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アナタが作る物語コミュの【ハロウィン】とっておきの仮装

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どうも。忘れた頃に現れるはぴです。
10月31日はハロウィンという事で、友人に脅さゲフンゲフン勧められて、ハロウィンネタを日付けが変わる前に書いてupする事になりました。

というわけで、推敲不足の感が否めませんが、よかったらどうぞ。


+++++++++++++++++++ 


「トリックオアトリート!」
「トリックオアトリート!」
「お菓子くれなきゃイタズラするぞ!!」
「きゃーははははははっ!」

 一本向こうの通りから、楽しげな声が響き、段々遠ざかっていく。
 
「兄ちゃん、早く行こうよ」
「イヤだ。俺いかない」 
 
 僕は玄関ポーチに座り込む兄ちゃんの袖を掴んで引っ張ったけど、兄ちゃんはビクともしない。
 
「早く行かなきゃ、僕達の分無くなっちゃうよ」

 遠ざかるあの声と足音はメグ達のもの。
 あいつら容赦がないというか、後先を考えないからお菓子を根こそぎ全部もって行っちゃう。 
 
 だから何としても先回りしないといけないのに、兄ちゃんは頑として動かない。

 9月の頃から楽しみにしてたハロウィンなのに。

 そう僕と兄ちゃんはこの日をすっごく楽しみにしていた。
 ママも張り切って首無し騎士の仮装(僕のは首無し馬)を作ってくれた……のだけど、昨日に想定外の事が起こった。

 出来上がった衣装を仕舞ってた箱で、飼い猫のシュレディンガーが子猫を産んだのだ。

 僕達みんな、シュレディンガーが大好きで、彼女が可愛い子猫を5匹も産んでママになれたのはすごくハッピーな事だと思うけど、だけど。

 ハロウィンの仮装は、猫の血とか胎盤とか羊水とかその他諸々で、ぐちゃぐちゃのごわごわになって着れなくなってしまったのだ。  
 さすがのママも作りなおす時間がなくて、今日の夕方僕らが渡されたのは穴の空いた画用紙と紙袋だった。
 すっかりいじけた兄ちゃんは、今年はハロウィンやらないとか言い出した。

「こんなお粗末な仮装で外に出れるかよおおおおおっ!!」
「毎年シーツかぶっただけの奴も多いよ。ジョージとか」
「うちのシーツは全部花柄じゃんか」

 頭を掻き毟って叫ぶ兄ちゃんに、僕は紙袋を渡した。

「ほら、いいからもう行こうよ。僕は画用紙の方でいいから」

 正直言って僕は仮装なんてどうでもいい。
 とにかくお菓子が貰えればよかろうなのだ。

 だけど兄ちゃんは仮装にめちゃくちゃこだわる。
 去年はゾンビで、その前はフランケンシュタインだった。
 
「そんなに行きたいなら、お前だけ行けばいいじゃん」
「ヤダよ!そんなコトしたら兄ちゃん僕のお菓子とるじゃないか」

 それに一人で歩くの怖いし!なんて本音は言えないけど。
 
「兄ちゃんも一緒に行こうよ」
「イヤだ。俺いかない。こんな格好やだ。絶対笑われる」 
「笑わないよ誰も」
「笑うんだよ!あいつはっ!!俺ゼッタイあいつに負けたくないのにっ!!」
 
 あいつって?

「ほら、あいつだよあいつ。毎年会ってるじゃないか」

 毎年?
 どうも、僕のクラスメイトでも兄ちゃんの友達でもないみたいだけど、そうなると全然心当たりがない。

「あっ!来た!あいつだっ!!」

 兄ちゃんはそう叫んで立ち上がると、道路の方を指差した。


「見ろよ、今年も気合入った仮装してやがる。どこであんなに血糊買ったんだろ」
「……」
「どうやって作ったんだろな、顔の半分潰れたとこ。断面のてらてらした質感とかすげーリアルで」
「………」
「やっぱりあいつには叶わねぇな……めちゃくちゃ練習しないとあんな歩き方できねーよ」
「……………」


 兄ちゃんが指差す先には誰もいなかった。
 

  
 僕の兄ちゃんは、よく何もない場所で転んだり、誰もいない場所でおしゃべりをする。 
 パパはそんな兄ちゃんの為に、腕のいい脳外科医を探してきた。

 手術は来週。
 今日が一緒に過せる最後の日。

「兄ちゃん、やっぱり一緒にハロウィン行こうよ」 
「一人で行けよ」
「僕の分のお菓子みんなあげるから」
「………しょうがないなー」

 僕達はみんな、兄ちゃんの事が大好きだ。


【終】


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【作品一覧【単発/完結】】
 http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=39667160&comm_id=3656165

コメント(1)

 兄に見えた『あいつ』が幻覚だったのか、それとも本物だったのか。気になりました^^

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