ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

ハンス・ギュンシュ大尉の副官。コミュの蒼銀色の月が照らす静寂の夜

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
遥か遠く朧気な記憶に残る俺を産み落とした母は、最期まで気高く生きた女性だった。
いや、これは果たして本物の記憶だろうか?
植え付けられた偽りの記憶のようにも思える儚き思い出。
気付いたら、噎せ返るような血の匂いと、無残に引き千切られた肉塊が俺の周りにあった。
…途切れ途切れな記憶。思い出したら自我を完全に喪失してしまいそうな恐怖感に幾度となく囚われていた幼少期…。
だがそれも、戦争が激化し闘争が当たり前のように行われ始めてから次第に薄れていった。
…そう。呼吸をするかのように闘争と暴力を行う髑髏の集団に属する事があの時代は当たり前の事だった。
俺には、無関係な話だったが。
気付いたら、薬の匂いが充満する無機質な研究施設から出され、祖国の為に忠誠を尽くし戦い抜き、世界で唯一の選ばれた民族として生きる事を良しとしていた集団に放り込まれていた。
俺と母、同族達を研究材料にしていた教授は俺が祖国の為に生きる事を笑っていた。親ではなくあくまでも研究対象として見ていた彼は、戦争を仕掛けてから間も無く、俺をとある男に引き合わせた。
…丸眼鏡をかけた小柄で、小太りな金髪の男だった。
「…素晴らしい!彼があの…」
男は口元を歪めて実に愉快そうに笑っていた。教授も笑っている。
「そうです、彼があの被験体:A+++。最高傑作ですよ」
「何しろ造られたモノではなく、本物だからねえ。実に素晴らしい!あれは本当に心踊る光景だった。堪らないな!」
…何の話だ?
「教授、彼は人語は解するが話せないのかね?」
「いえ、話せないのではなく話さないだけですよ」
痩せぎすの教授は、小太りの男に冊子に纏めたレポート用紙を手渡す。彼はパラパラとレポートを見た途端、嬉々としてますます狂喜に満ちた表情をして興奮気味に叫ぶように言った。
「ああ。そういう事か!…堪らないね、闘争の本質は。私が望む戦争の為に実に素晴らしい駒だ。さあ、教授。今回はどのようなショーを見せてくれるのかね?」
「…貴方を喜ばせる為に準備をしてあります。…まずは腹拵えをどうぞ」
「君の料理は素晴らしいからね。では早速頂こうかな」

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

ハンス・ギュンシュ大尉の副官。 更新情報

ハンス・ギュンシュ大尉の副官。のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。