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岩田ゼミA斑コミュの3章完成形

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〜第3章〜 問題提起

1章、2章でTカードがどうして今われわれの中に普及しているのかを述べてきた。2008年6月末のTカード会員数が前年同期比41%増の2925万人に拡大するなど事業が好調に推移している。Tカードがここまで普及したのは2章で述べたように他企業との提携、情報力、プロモーション効果などといった他のポイントカードにはない強みがあったからである。Tカードは、ロイヤリティ・マーケティングのツールとされていたポイントカードの概念を全く新しいサービスと戦略で覆したと言える。これまでの実績や、ここ近年の会員数の伸びを見ても、今後も会員数は右肩上がりで増えていくだろうと思われる。
しかし、本当にそうであろうか。われわれは以下の4つの点から今後既存の顧客はT会員を辞め、新規顧客の獲得も難しくなるのではないかという疑問を抱いた。

?ポイント付与率の低さと新しいポイントカードの登場
T会員にとって、Tカードの最大の魅力は1枚のカードであらゆる店舗でポイントを貯めることができ、財布がかさばらないで済むということである。しかし言ってしまえば消費者にとっての利点はそこだけに見える。Tカードを使用しても100円につき1ポイントしか付かない。確かにポイントを貯める機会はアライアンス企業が多いためたくさんある。
しかし、実際ポイント計に換算すると付与率が少ないためそこまで多くは貯まらないのが現状である。利用者が多い20代にとってその金額はさほど多くない。例えば500ポイント貯めたとしてもそのためには5万円使わなければならない。ハイリスクなわりには消費者へのメリットは少ない。この現状に消費者は満足しているのであろうか。それともこの事実に気づかずにTカードを使用しているのであろうか。
今日では、Tカードのように通常のポイントカードより便利で新しいポイントカードが多数出現してきている。例えば、ポイコであるポイコは、フリーペーパーのホットペッパーから誕生したポイントカードであり、ホットペッパーに記載されている飲食店のうち「ポイコ加盟店」でポイントが貯まり、使用できるシステムである。対象の飲食店に行くと1回につき50ポイントが貯まり、300ポイント以上貯まると1ポイント=1円で利用可能になる。そして、電子マネーEdy(エディー)でも1ポイント=Edy1円分、ネットショッピング楽天ポイントも同様に1ポイント=1円分として使用できる。消費者にとって6回行けば300円引きとポイントの付与率が明確であるため非常にわかりやすいというメリットがある。しかし他のアライアンス企業を巻き込んであるという面ではTカードと同様今までのカードには無かった形態である。
次にJR東日本が発行するSuicaの機能は、交通機関の電子マネーとしての利用である。しかし携帯電話とSuicaを組み合わせることによって、今使用している携帯一つで乗車でき、さらに買い物ができる。ビューSuicaはクレジット機能とSuicaを一つにすることによって、クレジットで貯めたポイントをSuicaのポイントに変えることが可能になった。交通機関とポイントカード、携帯電話が融合することは、消費者にとって大きなメリットとなる。このように消費者にとって魅力的な新しいポイントカードが続々と登場し、Tカードの成長を妨げるのではないだろうか。

?個人情報管理に対する不安
 Tカードは情報力に優れている。TSUTAYAでレンタルをするには身分証明書の提示も必要であり、より詳細で質の高い情報が把握できている。
 しかし、個人情報が漏れる不安をもつ消費者は多数いるのではないだろうか。株式会社アイシェアのアンケート調査(4)によると、ポイントカードの所有枚数は「5〜6枚」が27.3%で最も多く、「3〜4枚」が24.4%とこれに次いだ。また女性は35%、男性も17.8%が「9枚以上」持っているという。男女合計で66.6%の人が「ぜひ1枚にまとめたい」と考えている。しかし、「1枚にしたいが不安」という人も21.8%おり、また、「複数ある方が便利」「個人情報保護に問題がある」といった理由からポイントカードをまとめることに反対な人も12.2%いた。
Tカードでは、確かにアライアンス間の顧客の情報の交換は様々な戦略を立てる際に元となる場合があり活用されている。しかし消費者側から見ると多くの企業への個人情報流出は不安要素となる。悪用されるまでは考えないとしても様々な情報が流れている昨今、消費者としては個人情報が知らない所でやり取りされていることに不安をかかえているのである。これは、Tカードに限らず、カード社会になりつつある現代において、個人情報が漏れるのを恐れてカードを作りたがらない消費者が増え、カードが今後敬遠されていくのではないかと思われる。
 さらに、先ほどのアンケートからも分かる通り、カードをまとめたいが不安という声もある中でTカードの魅力である他企業との提携は果たして消費者にとって本当の魅力となっているのだろうか。

?サービスの多様化による消費者の混乱
 株式会社Tカード&マーケティングでは現在、Tカードに付随してさまざまな事業を行っている。T会員専用サイトである「T-SITE」ではカードの利用履歴の参照やキャンペーンやサービス、提携企業の紹介等を行っている。また、2008年7月にオープンした「T-MALL(T モール)」は、インターネット上のさまざまなショッピングサイトを紹介し、買い物や決済、資料請求や会員登録などによってT ポイントが貯まるインターネットショッピングモールで、 T 会員なら誰でも無料で利用できる。その他、クレジット機能のついたWカードや電子マネー「Edy(エディ)」との提携など新しいサービスを行っている。
 消費者にとって便利なサービスが充実していく一方で、その内容を認知できていない現状があると思われる。熱心にポイントを貯めている会員はさておき、「Tカードはお持ちですか?」と言われれば出すが、使い方がよく分からないといった会員や、主婦や年配の方にとってはこのような多様なサービスがあることで混乱を招くのではないだろうか。
 また、事業の多様化によりCCCのグループ企業間でのカニバリゼーション(5)が起きる疑念もある。CCCグループ企業である株式会社ツタヤオンラインが行う「TSUTAYA online」はDVD・CD・本・ゲームといったエンターテインメント・パッケージの販売や宅配レンタル、動画配信、音楽配信、モバイルコンテンツを提供している。これは先ほど挙げた「T-MALL」と重なる事業が含まれている。
また、宅配レンタルや、コンテンツの配信によって本業であるTSUTAYAのレンタル事業に支障が出るのではないだろうか。初期の段階ではレンタル事業を中心にしてきたが、時代の流れに沿ってその幅を広げてきた。一見事業の拡大と見て取れるが、Tカードといえば店舗でのレンタル事業を主にしてきたため、ネット上での活動を増やすと、実際店舗へ足を運ぶ消費者が減少しレンタル事業としての根本が崩れてしまう。Tカード&マーケティングは今後いったいどの事業に力を入れていくのであろうか。

?ロイヤリティ・マーケティング実施の有無
 ロイヤリティ・マーケティングにおいて必要不可欠なツールとして活用されてきたポイントカードであるが、Tカードはその概念を覆し、全く新しい形で登場した。「顧客の囲い込み」という点ではロイヤリティ・マーケティングの一環として捉えることができるが、Tカードはロイヤリティ・マーケティングの特徴である優良顧客の差別化や、新規顧客よりも既存顧客に重点を置くようなサービスは行っていないように思われる。むしろ、新規顧客獲得には積極的に取り組んでいる。
 しかし、顧客の購買行動がより多様化し、より複雑化している近年では、ロイヤリティ・マーケティングの考えが一層重要になってくる。CCCグループの企業理念は「ライフスタイルの提案」である。ライフスタイルはもちろん一人一人異なり、どのライフシーンに価値を置くかもさまざまである。それゆえ、会員数が伸びに伸びた今、マスな目線でマーケティングを行うのではなく、既存の顧客の維持・拡大に重点を置き、詳細にマーケティングを行う必要があるのではないだろうか。
 Tカードが今後、ロイヤリティ・マーケティングを取り入れていくのか、はたまた既に何かしらのロイヤリティ・マーケティングの政策に着手しているのか、既存顧客がTカードを利用し続けるかどうかの一つのカギになると思われる。

以上4つの点から、現在のT会員の維持や新規顧客の獲得は難しくなるのではないかという疑念を抱いた。Tカード&マーケティングはこれらの点についてどのような考えも持っているのか、Tカードの今後の事業展開が注目となってくる。
われわれは、Tカード&マーケティングの社員の方たちにお話を伺うことができた。4章では、上記した疑問点に対する回答やTカードの今後についてなどのお話を伺った中での考察を述べていく。


(4)株式会社アイシェアが20〜40代の男女に対し、「ポイントカードに関する意識調査」を実施、2008年7月15日、調査結果を発表した。調査対象は、20〜40代の男女491名。男女比は、男性:53.6% 女性:46.4%。年代比は、20代:14.5%、30代:54.6%、40代:30.1%、その他0.8%。調査期間は、2008年7月2〜4日の3日間。
参考 「Nikkei BP net」 http://www.nikkeibp.co.jp/news/biz08q3/578533/ 08/12/29

(5)カニバリゼーション
 同一企業内の類似製品間で同一市場を奪い合う現象のこと。「共食い」と呼ばれることも多い。

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