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北京波の新世紀映画水路コミュの『グッド・ナイト&グッド・ラック』評

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ハリウッドを代表する映画スター、ジョージ・クルーニーによる「コンフェッション」に続く監督第2作目。
“赤狩り”の猛威が吹き荒れた1950年代を舞台に、危機に瀕した自由を守るため、時の権力に敢然と立ち向かった国民的ニュースキャスター、エド・マローと番組スタッフたちの姿を、全編モノクロ映像による緊張感あふれるタッチで描き出す。
主演は「最果ての地」のデヴィッド・ストラザーン。
1953年、米ソの冷戦が激しさを増す中、アメリカ国内ではマッカーシー上院議員を旗頭に、国内の共産主義者の徹底した排除活動が行なわれていた。
しかしその標的は、いまや政府に少しでも楯突く者すべてに及んでいた。
一般の市民はおろか、マスコミさえもが恐怖の前に沈黙してしまう。
そんな中、CBSの人気キャスター、エド・マローとプロデューサーのフレッド・フレンドリーは、番組内でマッカーシーの欺瞞を暴き、彼こそが自由の敵であると訴える内容の放送に踏み切るのだった。
そして、その反響は概ね好意的に受け取られる。
これに対し、マッカーシー側もCBSへ反論と圧力を掛けてくるのだが…。(HPより)


 大変に面白く観た。そして豊かで、巧い演出を堪能する作品であった。

マッカーシズムが吹き荒れて、とばっちりを受けないように協力しようとする対応が多かったなかで、CBSテレビのキャスターであったエド・マローと彼のチームは敢然と挑んでいく。

誰もがおかしいと思いながらも、コミュニストと烙印を押されれば社会的生命を絶たれかねない嵐のなか、彼らのとった行動は特筆すべきものであったが、監督したジョージ・クルーニーは彼らの日常を不安と恐怖に慄きながらも行動せずにはいられなかったという、冷静になろうと努め、驕り昂ぶらずに粛々と動いた行動だと、ヒロイズムとは対極の位置に描いている。

この映画の立派なところはマッカーシズムに対する糾弾と勝利を描くのではなく、その止むに止まれぬ行動の末に、彼らが得たものは何であったのか…を核心に据えていることであろう。

 マッカーシズムへの断罪を描くと見せて、彼らが最後に得たものは、同僚ニュース・キャスターの自刃死であったり、ゴールデン・タイムからの格下げであったり、放送ジャーナリズムがスポンサーという後見があればこそ成立する世界だと言う“苦い現実”をこそ見せている。

映画の冒頭とラストに印象的に登場するマロー(ディヴィッド・ストラザーン鬼気迫る名演)が報道番組協会でのスピーチが厳しく重い。

「我々はテレビの現状を見極めるべきだ。テレビは人々を欺き、笑わせ、現実を隠している」

 テレビに何を求めるのかは時代や人によって違うだろう。

しかし、貧しく、飽和とは無縁の時代には、テレビは本当に夢や正義を語るものであったように感じたものだ。しかし、豊かになり、具体的な夢を語るものであったテレビは、現実を映すものに変わっただろうか?

むしろ現実っぽく見せながら、権力や大企業にこそ都合のいい部分隠蔽された現実を語るものに変わってきたのではないか?

マローの50年も前のスピーチを敢えて出してきているのは、湾岸戦争やイラク派兵や大企業の公害問題など、自由と正義を前面に押し出してくるコントロールされたメディアにいくらでもなり得るのだという問題提起があるのだろう。

 俳優出身のクルーニーが演出家としてもジャーナリストとしても超一流の才能を備えた傑物であることが何とも逞しい。

ショー・ビジネスの世界に生きる人間であることは百も承知で、クルーニー一家は口に出してきているのである。

ロバート・ダウニーJRやフランク・ランジェラなど、いまや忘れかけていた盛りが過ぎたスターたちを存在感たっぷりに蘇らせた手腕ひとつみても、ただ者ではない。

スタンダード・ジャズ・ヴォーカルがインサートされる構成がなんとも大人。

いまや昔の実年齢に比べて、精神年齢は10〜20歳は稚いと言われているが、このチームの面構えや態度を見ていると、反省をこめて痛感する。

誰も彼も紫煙を常にくゆらせている・・・、これにも時代を感じるし、健康上の云々といった「健康という名の信仰」を頭から信じていないこと、憧れちゃうね。(★★★★)

コメント(2)

>サッチさん

おっしゃるとおりだと思います。

映画は絶対に体制に阿てはならないと思います。

現状を容認する映画は発展がありません。

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