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イデアの森の秘密コミュの(8)祇園の社

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イデアの森の秘密/エピソード.1
「眠れる森」―(8)

                           著者/「イデアの森の庭師」の弟子にあたる‶森の郵便配達人″



「原始の流動生命」・・<亜美彦の独り言>

人間は誰でもその身体の中に原始の流動生命を宿していると言う。
その流動生命とは、性エネルギーとしての<精気>、また生命プラズマとしての<生気>、
さらにその根源であり宇宙のすべてに霊的秩序を与えている<霊気>のことだ。

その流動生命、宇宙の秩序を司る生命の根源力の名は<ドラゴン>。
生命情報の格納と制御を担当する<DNA>も、背後にはその存在がある。
天地を貫く神の御柱に二体のドラゴンが絡み合った姿、それは生命の最後の神秘だ。
その玄妙なる構造。それを紐解くことは、人間の真の姿が哺乳類としてのそれでなく、
究極の結論として、光る球体状の霊生命であることを証明する形になるだろう。

遥か古より今日まで消滅することなく受け継がれて来たそのドラゴンのヌースには、
三次元を体験する生命体に必要な情報や機能がプログラムされている。
それには宇宙の叡智が、言い換えれば宇宙の高次元の情報ソースが、
三次元生命体として直観的に認識できるようなシステムとして入力されている。
またその仕組みを、死の間際まで実行させるシナリオもちゃんと書き込まれており、
かつ三次元世界の未来に、その情報を伝達させる司令塔の機能までもが搭載されている。
その情報と機能を大きく別けると、<宇宙の意図の継承>、<霊生命の刻印>、
<生命自然力の制御>、<生体情報の維持>、<生体情報の可変>の五つだ。

それでその証明に重要なのは<宇宙の意図の継承>と<霊生命の刻印>になる訳だけど、
その扉を開けるには、霊的身体に潜んでいる二対のドラゴンの存在が不可欠なんだ。
そしてその二体は、自らが依り代とする御柱を宙天に向かって上昇しなければならない。
さらに、神々の坐す天球の入り口である<光の神殿>の内部に参籠を果たす必要がある。

その<光の神殿>とは・・。
人間の脳裏の中枢に存在するピラミッド状の結晶体のことを指してるんだ。
いや、かつてはピラミッド構造だった結晶体と訂正すべきなのかも知れない。
その神殿こそ、生命の本質が光の霊生命であることを証明する唯一の鍵となる。

でも残念なことに、今はまだその証明がなされる時期ではないらしい。
なぜなら、それに対する人類の意識の準備が充分なされていないためだそうだ。
時が熟すにはどれくらいの年月を要することだろう?おそらくあと十数年か・・・?
それにそれが証明される時期と次元シフト到来の時期は連動しているらしい。
どうやらそれは、人類の高次元意識の目覚めとも深く関係しているみたいで、
それは、準備されたそれぞれの魂の中に<真の愛の存在>が訪れる日でもあると言う。

昔からのことだけど、つまりこの星に人間の生命が誕生したときからなんだけど、
生命の秘密を守護する賢者は、人間の脳裏の玉座に鎮まる光のピラミッドの前で、
その日が来るまで忍耐強く、原始のドラゴンの力を封印したままでいる・・・。


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――祇園の社――

四条大橋から東山方面に向かって七分ほど歩いて行くとやがて祇園の交差点に出る。
その交差点に立つと目の前に立派な赤い楼門が見える。そこが八坂神社の入り口だ。
楼門をくぐると、通りの賑やかさは嘘のように消え、静かな冷んやりとした神域に入る。
それは夏の祇園祭のときでも同じで、楼門の向こうではその喧騒も不思議に薄らぐ。
境内神域を通り抜けると、すぐその先には樹々に囲まれた円山公園が広がっている。
名高い枝垂桜へ続く道の脇には赤い毛氈(もうせん)を敷いた団子茶屋が立ち並び、
明るくカラッとした空間の中に京のはんなりとした風情を醸し出している。

涼しげな風鈴の音に心を誘いながら、樹の擦れ合う音の意味を風は気づかせてくれる。
風と水によって積乱雲は設計され、入道は雷神を念じ、雷電は龍王を引き寄せるように。
その姿はまるで、祇園の神々がこぞってやって来ることを知らせるかのように・・、
西秦王の名のもとに、今このときに・・・。


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―――前回の続き―――


「<はい。ああ巴。どうしたん?えっ!なに?聞こえへんわ、なに?もしもし−−もし――>
あれ?切れてしもうたわあ。友人なんです。」

と言いながら、茜は自分のケイタイを指差した。

「茜はん、その友人が憑依されたと言うてるお方か?」

「ええ、そうなんです。篠倉巴(しのくら ともえ)言うて、占い師なんです。
知ってはります?」

「いや〜、小生、占い師のことはぜんぜん詳しゅうあらへんさかいに。」

「そうですかあ。最近その世界ではちょっとばかり名が出だしたと聞いてますけど。
まあそう言うても、本人の口から聞いた話やからどうなんやろ?
実はこのあたしもそれを聞くまで、占い師やと言うことも知りませんでしたし。」

「それに雑誌もテレビも見ませんしなあ。」

「その子言うたら、最近なんか変なんです。訳の分からないことばっかり口走って・・。
お母さんの言いはるには、巴は去年の秋頃、同業者の情報交流の親睦旅行があって、
信州の戸隠にある神告げ温泉に行ったそうで、そこから帰ってから変になったんやと・・。
目の縁も黒うなってしもうて。ケッタイな状態が続いたかと思うたら突然マトモに戻ったり。
あたしそれを聞いて、その戸隠の旅館で何かあったんに違いないわと思いました。」

「うん、それで?」

「ええ、それで、ちょうど巴の同僚があたしの姉の知り合いでしたんで、
その同僚の子に訳を聞いてみたんです。すると、こんなこと言うてはりました。
京都に帰る前の日のこと。部屋で夕食を済ませてみんなで団欒してたら、
いつの間にか互いの恐怖体験を語り合わへん?と言うようなことになって、
するとその流れで、その中の一人が交霊もやってみいひん?と言うことになって・・・。
何でもその人は、そっちの世界にかなり手馴れた女性やったみたいで、
丑三時(うしみつどき:深夜2時)を待って、時間になると旅行バッグから小箱を取り出し、
今度はその小箱の中から筒のような物を取り出して、次にその筒を前に呪文を唱え始めた。
それでそれが終わると今までその様子を見ていた皆の中から巴が指名され、
巴にその筒の中を覗き込むよう示唆したと言うんです。」

「それでマン悪うと言うか、巴はんは筒の中の何かの餌食になってしもうたと言う訳やな。
う〜ん・・・どうやらイヅナ臭いなあ。」

「あの、イヅナのこと知ってはるんですか?」

「はあ、そらよう知ってます。飯綱(いづな)明神と崇められてるイヅナですがな。」

「あたしもそのイヅナの憑依ではないかと思うてたんです。」

「いや、イヅナは憑依せんから、それはイヅナ使いの呪詛や。カラス蛇を使役しよったな。」

「カラス蛇?おお怖(こわ)。そやったら祇園の神さんの役割やあらしませんね。」

「そうやなあ、災厄祓いでは何ともならんわな。その巴はんと会えまへんか?」

「今すぐにですか?」

「早い方がええでしょ?」

「ええ。そやけど彼女、部屋から一歩も出えへんのです。」

「家はどこらへんかいな?」

「北白川ですねんけど。」

「よっしゃ行こ!悪いけど亜美彦はん、訳を聞いたらほっとけんので今からちょっと出るわ。
あっ、瑠璃子はん、もしよろしかったら、このまま亜美彦はんと話を続けなはったらどない?
これも何かの縁やからに。」

龍隠はパントマイムのような格好で手を上下に二度振りながら、どうぞとの仕草をした。

「ボクはいいですけど、瑠璃子さんはいいんですか?」

「もちろん私はいいに決まってますわ。」

「お二人はん、ほなまた。」

そう言ったかと思うと、龍隠はクルッと背を向け右手を上げた挨拶で急いで店を出て行った。
亜美彦は額に人さし指と中指を立て、彼の出て行った扉の方向に軽い敬礼を返した。
茜は慌てて龍隠の後を追った。

「瑠璃子!ほなね。また電話するさかい。」

「うんうん、気をつけてね!−−−ふう・・。」

「でも、ここでこのまま話を続けると言う訳にもいかないからねえ。もしよかったらどうです?
八坂神社にお参りをしてから、円山公園など散歩してみませんか?」

「いいですわね。じゃ、そうしようかしら。」

話が決まって亜美彦は立ち上がり、テーブルの上にあった勘定票を探した。

「何をお探しですの?」

「いや、勘定をね。」

「それなら、さっき亜美彦さんがトイレに行かれた時に、龍隠さんが済ませられましたわよ。」

「ああそうなんですか。」

−−−<龍隠・・・今日は洒落たことをするなあ。でも妙だな?>−−−

「どうされたんですか?」

「いえ、では出ましょうか?」

「ええ。」

堺町から四条通りに出て、その大通りを鴨川方面に向かって歩いて行くと四条大橋に出る、
その大橋を通り過ぎると、やがて右手に赤い土塀の花見小路が見えてきて、
そこが有名な祇園の花街、夕暮れになると石畳に打ち水がされてとても美しい。
その土塀を右に見ながら少し歩き、祇園ホテルやスターバックスコーヒーを通り過ぎると、
間もなく祇園の交差点に突き当たる。すると目の前に大きな楼門が見える。
それが八坂神社。その楼門を潜って境内に入ると何段かの石段があり、
それを上るとすぐに赤い社殿が見える。そこは祇園祭の主祭神が鎮座しているところだ。

「ああ、やっぱりここは素敵!落ち着きますわあ。」

「じゃ、お参りしましょう。」

亜美彦と瑠璃子の二人は神社参拝の作法通り、まずは手水舎に寄った。
その御手洗に置かれてある勺の一つを右手で取り、その勺で御手洗の水を汲む、
次に左掌を上に向け、その勺の水を注ぎ、今度は右掌を上に向け、再び勺の水を注ぐ、
こうして両手を清めると、続いて再度左掌を上に向けて右手の勺の水を受ける、
水を受けた左掌を口に持って行き、そのまま水を口に含み、口中を漱いで清めた。
ハンカチで手を拭った後、二人は静かに本殿へと向かった。
本殿を前に、軽く一礼、前へ一歩進み出て二拝、次に拍手を二つ打つ、続いて一拝、
次に胸の前で手を合わせて静かに目を閉じ、二人は短い祈りを捧げた。
再び二拝、二拍手、一拝、後ろへ一歩下がって最後に一礼を終え、境内の出口に向かった。

境内を出るとすぐに樹木の茂った広い場所に出る。そこが有名な枝垂桜のある円山公園だ。
亜美彦は公園の入り口付近の赤い毛氈を敷いた台の並ぶ団子茶屋を通り過ぎた。

「お団子美味しそうですね。」

「そうですね、買って行きますか?」

「行くってどこへ?ここで食べるんじゃありませんの?」

「いや、あっちでね。これ一箱ください。」

亜美彦はその先に見える大きな楠の方に近づいて行くので、瑠璃子も後について行った。

「あそこに座りませんか?」

「えっ?」

亜美彦はその楠の樹のそばに行き、持っていた週刊誌を裂いて樹の幹下に敷いた。
そして亜美彦はそこに腰を下ろした。

「あの。そこに座られるんですか?あそこにベンチが・・あちらへ座りません?」

「ええ。でもここがボクのいつもの定位置でね。こうやって座ってると気持ちいい!
みんな知らないんだなあ、瑠璃子さんもどうです?」

亜美彦はちぎった週刊誌のもう一方を自分の隣りに敷き、瑠璃子に座わるよう勧めた。
そう言われて断りもできない瑠璃子は、仕方なくそこへ座ることにした。

「ホント? じゃ・・。よくここへ来られるんですか?」

「いいえ、月に一度、来るか来ないかと言った程度です。」

「ここは八坂神社の境内続きだから、いつもお参りがてらこの公園に立ち寄るんです。
ボクがここに来るのは、ここの何とも言えない味わいと言うか、懐かしさと言うか・・。」

「私もそうなんです。そんな感じがあって、京都に来たときはよくここへ寄ります。」

「野暮なことを言うようですけど、祇園祭ってご存じでしょう?」

「もちろん。」

「この祭りの日は山車や鉾車が出てとても雅ですよね?ボクはその雰囲気が好きなんです。
でもこの祭りは日本の代表的な祭りなのに、どこか異国の匂いがしないですか?」

「そう、そうですわ。亜美彦さんもそう思ってられたのですか?」

「ええ。この祇園祭は八坂神社のお祭りなんだけど、昔は祇園社とも言ったらしくて、
創建当初から牛頭天王(こずてんのう)と言う疫神(えきじん)を祭っていることを考えると、
祇園社と言ってもどうも神仏合体の神社でもなさそうなんだなあ。
それよりもこの神様は西の彼方からやって来たような気がしてならなかったんだ。」

「でも牛頭天王ってスサノオ(須佐之男)と言う神様じゃなかったかしら?」

「確かにそうなんだ。」

「あのお・・ちょっと失礼。お邪魔してよろしいですかな?」

前を通りかかった黒い髭面の中年紳士が急に話しかけて来た。
奇妙に思った亜美彦はその紳士に尋ねた。

「えっ?あの、どちらさまですか・・?」

「この神社の裏に住んでおる者じゃがな。」



―――続く―――

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