競馬千夜一夜コミュのゲインズボロー

「戦時下のヒーロー」ゲインズボロー (ゲインズバラＧａｉｎｓｂｏｒｏｕｇｈ)
牡　鹿毛　イギリス産　１９１５年生　１９４５年死亡
父Ｂａｙａｒｄ　母Ｒｏｓｅｄｒｏｐ(Ｓｔ.　Ｆｒｕｓｑｕｉｎ)
９戦５勝　主な勝ち鞍：イギリス三冠、ニューマーケット・ゴールドＣ、オータムＳ

１９１４年７月に勃発した第一次世界大戦はイギリスの競馬界にも大きな影響を与え、１９１５年にはダービー開催地のエプソム競馬場も陸軍基地として接収されました。１７２２年に生まれたイギリス絵画の先駆者から名前を貰ったとも、オーナーが旅行のパンフレットにあったリンカンシャー州の小さな駅の名前からとったとも言われるゲインズボローは、戦時下の１９１７年７月ニューマーケットにおける臨時開催でデビューしました。緒戦を４着、２戦目を３着と凡走した後のオータムＳ(芝1200m)を２番人気で快勝。３歳緒戦セヴェラルＳ(芝1000m)こそ５着に敗れはしましたが、勝利を確信させる抜群の調教で３番人気の２０００ギニー(芝1600m)をソムキスに１馬身半差をつけて快勝。続くニュー・ダービー（代行ダービー芝2400m）では１番人気となり、ブリンクに１馬身半差をつけて完勝。３頭立てのニューマーケットＧＣ（代行ゴールドＣ芝3200m）を楽勝した後、５頭立てという寂しいセプテンバーＳ（代行セントレジャー芝2800m）を逃げ切って史上１３頭目の英国三冠馬となりました。主戦のチャイルズ騎手は現役の軍人でもあり、競馬開催の時だけ兵役を抜けられるという特例を得てゲインズボローに騎乗していました。馬主Ｊ・ダグラス夫人は英国初となる女性のダービー馬オーナーとなり大きな話題を呼びました。
父Ｂａｙａｒｄは前年の三冠馬ゲイクルセーダーＧａｙＣｒｕｓａｄｅｒkの父でもあり、２年連続の三冠馬を輩出した稀有な存在です。しかし、時代背景があったとはいえ、このような代行レースではゲイクルセーダーともども正式な三冠馬として認めないという意見もありました。母Ｒｏｓｅｄｒｏｐはオークス馬で、オークス馬がダービー馬の母になったものは、メルド→シャーロットタウンなど数例しかありません。日本ではトキツカゼ→オートキツ、ベガ→アドマイヤベガがいます。
種牡馬として１９３２年・３３年にチャンピオンサイアーになり、彼の血はハイペリオンとソラリオを通じて世界中に拡がりました。わが国にも直子のトウルヌソル・レイモンド・タラップ、ソラリオを母父に持つヒンドスタン、ハイペリオンの系統であるハイセイコーやグリーングラス、セイウンスカイなどを通して日本の競馬にも大な影響を与えています。更に、世界的にも珍しい系統となったディクタス(Ｄｉｃｔｕｍｓ)がゲインズボローの血を今も日本で根強く息づかせています。ゲインズボローと呼ぶのはアメリカ流で、長く日本でも定着していましたが、２０００年前後より英国流にゲインズバラの表記が見られるようになりました。
１９４５年６月５日に生まれ故郷のハーウッド牧場で３０歳の長寿を全うしました。

コメント(2)

最初
全て
最新の40件

[1] mixiユーザー 06月15日 06:41

ホッカイドウ競馬で古馬並のタイムでデビュー戦を勝ち、既にファンクラブやｍｉｘｉの世界でもコミュができているインパーフェークトの父は若くして亡くなったナリタトップロード(1996)です。その父サッカーボーイ(1985)は菊花賞・天皇賞(春)・宝塚記念などに勝ったヒシミラクルの他にもキョウトシチーやゴーゴーゼット、ティコティコタック、アイポッパーなど多くの活躍馬を出しています。サッカーボーイの父ディクタス(1967)はフランス産で、パリカラキ(アーリントンH)・ラオスティック(フェデリコ・テシオ賞)・ディアマダ(エクリップス賞)・輸入種牡馬フレイズの母ザラテア(オーク・トゥリー招待H、ドーヴィル大賞、ポモヌ賞2回)などを現地に残し、１９８０年に輸入され１９８９年に死亡するまでにスクラムダイナ・クリロータリー・イクノディクタス・ムービースターなど優れた産駒を多く輩出しました。ディクタスの父サンクタスＳａｎｃｔｕｓ(1960)は仏ダービーやパリ大賞典の勝馬で、息子で輸入されたサンシーＳａｎｄｙ(1969)はハギノトップレディやトウショウサミットなどを出しました。サンクタスの父ファイントップＦｉｎｅＴｏｐ(1949)からはミスターシービーの母父となったトピオＴｏｐｙ(1964)が輸入されています。ファイントップからＦｉｎｅＡｒｔ(1939)・Ａｒｔｉｓｔ`ｓＰｒｏｏｆ(1926)を経て、ゲインズボローＧａｉｎｓｂｏｒｏｕｇｈに遡ります。この系統は、スタミナ血流ですがスピードタイプが多いのも特徴と言えます。ファイントップ系は父系としてはフランスでも途絶えているようなので、ハイペリオンを通じない貴重なゲインズボローの血脈として日本に残ることを願いたいものです。

[2] mixiユーザー 07月04日 03:21

うる覚えでごめんなさい。
吉沢譲治さんの『競馬の血統学』か『母の力』でケインズボローの話が載ってました。
ここまで詳しくありませんでしたが。
上記に書いてるように、『マグレ三冠馬のレッテル』を産駆でそれが間違っていることを証明した。
確か戦争で種牡馬として、最も油の乗った時期を無駄にしたってゆう逸話もあったような…。

中途半端な文章でですいません。

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ