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北京波の新世紀映画水路コミュの「オリバー・ツイスト」評

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ロマン。ポランスキーの最新作『オリバー・ツイスト』は傑作である。
掛け値なしにそう断言する。

この小説にはディヴィッド・リーンによるモノ・クロ作品の大傑作がある。キャロル・リードのミュージカル『オリバー』だって、同じ原作だ。

現代のようにデジタル・リマスタリングで旧作が完璧にレストアされる時代に、カラーだからという理由だけでリメイクするのは物欲しげで卑しいことだと感じる部分がボクにはある。

だが、そのチンケな予想は開巻3分あたりで木っ端微塵になる。

見事な美術と役者たちの顔・顔・顔・・・、まだヨーロッパにはこんな抜けた顔、教育の光が達していない顔を持った役者がいるのかよぉ!

ロンドンの貧民窟の再現、無慈悲、不寛容の恐るべき表現、だが卑しくないのである。

人間の持っているひとつの断面である以上、それは卑しくない。

利己的な信じられないほどの無慈悲・不寛容を描くことが卑しいのではない。 その無慈悲・不寛容が孕む心を凍らせるような荒涼を描ききれないからこそ卑しくなるのである。

少なくともポランスキーの『オリバー・ツイスト』は文芸映画というスタイルに逃げ込むことなく、人間の心に棲む絶対的な絶望を描ききった。

そしてそれは文芸映画というスタイルでしか、いまや赦されないレヴェルの描写であったのだろう。

ポランスキー、『反撥』から40年。一緒に歩んできた映画ファンにスゴイものを突きつけてきた。

それは紛れもなく、彼の孤独な成熟を意味するものであったと感じ、ボクは座席の中で息苦しくなるような130分を過ごした。

これこそが映画である。
(★★★★)

コメント(5)

恥ずかしながら、本も読んだことがありませんでした。

出てくる大人たちが子どもに対して、情け容赦ないのが、みていてつらかったです。

ロンドンの貧民窟の小汚さは、リアリティがありました。
それぐらい貧乏から這い出ようとすれば、悪事を働くか、身を売るか・・・、普通の仕事を普通にしているだけでは、ウンカは最後までウンカの値打ちしか与えられないのでしょう。

あのオリバーが一人だけ幸せになっていくのが何となくいやだという人がいるんです。その気持ちもよく分かるんです。でもそれは今の自分の状況だけで感じちゃうことじゃないでしょうか。

たくさんの映画を観てくると、同じような描写には出逢います。ただ、貧乏人は助け合う共同体みたいなイメージがあるのも、そういう善意を見せることが出来る状況なら可能だというだけで、あそこまで酷い状況なら、教育の光を受けず、理性的に物事を考える行為そのものを知らないのですから、仕方ないんじゃないのかな。

貧困を脱却するには教育を受ける機会が絶対に必要です。そんな暗黒の時代であったということじゃないですか。
『プライドと偏見』に登場した人々は働かないで暮らしていく階層の人々ですね。働くなら、それは彼らにとって、脱落を意味するんです。
だから体裁を保つためにはなんでもしていく。でもそれは彼らにとってみんなやってきた暗黙の了解の範疇でしょう。
こういう既得権を守るために貧しい人々はそのままにしてきたのでしょう。
運のいい娘は奉公に出ますが当時の奉公って主人の慰み者になるということが当たり前だったそうですから人権蹂躙ですね。
こういう理不尽が何世紀も続いて現代に到るのですから…ですね。

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