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T.S. エリオットコミュの映画ビデオ「愛しすぎて」を観て

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私が卒論にした英国の詩人、TSエリオットは、20世紀最大の詩人と呼ばれ、ノーベル文学賞を授与された人である。どうみても、勝ち組だが、彼の最初の結婚は、悲劇であった。

 英国社交界の花形で鋭敏な神経の持ち主、ビビアンと出会い、恋に陥り、結婚したのだが、彼女は、生理の異常からくる心身の病があり、次第に異常な行動を取るようになる。詩人の、結婚生活は、安らぎのない不幸なものであった。しかも、ビビアンは、狂おしいほどトーマスを愛していたのだから、その悲劇は、底が深く、救いがない。

 我が国詩人、高村光太郎とその妻智恵子の悲劇に似ている。ビビアンは、精神病院に強制的に入院させられる。

 映画の最後の場面では、ビビアンは、閉経して正常に戻るが、既に離婚していて誰も訪ねてこない孤独地獄の晩年を、精神病院で過ごしている。有名人となったエリオットは、親子ほど年の離れた女性と再婚して、初めて、心の安らぎと幸福を味わっていた。
 哀れなビビアン。彼女の死の1年後、トムは、ノーベル文学賞を与えられる。

 エリオット役のウイレム・ヂフォー、ビビアン役のミランダ・リチャドソンをはじめ、イギリスの俳優の抑制された演技が素晴らしい。アカデミー賞にノミネートされたのもむべなるかな。

 観終わって、結婚という、祝福されるべき人生が、不幸しか招かない運命の恐ろしさがジワジワと伝わった。

 ひとつだけ、注文したいのは、もう少し、エリオットの作品の紹介があった方がよかった。

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