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俺と伝説のニーランチャーコミュの170

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170

高校3年生、三学期。
最後の始業式。
俺と七美は顔バレしていた。
冬休みにニュースで流れたカラバ王国の建国映像に、俺と七美が移りこんでいたのだ。
日本では無名で物好きな富豪カラバ氏が金に物を言わせてエチオピアの土地を購入し、建国を宣言し、国家の真似事をしていると報道された。
その映像は珍ニュースの類として放送され、茶の間の失笑を買ったようだが、そこに盛装して俺と七美が映りこんでいた事に同級生の一人が気付いたのだ。

「ちょっと知り合いのツテで・・・」

と適当に誤魔化したが、なぜか樋口は映っていなかった。
俺と七美は同級生の嫌疑の目から逃れるように家に帰ると、自室で一息ついた。

「何で樋口だけ映ってないんだよ。むしろ、樋口だけ映っていればよかったのに。」

俺は学生服を着替える前に七美に部屋の扉をあけさせた。
改装が終わって住める状態になった、カラバ城の横に建てられた我が家だ。

「家、建てた。」

七美は制服のまま家中を走り回ると、俺のところに走って戻ってきて抱きついた。

「すごいすごい!!いつの間に!?」

建てたと言うより廃屋を移築して、改装しただけだが、煉瓦造りの大きな平屋は、元々どこかの村長の家だったらしく、がっしりした造りをしていた。
大変だったのはそこにコンセントをつけたり、電灯をつけたりだ。
しかし、改装が終わってみれば、見た目普通の家で壁紙も普通に日本のホームセンターで買ったためあまり違和感はない。
ただ、間取りが多少特徴的なのと、地下に倉があることが変わっていた。

「外から見ていい?」
「いいよ。」

七美は前回カラバ城に来た時や、一度樋口が俺たちの部屋の扉を出入りしたのを見ているせいで、何かしらこの場所がファンタジックな構造になっている事は分かっているらしかったが、外に出ると広大な山林が広がっている事に驚いている。
実はその林の中に虍の野戦訓練基地があるのだが、しばらくは黙っておこうと決めた。
我が家は山の中腹の木がまばらな所に建てられていて、山林とその向こうにあるカラバ城が見下ろせる。
七美はなぜか仁王立ちでその景色を眺めていた。

「ねぇ、牧人。」
「なに?」

七美は感動に声を躍らせながらも冷静にコメントした。

「買い物するところとか、どこにもないよね。」

そういうと七美は嬉しそうに「なんにもなーい!」と叫んで坂道を走り、派手に転んで出血した。
俺は半べその七美を背中に背負って、元の志村家に戻ると膝と肘と額を消毒してバンソウコウを貼り付けた。

コメント(11)

171

学校はだんだんと居辛くなってきた。
カラバ王国に関する幾つかの事実が判明し、世間を少しづつ騒がせるようになってきたからだ。
カラバ王国は外交機能をほとんど持たない国家にもかかわらず同盟国が異状に多く、国外のメディアが「テロリストの隠れ蓑」的な報道をはじめたからだ。
俺は自分がテロリストの分類に入る人間だと自覚していたが、七美は言うなれば一般人なので、俺もどうしていいかよく分からない。
それでも、あと数ヶ月我慢すれば卒業だと自分に言い聞かせて学校に通う。
七美も口には出さないが、何かと我慢しているようだ。
俺は気になってとうとう七美に訊いてみた。

「七美、苦労してない?」
「してる。でも、平気。」
「無理してない?」

七美は急に目の前に現れると俺の顔をまじまじと見る。
この新居は床板がものすごく分厚い上に、誰が選んだか知らないが高そうな絨毯がひいてある。
足音があまりしない。

「別に。だって牧人と一緒じゃない。」

俺は重いもので頭を殴られたような衝撃を受けて天井を見上げた。
七美が台所へ引っ込むと、ソファに座ったまま天井を見上げる。

「俺って弱いなぁ。」

思わず口をついて出た。
本心だった。
翌日からは「俺には俺の人には言えない事情がある」と突っぱねる事にした。
あの場にいたこともうやむやにして誤魔化していたが、はっきりと肯定する事にした。

そうした態度をとることで、逆に事態の収拾は早くなった。
社会科の教師に多少質問されたが、その教師には「同盟関係を他国と結ぶ事が重要で、国を作ることは体裁の上で必要だっただけであまり重要ではなかった。」と答えた。

「なんであそこにいたのかは秘密か。」
「すいません。」

社会科の教師はにんまり笑うと

「そう言うのを『外交上の秘密』とか『外交上の秘密義務』とかいうんだ。」

そう言い残して行ってしまった。
吹っ切れた俺は七美を連れてはじめて「カラバ王国」を訪れる事にした。
ただ、今度メディアの目に触れると何を言われるか分からないので、パスポートの申請を行なう事にした。
渡航慣れしている樋口に必要なものを教えてもらって、県のパスポート申請窓口へ持ち込む。
俺と七美と二人そろって申請書類を出したら後は待つだけだ。
俺達は未成年なので保護者の同意書が必要だが、七美はすでに俺の妻なので、保護者が誰になるのか分からない。
結局、樋口と七美の母親と内の母親に来てもらってパスポートの申請を出しに行った。
家に帰ってから樋口に言われて結婚披露宴で貰ったものを漁ってみると、結構な国から永住権を貰っている事に気付いた。

「確かお前の師匠の吉田翁はパスポートすらいらなかったと思うぜ。」
「なにそれ?」
「なんかチェコに行った時に、そんな事をきいた覚えがある。」
「なんだそれ?」

師匠の事はまあ考えても仕方がないので、俺は旅のプランを七美と練ることにした。
本来ならカラバ城を抜ければすぐに着けるのだが、正規のルートで渡航しなかった事がばれたら何を言われるか分からない。
俺と七美は高校受験で高校が休みになる時を狙って海外旅行の計画を立てた。
172

円卓の間で俺達はテレビを見ていた。
地元新聞社が行なった読者投票でチャベスが圧勝したのだ。

「あとはチャベスの暗殺を避けるだけだな。」
「それなら心配いらねーよ。」

ダムセが眉をひそめて「暗殺」と言う言葉を口にしたが、レンツォは自信満々、否定した。

「なんで?」
「マイアーが24時間張り付いてる。」
「寝なくていいの?」

レンツォは俺の心配にも余裕の表情で答えた。

「マイアーはその気になれば歩きながらでも眠れる。あいつが寝てそうなときを狙って何度か矢を放ってみたが、ついぞあたらねぇ。」

珍しくハンが円卓に座っている。

「あんたバカじゃないの?悪ふざけにも度を過ぎてない?」

レンツォが口を尖らせた。

「まさか、毒矢は使ってねーよ。どちらにせよ、我らが将軍は好調って事だ。」

しばらくテレビの中継に見入っていると、ハンが口を開いた。

「ところで皆さん、普段は何をしてお過ごしなの?お仕事とか。」

そう言って見回した場にはダムセと俺とレンツォしかいない。

「私は海外の文書の翻訳などしてますが。」
「俺はまだ学生だよ。」
「俺は、家に畑があるんだ・・・ただここ数年まともに物作ってないけどな。」

俺はレンツォは事実上のニートだと心の中で決め付けた。

「他の方は?」
「樋口は俺と同じ学生だけど、投資家。」
「じゃあ、ヨーエルは?」
「一応、漁師だと聞いています。」

ダムセが答えた。
操業している雰囲気もないので、恐らくニートだ。

「マイアーさんは?」
「アレは大学教授だ。」

ハンが目を丸くする。

「忍術の?」
「確か金属工学。」

レンツォが割って入った。

「辞めたよ。だって講義も研究もしてないもん。」

本来は悔やむべきところかもしれないが、なんだかその方が自然な気がした。
俺が一つ疑問を口にした。

「そもそも何で金属なんだ?」
「私も知りません。」

ダムセが興味を示す。
レンツォに全員の視線が集まる。

「俺?しらねぇよそんなの。」

ハンがため息をついて質問をかえた。

「私はカラバ様に養ってもらってるけど、他の人はどうやってゴハン食べてるのかなと思って。」

レンツォは無言で立ち上がるとどっかいってしまった。

「俺は・・・学生だから。」
「私はさっき言ったとおりです。」

俺とダムセは一応自分の立場をはっきりさせたが、レンツォはやはり何か言いづらいところがあるらしい。
そこへケットシーが入ってきた。
話がレンツォの私生活に及ぶ。

「あれ?知らないんですか?彼は大地主の息子ですよ。」
「あのバカが?」

ハンは言ってしまってから「しまった」と言う顔をした。
173

俺と七美は空港にいた。
なんだかんだではじめてエチオピアの首都アディスアベバにやってきた気がする。

「わー・・・」

七美が歓声を上げた。
ダムセが迎えに来ることになっている。
連日顔を合わせているのに、迎えに来てもらうのも変な話だ。

「ご飯食べましょう。」

ダムセは来るなり食事へ連れて行ってくれた。
出てきたのは灰色をしたクレープのようなものと、他に数品。
この灰色がインジェラという主食だそうだが

「なんか酸っぱい。」

七美がギブアップな顔をしている。
それを見てダムセが愉快そうだった。

「美味しいのに。」

俺は七美に先にギブアップされたせいで、頑張って食べる羽目になる。
料理は全体的にスパイシーで、そして凄く脂っこい。
七美はダムセに勧められて何か飲み物をオーダーしている。

「牧人、これ『ちまき』って言うんだって。」

ダムセ曰く「ただのフルーツジュース」だそうだ。
だが、七美は満足している。
俺達はそのあとダムセの用意してくれたヘリに乗る為に空港へ戻る。
やってきたヘリはカラバ城の紋章がペイントされていた。

「なんか大王が不便だからって一機勝ったらしいです。」

機体にはローマ字で見知った名前がかかれていて、日本製だと分かる。
ヘリの旅は全く快適ではなく、七美はかなりグロッキーな顔をしている。
ヘリの中が臭いのだ。
牛乳の匂いがする。
カラバ王国のヘリポートに着陸すると、七美と俺はヘリの揺れと臭いとで吐き気を噛み潰しながらヘリを降りた。

「わざわざ、手間のかかる方法で来なくても。」

カラバ大王が出迎えてくれる。
カラバ王国の中心にカラバ城を建造している最中らしいが、見るからに城ではなくビルだ。
その横に仮のプレハブがある。
実ははじめてきた。
覗くとプレハブの中にはハンが座ってパソコンで何か調べている。

「こんな砂漠の真ん中にインターネット来てるんだ。」

ハンが地面を這っているケーブルを指差す。
ケーブルは部屋に幾つかある扉の一つの中へ延びていた。
多分あのなかがカラバ城だろう。

「お久しぶりです。」

七美があとから入ってきた。

「あ、いらっしゃいませ。」

ハンはいそいそと冷蔵庫を開け、中からガラスのビンを出した。

「アンボウハって言うらしいです。・・・ただの炭酸水ですけど。」

のんでみると特に味はついていないが、炭酸の刺激が気持ちよかった。
カラバ王国は砂漠の真ん中をフェンスでぐるっと囲んだだけのところだった。
そして、巨大な水のタンクと建設中のビルと、工作機械やクレーンに現地の土建屋の人が何人かでよってたかって工事をしている。
フェンスの外には羊を連れて土地の人が来ていた。

「一応、地元の連中に良い顔しないといけないからな。飲み水ぐらいは持っていけるようにしてるんだ。」

カラバ大王に言われてみるとフェンスの辺りに水飲み場が作ってある。
羊やヤギがその中に頭を突っ込んでいる。

「結局、人間用と家畜用に二つ作る羽目になった。結構高い浄水器で濾過した、良い水なんだけど、連中は知ったこっちゃないだろうな。」

カラバ大王は外へ出ると「ダナスタレン!」と大声で叫んだ。
七美がアムハラ語ハンドブックを取り出して「こんにちわ」と言う意味だと教えてくれた。
俺と七美は工事現場を眺めていても仕方がないので、ケーブルの延びている扉を開ける。
すると案の上カラバ城だった。
カラバ城から山の中腹の我が家へ戻ると、旅行の荷物を作った同じ部屋で旅行バッグを開けて、ひとまず眠る事にした。
なんだかちょっと虚しかった。
174

「どこでもドアってつまらないね。」

夕方、七美がカラバ城から飛び立ったヘリの中で言った。
臭いは昼間ほどひどくなかった。

「・・・かもな。」
「今、カラバ城から直接いけるのは、樋口の部屋、私の家、チャベス邸ですね。あとは神行太保のご自宅が少し歩けばあるので、そこから神行太保の家にもいけます。ただし、チャベス邸はそのうち塞ぐかもしれません。」
「選挙は?」

ダムセは眼下の砂漠に現地人のキャラバンを見つけて見下ろしながら言った。

「見てください。町に塩を売りに行くんです。・・・すいません、話が脱線して。選挙は一ヵ月後です。」
「なるほどね。ダムセさんはチャベスに張り付いてなくていいの?」
「マイアーと虍がついてるから大丈夫でしょう。第一私が得意な分野じゃありません。」

ダムセがそう答えていると、ヘリの操縦士が何か言っている。

「前方に砂嵐が発生しているようです。」

俺は身を乗り出してみてみると、どうやら砂嵐ではなさそうだ。

「あれ、卞喜じゃない?」

覚えのあるオーラを放っている。

「ご苦労なこった。ちょっと言ってくるわ。」

七美がいるのを忘れて、俺はヘリから飛び降りた。
頭上から七美の悲鳴が聞こえる。
きっとダムセさんがなだめておいてくれるだろう。
着地して駆け寄ると、鎖を振り回して砂塵を巻き上げている。
まるで歩く竜巻だ。

「アフリカまで何しに来た。」
「ちょっとカラバ王国を見学しに来た。」

俺はふと気付いた事を言った。

「喋るの初めてか?」

卞喜も首をひねる。

「そうかもしれん。まあいい、ついでだ名を名乗ろう。我が名は卞喜!流星鎚の卞喜!!」
「神行太保の志村牧人だ。」

卞喜はにやりと笑った。

「相手にとって不足なしか。」
「鎖鉄球ごときで俺に勝つつもりか?」
「水滸伝にも神行太保はいたんだぞ、なぜ水滸伝で神行太保が飛脚まがいのことしかしていなかったか分かるか?」
「え・・・っとそれは・・・」

考えた事もなかった。

「自分だけが特別だなどと思っているのではないだろうな神行太保!」
二つの鉄球が生き物のように俺をめがけて飛んでくる。
俺は比重を眼一杯上げて弾き返そうとした。

「ぐはあ!!」

自分でも思いもよらない声を出した。
鉄球に俺が吹っ飛ばされたのだ。

「お前が自分の体を重くできることぐらいしっとるわ。なぜ同じことができる奴が他にいると思わん?」

俺は吹っ飛ばされながらも空中で体を反転させ、辛うじて足から着地した。

「なるほどな!俺が甘かったようだ!」
「甘いですめばいいがな!」

卞喜のトゲ鉄球は恐ろしい速さで俺に迫ってきた。
俺は最初交わそうと思ったが直系2m近い鉄球をそう簡単に避けれるものでもない。
あきらめて卞喜から真っ直ぐ離れる事にした。

「逃げるか!神行太保ともあろう者が良いザマだな!」
「俺はお前より間合いが広いんだよ!」

俺は通信機を取り出すとダムセを呼んだ。

「ダムセ!!危ないから先にアディスアベバに言っててくれ!」

ダムセの後ろで七美が泣き止むのが分かったが、俺は余裕がないのでそのまま通信を切った。
背後で卞喜の哄笑が聞こえているが、ヘリさえいなくなれば回りを気にする必要もない。
俺は即座にマッハに突入した。
外界の音と遮断されて静寂の世界が訪れる。
左足を軸に切りもみするように走りながら、比重と速度を同時に肥大させる。
その最中も追ってくる鉄球はさすがに追いつけないようだが、それでもまだ追ってくる。

「あの鎖は一体何km伸びるんだ!!」

鎖とはいってもウォレットチェーンのような細いものではない。
港で使うような恐ろしく太いものだ。
俺は逃げていても仕方がないので、マッハのままUターンして卞喜に突っ込む事にした。
追ってきた鉄球の間をすり抜けて、卞喜に真っ直ぐ向かう。

「俺の膝喰らっとけぇ!!」

卞喜の手前1km程から右膝を一杯にひき、卞喜に膝をお見舞いしようと突っ込む。
すると、鎖が生き物のように集まり、俺の目の前に大きな網を作った。

「こんな使い方が!!」

網はトランポリンのようにしなり、俺の勢いを殺す。
とっさに「捕まる」と思い、網を足場にして上にジャンプして逃れる。

「ぬかったわ!神行太保!!」

卞喜は今ので俺を捕らえるつもりだったらしいが、マッハ幾つかで走っていた俺の後方からやってきた衝撃波から身を守る盾に鉄球を使ったようで、俺に攻撃をする余裕まではなかったようだ。

「お互い様だ!!」

俺はとんぼ返りするようにして卞喜から離れて砂漠に降り立つ。
卞喜は伸ばしていた鎖を懐に収納(どういう仕組みか全く分からない)して二つの鉄球を引き寄せ、その上に立っている。

「一つ聞いていいか?」
「なんだ、言ってみろ。」

俺は気になっている事を訊いてみた。

「それはどこまで伸びるんだ?」

卞喜はカッカッカと豪快に笑う。

「知らん!見える限りどこまでもだ!!なら、きこう。神行太保、貴殿はどこまで速く走れるのだ!!」
「知らん!俺の体が燃え尽きるまでだ!!」

俺と卞喜は双方大きく後ろへ跳び退ると、真っ直ぐお互いを狙って技を繰り出した。
フェイントも減ったくれもない。
卞喜の鉄球は真っ直ぐ俺を狙ってくるし、俺は真っ直ぐ卞喜のド頭を狙う。
マッハ幾つか分からないが、ドリルのように体を回転させて比重を上げることで、地面を力強く蹴る。
比重が足りないと、地球の表面にくっついている事すら出来ない速度だ。
あまりの速さに走っている俺も恐ろしさで身震いした。
俺の右ひざが二つの鉄球を捕らえる。
二つの鉄球は強い衝撃を感じさせながらも粉砕された。

「獲った!!さらばだ卞喜!!」

俺は卞喜の顎を膝で捕らえた・・・つもりだった。
そして、卞喜の頭上を飛び越して着地する。

「この俺と引き分けるとは・・・恐るべし神行法!恐るべし神行太保!!」
「あー!!俺の右足!!」

卞喜の二つの鉄球を砕きながら、俺の右ひざもくだけていた。
砂地の上にちぎれて転がる義足は、膝に入っていたはずの金属球がなくなっている。
卞喜がそれを拾って俺に手渡した。

「俺は、貴様やマイアーの敵である事を心から幸せに思う!」
「迷惑な話だ。」

卞喜は両手から鎖だけを伸ばすと砂漠の砂地に刺し、エレベーターのように上空へ上っていった。
そして、棒高跳びの要領で真っ直ぐ伸びた鎖を一杯にしならせる。

「さらばだ!」

そして、夕焼けのエチオピアの空へ飛んで行った。

「便利だなあれ。」

俺は壊れた義足を抱えると、空港を目指して走り出した。

175

「壊したかぁ・・・」

樋口がガックリとうな垂れた。
そして、自分の部屋から俺の義足の図面を引っ張り出し、慎重に採寸する。

「歪みも出てるな。」
「本当に?」
「出てる。」

そう言ってから樋口はふと俺を見た。

「あとお前、身長伸びたな?」
「いや、分からん。」

樋口曰く、義足に対して俺が若干大きくなっていると言う。

「まあ、それは計算内だから、回せば調節できるんだが・・・ゆがみと鉄球はまずいな。」

樋口は迷った末にゼマンさんに電話をしていた。

「来週末にゼマンさん来てくれるってさ。」
「そうか。」

俺は義足を樋口に預けて、日本の家に戻り、松葉杖を引っ張り出した。

「結局直らなかったの?」

七美が松葉杖の俺を見て声をかける。
何か本を読んでいる。

「来週、ゼマンさん来るって。」
「義足作ってくれたおじいちゃん?」

俺は「そう」と頷くと、読書中の七美を残して、カラバ城下へ抜ける部屋の扉をくぐる。
煉瓦造りの「我が家」を通り抜けて玄関を出ると、杖を小脇に抱えて片足で城へ駆け出した。
城へ入ると、クレオと少年がいた。
少年はやせ細っていてが、城の台所で何かをがつがつと食べている。

「ああ、マキト。」
「こんにちわ。退院したの?」

少年は一瞬動きを止めると、鉢を抱えて台所の隅へ行き、そこでまた食事を再開した。

「怖がりなの。」
「なるほどね。」

俺は怯える少年をみながら、クレオから少年の生い立ちに付いて話を聞いた。
彼はどうやら7人兄弟か8人兄弟の末っ子として生まれ、家族をいっぺんに亡くす事故にあったらしい。
そしてストリートチルドレンになり、洗礼を受けられずに狼男になったそうだ。

「・・・でも、それ以上は分からないの。」
「まあ、そうだろうね。」

俺はだだっ広い台所の椅子に座ると、その横に松葉杖を置いた。

「クレオさんは帰らなくてもいいの?」
「世界中を旅する羽目になったとき、家も仕事も全部始末したわ。たまに母のいる実家に顔を出す程度よ。」
「ふーん」

俺は少年の食べる様子をみながら、俺には知らない世界がたくさんあるんだなと思った。
176

カラバ大王が珍しく城にいた。

「神行太保、ちょっといいか?」
「どうしました?」

しかも俺を名指しで呼ぶことはあまりない。

「雨降らせていいか?」
「は?」

話によると、カラバ城に雨を降らせて、カラバ王国に水をひきたいらしい。

「今までは空気を冷却したり、井戸を掘ったりして水を得ていたんだが、井戸がもう枯れてしまった。」
「なぜ、俺に聞くんですか?」

カラバ大王は目を丸くすると、窓の外に小さく見える俺の家を指差した。

「あー」

確かに城に雨が降れば、家にも降る。

「いいと思いますよ。」

そして、カラバ城に数千年ぶりの雨季がくる事が決定した。

***

「ねぇ、牧人。」
「うん?」

七美が窓の外を眺めながら俺に何か言っている。

「雨止まないね。」
「うん。」

七美は不服そうに空を見上げる。
窓の外を覗き込むようにして見上げた空は鉛色をしていた。

「どういうこと?」
「うん?」

七美は苛立って部屋の中を歩き回る。
そのまま、家事をはじめたようだ。
俺はこっそり抜け出すと、傘を差して城へ向かった。

「こんにちは。」

城の外ではクレオと少年がずぶぬれになって遊んでいる。
少年は俺を見つけてクレオの後ろへ隠れた。

「・・・」

俺は刺激しないように城へ入ると、アフリカに建国されたカラバ王国への扉を開ける。

「大王いる?」

大王は珍しくTシャツを着て顔をしかめている。

「思ったほどうまく水が溜まらない。」
「あーなるほど。」

外を見ると虍の人間が何人かいる。
警備をしてるようだ。

「うーん、やっぱり城の外と、こっち側の両方に貯水池を作らないとダメか。」
「うーん、俺やりましょうか?」

カラバ大王が俺のことを見る。

「どうやって?」

俺は自分の考えを述べた。

「多分同じ場所をぐるぐる回って走ればデカイ溝ぐらいは作れると思います。」
「なるほどね。だったら・・・」

カラバ大王のプランは王国の回りに堀を作るというものだ。

「ここら辺りの土壌は水を吸っちゃうから、セメントなり何なりを打たないとダメだろうけどな。」
「試しにやってみましょうか。」

俺達は外に出て堀を作る場所を検討した。
外に出るために一応サングラスをかけて顔が出ないようにしている。

「じゃあ、やってみますね。」

フェンスの入り口の簡易水飲み場を撤去すると、俺は片足で王国の外周、フェンスの少し内側を回り始めた。
今まで地面を削るように走った事はないが、やってみると結構できる。

「止まれぇ!!やめぇ!!」

大王が叫んでいる。

「なに?」

大王を見てみると止められた理由が分かった。
一面凄い土煙で、大王は頭から砂をかぶっていた。

「せめて、外向きに巻き上げてくれ。」
「了解。」

俺はちょっと上体を倒して、外へ土砂を蹴りだすように走った。
あっという間に深さ10mはありそうな空堀が出来た。
堀からジャンプして大王のところへ戻ると、大王は膝まで砂に埋まっていた。

「ありがとう。もっと速くこうなる事を予想するべきだった。しかし、一つやるべき事は終わった。」
「すいませんねなんか。」

ハンが出てきて大王を掘り出した。

「呆れた。神行太保一人で掘ったの?」

ハンは咳き込みながら堀を覗き込むと、しゃがみこんで砂をさわる。

「これだったら私でもいけるかも。二人とも下がって耳ふさいでて。」

俺と大王は走って逃げた。
後ろから「ビー」とか「ピー」とか凄い音量で声がきこえる。
途端にあたりに焦げ臭い匂いが漂い始めた。

「あいつ、砂の表面を焼いてる!振動で直接!!」
「ああん?!」

耳を塞いでいるせいで会話が成り立たない。
ハンはその調子で歌いながら国の周りを一周するつもりのようだ。
ただ、世界で二番目に狭い国とはいえ、一周するとなると結構な距離だ。
あっという間にあきらめて戻ってきた。

「セメントいらないわね。直接、砂をとかせば水を通さなくなるわよ。時間かかるけど、堀のなかに降りて作業すればもっと速いと思う。」
「頼むよ。」

俺は二次被害が怖いので、適当に空気を読んで扉を抜けてカラバ城へ逃げ込んだ。
ふと見るとカラバ大王も逃げてきていた。
177

結局俺とカラバ大王は城を出て城の横にも池を作った。
どうしても、俺の事情でドーナツ型になるが、こちらは水はけが良すぎると言う事はないので雨水はすぐに溜まり始めた。
カラバ大王は、城の小間使い人形を引っ張り出してきて、城の雨どいから池まで溝を掘らせている。
溜まった水は今は茶色い泥のようだが、カラ場大王曰く、そのうちきれいになるそうだ。

「あと、山に降った水が湧き出してくるのも期待できる。」

たいした山ではないのだが、そう言われればそんな気がする。
カラバ大王は泥まみれのTシャツ姿で腰に手を当てて立っていた。
面白いもので、こんな姿でも大王は大王だった。
なんかどこかに風格みたいなものが漂っている。
でも、逆にそれが滑稽だった。

「似合わない。」
「これか?」

カラバ大王は今や土砂色としか言いようがない色のTシャツの裾をつまんだ。

「さすがに入浴するか。」

そういうとカラバ大王は城へ入っていった。


その日の午後(カラバ城で言うところの時間帯、時差があるので定かではない)、俺達はカラバ城に呼び出しを食らった。
俺と樋口は実は学校にいたのだが、適当に理由をつけて早退した。
南米に詰めている連中も一旦、引き上げて城へやってきた。
虍からはヒゲと部下の「青」がやってきた。
青は鋭い眼光の男性で、顔に傷がある。
歳は30ほどだろうか。
カラバ大王のすぐ横に『怪鳥』ハン・ヘレチが座り、そこから『忍者』ウルリヒ・ダグマル・マイアー、弓使いレンツォ・シモネッテ、『氷の魔術師』ヨーエル・アルノールソン、『人間計算機』樋口一葉流、そして現神行太保である俺、志村牧人、横に万能通訳者のダムセ・ゼナウィ、コンドルの王の使いクレオ・アントネリ、ケットシーはいつものように円卓の中央に立っていた。

「よく集まってくれた。要は会議だが、予め決めた事もいくつか発表する。難しい前置きは後にして、ケットシー頼む。」

ケットシーはカラバ大王にふられて、話し始めた。

「まず、最初に新設されたカラバ王国についてからはじめます。まず、新設したカラバ王国についてですが、ダムセ・ゼナウィ氏をRSSSから脱退させて。カラバ王国顧問として正式に迎えます。」

ダムセが座ったまま礼をする。

「また、RSSSからカラバ大王も抜けます。」
「元々、私が『いる』事すら公にはなっていなかったからな。何も変わらんよ。」
「それに伴って、この城の城主は私が努めさせていただきます。」

ケットシーがここの城主になった。
別に嫌ではないが不思議な感じだ。

「私はカラバ王国カラバ国王となるわけだ。」

カラバ大王はそう言うとふんぞり返った。
その視線の先がどこを見ているか僕には分からなかった。

「RSSSはここで一旦終わりです。というより、もう国際的な援助を受けられる状況ではありません。元のRSSS支持国はカラバ王国と不可侵条約を含む同盟関係にありますので、表向きはそちらで充分です。また、近い将来『赤の勢力』が攻め込んできたときに、カラバ王国が存続していなければ、同盟国は赤の勢力に滅ぼされる可能性があります。まずはカラバ王国を死守します。ヒゲ様お立ち下さい。」

ヒゲは頷くと、立ち上がった。

「カラバ王国軍を組織します。ヒゲ様をRSSSから除外し、新たに『王在山(ワンジェサン)』の名前を名乗っていただき、王国軍隊長となっていただきます。」
「よろしく。変な感じだな。」

ワン軍隊長と名を変えたヒゲが着席する。
変わって「青」が立ち上がる。

「ワン軍隊長に代わり虍の指揮をとります。青(チョン)です。よろしくお願いします。」

正直、虍がRSSSの中では特殊な存在なので、指揮官が変わったことがどう影響するのか分かりにくかった。

「虍は分けるの?」

ヨーエルが率直に質問する。

「はい。ワン軍隊長が半数ほどを連れてカラバ王国へいかれます。」
「足りるか?」

チョン隊長の答えにヨーエルが渋い顔をした。

「現地で傭兵を募ります。それが一番いい。我々は砂漠戦を経験した事が無いので。」

ヒゲから『ワン軍隊長』になったその人が答える。

「あの面積の国土だと、爆撃一発で滅びるよね?」
「そうならないための国軍だ。」

樋口がなんとなく行った言葉にカラバ大王は口を曲げる。

「まあ、なんとかする。RSSSは今まで指揮官を設けていなかったが、私の希望としてはケットシーが適任だと思うがどうだ?・・・ただ、これは私個人の意見で、RSSSを抜けた今、私の意見には何の影響力も無い。」
「いいと思います。」

ハンが真っ先に支持した。
全員、異論が無いようだ。

「よし、それでは召集しておいて悪いが、私とヒゲ・・・もといワン軍隊長、ダムセはカラバ王国へ赴く。よろしく頼んだ。」

ダムセは俺たち一人一人に握手を求めた。

「神行太保!お元気で!」
「ダムセさん、頑張って!」

3人がいなくなると円卓の部屋には、しばらく沈黙が流れた。
マイアーがおずおずと口を開く。

「それで・・・拙者たちはどうせすればよろしいのか?」

ケットシーはいつの間にか作られた背の高い椅子に座ると言った。

「とりあえず、南米の選挙を見守りましょう。」
178

RSSSは新体制になった。
マイアーが質問を重ねる。

「他には?」
「これはどうして欲しいとかではありませんが・・・城の機能が使えなくなります。」

樋口が素っ頓狂な声をあげた。

「どこでもドアが?」
「まあ、それ以外にもありますが、そういうのでしょうね。一応使えないことも無いですが、もう余裕がありません。大王はハン様の村を飲み込んだときですら躊躇されていましたから。」

それは何度か聞いた。
しかし、その話から始まるということはやはり来るべき時がきたのだろう。

「現在、カラバ王国に一箇所、樋口様の場所に一箇所、チャベス邸に一箇所、神行太保の家に一箇所あります。しかし、ヨーロッパと北アメリカ、中央アジア、オセアニアにアクセスできません。マナバッテリーに余裕があるうちに有効な場所を決めてゲートを確保しましょう。あと、樋口様の所は神行太保のご実家と近すぎます。一応維持にもそれなりに消費しているので。」
「分かるよ、うん。」

樋口は頷いた。

「ヨーロッパに一箇所でござるか?」

最近どうもマイアーの言葉遣いが気になる。

「ドイツとイタリアならドイツの方が有利だ。イタリアは比較的エチオピアに近い。」

樋口の意見にレンツォ以外が頷く。

「北部アメリカ大陸に同盟国はありません。無理にゲートを開く必要は無いと思います。」

新参のクレオは分からないなりに意見を出した。

「確かにそうだ。」

レンツォ以外が同意する。
ケットシーは世界地図を広げた。

「この前買ってきました。」
「早く出せよ。」

樋口がケットシーを軽く咎めた。

「ところで、神行太保のご家族は大丈夫ですか?いつ襲撃されてもおかしくないですよ。」
「うーん・・・難しいな。でも、どこにいてもやられるときはやられると思う。」

沈黙が流れる。
俺だって考えていないわけではないのだ。

「俺の家族が狙われる話をしたら、同級生から何から何まで面倒見ないといけない。無理だろ?」
「無用な心配でしたね。すいません、続けましょう。」

結局、もう一箇所はドイツ国内になった。

「チャベス将軍の一件が終わったら場所を探します。」

これで出入り口の話は片がついた。

「じゃあ、次は・・・えーっと、クレオさんはなんとなく参加してもらってるけど、このまま居て貰って大丈夫なの?」

樋口がケットシーとクレオに問い掛ける。

「私はコンドルの王から何も言われていませんし、ロビがこちらに残っていますので。」
「ロビ?」

クレオの解答に分からない名前が混じっていたので、ヨーエルが口を挟む。

「助け出した男の子です。ロビゾーメンだからロビ。」
「あー、なるほど。本名は分からないの?」

クレオは首を振った。

「幾らか記憶があやふやみたいです。」
「なるほどね。しかも、あの状態で人間のすむ世界に放り出すわけにも行かないね。」

マイアーが不意に立ち上がると、部屋を出て行った。

「あいつどうした?」

レンツォが呟くと全員が「さぁ」と言ったそぶりを見せる。
マイアーはロビを連れてきていた。

「ブルー、手伝って下さらんか。」
「私ですか?」

ブルーと呼ばれたのは青(チョン)新隊長だった。

「ホラこちらへ座って。」

痩せて青い顔をした小柄な少年ロビは、何かにびくつきながら椅子へ座る。

「ブルーはロビが暴れださないように肩を押さえていてくだされ。皆さん、何があっても決して席を立たぬように。」
「分かった。」

ヨーエルは身を硬くして答えた。
俺もなんだか緊張してきた。
義足が無いのが妙に不安だ。
179

「ロビ、両手の平を合わせるでござる・・・指も。」

ロビは無言で手を合わせる。

「そうそう、親指の先だけ離してみるでござる。」

ロビは言われたとおりに親指を離す。
マイアーは手遊びのような事をロビとはじめだした。
難しい事はしていない。
ただ、あるところでロビがどうしても出来ない動きが出てきた。

「指くっついちゃって、離れなくなってしまったでござるな・・・これは困った。」

レンツォが真似して指遊びをはじめている。
ヨーエルが手で遮って止めた。
マイアーがやっているのは恐らく催眠術だろう。
樋口が耳打ちしてきた。

「催眠状態が完成した。」
「なんとなく分かるよ。」

マイアーはそこから質問を繰り返していった。

「今は何歳でござるか?」
「分からない・・・」

ロビが喋るのをはじめてきく気がする。

「5歳の誕生日を覚えている?」
「覚えてる・・・皆がいて、ママもパパも兄さんたちも・・・」

マイアーが瞑想するように目をつぶると、円卓の間の景色が変わり始めた。
そして、大家族で祝う誕生日の景色に変わった。
しかし、細部がどことなくぼやけたり、景色の中に灰色の部分があったりする。
レンツォはあからさまにびっくりしている。

「夏と冬はどっちが好きでござるか?」
「夏・・・」

マイアーはそれから彼が5歳以降過ごした夏の回数を数え始めた。
夏の景色がどんどん移り変わる。
そして、クレオと俺の姿が景色の中にうつった。

「恐らく14歳。」

景色が元に戻るとマイアーはそう俺たちに向かっていった。
そして、再度瞑想をはじめる。
ある夏の夜の景色が現れた。

「恐らく8年前です。」

家族で庭でバーベキューをしている様子が円卓の間を包み込んだ。
マイアーは慎重に質問を重ねる。
そして、ロビゾーメンの過去が明らかになりはじめた。
突然、庭の真ん中に発煙筒のようなものが投げ込まれ、家族は次々に倒れていく。
音はしないが銃弾が飛び交っているようだ。
兄の一人が被弾しながらもロビを家の納屋に隠して、外から扉を閉める。

「これ以上は危険でござる。」

マイアーは質問をかえた。
ロビはもはや質問に言葉ではなくほとんど景色で答えていた。
そして、あるとき自分が長兄から洗礼の儀式を受けられなくなったと知ったと知ったと言った。
ロビの答えはしばらく「寂しい」「家族に会いたい」「怖い」「痛い」「おなかが減った」と言った痛ましいものになった。
誰かのすすり泣く声が聞こえてくるかとおもったら、ハンの声だった。
自分の父を思い出しているのだろうか。
ロビは「狼男になってしまうことが怖い」とそればかりを呟いている。
そして、ある日、公園のベンチに置かれた新聞の日付を見る。

「その日が、ぼくの13歳の誕生日だった。」
「マイアー、恐らくそのまま続けると・・・」

クレオが喋るのをマイアーが遮った。

「委細承知でござる。」

そして、マイアーは催眠を解いて行く。
しばらくの応答の後、ロビはハッと我にかえったように目を覚ました。

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