"CES533,Shizuoka Apporach,Fly heading 260 for Vector to final course,decend and maintain 10,000" "Say again,Speak slower" 私は、心の中で舌打ちして再び指示を送った。 "CES533,Shizuoka Apporach,Fly heading 260 for Vector to final course,decend and maintain 10,000" "CES533,Heading 260,10,000,thank you Kanon "
進入コースに入ってくる映像を見ながら私は心の中で毒づいた。なにが聞こえなかったよ。わざとらしい。ふん。 "CES533,Decend and Maintain 7,000" (中国東方航空533便、7,000フィートに降下を許可する) "CES533,Decend and Maintain 7,000" (こちら中国東方航空533便、7,000フィートに降下する)
富士山静岡空港。ここの一角に通称『航空神社』で知られる建物がある。空港開設反対派の厄除けに作ったビジターセンターが正式名称だが、そう呼ぶのは空港を管理する県庁と管理会社の幹部だけだ。 鳥居こそないが、玄関には航空神社、Temple of Aircraftと書いた偏額が掲げてあり、参拝者は頗る多い。公共施設に特定宗教の使用とは何事か、と勢い込んで乗り込んできた市民団体が御神体を見せられてすごすごと退散したこともあった。
翼の長さも左右あべこべなら操縦席も中心軸にないこの機は、ちんば飛行機とかびっこ飛行機と俗称されていたのだが、さすがに祭に放送禁止用語は不適切であったので、英語で七面鳥を連想させる名古屋弁が採用された。 しかしそれがなんだ、とばかりに、機体は色鮮やかを通り越して、目が痛くなりそうな蛍光色のローゼンジパターンで彩られ、胴体左は一文字が1mもありそうな『漢伏波将軍夏候元譲』と墨痕も鮮やかに、矢を口に咥えた独眼の武者が垂直尾翼から周囲を睥睨しており、右は右で”kiss my Ass!"とドイツ文字もおどろおどろしく垂直尾翼で鉄腕ゲッツこと泥棒騎士ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンが微笑んでいるくらいにして、将に航空機界の傾奇者。その侠気に敬意を表して、最初の組はバイクも人間も『傾く』ことが要求されており、改造され過ぎてどの辺に原型があるのかよくわからないモンキーやゴリラにコスプレイヤーが乗り込むのが半ばお約束化している。 ヘルメットを被らなければならないので、どうしてもファンタジー物が中心になってしまうのだが、今年は「大ふへんもの」と書いた陣羽織をきた侍がポッケに乗って登場し、盛んに握手を求められていた。
「客寄せに手段選ばないって、ここまでやります?あっきれた」 「せっかく空港で走るんだから飛行機と競争したいんだってさ。」 「県内どころか、北海道や沖縄からも来てるんだよ。毛嫌っていないで、イタ飛行機まつりのパンフ読んだら?」 "Bv141,Shizuoka tower, leaving One thousand five handred,climbing to 140" (こちらBv141,現在高度1500フィートを過ぎ、14000フィートに上昇中) "Shizuoka tower,Bv141,hold flight level 140 southeast of Shizuoka VOR" (Bv141,高度14000フィート、静岡VOR南東で待機せよ) "Shizuoka Tower,C172 Rinna ready" (セスナ172R 離陸準備完了) "All C172,Wind 360 at 5,Cleared for Take off" (セスナ172全機、離陸を許可する。風向360度 風力5) Zero,Asuka,Belldandy,Number 1" (離陸順番1番は、零号機、アスカ、ベルダンディ) Claris Dora,Etajima, Number 2 Fio,Gina,Haruhi Number 3 Index,JoJo,Konata Number 4 Lillia,Miku,Nausicaa Number 5 Orihime,Porco, Number 6 Quty,Rinna Number 7