「笑止」はかつて「きのどく」の意味であったが、現在では反語のほうが正語化していて、昔ふうの使いかたをすると聞き手が妙な顔をする。同音異義語の存在は、これを意識的に利用して、一語に二重の内容を持たせる表現方法を生み出すことになり、洒落(しゃれ)とよばれる当意即妙な創造を楽しむことも日常に行われている。これは「われわれはプロレタリアの誇りを持って活動しなければならん」「おれなんか彼女にもてないんでフラレタリアだよ」というような、言声の類似性を利用して一語に二重の内容を持たせることも可能である。英語のコミックで I have a right hand! と主人公がタンカを切るのも、right を「右」と「すてきな」と二重の内容を持たせた使いかたで、洒落である。