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Impact Factorとは1論文あたりの引用回数の平均値を計算したもので、その雑誌の影響力を表しています。インパクトファクターが高いほど、影響力の高い論文を収録していると言えます。雑誌の発行形態や発行の規模の違いに関わりなくその雑誌の影響力や重要度がわかります。1999年のインパクトファクターは次の計算式で算出されています。

1999年のインパクトファクター=(1997年と1998年にある雑誌に掲載された論文が1999年に引用された総被引用回数)/(1997年と1998年にある雑誌に掲載された論文総数)

たとえば、Journal of American Society of Nephrologyという雑誌は、1998年に271編、1997年に230編の論文を掲載していますが、1999年にそれらの論文が、1409回と1688回引用されました。したがって、

1999年のインパクトファクター=(1409+1688)/(271+230)=6.182

ということになります。インパクトファクターの計算式を見てわかるように、インパクトファクターは2年間という短期間のあいだに引用された回数で計算していますので、すばやく影響力を与えるような雑誌の方が値が高くなる傾向があり、長年にわたって少しずつ引用されるような雑誌は相対的に値が低くなります。また、「インパクトファクターが指標として正しくない」と批判する人が指摘するのは、レビュー論文を多く載せている雑誌の方がインパクトファクターが高くなりやすいということです。たとえば、Annual Review ofシリーズはどの分野でも高いインパクトファクターになっていますし、レビューが多いCell系の雑誌もインパクトファクターが高くなっています(Cell系の雑誌の場合もちろんこれだけがインパクトファクターが高い理由ではありませんが)。

最近では、教授選考の際にインパクトファクターの合計点でアシキリするようなケースもあるそうで、研究者にとっては好む好まざるとに関わらず、ついて回る指標になってきています。



■Impact Factorの調べ方

インパクトファクターはISI社
(Institute for Scientific Information)
http://www.isinet.com/isi/

の出しているJournal Citation Reportsに掲載されています。Journal Citation Reportsは有料で、CD-ROM版またはWebでの閲覧権という形で販売されています。もし、所属している大学がweb閲覧権という形(Journal Citation Reports on the Web)で購入しているなら、大学のLANにつながっているコンピューターから
http://jcrweb.com/
にアクセスすると見ることが出来ます。年1回の更新で
1999年度版は2000年の8月頃に発行されました。

Journal Citation Reportでは、特定の雑誌を指定してインパクトファクターを調べたり、カテゴリーごとにインパクトファクターの一覧を見たりすることが出来ます。








■インパクトファクターの諸問題として↓
http://mlib.kitasato-u.ac.jp/homepage/seminar1.html


インパクトファクターとは何か:正しい理解と研究への生かし方




本稿は、1998年3月11日北里大学相模原キャンパスで開催された、第1回北里大学図書館セミナーで発表した内容を、著者の了解を得て公開したものである。


インパクトファクターとは何か:正しい理解と研究への生かし方
山崎茂明

愛知淑徳大学文学部図書館情報学科教授

(講演時所属:東京慈恵会医科大学医学情報センター講師)

 

1.はじめに、インパクトファクターをめぐる現況

 インパクトファクターをめぐる議論が科学界でよく聞かれるようになった。ひとつの契機としては、1991 年に大学設置基準が改正されたことであろう。基準改訂により、各大学独自の教育が可能になると同時に、大学の自己評価が義務付けられたことで、定量的な業績評価への関心が増大した。1990年代には、部厚い自己点検・自己評価報告書が、大学や研究機関から次々と発行されるようになった。また、教授選考にあたって、発表論文をインパクトファクターによって評価することを始めた大学もある。そして、大学で編集している業績年報に、発表した雑誌のインパクトファクター値の記載を要求し、講座や研究者の評価を行なっている例も出ている1)。

 研究活動の実態を明らかにし、さらに研究活動の評価を行なうための、定量的なアプローチは、インパクトファクターに代表されるような引用データだけでなく、生産論文数、助成金の獲得、国際会議への招請、訪問研究員数、特許など、さまざまな視点が存在している。インパクトファクターを含めた引用指標の応用にあたっては、もちろん注意が必要であろう。例えば、引用索引の創始者であり、インパクトファクターを科学界に広めたEugene Garfield博士は、インパクトファクターを個々の教員評価に利用すべきでないと注意を喚起している2)。インパクトファクターは、特定のある雑誌が1論文あたり平均何回引用されているかを算出し、科学界における雑誌の重要度を示す指標であるが、そのままストレートに個々の論文評価に代用できるものではないからである。

 論争的な話題としても、インパクトファクターは多くの研究者の関心となっている。しかし、実際のところ、その定義や問題点について、きちんと理解されていないのが現状ではないだろうか3)。個人的には、JCR(Journal Citation Reports)に代表されるような、引用索引の出現によって得られるようになったさまざまな指標は、貴重なデータとして科学界が上手に活用すべきであると考えている。SCI(Science Citation Index)、SSCI(Social Science Citation Index)、AHCI(Arts and Humanities Citation Index)の三つの引用索引を統合した巨大なデータベースが、現在Web of Science(ISI社、Philadelphia)として利用できるようになったが、このデータベースが収録している1年間の情報量をみてみよう。約 8000誌の世界の学術雑誌から140万件に及ぶ論文を集め、それらが持っている合計2000万件という膨大な引用データを収載している。この数字は最近1年間のものであり、実際のWeb of Scienceは現時点で1987年から利用できる4)。また、自然科学領域をカバーしているSCIの1990-1994の5年間のソース雑誌数は3814誌、ソース論文数は318万論文、そして引用文献数は6554万になっている。このような大量な引用データを考えるならば、そこから導き出されたインパクトファクターを正しく理解し、科学的な評価データとして生かすべきであろう。

2.インパクトファクターを考案した最初の理由は?

 インパクトファクターはどのように生まれたのだろうか?1998年のThe Scientistsの記事のなかで、Garfieldはその経緯について述べていた5)。目次速報誌として有名なCurrent Contentsは1973年に創刊されたが、この時収録すべき重要誌をどのように選択したら良いのかが課題となり、従来の専門家の意見に代わる新しい定量的な指標を求めていた。この時、単純な被引用数による雑誌利用ランキングをどのように補正するかが検討された。被引用数にもとづくランクの主な問題点としては、1)出版論文数の多い大規模雑誌が小規模誌よりも有利になる、2)歴史の長い雑誌が創刊間もない雑誌よりも有利になる、といったものである。これらの被引用数ランクの問題点を克服するために、いずれも出版規模の影響を除去する必要があり、出版論文数で被引用数を割るインパクトファクターの提案がなされた。この成果として、CurrentContents(1958年創刊)収録誌の再検討を1970年代初期に行い6)、 GarfieldはScience誌に古典となった彼の論文を発表した7)。そして、さらにインパクトファクター以外のさまざまな引用指標をまとめたJCR(Journal Citation Reports)の創刊へと結び付いた。研究者によるこのJCRの一般的な利用方法として、雑誌が分野別にインパクトファクター順にランクされている Subject Category Listingを用いて、適切な投稿誌を選択できるようになった(表1)。

3.インパクトファクターランクからどんなことが見えてきたか

 被引用数やインパクトファクターによる雑誌のランキングを、長期間にわたってその変化を分析してみると、科学研究の推移が巨視的に理解できる。世界で最も多くの引用を受けている雑誌の上位変動は、Journal of the American Chemical SocietyからJournal of Biological Chemistryへのトップの移行に示されるように、科学研究が生命科学を中心としたものへ変化している近年の動向を反映している。またインパクトファクター上位ランクからは、分子生物学領域において20世紀前半の基礎医学研究の中心機関であったロックフェラー研究所で発刊されてきた伝統的ある Journal of Experimental Medicineから、新興のCell誌へと発表の中心が移っていることが示されている。New England Journal of MedicineやNature誌の位置など、このインパクトファクターにもとづいたランクリストが妥当なものとして理解できるであろう8)。

 同時に、注意しなければならない事項も示されている。例えば、インパクトファクターランクは、1985年前後に顕著であったJournal of Neuroscience Researchのように時代によりかなり変動がある。 また、明らかな誤用につながる危険も示唆される。1996年のJCRにインパクトファクターランク上位誌のトップにClinical Research誌があげられている(表2)。このClinical Research誌は、学会のプログラムを中心に掲載し、著名な研究者による年間1、2点の講演記事を発刊している。このわずか1、2点のソース論文が、多くの引用を受けることでインパクトファクターランクのトップにきている。ランキング結果をそのまま受け入れてはならない代表例であり、JCRのガイドにも注意するよう記載されている。さらに、インパクトファクターランクではレビュー誌が上位を独占しており、原著論文誌と同等に比較するのは適当ではないだろう。論文誌とレビュー誌をわけてランキングした方が理解しやすい。

4.インパクトファクターへの不満

1) 雑誌に占めるレビュー論文の比率を考えるべきだ

 分子生物学領域においてのCell誌の高いインパクトファクター評価への不満を、Nucleic Acids Research誌のWalker編集委員長が指摘していた。「Cell誌のインパクトファクター値が高いのは、20パーセントを占めるレビュー論文の影響が大きく作用しており、逆にNAR誌はレビューが無く、さらにあまり引用されない学会講演記録(Proceedings号)を掲載しているためインパクトファクター値が低くなっている。もし、原著論文だけでインパクトファクター値を出せば、CellとNAR誌に大きな違いは無いはずだ」。分子生物学領域における主要誌の1982年から1994年のインパクトファクター値変化をみると、Cell誌の上昇傾向とNAR誌の退潮傾向が示されている(図1)。

 そこで、医学分野における代表的な総合医学雑誌のインパクトファクター値と、ソース論文に占めるレビューの比率をまとめてみた(表3)。New England Journal of Medicineの重要性は誰でも理解できるが、ビッグフォーと呼ばれているLancet、JAMA、BMJなどはいずれもレビュー論文の占有率が低く、 New England誌は15.5パーセントという高さであった。具体的な補正の方法が提起されているわけではないが、検討されるべき課題である。少なくとも、レビュー論文の掲載比率を勘案してランク結果をみていく必要性がある。

2) 被引用数を直前の2年間にしていることに問題はないか?

 インパクトファクター値の実際の計算方法は、直前の2年間のデータをもとに算出している。例えば、 1996年のインパクトファクター値は、1995年と1994年の出版論文に対する被引用数を同じ2年間の出版論文数で割った値になる。この結果、最近の文献が集中的に引用されるような、多くの研究者が関心を持っている分野と、研究の進度がゆっくり動き長期的に引用されるような分野とでは、インパクトファクター値に影響がでる。そこで、出版年による被引用文献の百分比変化を、生命科学のトップジャーナルであるCell誌とNature、速報的レター誌の代表としてBBRC(Biochemical and Biophysical Research Communications)、臨床系のレター誌としてKidney International、伝統的な基礎医学領域の代表としてJournal of Physiologyを選び、表4に示した。Cellでは1996年のインパクトファクター値の算出対象になる1995年と 1994年の2年間の被引用文献は全引用文献数の25.3パーセントになるが、Journal of Physiologyでは10.6パーセントでしかない。明らかに、インパクトファクターの計算が最近の2年間の被引用数に限っていることで、 Journal of Physiology誌は不利になることが理解できる。BBRC、Kidney International、Journal of Physiologyの3誌について、出版年パターンを示した(図2)。長期に渡って引用されているJournal of Physiologyは、1993年に頂があり全体的になだらかであるが、速報誌であるBBRCやKidney Internationalはもう1年新しい1994年に頂上があり最近の文献に集中している様子が読み取れる。被引用文献の出版年分布の図から示されるように、新しい文献に引用が集中する領域とそうでないものが存在する。インパクトファクターの計算にあたって、最近の2年間でなく、より長いスパンで計算すれば異なった結果がでることを意味している

 1998年2月2日号のThe Scientists誌に、Garfieldが "Long-term vs. short-term journal impact: does it matter?" という記事を発表した5)。15年間と7年間の長期の被引用数にもとづいたもので「累積型インパクトファクター(Cumulative IF)」と呼ばれ、直前の2年間を対象にした従来のインパクトファクター値によるランクと異なった様子が示されている。

 どのような特色が見られたのだろうか? 1981年から1995年の15年間の累積型インパクトファクター値が1983年のインパクトファクター値と比較して、そのランキングが上昇した代表的な分野としては生理学があげられた。これは最新文献に集中せずに古い文献も引用されるている結果である。Journal of General Physiologyは110位から20位へ急上昇し、Journal of Comparative Neurologyは35位から21位、Journal of Neurophysiologyは56位から27位、そしてJournal of Physiologyは77位から32位へとランキングを上げていた。また、長期に引用されることで上昇した基礎医学雑誌の典型例としては、神経科学の基礎研究雑誌であるBrainにみられ215位から13位へと急上昇していた。臨床医学領域では、精神医学が長期的に渡って引用される傾向にあり上位にランクされていた。Archive of General Psychiatryは18位から6位へ順位をあげた。反対に累積型インパクトファクターが下降した雑誌は、レター誌や総合誌にみられた。Lancetが 3位から28位へと他の総合誌と比べその下降が顕著であったのは、Lancet誌が世界の医学界におけるフォーラムとして、新しい記事を中心に意見交換がなされているからであろう。基礎と臨床の視点からみた典型例としては、循環器領域の中心誌であるCirculationとCirculation Researchのランク変動によく示されている。15年の累積型インパクトファクターでみると、基礎指向のCirculation Researchが30位から15位へと上昇するのと反対に、臨床系のCirculationが12位から26位へと長期的に見て下がるのは妥当であろう。同一専門分野では、基礎系誌の方が臨床系よりも長期に渡って引用されている。

 このように、長期間による被引用数にもとづいた累積型インパクトファクター(Cumulative IF)を算出してみると、現在のインパクトファクター値が持っている問題点が明瞭になる。被引用文献の対象期間を長くすることで、古い出版年の論文もよく引用されるような伝統的な基礎医学分野が浮かびあがってくる。新しい分子生物学的なアプローチによるものばかりが高いインパクトファクター値を示しているなかで、このような地味な領域が評価されることは意味深いものがあろう。

3) 広く引用を集めることのできる学際的な雑誌と、特定の専門分野を中心に引用を集める雑誌を区別する必要はないだろうか。

 ある特定専門分野を中心に引用されている雑誌は、数千におよぶソース誌から広く引用されているわけではない。一方、総合誌や学際的な雑誌はその性格から広く引用を集めている。そこで、扱う領域の広がりを勘案することで、総合誌に比べ専門誌が不利になるのを補正しようとう提案がなされた9)。SAIF(Scope Adjusted Impact Factors)であり、Annals of Internal Medicine誌の編集委員長であったHuthにより提唱された(表5)。実際の算出方法は下記のようになる。

 SAIF = インパクトファクター / 引用している雑誌数 X 1000

 この指標によれば、引用している雑誌数が多いほどSAIFは下がる。つまり、学際的に広く引用されている雑誌は下がり、特定の専門分野を中心に少数の雑誌から引用されているものはSAIFが上昇する。New England Journal of Medicine、Lancet、Nature、Scienceなどの総合誌はSAIF値を下げ、Journal of the American College of Cardiology、Journal of Clinical Oncology、Hepatologyなどは、それぞれの専門分野内で多くの引用を集中的に受けており、SAIF値を上げている。総合誌に有利になる現在のインパクトファクター値の問題点を修正するための指標となっている。より細分化された専門分野内で高い評価を得ている雑誌を浮かびあがらすことができるという特色を持っている。

4) 古典的な高被引用論文がインパクトファクターにおよぼす影響

 すでに述べたように、インパクトファクター値はある雑誌が1論文あたり平均して何回引用されたかを示している。ここで、非常に多く引用される論文が存在すると、雑誌の平均値を大きく上昇させることになる。例えば、15年間の長期に渡る累積型インパクトファクター(Cumulative IF)値のランクリストで18位という高い順位を得ていたJournal of Histochemistry and Cytochemistryは、20,853の被引用数の三分の一がSM Hsuによる1981年の論文によるものであり、ランクにこの高被引用論文(Citation Classics)の影響があらわれている。

 雑誌を評価する指標であるインパクトファクターの類推で提案されているものにcitation impactがあり、研究機関が生産してる論文数でその機関の論文が受けている引用数を割った値である。つまり、特定の研究機関の論文が平均してどのくらい引用されているかを示しており、研究機関や特定の国の研究活動の評価視点とするものである。この指標をもちいて、アメリカにおける分子生物学のトップ 50機関がScience Watch(1992年)誌に発表されたが、この3位にはいっていたミネソタ大学では2名の研究者による4論文だけで全被引用数の66パーセントに相当していた10)。当然、このミネソタ大学のランクを大きく押しあげた原因になっていた。研究機関のcitation impactをあげるための最も簡単な方法は、スター研究者を確保したり、引き抜くことになろう。このように、雑誌のインパクトファクター値においても、多くの引用を受けるような論文の存在が大きく影響する。例えば、1945年から1988年の43年間で、最も多くの引用を受けた100論文について Garfieldが報告している。第1位は187,652回引用されており、100位でも3,204回であった11)。現在、ホットペーパーとして知られているような高被引用論文が、雑誌全体のインパクトファクターを上げることになる。インパクトファクターに影響する要素としてホットペーパーやスター研究者の存在に注意しなければならない。

5インパクトファクターをめぐる不正

 インパクトファクターをめぐる不正行為の疑いが、1997年の総合医学雑誌に報じられた12)。 Leukemia誌が、ライバル誌であるLeukemia Researchの編集委員長から、インパクトファクターの操作を告発された。Leukemia誌が投稿論文の著者にたいして、意図的に自誌の文献引用を多くするように要請するレターを入手しコピーをBMJ誌に送付した。これは、明らかにLeukemia誌のインパクトファクターを操作しようというものであり、許されるものではないという。必然性のない自誌引用は、インパクトファクターをあげようとする誘導的な操作であり科学の公正さをそこなうだろう。参考までに、この二誌の自己引用率をみると、Leukemia誌の自己引用率の高さが示されていた(表6)。なおLeukemia誌は、この告発に反論している。

 日本の学会誌もその編集後記や会報などで、できるだけ自誌を論文発表時に引用するよう要請しているケースが存在しているが、インパクトファクターへの過度な対応でありこのような必然性の薄い意図的な自誌引用はフェアではない。自誌引用を除外したインパクトファクターの計算も可能であり、雑誌編集者は注意すべきである。

6.おわりに

 これまで見てきたように、インパクトファクターには検討すべき多くの課題や問題があろう。私自身も、業績評価や研究活動の評価・分析といったことを、引用データばかりに依存していることを批判する視点から、Medlineデータベースを利用して研究者一人あたりの生産論文数を指標にしたランキングを提起した13)。引用データの結果を相対化できるような多様な視点を示したいと考えたからだ。しかし、同時にインパクトファクターの問題を正しく理解したうえで、科学的な指標として活用する価値はある。さらにインパクトファクターをもちいて、科学コミュニケーションの現状がこれまで以上に分析できるはずであろう。例えば、一流誌と二・三流誌を識別する方法として、個々の雑誌の持つインパクトファクター値だけでなく、それぞれの雑誌がよく引用している雑誌と引用されている雑誌の平均インパクトファクター値を比較することで、その識別ができるだろう14、15)。 研究業績の評価に関連して述べれば、インパクトファクターを含めた定量的な評価視点が弱いと、政治的な判断や同窓会人事といったものを押さえられない危険がある。おそらく、このような弊害を解決するための一つの方法として、引用データを活用しようとしているのではないだろうか。科学研究がこれまで以上に国民からの税金による政府資金によって支援されるようになった今日、インパクトファクターを含めた定量的な指標を正しく活用し、研究活動の実態が広く一般の人々の理解できるものになる必要がある。おそらく、日本は定量的な評価アプローチが適切に利用されていない最後の先進国であるだけに16)、インパクトファクターの理解は重要なポイントになると考えている。

 

 

参考文献

1) 鶴田陽和,佐藤登志郎. 医学部における研究業績評価システムの開発とその意義. 医療情報学.  17(4) 461-468 (1997)

2) Garfield, E. How can impact factors be improved?  BMJ.  313 411-413(1996)

3) 緑川信之. インパクト・ファクターの意味. 細胞工学. 16 1524-1528 (1997)

4)山崎茂明. 引用のリンクがひらく新しい研究世界. 情報の科学と技術. 48(4)237-241 (1998)

5) Garfield, E.  Long-term vs. short-term journal impact: does it matter? The Scientist. February 2, 1998, p.11-12.

6) Garfield, E.  Citation frequency and citation impact; and the role they play in journal selection for Current Contents and other ISI services. Current Contents, 7 Feb. 1973.

7) Garfield, E.  Citation analysis as a tool in journal evaluation.  Science.   178 471-479 (1972)

8)山崎茂明. 生命科学論文投稿ガイド. 東京, 中外医学社, 1996 (医学所蔵 WZ345||Y48s)

9) Huth, EJ.  "Mapping of the land of medical journals". The Future of Medical Journals, London, British Medical Journal, 1991, p.81-92

10) Anonymous.  Top 50 research institutes in molecular biology ranked by citation impact. Science Watch. 3(4) 7 (1992)

11) Garfield, E.  The most-cited papers of all time, SCI 1945-1988.Part 1B. Superstars new to the SCI top 100. Current Contents. (8) 3-13February 19 (1990)

12) Smith, R.  Journal accused of manipulating impact factor. BMJ.314(7079) 463 (1997)

13) Yamazaki, S.  Ranking Japan's life science research.Nature.372(6502) 125-126 (1994)

14) 山崎茂明, 張海斉. 生命科学における国内欧文誌の国際性. 情報管理. 39(9) 669-675 (1996)

15) Zang, H, Yamazaki, S. Citation indicators of Japanese journals.Journal of the American Society for Information Science. 49(4) 375-379(1998)

16) Swinbanks, D. Statistical test rates research strengths. JapanTimes. November 13 (1994)

 

山崎茂明 愛知淑徳大学文学部図書館情報学科教授
〒480-1197 愛知県愛知郡長久手町片平9
Shigeaki YAMAZAKI, MLS Associate Professor Department of Library and Information Science,School of Literature,Aichi Shukutoku University
shige@asu.aasa.ac.jp voice:0561-62-4111 ex 449 fax:0561-63-9308




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