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Novel Birguコミュの『明るい場所に僕を匿ってくれるセニョリータ』

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「やっぱSHINGO☆西成の曲はしびれるよね〜」
「ホン君・・・何で裁判所から礼状が出たんだよ、何でだよ」

♪時間(とき)のいたずらに惑わされるな
目の前の扉を開けてみな
己の眼で確かめてごらん
 そこは天国?そこは地獄?
 今、運命の賽は投げられた
 もう迷うことはない
 WELCOME TO GHETTO WELCOME TO GHETTO

「おい、ホン君は!」
「うるさいわね!今、サビの一番良い所よ!静かにしてよ。
 あの時みたいにドラムカンの下敷きになればいいのに」

「あの時っていつだよ。」
「本当に何も憶えていないのね、淡路島の事故のこと」
「淡路島の事故のこと・・・」

先月のゴールデンウィークに、、論は理枝と淡路島へ遊びに行っていた。
論は、理枝に自分の想いを伝えようと決意していた。
その日の晩、海に月明かりがきれいに映った浜辺で
論は古臭いが自分の想いを綴った3枚の恋文を用意し、
精一杯告白をした。
「急にこんなことを言って、びっくりしたかなぁ」
「ちょっと、びっくりしたかも」
二人とも、はにかんだ。
「論くん、びっくりしないでね。私、論くんからの
 告白待ってたんだよ。私が先に言っちゃおかなぁって思ってたんだよ。
 やっと、言ってくれたね。」
「ねぇ、論くん、一ヶ月後の今日、下関に遊びにおいでよ。
 付き合って一ヶ月記念って感じでさ。で、門司港に行こうよ。
レトロな街並みが素敵で、すごくロマンチックなの。駅前に噴水があって、
そこで記念撮影して・・・。」
その瞬間、二人の恋愛がスタートしたのだ。
いや、するはずだった・・・。
二人は、浜辺を離れ、手をつないで歩いていた。
そんな幸せいっぱいの二人の前方より、1台の中型トラックが走ってきた。
二人の横を通りすぎた瞬間、キキキーギー、ガッシャーンというもの凄い
音がした。
振り返ると荷台に乗っていたドラムカンが勢いよく二人をめがけて
転がってきた。
論は、理枝を押しのけ、ドラムカンの下敷きになってしまった。

トラックは横転し、荷台に乗っていたドラムカンは、道路のあちこちに
転がっている。
運転席から、お酒の空き瓶が見つかった。
おそらく、飲酒運転だったのだろう。
しかし、トラックの運転手は、その場から姿を消していた。。

論は救急車で運ばれた。
    ・
    ・
    ・
「本当、あんたって運がいいよね。
 一部分の記憶喪失だけで済んだんだから。」
「そんなことがあったんだ・・・。」


しばらく車内に沈黙の時間が流れた。
ふと外を見ると、「ようこそ下関」と書かれた看板が
目に入った。

しかし、これからどこに行けばいいのか、
理枝はまだ下関にいるのか、もちろん誰もわからない。
そんな状況の中、プッチは走り続け、レトロな街並みが
目の前に広がった。
「ここは・・・門司港かぁ・・・う、う、う、駅、噴水・・・」
「ちょっと何一人でブツブツ言ってるのよ」
「理枝は、門司港に来るはずだ、約束したんだ!」
「まさか〜、その自信はどこから来るのよ」
「とりあえず、門司港駅に行こう」
論は記憶を取り戻したように見えた。

そして、門司港駅に着いた。
そこは観光客でいっぱいである。
この中に理枝がいるのだろうか?
論は、必死で理枝を探した。
そうこうしているうちに観光客が、「そろそろね」
という会話が聞こえた。
と、次の瞬間きれいな水しぶきが地面から吹き出てきた。
門司港駅前の広場は、一定時間がくると噴水が出る仕組みに
なっている。
論は噴水のど真ん中に立っていた。うっすら見える虹が
印象的である。
虹を見とれていた論は、噴水越しに女性が立っていることに気づいた。
時間が経つにつれ、噴水が弱まり、はっきりと女性の姿が確認できた。

理枝だった。

「り、理枝。」
「・・・・・・。」
「理枝、俺だ、論だ。心配させやがって。」
「・・・・・・。」
「お姉ちゃん、今ね、お姉ちゃんの目の前に論がいるんだよ。」
と目に涙をためた輝奈が理枝に耳打ちした。
「論、論そこにいるのね。」
「何言ってんだよ、ここにいるじゃないか。」
論が理枝を抱きしめようとした。
「え?」
論は、理枝の体をすり抜けた。
「どういうことだ・・・。」
「ろ、論、あなたね・・・、死んじゃったんだよ。淡路島の事故で。」
「何言ってんだよ、俺は生きてるよ。ほらこんなにピンピンしてるじゃないか。
 みんなと遊んで、しゃべたりしてたじゃないか!」
「論、よく聞いて、信じられないかもしれないけど、神様が猶予をくれたのよ。
 その代償に一部分の記憶を消去したの。
 でも、消去した記憶がいつか戻った時、論は消えちゃんだよ・・・。」
「神様?輝奈の友達に神様がいたっけ?冗談はやめろよ」
「私だって、最初は夢でも見ているかと思った。
 けど、死んだはずのあんたが、現に私の目の前にいる。」
「そ、そんなの信じられるかよ。」
「じゃあ、あんたの頭の上のドーナッツ型の輪っかは何?」
論は、急いでプッチのサイドミラーで確認した。
きれいなドーナッツ型の黄色の輪っかが頭の上に浮かんでいた。
タイムリミットが来たと悟った。
論は、その場で泣き崩れてしまった。

「論、聞こえる。ちゃんと約束守ってくれたんだね。私、うれしい。
これ、覚えてる?
 あなたが告白してくれた時にくれたラブレター。
大事に持ってるよ。私のお守り。
 あなたの事、忘れたことなかったよ。」

「理枝・・・ありがとう
 最後に君に会えたのが、何よりの救いだ。
 僕のこと、忘れないでくれ。
 さよなら、みんな
 さよなら、プッチ
 さよなら、さよなら」

論に一筋の明るい光が射した。
神様と2人の天使が論を支え、
ゆっくり、ゆっくり天国という
明るい場所に向かっていった。

一方、ホン君は・・・。
「あなたは、先月、淡路島で起きた事故のトラック運転手
 で間違いないですね。」
「ハイ、マチガイナイデス。」



「まさか、ホン君が僕を・・・」




 
 














 
 

コメント(1)

すいません、こんな結末になっちゃいました。

ど、どうでしょうか・・・。

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