憲法九条を暮らしに生かす会コミュの本村伸子議員に聞く　ウィシュマさん映像を見て

本村伸子議員に聞く　ウィシュマさん映像を見て
最後は反応しなくなりどれだけ苦しかったか
#真相解明へ全面開示が必要
2021年12月28日しんぶん赤旗電子版転載
写真ウイシュマさんはＴＢＳニュースから。

　名古屋出入国在留管理局でスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが死亡した事件で、死亡直前の監視カメラの映像が衆院法務委員会（２４日）に開示されました。委員として映像を見た日本共産党の本村伸子議員に聞きました。（小梶花恵）

　ウィシュマさんが３月６日に亡くなるまでの２週間のうち、抜粋された約６時間半を見ました。映像が残っている２月２２日からかなり衰弱しており、うなだれ、バケツを抱えて吐き、最後は反応しなくなった姿を見て、どれだけ苦しかったかと思いました。

　２４日午前４時から長時間、「あぁぁ」「死ぬ」と苦しそうに声をあげ続けていました。他方、出入国在留管理庁が作成した調査報告書では、「体調不良を訴えた」とだけ書かれています。３月３日の夕食では、口に運ばれたものを吐いていましたが、「食べた」とあり、正確ではありません。

#齟齬なしと言えず
　自民党の委員は「報告との齟齬（そご）はない印象」と述べましたが、報告書にあった、２月２７日に床に落ちる映像や「点滴だけお願い」と言った映像もなかったため、齟齬がないとは言えません。ウィシュマさんの尊厳とプライバシーを守った上で全面開示が必要です。

　報告書では、２月１５日の尿検査で肝臓や腎臓の機能低下、飢餓状態が疑われていました。３月４～６日には血圧と脈拍が「脱力して測定できず」とあるのに、４日の外出通院で受診したのは精神科だけです。６日午前８時１２分には、職員の話に全く反応していませんでした。午後に職員と上司が慌てたようにウィシュマさんの様子を確認していましたが、救急車を呼んだのは脈拍がないのを確認してからでした。ウィシュマさんは続けて「病院」「点滴」と求めていたのに適切な医療が受けられず、憤りと悔しさでいっぱいです。

　収容されている人の医療は国の責任です。私は名古屋入管の医療にあてる予算について名古屋入管に質問しましたが、回答はありません。

　ウィシュマさんはドメスティックバイオレンス（ＤＶ）の被害を受け、家を追い出されたと語っています。朝５時に静岡県内の警察に行き、翌日、名古屋入管に収容されました。

　「報告書」には加害者とされる元恋人の供述があります。それが事実なのかを含め、警察や入管がＤＶ被害者として保護しなかった問題について、ＤＶ被害者支援の専門家を入れて検証すべきです。

　日本共産党は、「報告書」「映像」の一部開示を受け、集中審議を求めています。全容解明にはビデオの全部、他にも看守勤務日誌など、ウィシュマさんに関わるすべての資料を開示してもらわなければなりません。

#全件収容主義ノー
　同委員会理事候補だった稲田朋美議員（自民党）は、次期国会で入管法改定案を通してほしいと特別国会で述べました。

　私たちは法案提出の前にウィシュマさん死亡事件の全容を解明し、再発防止策を実施すべきとの立場です。映像を開示したことが法案提出の地ならしになることを心配しています。

　映像開示は遺族と代理人弁護団、野党が繰り返し求めて実現しました。３回以上難民申請した人を強制送還できるようにする入管法改定案は市民の反対で昨年いったん廃案になりました。改定が必要なのは、非正規滞在者を全員収容する全件収容主義をやめることや、収容の判断における司法の関与と考えており、追及していきます。