ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

言語学コミュの補助用言という誤り

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
学校文法、つまり橋本文法では補助用言という品詞区分がなされている。

 ほじょ‐ようげん【補助用言】
国文法で、用言のうち、他の語に付いて補助的に用いられ、独立に用いられるときに比べて意味が形式化しているもの。補助動詞と補助形容詞とがある。橋本進吉の用語。
【日本国語大辞典】

 橋本は次のように述べている。

 用言が他の用言に附いて、之に附属的の意味を添へる為に用ひられる事を、用言の補助的用法といひ、その用言が動詞であれば、之を補助動詞、形容詞であれば補助形容詞といひ、又その二を総括して補助用言と申します。(一部省略)
(橋本『新文典 上級用』1935,富山房:276-277)

ここに明記されているように「用言の補助的用法」、つまり機能の名称であり、語の本質である意義による区分ではない。「附属的の意味を添へる」などというが、付属的であろうが、なかろうが語は意義を表わすもので、何を表わしているかが品詞区分の根拠でなければならない。

 このため、多くの混乱を招き学生を困惑させている。若干事例を示そう。

国語の文法です。中3です。
助動詞と形容詞の「ない」の見分け方を教えてください。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12112350412

例えば、「子供が遊んでいる」の「いる」、「吾輩は猫である」の「ある」は、「補助動詞」ですよね。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13151696373

 さらに問題であるのは、学校文法だけではなく現在の言語論、日本語文法論がこの誤りを自覚していないところにある。現在のソシュールパラダイム下の形式機能、機能主義的な言語観、文法論ではこの誤りを克服はおろか、自覚できないという現状にある。

 大塚望 「動詞の形式性について─橋本、山田、松下、時枝─」では、
https://soka.repo.nii.ac.jp/search?page=1&size=20&sort=controlnumber&search_type=1&q=%E5%8B%95%E8%A9%9E%E3%81%AE%E5%BD%A2%E5%BC%8F%E6%80%A7%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E2%94%80%E6%A9%8B%E6%9C%AC%E3%80%81%E5%B1%B1%E7%94%B0%E3%80%81%E6%9D%BE%E4%B8%8B%E3%80%81%E6%99%82%E6%9E%9D

 日本語における形式的な述語である形式用言,形式動詞,補助動詞を取り上げ,それらがこれまでどのように定義・考察されてきたかを整理した。その結果,橋本進吉は意味を添える語として補助用言を,山田孝雄と松下大三郎は実質的意義の無さと補充する語の必要性から形式動詞を,時枝誠記は特に文法的機能のみを担っている陳述の動詞を,それぞれ認定し,動詞の形式性に迫ったことがわかった。その中で分類が一律でない「なる」「言う」「だ」「です」について,これまでの意味論的観点だけでなく統語論的観点を導入して考察し,「なる」を形式動詞,「言う」を実質動詞,「だ」「です」は形式性専用の単位であると結論した。//

などと、補助用言を追認し「形式性専用の単位」などという奇妙な単位を結論している。

 また、劉小妹 <「文法的な単語」の認定をめぐって> (2016.3)では、
https://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/files/public/5/54205/2016052812394135141/hss_41_143_158.pdf

 語彙的な意味をもたず、文法的な意味を主に担う単語類を、ここでは「文法的な単語」と呼ぶことにしたい。//

などと、「語彙的な意味」をもたない単語に言及している。「語彙的な意味」がなければ、それは単語ではありえない、単なる形でしかない。「文法的な単語」でない単語が存在するのかという疑問を持たないのであろうか?そもそも文法とは何かが理解できていないことを露呈している。

 また、英語学などでは機能語という品詞が提起されている。

《function word》米国の言語学者C=C=フリーズ(Fries(1887〜1967))の用語。語彙(ごい)的意味をほとんど担わず、主に統語的関係を示す非自立語
【デジタル大辞泉】

これらに共通した誤りは、言語の本質が捉えられないため、文法とは何か、語とは何か、意義とは何か、意味とは何かが理解できずに、「語彙的な意味をもたず、文法的な意味を主に担う単語類」なるものを設定せざるを得ないところにある。そして、

 日本語文法には、いまだに「文法的な単語」という認識が十分に確立していないのではないかと思われる。これは日本語の品詞論の未成熟さを示唆している。
(劉小妹「文法的な単語」の認定をめぐって)

などと、自身の依拠する言語観、文法論の欠陥を反省することなく、日本語の品詞論の「未成熟さ」に押し付けようとするお粗末さを露呈している。そして、「文法的な単語を組織的・体系的に研究する基盤ができた」などとあらぬ願望を披歴している。

「文法的な単語」でない単語を日本語ならずとも、各国語の話者がどうしたら使用できるのか考えてみたことはないのであろうか。

 こうしたお粗末な言語論、文法論の現状を克服しなければ、科学的な言語論、文法論の確立、展開は望み得ないというしかない。■

コメント(4)

この、<補助形容詞>「ない」も下記のように多くの学習者に混乱をもたらしている。別途、キチンとTopiを纏めます。


国語について質問です。

古くないは、未然形ですか?違うのであれば理由もつけて教えてください。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13293701168

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

言語学 更新情報

言語学のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング