競馬千夜一夜コミュのアソールト

「足曲がりの彗星（ＣｌｕｂｆｏｏｔｅｄＣｏｍｅｔ）」アソールト (Ａｓｓａｕｌｔ)

牡・栗毛・米国産　１９４３年生　１９７１年死亡
父ＢｏｌｄＶｅｎｔｕｒｅ　母Ｉｇｕａｌ（Ｅｑｕｉｐｏｉｓｅ）
通算成績：４２戦１８勝
主な勝ち鞍：アメリカ三冠、ウッドメモリアルＳ、ドワイヤーＳ、ピムリコスペシャル、サバーバンＨ、ブルックリンＨ（２回）

ブランドフォードは祖父のジョンオーガントから受け継いだ右前脚の屈曲で両前脚の長さが違うというハンデを持っていました。小さい時に母馬に右前脚を踏まれ生涯においてハンデを背負ったフランスの英雄グラディアトゥールもいました。
不格好にして不器用、生まれた年の事故で変形して引きずる脚でアメリカの三冠馬になったお話です。小柄な馬は「湾曲足の彗星」と呼ばれ戦争最中の人々に光を灯しました。
父は１９３６年のケンタッキーダービー馬ボールドベンチャー、母は競走歴のないイグアルを両親に持つアソールト「襲撃」と名付けられた仔馬は誤って踏み抜いた杭が蹄を貫通する大怪我を負い、殺処分は何とか免れたものの右足が変形して誰が見てもわかる程に脚を引きずる後遺症は治りませんでした。

コメント(7)

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[1] mixiユーザー 07月28日 18:13

お！早速ありがとうございます。
はやく続きが読みたいです。
日本だとベガくらいしか思い浮かばないのですが、結構脚のハンデがあっても活躍した馬っているんですね。

[2] mixiユーザー 07月29日 09:40

無事だったらミスターシービーの評価が変わっていたかもしれないヤマニングローバルやトピでも取り上げたパーソナルエンサインのように故障から復活した馬はかなりおりますが、先天的な奇形や幼少時の大怪我はリスクも大きく処分されることが多いと思います。ＳＳも小さい頃の度重なるアクシデントから競走馬としても結果を残しました。

アソールトはテキサス州のキングランチで生まれました。「びっこ」「足曲がり」と呼ばれていた馬でしたが競走馬としてデビューしたのは２歳６月のベルモントパーク競馬場、初戦を１２着と惨敗します。２戦目は５着、３戦目に２着となり４戦目のアケダクト競馬場で一般競走を勝ち上がりますが、次戦はジャマイカ競馬場（ニューヨーク州）のイーストヴューＳで５着、続く２勝目のフラッシュステークスは１１番人気（７０倍以上）の大穴でした。その後も入着を続け、この年は９戦２勝で終えます。いびつな歩き方は誰が見ても明らかで、コースに向かう途中でつまずいたり、転んだりしたことさえありました。
年が明けて３歳となったアソールトは初戦のフリーハンデキャップを勝つと続くウッドメモリアルステークスも連勝しました。ダービートライアルステークスは４着だったために４番人気となったケンタッキーダービーでは逃げたスパイソングにノックダウンと併走するように続き、チャーチルダウンズの長い直線に入ったところで先行策から直線内ラチの隙間から抜け出すと、前走で遅れを取ったスパイソングを退けて独走します。その８馬身差はレース最大着差のタイ記録でもありました。

[3] mixiユーザー 07月29日 11:21

日本では名牝ベガが足曲がりで有名ですね。
「モスケ」先生（心の師匠）に伺ったのですが、「この馬は良い繁殖になるよ。足が曲がっていても大丈夫だよ」とY田氏に勧めたそうです。
このとき、ベガはまだ当歳。
Y田氏は半信半疑だったらしいが、「モスケ」先生を信じてせりに出さず手元に置きました。
結果はご存知のとおりで、予言は的中しベガは良い繁殖となりました。

引退後に何度か面会した友人によりますと、性格は非常に大人しくて人間に従順だったそうです。
むしろ他の馬を怖がるくらいだったとか。馬嫌いなんだそうです。

[4] mixiユーザー 07月31日 06:46

スーパーカーと呼ばれたマルゼンスキーも生まれつき前脚が外向していたことが有名ですね。そのために慢性的な脚部不安に悩まされ、最終的には屈腱炎で現役生活に幕を降ろしました。産駒も走る子ほど脚が外に曲がっていたといわれています。

[5] mixiユーザー 08月04日 09:36

アソールトの父ボールドベンチャーは１９３６年のケンタッキーダービー馬。しかし、最初の２世代が思ったほど振るわず馬産地ケンタッキーで人気を落としてしまい、そこでキング・ランチを経営するロバート・クリーバーグＪｒ．は４万ドルでこの種牡馬を購入し１９４１年にテキサスへと連れてきました。母イグアルは未出走のエクイポイズＥｑｕｉｐｏｓｅの産駒でした。
アソールトの調教師であるマックス・ハーシュは１８８０年にテキサスのフレデリックスバーグで生まれ、１０歳のときからクォーターホースに乗り始めました。１２歳のときに貨物列車に乗り１人でメリーランドにやって来ました。そして、ボルティモアについたその日から調教騎手の仕事を得て１年後にはジョッキーになり、５年後の１９０２年に調教師として開業しました。６０年間の調教師生活の中で１９３３頭の勝馬を出し、多くの活躍馬を育てました。クリーバーグが競馬産業に参入した１９３６年に、キング・ランチの馬の調教師として選んだ人物がこのハーシュでした。
変形したアソールトの蹄はあまりにも薄くもろかったので、蹄の前の部分までカバーするような特殊な蹄鉄が必要でした。それでも厳しい調教に耐えてデビューに漕ぎ着け、ケンタッキーダービーを勝つまでになりました。それだけでも凄いことなのに彼はプリークネスＳでも、追い込んだロードボスウェルをクビ差しのぎ切って優勝します。さらに彼の最高のレースといわれるベルモントＳでは、ゲートを出た瞬間につまずいて遅れをとり後からの競馬を余儀なくされます。第２コーナーに入った時点でも先頭から１０馬身ほどの後方を追走、直線では外に持ち出す時に逃げてバテたハンプデンと接触する破目になります。しかし、それをものともせず力強く抜け出しゴールでは後続を３馬身差千切る圧勝劇でした。騎手のメーテンスは接触したことが降着の対象になることを恐れましたが、アソールトの勝利に異議を唱える者はいませんでした。
アソールトは右脚のハンデを克服して史上７頭目の米国三冠馬という奇跡の大偉業を達成したのです。

[6] mixiユーザー 08月07日 13:52

うちの牧場にも前脚がひどい外向の馬がいます
産まれたばかりの頃はまるでバレリーナのような立ち方でした(^_^;)
幸い、社○ホースクリニックに診てもらったところ、手術なしで削蹄で矯正かければいいことになりましたが。
この仔、シンボリクリスエス産駒なんですけどね、競馬関係者の間では「クリスエス産駒の外向」は有名らしいです。
ホースクリニックの先生の話だと、クリスエス自身もひどい外向だとか。
それから、栗東の某調教師先生の話だと、ハーツクライは３歳時、脚を振り回すようなひどい走り方をしていたそうです。
それが、調教を重ねるごとに少しずつよくなり、あのディープを負かした有馬記念の頃にはほとんど気にならなくなっていたそうです。
やはり名馬といわれる馬は多少のハンデは関係ないのでしょうね。
例えハンデを背負っていても、元々の潜在能力をいかに引き出す調教を出来る厩舎にいかれるか、そして、それ以前に無事競走馬になるチャンスを持っているか…
うちのとねっこもハンデに負けず頑張ってほしいですねo(^-^)o

[7] mixiユーザー 08月11日 08:02

生まれて間もなく母を失い、祖母の乳で育ったサクラスターオーも競走馬としては深刻な欠陥を抱えていました。極端に外向していた前脚、彼の卓越した能力は生まれながらに奇形を抱えた自身の脚に大きな負担を与えていました。６ヶ月半の休み明けで出走した菊花賞は９番人気での劇的な勝利、そして有馬記念での悲劇は今なお悲運の名馬としてその名を競馬ファンに語り継がれています。

１９４６年、アメリカが第２次世界大戦のさまざまな後遺症を乗り越えようと必死だった頃にアソールトは数少ない希望の星でした。アメリカ人は長い戦争を経て心のよりどころとしていた不屈の精神の体現を彼の姿に見たのでした。
三冠を達成したアソールトはベルモントＳの２週間後に行われたアケダクトのドワイヤーＳにも勝利しますが、以後６戦は勝ち星に見放されます。そして、新たにエディ・アーキャロを鞍上に迎えたアソールトはピムリコスペシャルではステイブルメイトで同一オーナーのスタイミーＳｔｙｍｉｅ（Ｅｑｕｅｓｔｒｉａｎ／１３１戦３５勝）を破り、さらにウェストチェスターＨにも連勝します。１９４６年におけるシーズン成績は三冠を含めて１５戦８勝、そ年の年度代表馬に選出されました。さらに翌１９４７年も５月３日の初戦から５連勝して連勝を７と伸ばしましたが、ベルモントゴールドカップでスタイミーに敗れます。続く９月２７日のアームドＡｒｍｅｄ（ＢｕｌｌＬｅａ／８１戦４１勝）との有名なマッチレースは故障の原因にもなったと言われ、アーキャロの言葉を借りれば「出走させるべきではなかった」戦いでした。アームドに８馬身差で敗れたアソールトは、それ以降に３勝を追加したものの全盛期の勢いを取り戻すことはできませんでした。それでもアーキャロは、サイテーションを除けばアソールトは騎乗した中で最高の馬だと言い続けました。
当初は４歳で引退する予定が、授精能力に問題があることが判明したために７歳まで現役を続けました。実際にアソールトはほとんど産駒を残せず事実上は種牡馬失格でした。１９７１年９月１日に生まれ故郷のキング・ランチで息を引き取ったのは２８歳でした。１９６４年にアメリカ競馬殿堂入り。
母イグアルの曾孫ウォーホイッスルが日本でも牝系を拡げています。

変形した脚で能力通りに走れなかったと思われますが、コースに立てば脚取りはしっかりとして優雅でしかも勇敢でした。テキサス生まれの三冠馬は彼だけの勲章でもあります。

血統表をみるとドミノで取り上げた馬が目につきます。対戦した相手にもでてきますので、時間があればドミノを読み返してください。
http://www.pedigreequery.com/assault

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