカを知らないアタシにも解るんだ。
アイツが相当ヤバスってこと。

ガチガチのドSロッカーってこと。


アタシは暗胆とした気持ちでいた。

そんな中で
緊張感のないカサイ丼は大イビキ。
アタシ、手に持っていたバナナを
カサイ丼の鼻の穴につめる。

ずっぽし。

鼻の穴は無限大だね、こりゃ。


その時。

洞穴の奥の方から生温く湿った風が吹き抜けた。

洞穴から風?

アタシはボウとした懐中電灯を
洞穴の奥へ照らした。

足の長い苔に覆われた洞穴の遠くまで続く闇。

アタシたちは知ることになる。

その
深い深い闇を。
一歩。
いっぽ。
イッポ。


アタシは洞穴の奥へと足を踏み入れていく。
真っ暗なセカイ。


「ダイジブ?」

気づくと後ろからキララさんがついてきてくれていた。

アタシはキララさんの言葉に
コクーンと頷く。


穂をならすような苔のうえ。
ウェットで粘膜質の液体が足にからむ。

ぬちゃ。

アタシとキララさんはそんな中を手探りで進む。


なんのために?

解らないよ。

ただ、生ぬるい風が吹き出す先の光景を見たいだけ。

好奇心なんかじゃなくて、
性分とかじゃなくて、

とにかくアタシにはその先にあるセカイが必要なんだ。

なんでそんなことを思うのだろうか。

しばらく進む。


やがて、
進む道の先にボンヤリとした灯りが浮かんだ。

「待っとったで、キララ。
ヒカル。」


まるで牛と人が合体したみたいなシルエット。

ケンタロウス(だっけ)?

しかし、
その声は懐かしく、
耳に覚えがあった。


あ。

「牛子さん!」

キララさんは笑った。
その人は…

「ミツコさん…なの?」

「お、ヒカル。
久しぶりじゃの。」

ミツコさんはそう言ってケタケタ笑った。
確かにこの笑いかたはミツコさん。

でも…。

目の前にいるのは
どう見ても牛なんだよね。
ギリギリ上半身が人間なんだけど。

「どうした?ヒカル。ワシの顔になんか付いとるか?」

「えっと顔じゃなくて、
なんていうか…
上は洪水、下は山火事っていうか…」

アタシはモゴモゴ。

「あぁ。ハイブリッドボデーのことやな。
カウガールの完全態っちゅうもんじゃけ。」

ミチコさんはケタケタ。

「ま。
詳しい話は後や。」

ミチコさんシリアス。

「鬼山は復活しとったな?」

「はい。でもどうしてそれを?」

「話すと長くなるけ、
それより先に進むのが先や。」

「え?
この先には何が…?」

ミチコさんは息を飲み込むように洞穴の奥を見やった。


「インナースペース」

ミチコさんの言葉が洞穴の中で静かに反響した。
インナースペース。

こ、これが。


「まだ序の口の入り口やけどな。」

とミツコさん。


そんなワサワサしたやり取りに
皆が集まってきた。

「マックロケの毛!ズボリ穴ですよ!」

カサイ丼は何だかコーフン気味。

均さんは闇にじっと目を凝らす。

アタシたちはこの先に何を見、何を知るのだろうか。

みじろいだ体は暗に先に進むことを
拒んでいる。

オヂサンは前ワカメを触りながら緊張の面持ち。

「オヂサン…」

「とうとう辿り着いたか。」

けどオヂサンもそう言ったきり
足が進まない。

“鬼退治、インナースペース、カメハメ派”
ミッシングリンクがけたたましく繋がっていく。

その先にあるのは
きっと想像もできないくらいの
愛憎と混沌に満ちているのでは?

アタシの持つ価値観や全てが
根底から変わってしまいそうな、
それはアイデンティティ消失への恐怖に似ていると思った。

明日、アタシは笑えるだろうか?

「進む、それとも…」
ミツコさんは悪戯に笑った。

「行こう、ヒカルちゃん!」

キララさんはいつの間にかアタシの名前を覚えていた。
多分、いろんなことを考えてたんだと思う。

あのヌカルンだ道で。

アタシには想像もできないくらいの世界なんだよ、
インナースペースってやつは。

はぢめてたこ焼きをポン酢で食べた日みたいな。
新鮮で新しい感じ。


キララさんが口にした
アタシの名前は
なんだかとても嬉しかったんだ。

インナースペースの扉。
アタシは怖いの半分、泣きべそ半分、それからほんのちょっとの楽しみ半分を持ってたんだ。

扉を開けてくれたのはキララさん。

アタシはアタシのアタシであるための日常に
飽くことはなくとも
退屈は毛先の枝毛みたいに増殖していて、

あ、
珠子さん、
きっとアタシのモドカシサは
珠子さんに当て付けていた
言わばジェラシーの細胞分裂みたいなものだったんだね。

うん。


アタシってば
ガキ。


それでもアタシは
アタシのサザエを破りたいんだ。

粘膜質の足元は
やがて静かに沈んで行くのだった。
アタシは欲しいものだらけだった。

例えばトンボマークの6Bの鉛筆。

美術部のコジマさんがトンボの鉛筆で描いた柔らかい曲線に憧れた。


あるときは江戸むらさき。
隣の席のニッシーくんの弁当にかかってた桃屋のアレ。


けど欲しいものは諦めてばっか。
屈折したアタシのココロの真ん中は
ピリカラだったんだ。

でもさ。
いま思うと
あたしが欲しかったものは、
アタシには大して必要なかった。

これだけは事実。


6Bのトンボマークで絵が巧くなるわけないし、
均さんは桃屋に海苔を卸さない。

つまりさ。
平行線なわけ。

どこまでいったって
頂点に向かうハンペンにはなれないってこと。


ちぇっ。
アタシはしょせん、チクワブってなんだよね。


そんなことを
いつかの海岸で話したっけ。


インナースペースの道を行く
キララさんの背中に
そんな記憶をたどったりした。


理由はしらない。

でも。
インナースペースっていうのはきっと…。


その時、
不意にキララさんの足が止まった。

アタシはキララさんの背中の前で
つんのめるように
爪先一杯でブレーキ。

「はい、お疲れ3!」

聞き覚えのあるそのボイスに
アタシは3ミリバールの小水をちびった。
ってww

目の前に匂う勃ち(だっけ?)してんのは


「お、お、お、鬼wwwwwwww」

って叫んだわけ。
みんなしてさ。


そんななかでも牛ミツコさんはいたって冷静。

「けったいなもんやな。
 天下の鬼山さんがインナースペースまでご足労とはのぉ。」

ミツコさんは角を突きたて
後ろ足で地面を掻いた。

MOOOOOOO。
という
雌タケビとともにさ。


「はいご苦労さん。
 キミのその目はいいねぇ。
 縛り上げたいぐらいだ。」

鬼山の目が光る。


その眼光にミツコさんはテラ照射!!


「ヤバス!!
 あの目力にやられたら
 ミツコは木阿弥になっちゃうよ!!」

ってキララさん。


「MOCA実??
 コーヒーの実??」

アタシ、クエスチョン☆


「そう!!
 コーヒーの香りにヤラれて
 ZOKKONにラブだかんね、
 って状態になるってこと!!」


そっか。
よくわからないけど。

アタシはとっさに眼光に対する秘策を思いついた。


「秘儀!!反射ミラー!!」


アタシは光に向かって
カサイ丼の頭を投げ込んだ。

ずっきゅーん!!

思い通り光は反射して鬼山のほうに・・・


って思ったら五分刈りのせいで反射が屈折。


ご、ゴリラに一直線!!


ごごごごごごご。


うほwwwwwwww。
うほー。

ゴリラが発狂。
ワカメにむかってまっしぐら。

ワカメは機敏でスタイリッシュなフットワークでヒラリ。


勢い余ったゴリラはワカメの後ろにいたたこ焼きとゴチーン。

俺があいつであいつが俺で?
ってなったみたいだけど
支障は無さそうだし
スルーでもいいよね。


そんなことより!

「キララさん!
鬼山の目を見るとヤバスだね!」

「気をつけて、ヒカルちゃん。
ドMハードになっちゃうんだから。」


アタシたちの焦りをよそに、
鬼山は高笑い。

「フフフハフ!
ご苦労3!
アウトビジョンな君たちは
圧倒的な歴史に押し潰されるだろう。

ほうれんそうを怠っている君たちに
ワタシは倒せない。」


「畜生!」

ワカメ単身特攻!

「パツパツパンツキーック!」

ガッチーン☆

しかし!
渾身のキーックは
何かに遮られ
鬼山に当たらなかった。

!!

遮ったその何かは、

さっき鬼山と一緒にアタシたちを捜してたオッサンの集団だった!

「ヒデリン軍団かっ!?」


ワカメは緑色の汗を垂らした。
オッサンたちはゆらゆらとアタシらを取り囲んだ。


それがさ。
とにかくすごいんだよね。
加齢臭。

ワカメの30倍はイってね?

とにかくさ。
クラクラするワケ。


「ここは君たちに任せよう。」

鬼山はオッサンにそういうとインナースペースの闇の中へと消えた。


「想くん。
 まだクルセイダーなんかにいたんだね。」

メガネで7:3のオッサンがオヂサンに向かって言った。


「・・・」

オヂサン、沈黙。


「ねぇ、ミツコウロスさん。
 ヒデリン軍団ってなに?
 オヂサンとどんな関係が?」

アタシ、聞く。


「ヒデリン軍団はな、
 モザイク漏れみたいな重箱の隅をつついて
 人格の矯正を迫る
 ドSチェッカーたちやねん。

 中でもリーダーの7:3ファンニステルムローイは要チェックやで!!」


オヂサンは一歩前に出る。

「ファンニステルムローイさん。
 あなたこそ目を醒ますべきだ。
 鬼山がいたのではこの世界は変えられない。」

オヂサンは絞り出すような声で言った。


「ではキミたちは死ぬしかないようだ。
 再審査の嵐に耐えられるかな?」

7:3メガネがそう言うと
オッサンたちはいっせいにアタシたちに襲い掛かってきた。


「01:42:28:36〜、漏れ!!
 オ○コ、漏れ〜!!」

集団のオッサンが基地外じみた
卑猥な言葉を叫び、
アタシたちの体に赤いボールペンをつきたてた。

にじむインク。
刻まれるタイムコード。
淫語!!


あぁ。
アタシたちってばなんて不徳な生き物なのかしら?
不潔で不貞な生き物なのかしら?

精神が崩壊寸前。


そのとき!!

宙を舞ったあれは!!

ジャガイモみたいな何かが!!

太鼓のリズムと共に!!


敵か味方か!!

次章!!
真ピーリングラブ
 −第4クオーター 完

深ピーリングラブに続く

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