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俺と伝説のニーランチャーコミュの056

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056

俺は急に片足で行う新比重走法と、ギアチャンジ走法を応用して高いジャンプを行う方法を見つけて、その復習をするのに追われていた。
もっとも後者は師匠が教え忘れていただけだと思う。
ここに来て、右膝を失う前よりも、今のほうが高いレベルで走れる事実に気づいた。
全てにおいてというわけではないが、一回転ごとに比重を上げる走法と使うと、回りながら走れば凄い速さで比重が稼げる事に気づいた。

「これをあの時知ってればなぁ・・・」

「あの時」はトラックに膝蹴りをかました時の事。
この方法を使うと短い距離でもトラック程度なら跳ね返せる比重が稼げる。
後悔先に立たずとはよく言ったものだ。
後はとにかく「転ばない」ようにするだけだった。

「両足で走るみたいに、ジグザグに地面を蹴れば良いんじゃないの?」

夕方、河川敷で練習していたら七美が意外に良いアドバイスをくれた。
転倒が怖くて、ギアチェンジ走法は駅前以来やっていない。
上で書いたような練習は全て1速でやっているわけだが、そろそろ七美も、俺が特別だという事に気づき始めた。

「ジグザグ調子良いな。七美、これいいぞ。」
「・・・ところでさあ。」

俺はジグザグケンケンを試しながら答えた。

「なに?」

七美は体育座りで俺を見ている。

「マキトって本当はどれぐらい速く走れるの?」

俺は立ち止まると七美の方を振り返った。

「誰よりも速くだ。」
「それってマジで言ってるの?」
「短い距離はダメだよ、加速にどうしても時間がかかるからね。中距離以上は負けないよ。」
「片足でも?」
「片足でもだ。」

俺がそう答えると、七美は黙って川面を見ていた。
そして、しばらくすると

「あの時、ホントはバス停の屋根まで跳んだよね?」

と聞いてきた。

「そうだよ。」
「なんで片足であんな事できるの?」

俺はもうそろそろ真面目に答えないといけないと思って、七美の横に腰をおろした。

「特別な走り方があるんだ。」
「・・・アタシでもできるの?」

俺はいつの間にかギアチェンジ走法の素養みたいなものに気づいていた。
俺や師匠にあって、他の人にないものだった。
それだけ俺が深くギアチェンジ走法を理解し始めているという事だろうか。

「多分出来ないな。」
「師匠って人が出来るの?」
「そう。」

俺と七美は並んで川面を見ていた。
もうすぐ日が沈む。
徐々に赤く焼けていく太陽が、西の山に飲み込まれるように沈み始めた。

「もしかして、あの時も駅前みたいに小学生を助けたの?」
「・・・代わりに右膝無くなっちゃったけどな。」
「・・・そうね。」

七美が僕の肩に顔を寄せた。

「あの時、怖かったぁ・・・マキトいなくなっちゃうんじゃないかと思った。」
「・・・ごめんな。」

ジョギングコースを近所の中学生が走っていった。

「あの時、なんでマキトにもっと早く『好き』っていわなかったのかなと思って、毎日泣いてた。」

俺は謝り過ぎるのもよくないと思って、黙って聞いていた。

「マキト、篠宮さん好きだったでしょ?」
「・・・知ってたの!?」

俺は結構びびった。

「知ってたよぉ・・・アタシずっとマキトの事見てたもん。」
「『ずっと』っていつから?」
「安井の腕折れてから。」

思ってたより短かった。
そうこう話しているうちに夕立が降ってきた。
幸い七美が傘を持ってきていたのでそんなには濡れなかった。

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=34727901&comm_id=3641323

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