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北京波の新世紀映画水路コミュの『佐賀のがばい婆ちゃん』評

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人気漫才コンビ“B&B”として一世を風靡した島田洋七の自伝的ベストセラー小説を映画化した感動ドラマ。
昭和30年代の佐賀を舞台に、貧しくとも明るく元気に生きる祖母と孫の心のふれあいをノスタルジックに綴る。
主演は吉行和子。
 戦後まもない広島で、原爆症の父を亡くし、居酒屋で懸命に働く母に育てられていた少年、明広。
ある日彼は、母のもとを一人離れ、佐賀にある祖母の家で暮らすことに。
ばあちゃんと2人きりの貧乏暮らしだったが、明広は毎日を一生懸命生き、ばあちゃんから様々なことを学んでいくのだった…。(HPより)


 もうどうにもならないくらいウエットな映画なのだが、後味はいい。それは、少なくとも登場人物にステロタイプではあっても真実味があるからで、昭和の30年代という時代設定も佐賀県にはそういう風景が残っているために、原風景としてのパワーがある。

よくぞこの風景を遺しておいてくれたものだと思う。

 いまや草臥れた中年サラリーマンである三宅裕司がたまたま乗り合わせた新幹線でひとり旅先に出て行かされる少年を見て、はるか昔、自分が広島から佐賀まで説明なく祖母の家に預けられたことを思い出し、映画は昭和30年代に入っていく。

これといって目新しい映画ではないが、映画のところどころで少年時代の三宅に現在の三宅が同じ画面で絡んでくるという手法は久しぶりで懐かしかった。

ベルイマンの『野いちご』や黒澤明の『酔ひどれ天使』そして成島東一郎の傑作『青幻記・遠い日の母は美しく』と枚挙に暇がない手法だが、それに見合う風景が必要であるのだろう。

 久世光彦のドラマでお馴染みの山本清多のシナリオに同時に名を連ねているのは原作者の島田洋七。吉行和子扮する祖母のぎりぎりのリアリズムは、島田洋七の具申が奏功しているに違いない。

 「人間吝嗇はいかんよ。節約はよかたい」

 「曲がった胡瓜も細かく刻んで塩で揉めば一緒たい」

 「(腹が減ったって)気のせい!」

大げさでもなんでもなく、ボクのこどもの頃の最大の関心事は「美味いものを食べたい」という一点だった。

うちは医家だったから貧しくはなかったけれど、決して贅沢ではなかった。

日本が飽食の時代となるのは1970年以降のことであって、それは例えば『おそ松くん』でいつも喧嘩のきっかけになるのは六つ子がチビ太の持っているおでんを奪おうとして始まることからも分かることだ。

1970年以後は少年漫画の関心事が「食い物」から直接「金」に変わっていく。『プロゴルファー猿』や『サーキットの狼』を例に挙げるまでもなくなることである。

 工藤夕貴扮する母親(いいよぅ!)が佐賀に初めて訪ねてくるシーンのメガトン級パンチ(あぁ、これだけで昭和っ子だよ)!

誰が解ってくれなくてもいいや、昔はそうだったのす。
(★★★)

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