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アナタが作る物語コミュの【地方伝奇】Local limited!2 後篇 〜新生活応援フェア〜

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 大分市大字西洲。

 新日鉄大分製鐵所にほど近い煤けたアパート。
 その一室に、神の敵の巣窟(笑)があった。


「師匠、手紙と小包が来てますよ」
「そうか」
「ハンター協会定例会のお知らせと、カトブレバスさんから残暑見舞い。そっちの果たし状はパイアさんからです」
「またか……定例会と果たし状はいつも通りに、残暑見舞いは返事を書いておく」
「それじゃ欠席届とシュレッダーですねー」
「小包は?」
「字がすっごく汚くて、誰からかわかりません……怪しい荷物は窓から投げ捨てろですよ」

 敵や仲の悪い同胞から、爆弾だの刺客だの腐ったイカだのが送り付けられたのは、一度や二度ではない。

「消印は?」
「北海道……雄別?」

 それはかつて炭鉱が栄え、今は地図にもない町だった。  
 
「この字は……なんだ。ウェンカムイか」 

 スミの無機質に黒い目が幽かに緩む。
 和んでいるようだ。

「知り合いですか」
「ああ、戦前まで文通していた」
「戦前って、日露ですか」
「応仁」 
 
 絲蓮の冗談に、身も蓋もない答えを返してスミは小包を開けた。
 それは一抱えほどの段ボール箱で、中には皮つきのトウモロコシがみっしり入っていた。
 
「わぁ、おいしそうですね」

 スミがトウモロコシをちゃぶ台にあけると、今度はジャガイモ(60kg)が出てきた。 
 明らかに段ボール箱の容量を超えていた。 

「……収納上手?」

 ジャガイモの次は牛乳が、チーズが、バターに生クリームが大量に出てくる。

「ウェンカムイさんって、酪農やってんですか?」
「いや、同業者だ」

 生キャラメルとハッカ油とハスカップジャムの瓶がごろごろ転がり、鮭や利尻昆布といった海産物が出てきたあたりで、スミは『後はまかせた』と絲蓮に言い残して台所に消えた。
 両手いっぱいに毛ガニを抱えて。

「師匠、このじゃが豚と焼売もついでにチンして下さい」
「おー」

 ホタテにカキにエゾバフンウニ、鯨肉には親切にも竜田揚げのレシピがついていた。
 アザラシとラッコの毛皮は見なかった事にした。
 トドカレーと羆ラーメンに震撼し、ジンギスカンキャラメルは罰ゲーム用に大事にとっておく。

 味の宝石箱というより、パンドラの北海道物産展だ。

「こんなに色々たくさん入ってて、夕張メロンは一個きりなのは納得いかないです」

 エゾシカ5頭(分の肉とか皮とか角とか)に、絲蓮の背丈ほどある蕗、何かの球根、独特の模様が入った着物や、木を削ってふさふさにした棒などが出てきたところで、絲蓮の指が箱の底に触れた。

「これで最後、かな?」

 掴んだのは暖かな毛皮と、折りたたんだ紙の感触。

「そぉい!」

 ずるりと出てきたのは狼が丸ごと一匹。

「生きてるし……」

 ぐったりと気絶して、魘されているのか時折苦しげな唸り声を漏らしていた。
 大量の特産品の地層の真下にいたのだから生きてる方が奇跡だ。

 そして、ぱさりと床に落ちた手紙に絲蓮の顔が強張った。
 手紙は小包の宛名と同じ……いやそれより少しだけ整った字で、どうにか読めた。

「………束脩(そくしゅう)?」




 蓑田スミ様。
 以下の物品を束脩として納めます。

 トウモロコシ30本。
 馬鈴薯60kg
 ・
 ・
 ・
 ・


 手紙には、箱に入っていた物の目録が並んでいた。
 何かの球根が、オオウバユリという植物の球根で、食用らしい事もわかった。

 そして手紙は次の一文で終わっていた。

 
 ……これをもって我が養子、人狼・ロボを預けます。
 ご指導鞭撻の程、なにとぞ宜しくお願いします。

 ウェンカムイ拝



「た……大変です」

 束脩とは、古くは束ねた干し肉の事だが、訪問時の進物となり、転じて入学時の謝礼を意味するようになった。
 つまり、この北海道の物産と引き換えに、あの狼(人狼らしい)をスミの弟子にしろと。

コメント(8)

「師匠ーーーーっ!!」

 絲蓮は慌てて台所に走った。

「それ食べちゃダメですぅーーーーーーーーっ!!」

 手つかずならば、クーリングオフは効くはずだったが。

「ん?」

 時すでに遅く、毛ガニは殻だけになっており、スミは半分に切った夕張メロンを匙でしゃくって食べているところだった。

「返品不可ぁぁぁぁぁぁっ!?」
「……許せ絲蓮。じゃが豚は全部食べてしまった」
「何て事を……何て事をぉぉぉぉっ」
「すまない、焼売も食べてしまったんだ」

 無表情な顔に済まないという気持ちは全くうかがえなかったが、スミは夕張メロンの果肉をすくった匙を絲蓮を差し出した。

「メロンは残り全部やるから。甘いぞ」
「そーいう問題じゃないんですぅっ!」
 
 それでも絲蓮は匙を口にくわえた。
 スミの言う通り、甘かった。

「とにかく師匠、これ読んで下さい」

 ウェンカムイからの手紙を読んだスミは、無言で両手を口の中に突っ込んだ。

「師匠、吐いてもダメですよ」

 すると今度は手紙を丸めて口の中に突っ込んだ。

「師匠、それはもっとダメですよ」
「駄目か」
「ダメです」

 スミは渋々と手紙を吐きだして広げた。

「ウェンカムイが父親か……」

 しみじみと呟くところへ突然、新巻鮭が飛んできた。

「師匠、危なッ!?」

“バシッ!” 

 かなりの勢いで飛んできたそれを、顔にあたる直前、片手で掴んで止める。

「誰だてめぇっ!?」

 そう叫んだのはスミでも絲蓮でもなく、台所の入口に立つ少年だった。

「敵か?敵なんだなっ!ここはどこだ!?ウェンカムイとトゥスニンケをどうした!?」

 歳の頃は見た目10代後半。
 浅黒い肌に引き締まった身体で、腹筋は六つに割れている。
 黒灰色の蓬髪に、緑がかった金色の目、凛々しい顔立ちをしているが、今は荒々しい敵意に満ちた表情を浮かべていた。

 しかし何より特徴的なのは、髪と同色のイヌ科な耳と尻尾だろう。

「……人狼か」
「答えろ、女ァッ!!」

 少年は片手に持った紅鮭で殴り掛かった。
 目を細め、新巻鮭で迎え撃つスミ。

「ちょっと待って!食べ物で遊ばないで!!」

 超展開に頭を抱える絲蓮。

「……っていうか、服きて服ーーーーっ!!」


 ――狼少年は全裸だった。

++++++


 ロボというのは、遠い国の言葉で『狼』という意味らしい。

 でもウェンカムイはいつも俺を子供扱いしてポンセタと呼ぶ。

 ウェンカムイはここいらで一番大きくて強い羆で、俺の名付け親で育ての親だ。
 産みの親の事は良く知らない。
 俺が一人前の戦士になったら話してくれる約束だ。

 一人前になったら、ウェンカムイと一緒に神と戦う。
 いばりちらしたあいつらを、肉塊に変えるのはきっと楽しい事だろう。

 だけどついでに人間を守らないといけないらしい。

 
 人間なんか大嫌いだ。
 
 うるさいし臭いし、弱い。

 食べた事はないけど、きっとマズいに違いない。臭いし。
 向こう側の神がどいつもこいつもイカれてるのは、人間なんてモノ喰うからだと思う。

 アザラシや鮭の方がもっとずっと美味いのに、馬鹿な奴らだ。
 なんでこんな馬鹿な奴らから、あんな臭い生き物を命がけで守らないといけないのかわからない。



 俺たちを追いだした場所に、人間は町をつくり、山を削って変な煙だして臭くして、それからまたいなくなった。

 (それは俺が生まれるずっと前の事だったけど)

 人間はもういないけど、人間の匂いはまだあちこちに残ってる。

 ウェンカムイがそこに住むと決めた時、俺は人間の臭いを跡形もなく壊してやりたかったのに、トゥスニンケは頷く代わりに本をくれた。
 人間がいなくなる時に、置き忘れた物だという。
 本はたくさんあって、人間の匂いが染みついてて触るのも嫌だったけど、ゆっくりでいいから読めと言われた。

『お前は何も知らないから』と。
 
 皆、俺の頭が悪いと馬鹿にするのがムカつくから、全部読んだ。

 それでわかったのは、俺の仲間になったかもしれない狼達は、人間のせいでいなくなってしまったという事。
 人間は弱くて馬鹿でその癖ずる賢くて、やっぱり守る価値なんてないという事。
 
 向こう側からくるゲテモノ好きな神々が人間を喰って力をつけるのが困るなら、先に人間を皆殺しにした方がいいと思う。
 ウェンカムイならそれが出来るし、俺も手伝う。

『ポンセタが自分の頭で考えた答えなら、それはそれでアリかもしれないが』
 
 ウェンカムイはなんだかとても曖昧な言い方をした。 
 トゥスニンケは人間を殺しきる前に粛清されるからやめとけと言った。

 俺は粛清なんて怖くない。
 粛清って何なのかよくわからないけど。
 
『ロボ、強くなりたいか?』
 
 唐突にそんな事を訊かれた。
 
 当たり前だと答えた。

 強ければ何でもできる。
 ウェンカムイを馬鹿にする奴や、俺を殺そうとする奴らをギタギタにできるし。
 鮭もたくさん捕れる。
 神を皆殺しにして英雄になれば、どこからともなく美女がきて『お嫁さんにして』と言ってくるだろう。
 そしたら見晴しのいいところに大きな家を建てて、嫁を住ませて子供をたくさん作るんだ。
 そして鮭をたくさん獲って食わせてやる。 
 
『どのくらい強くなりたいんだ?』

 一番に決まってる。
 一番強ければ、誰も俺に指図できないし、俺から何かを取り上げる事はできなくなる。

 俺はウェンカムイより強くなる。

『俺より強い奴なんざゴロゴロしてる』

 そんなのウソだ。

 ウェンカムイが一番強くて大きくてかっこいい。

 最近痩せて縮んだのは夏バテだ。

 変な咳をするのは人間の煙草を拾ったりしたからだ。

 秋になって涼しくなって、鮭を腹いっぱい食べたらすぐに元通りになる。

 そうだ今年は鮭を山ほど獲ろう。
 狐の苦情なんか知った事か。

 鮭を獲るから、たくさん獲ってくるから。

 だから……


『ロボ、俺より強くなれ』

 
++++++
  
「絲蓮、服を着せてやれ」
「それじゃ師匠はお掃除お願いします」

 勝負は一瞬でついた。
 スミが手にした新巻鮭が狼少年の横っ面を叩き、ふっとんだ狼少年は壁にめり込んだ。

「儚いものだな、鮭という魚は」

 スミの手の中で、新巻鮭は握った尾びれを残して木端微塵となり、壁と床にまんべんなく飛び散っていた。  
 子猫姿のタマが、柱の匂いをふんふんと嗅いで、こびりついた鮭フレーク(生)舐めだす。

「……タマ、手伝ってくれるのか」
「にゃー」
「タマ、師匠を甘やかしたらめーですよ。あと、三秒ルールは守ってください」
 
 スミが雑巾を軽く絞ると、ブチブチと破滅的な音がした。
 広げた雑巾はズタズタになっている。

「掃除は苦手だ」
「これでも適所適材ですよ。僕なら気絶してる人の手足をもがずに着せ替えできますから」
 
 絲蓮は慣れた手つきでピクリともしない狼少年ことロボにジャージ(抹茶色)を作って着せた。
 
「ホントはネクタイと靴下だけで都町に放り出したいトコですが、僕はよいこなのです」

 また暴れると困るから、縛っておこうと絲蓮は荒縄を作り出し、よいこなら思いもつかないようなマニアックな縛り方で狼少年を拘束した。 
 ついでにマジック(油性)で顔に落書きした。

「額に『肉』は鉄板ですよ、眉毛は珍獣ハンター!ついでに瞼に目を描いて、レディ・ガガみたいですねぇ……ふぅ。ここまでされて起きないなんて」 
 
 絲蓮が小首を傾げたところで、スミが狼少年の傍らにしゃがみこんだ。
 その手には、緑鮮やかなカボスが握られている。

「……師匠?まさかっ!?」
 
 スミはロボの顔の前でカボスを握りつぶした。
 
“ブシュッ”

「ギャーーーーーーーーー」 
 
 カボスの酸味に富んだ香り高い果汁と種がイヌ科の少年の顔を直撃し、耳を覆いたくなるような絶叫が上がった。
  
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」

 壮絶に目にしみるのだろう。
 ロボはマニアックな縛られ方をしたままもがいた。ビチビチ跳ねて水揚げされたばかりの車エビのようだった。 

「なんという邪知暴虐……これが、ミノタウロスの血脈」 
「油性マジックはみかんの皮の汁で落ちると聞いた」 
「え、気絶したフリを見抜いて、嫌がらせしたんじゃなかったんですか!?」 
 
 ロボは全身全霊でもがき苦しんだ為、彼をマニアックに縛っていたロープは千切れて解けていた。
 しかし、目と鼻に強烈なダメージを負った為、敵意とか戦意とかはすっかり縮んでいた。

 縮んだだけで消えたわけではなかったが。
 
 とりあえず、顔を洗って一息つく。
 
「ここは地獄か。地獄なんだな」
「いや、大分だ。地獄は隣の別府市だ」 
「ふざけるな!」
「ふざけてなどいない、別府には……」
「ハイハイちょっとストップですよ師匠。らちがあかないので状況説明しますね」
 
 睨み合う(というには温度差の激しい)二人の間に割って入る絲蓮。
 
「僕は絲蓮。蜘蛛の魔物で師匠の弟子です。……で、こちらが師匠。豊後最強の黒毛和牛です」
「地中海生まれだから、和牛と言ったら偽装表示で叩かれるぞ」 
「遣隋使の船に密航して日本に来たんだから、もう完璧に帰化してるじゃないですか」 
「手前ぇら説明になってねーぞ!」 
 
 両手でちゃぶ台を叩く狼少年。
 ギリギリと牙が鳴り、こめかみに血管が浮いている。

「――私はスミだ。ウェンカムイからお前を預かった」

“ばきっ”

 ちゃぶ台が真っ二つに割れた。

「何だよソレ。どーいう事だよ!?」

 無意識に養親の姿を求めているのだろう。
 ロボは、ばきぼきと忙しなくちゃぶ台を解体しながらも、視線がきょろきょろと落ち着かない。

「どうもこうも、そのままの意味だ」 
「師匠、ロボコン君は何も知らされないみたいです」  
「ウェンカムイに頼まれた。お前を鍛えてくれと」
「聞いてねぇぞ!」

 事前に知らされていれば、そして同意があったのなら、トウモロコシや鮭と一緒に箱詰めされてクール便で宅配されたりはしないだろう。

「俺を嵌めようとしても無駄だ。お前なんか知らない。女がいたとか聞いた事もない」 
「聞かれもしない事を話すわけがないだろう。あいつは過去を恨みも誇りもしない」

 ロボのこめかみの血管がびくびく震える。
 子供の頃から一緒にいた自分より、わかったような口を利く女に猛烈に腹が立ったのだろう。

「はいっ!そういうワケで、ロボコン君はそこそこ強くなるまでおうちに帰れませ〜ん」

 再び間に入る絲蓮。
 かなり必死だ。

「勝手に決めるなっ!つーか、ロボコンって俺の事かよクソガキ!」
「僕だって、ロボコン君の事は速攻送り返したいトコですが、生憎、束脩が返品不可能になったので」 
「うまかった」
「明日はじゃがバター作りますね」
「聞けよ人の話!!あああっこんなとこにいられるかっ!俺は帰るっ!!」
「どうやって?」
「歩いて!!」

 それまでわりとテンパっていた絲蓮の目が、すうっと落ち着いてそれから生暖かくなった。

「ロボコン君、頭悪いんですね……」

 人狼の脚力なら、九州から北海道まで問題なく歩いていけるだろう。
 だが、実家のウェンカムイが出戻りをそのまま受け入れるかどうか。

「あいつはお前が強くなって帰ってくるのを信じて、結界を強化してるだろうな」
「うっ……」
「少なくとも、トゥスニンケの隠蔽術を自力で破れなければ」
「うぐぐ……」

 狼少年はおうちに帰るどころか、北海道最強の心霊スポットを死ぬまで彷徨う羽目にあうだろう。

「毛ガニを食べてしまったからには、その分、鍛えさせてもらう」
「というわけでよろしくですよ」
「チッ……仕方ねぇ。でも勘違いするなよ、俺はお前を師と認めたわけでぶべらッ!?」
「にゃー」

 スミを憎々しげに睨み付けたロボを、タマの猫パンチが弾き飛ばした。
 グリフォンに戻ったタマは、ロボの襟首をくわえて振り回したり、一旦放してまた捕まえてを繰り返した。

「ぎゃああああああああっ!?」
「ぐるるるる」

 鮭が一匹駄目になった事に遺憾の意を示しているのか、単に遊んでいるだけなのか、絲蓮にはよくわからなかったし、どうでもよかった。

「よせタマ。それはおもちゃじゃない、弟子だ」
「うなー」

 スミがタマを引き剥がすと、もみくちゃになったロボのまぶたが赤く腫れていた。

「泣いたのか」
「泣いてねぇよっ!!」

 ごしごしと袖口で乱暴に目をこすりながらロボは叫んだ。

「俺はっ…俺は認めないからな!絶っっ対に認めないからな」

 何をだ?とスミは聞かなかった。
 代わりに目を閉じ、遥か北の地に住む戦友の姿を思い浮かべた。

 思い出の中の男は、見上げるような偉丈夫で、けれどいかつい顔に情けない笑みを浮かべで『いやー悪い悪い』と手を合わせていた。



「とりあえず、亀の甲羅を背負うところから始めるか」



【終】
レイラさんおかえりなさい記念(遅い)

STRにステ極振りしたスミが強すぎるので、ツッコミ兼足手まといを追加。
このまま少年漫画みたいなバトルと成長の物語になるのか不明。

一昨年書きかけて諸事情でそのままだったとかとても言えない。
おまけ《わくわく幻獣奇想天外図鑑》

・ウェンカムイ

 アイヌ語で『悪い神』
 アイヌの伝承では熊は『薬と肉を毛皮で包んだ神様の贈り物』『山の神(キムンカムイ)の化身』として崇められている。
 そこから人肉の味を覚え、人里を襲うようになった熊の事も『ウェンカムイ』と呼ばれている。

絲蓮「熊谷達也の『ウェンカムイの爪』という小説が有名ですね」
スミ「人喰い熊といえば『三毛別羆事件』だな。下手なホラー映画より恐ろしい実話だ」
絲蓮「こちら(作中)では北海道担当の一人ですね。向こうは広いので担当班はもっとたくさんいると思われます」
スミ「応仁のごたごたで文が途切れてたが、元気そうでよかった」
絲蓮「師匠の思い出内よりずっとやつれてる感あるんですけど」


・トゥスニンケ

 アイヌ語で『エゾリス』
『魔術で消える』という意味もあり、猟師から獲物を隠す悪さをする妖怪。

絲蓮「妖怪としてはマイナーですね」
スミ「隠ぺい工作に長けているからな」
絲蓮「こちらではウェンカムイさんの相棒ですね」
スミ「内緒にしろと言われたが、あいつは小さくて可愛い物が大好きだ」
絲蓮「……今度、サン○オグッズ送りましょう」 


・リュカオーン(人狼)

 おおかみ座のモデル。
 アルカディアの王で、50人の息子と一人の娘を持つが、ゼウスの怒りに触れて息子は皆殺しにされ、自身は呪いで狼にされた。
 ゼウスがキレた原因は諸説あるが、息子たちが残虐でリュカオーンの孫を殺して料理してゼウスをもてなしたのが一般的。

絲蓮「ロボコン君の御先祖様です。ゼウスは出された料理(人肉)が自分の分だけしょぼい部位だったのにキレたという説もあります」
スミ「雷撃で大暴れして皆殺しにして、呪いまでかけてもまだ怒りが収まらず、大洪水で全て洗い流したらしいな」
絲蓮「デウカリオンの洪水は、ノアの洪水のモデルという説もありますね」


・エキュドナ

 奈落の神タルタロスと地母神ガイアの子(諸説あり)
 上半身は美しい女性で下半身は蛇。洞窟に棲み、素早い動きで獲物を生きたまま丸のみする。
 夫テューポーンとの間にケルベロスやヒュドラなど幾多の怪物を産んだ。
 テューポーンがゼウスと戦ってエトナ火山に封印された後はオルトロス(息子)と再婚。
 スピンクスやカルキノス(かに座)を産む。
 百眼の巨人アルゴスに撲殺された。

絲蓮「ギリシャ神話屈指のモンスターマザー。ヘラクレスとも子づくりしててびっくりです」
スミ「子飼いの部下や『作品』やペットを我が子と呼ぶ例は少なくないがな。ちなみにこちらでは私の上司だ」
絲蓮「東京のテツ爺様との関係は未定。ボク達の上司って他はキャラが全然固まってません」


おまけおしまい
 なんとなんと壮大な物語。
 キャラがはっきりしていて、言葉選びのセンスが良くて。
 独特の切り口で。くやしいなぁ…って言いたいぐらいにステキな世界。

 テツ爺も上司って他はなんの設定もありません。
 コウのお母様がたと同レベルってぐらいかなぁ。
 かってに作っちゃってください。
>>[7]
独特というか、変化球しか投げられないというか。
油断するとつい変な設定が生えてしまいます。

いつか、ロボと絲蓮に『初めてのおつかいin東京』とかさせてみたいです。

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