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北京波の新世紀映画水路コミュの凸凹放談 『綴り字のシーズン』

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【 厳しい生活 】
凸「こんばんは」
凹「あっ、おめでとうございます」
凸「どうでした?」
凹「面白かったよね」
凸「なんか厳しい映画ですよね」
凹「ふふ、そうだよね。親子も夫婦も学生も教師も、まじめに切磋琢磨するときのアメリカって何でも厳しいなぁ」

凸「あのリチャード・ギアの講義も凄まじく引き締まっていますね」
凹「ユダヤ教の神秘主義というのが専門らしいけど、やはり学問だけに受講している学生たちの表情もいいし、なによりスペル・コンテストにでてくる子どもたちの知的な風貌もいいよね」
凸「原題の“Bee Season”というのはミツバチの季節というんでしょうが、あの綴りの競技大会そのものを“spelling Bee”と言うんですって。あんなコンテスト初めて見ましたけど、厳しすぎます(笑)」

凹「あのような大会があるのはね、1970年に知っていたなぁ。」
凸「そんな昔からやってたんですか!?」
凹「ボクが知ったのは、誰もが知っている映画に出てきたからなんだ」
凸「有名な映画ですか?」
凹「そうですよ。あのスヌーピーのピーナッツ・コミックを長編映画にしたのが2本ある。『スヌーピーとチャーリー』と『スヌーピーの大冒険』。このビル・メレンデス監督の2作品は傑作だけど、なかでも1作目の『スヌーピーとチャーリー』は大好きな映画。この中に“spelling Bee”が出てくる」

凸「それは初めて聞きました」
凹「あのなかでチャーリー・ブラウンが自分でも知らなかった才能を示して予選を勝ち抜いていく。でも結局最後に敗退するのでルーシーにコテンパンにやり込められて映画は終わるの」
凸「あぁ、そうなんですか。NHKでやっていたテレビ・シリーズの30分ものは見てましたけど」
凹「チャーリーとルーシーの声を谷啓とうつみみどりがやったやつでしょ。あれはよかったなぁ(笑)」

凸「この映画の4人家族の姿って、またまた厳しいですよね」
凹「あのさ、冒頭の家庭のシーンでお兄ちゃんが妹に勉強を教えてるじゃない」
凸「そうそう、宿題でも教えているのかと思ったらヘブライ語なんですよね」
凹「この懐かしい兄が妹の勉強を見てやるという最初のシーンだけで多くのことが分かるしかけになっているよ」

凸「というと?」
凹「子どもたちが兄弟だけでそんな知的なことが出来ている家庭だということ。そしてユダヤ系だということ。父親(リチャード・ギア)が非の打ち所もない無欠の人間みたいに見えるし、家族が父親に嫌われないようにしようとすごく力が入っている。あのイライザ(フローラ・クロス)が本当なら屈託なく誇らしく話せるはずなのに、父親に言い出せず、コンテストの予選に出るという教師からの手紙を渡せなくてドアの下から差し入れる。もちろんそれだけでは気付かれることがなくて、彼女が予選に出ると口に出せるのは、同じ状態にある兄アーロン(マックス・ミンゲラ)に対してだけなんだけどね」

【 確信に裏打ちされた生活 】 
凸「あれはどういう感情なんですかね。父親のことを怖れている?」
凹「それは基本的には愛なんだろね。ハンサムで賢くてバイオリンまで弾くんだよ、対外的には自分の父親は誇り以外のなにものでもないんじゃないの。でもギアの愛情の示し方というのは他人を自分の場所まで引き上げる・・・、自分の価値観に這い上がり歩み寄ってくる人間には理解を示す男なのだろうね」

凸「イライザが“spelling Bee”に才能があると分かってからの父親って、なにか異常な傾倒ぶりに思えましたが」
凹「そうだよね。あのことが分かるまでのイライザは小さくて、家族のなかにあってはマスコットみたいなもの。父親も、彼の考える父親の義務として食事を作ったり、アーロンにたいして情操教育としてのバイオリンで相手をしたりで、そのことをイライザ自身も感じているんだね。この家では誰もが常に努力しなくてはいけない・・・、自分もはやく家族の一員にならなくてはみたいに子供でも思っているんじゃないかな。あの少女が父親は何も反応してこないことから、彼女は“spelling Bee”がいかに大変なことか思いを馳せる余地というか価値観がない」
凸「ふむふむ」
凹「だから言い出せないし、ドアの下から恐る恐る差し入れた」
凸「そしたら・・・」
凹「遅れたけれども父親はバクっと食いついてきた」

凸「それはどういうことになるんですか?」
凹「父親は、やはり自分の人生において自分を信じて高めてやってきてるんだろう。自分にも厳しいが、家族にはとくに要求するものも大きい。美しい妻(ジュリエット・ピノシュ)も、真面目で聡明な息子も手に入れた。そこにやっと娘も手塩にかけることができる状態になったことに俄然元気が出てきた。ただ、彼はそれが愛情の示し方だと、疑問も感じたことがない・・・」
凸「それはホントに困りますよね」

凹「彼はそういう夫として父親としての生き方が間違いないと思っていて、家族はみんな心から彼に従順して、同じ意識をもって、同じ方向を見て進もうとしている同志だと思っている」
凸「イライザは最初なぜ言い出せなかったんでしょ」
凹「子どもにとってはそういう父親、母親、兄たちの姿が普通で、穏やかで温かいものに見えたんでしょう。だから従来の生活にまったくなかったことを言い出して叱られそうにも思ったのかもしれないね。彼女にとれば、家族と家庭は世界そのもの、唯一無比なのよ」

凸「そういう立派な家庭がみるみるうちに崩れていくのはなぜなんでしょう?」
凹「やはりイライザが家族の誰にとっても父親の手が及んでいない安らぎの存在だったんでしょうね。アーロンはいみじくも“洗脳”という表現を使ったけど、ついにイライザまで同じ道を歩むのか!」
凸「母親の奇矯な振る舞い、アーロンの入信とあれれと言ううちに進展しますね」

【 万華鏡の意味 】
凹「あの母親がイライザが予選を勝ち進んでいくことは誇らしいはずなのに、あまり表情が明るくないでしょ。父娘の結びつきが強まると、イライザがある種洗脳されてミニ父親になるかもしれないような不安があるのかな。映画のなかで母親がイライザに万華鏡を渡すじゃない」
凸「あ、はいはい」

凹「あれはまだ少女であった母親が寄宿舎制の学校に入っていたころに自動車事故によって両親と死別した悲しい過去に直結しているんだね。多分当然与えられるべき無償の愛、庇護、慈愛など、普通の少女が当然屈託なく与えられ、または存在を意識することもないそれらのものを無理やりに剥奪された。彼女は忍耐をもってそれに対応したんだろう。親がくれた万華鏡を覗けば甘美な家族の思い出がまったく何もなかったかのように広がる。だけども愛し合った夫は素晴らしい人物ではあっても、愛という鎖で彼女に新たな忍耐を強いてきた。彼女は、そのことを誰に言っても理解されるはずはないと、小さな万華鏡では発散されなくなって、きらきらするものを吊るす巨大な万華鏡を人知れぬ場所に作り上げて、自分のアイデンティティを自分だけで守ろうとした・・・」

凸「それじゃ、なぜイライザに自分の万華鏡をわたしたんでしょうか」
凹「屈託ない甘美な少女時代を終らせようとしているように見えた愛娘に、貴女にとっての万華鏡を持ちなさい、ということではないかな。あの万華鏡は少女時代の彼女には一種の護符のような役割を果したものです」

凸「あっ、あぁあぁ」
凹「愛という鎖で縛られた地獄。ただの地獄と違うのは、愛と憎悪が表裏一体になっていることでしょう。アーロンが評判芳しくないヒンドゥー教の朱色の僧衣をまとう宗教に入信してしまうのも、愛の鎖の地獄なればこそ」

凸「というと?」
凹「父親を愛し尊敬はしているものの、どうしても勝てない巨大な壁でしょ。これは無力感に直結してしまうよね。いくら息子は父親を殺して大人になっていかなければならない宿命を背負っているとしても、アーロンにとっての価値観も父親からの長年にわたる教育によって叩き込まれたもので柔軟性には乏しいものだからね。いちばん憎悪している父親にもっとも似ているのは自分自身なわけだから」

凸「あぁ、それで・・・」
凹「ねっ、ただグレていくわけじゃなくて、アーロンも自らの価値観や知性に沿って行動する。ゆえに父親の教え込んできた分野で、自らの意思で新しい光を手に入れたという決断が不可欠なのよ。もちろん自分にきっかけをくれたチャ-リという娘の輝くばかりの知的な光が少年の異性に対する憧憬などに関係深いことは言うまでもない」

凸「あのチャ-リ、素晴らしい顔立ちです」
凹「アーロンにイライザが、(チャ-リが)いけてるじゃんと評価したとき、それが妹であっても、彼が選んだ彼女に対しての絶対的な評価として後押ししたことだろうね」

【 イライザの決断の秘密 】
凸「あのですね、なぜイライザは最後の決勝でわざと負けたんですか?」
凹「ねぇ、そうだよね。でも、あそこに、この作品のキモがある」
凸「あれが、どうしても分らないのでイライラします」
凹「あのイライザが父親の制止も振りきって、深夜のホテルの部屋で神と交信して、さらに研ぎ澄まされた状態に持ってくるじゃない。あの念じれば、答えが彼女にはビジュアルとして見えてくるという点の映像表現が素晴らしいでしょ。あれが単なるアホにでも分るように作ってしまうとフランク・ダラヴォンの『グリーン・マイル』みたいになっちゃうからね」

凸「あぁ、奇跡を視覚的に見せるシーンですね。あそこだけ分離してたような印象もあります」
凹「その点、この映画は、なんといってもイライザの精神年齢に合わせた表現で、ピュアな佇まいすらあるからね。最初の方で“子葉”という問題が出たとき、流石に難解な専門用語であったために見当もつかず、イライザが語源や意味を尋ねて乗り切るシーンがあったでしょ」

凸「あ、ありました!」
凹「あのときの父親の表情を見ていると、大人でインテリの自分も知らないような言葉をクリアしてしまう娘に驚き、自分の精魂を傾けてユダヤ教神秘主義のなかでも“カバラ”という神と一体化して言葉の本質に迫ることへ指導していく根拠・確信を得たのだと思うのよ」

凸「そうですよね、あれから拍車がかかりましたもの」
凹「この映画は門外漢であるボクにはもうひとつ確信が持てないのだけど、宗教が強く背景にあるのでしょう。あの家族全員になんらかの象徴を込めている。映画に何度も登場する言葉“ティクン・オラム(世界を修復するために)”が特に利いてくる。あのいったんは崩壊した世界を再修復するために現世が存在しているというのは実に興味のある真理だよね」

凸「その説明だと、毎日毎日繰り返しが重要な意味を持ってますね」
凹「映画って素晴らしいと思うのは、こういう一生聞いたり見たりできない事柄を分りやすく見せてくれることですよ。でね、なぜ、イライザがわざと負けたのか、ということなんだけどね」
凸「いよいよですね!」
凹「あくまでも類推ですよ、類推。(笑)実はヒントはすでに映画のなかに呈示されてるんだよ」
凸「ええぇ、どこにですか?」

凹「優れた映画には描かれていないことは何もないというボク理論に則ればですね」
凸「はいはい」
凹「合いの手ありがとね。(笑)」
凸「出し惜しみしないでくださいよ」
凹「ごめんちゃい。最初に例をだしたアーロンがイライザにヘブライ語を教えているシーンです」
凸「(唾をのむ)」

【 嗚呼、神のみぞ知る 】
凹「あのヘブライ語で説明した件はね、旧約聖書のアブラハムについての章なんだよね。どんなところか、知ってますか?」
凸「いや、知りませんけど・・・」
凹「ジョン・ヒューストンの『天地創造』を観たことありますか?」
凸「いや、観てないですぅ」

凹「なんと2時間52分にわたって、旧約聖書の有名なシーンを再現した大作でね。前半は天地創造からアダムとイブの誕生。そしてノアの方舟のスペクタクルがガガ〜ンというスケールで描かれるのよ。ただね、休憩が終ってからの後半は人類がいろいろなことで神の怒りを買うエピソードばっかりなんだ」
凸「そうなんですか」
凹「ちょっと長くなるけどいいかな」
凸「もう、待ちついでですから、構いませんよ」

凹「痛み入ります(笑)。ノアの子孫であるニムロデ(スティーブン・ボイド)は王となり、民を使役して、天にもとどくバベルの塔を築くのね。そしてその屋上から神に向けて矢を放ったりして、神に挑戦的なわけよ。当然神の天罰が加えられてバベルの塔は崩壊する」
凸「いかにも大作ですね」
凹「D150ですよ、シネラマですよ、70ミリですよ。超大型プロジェクトで
すよ!」
凸「だからオヤジは困りものなんだよ。すぐに熱くなるでしょ(笑)」

凹「やっと出てくるからね。アブラム(ジョージ・C・スコット)は妻(エヴァ・ガードナー)と弟を連れて他の土地へ行き栄えたが子が生まれない。そこでアブラムは妻の勧めで召使に子を生ませるのね。やがて隣国との戦いが起こり、アブラムは神の手引きにより敵を破り、捕虜となった弟を救け出す。このときアブラムは神によりアブラハムと改名する。この神の手引きによって、というのがミソ」
凸「というと?」

凹「神は彼ら夫婦に子孫は王になると予言し、妻に実の子を授けると約束する」
凸「それじゃあ、いいじゃないですか」

凹「ここで出てくるのが有名なソドムとゴモラの都ですよ。酒池肉林、罪業渦巻くソドムとゴモラを神は滅ぼすと宣言。アブラハムと弟夫妻に立ち退くように言うわけ」
凸「なんか、スペクタクルって感じィ」
凹「でしょ。ただし、彼らに都が神の劫火によって焼き尽くすところは見せられない。絶対に後ろを振り向くなと命じるのね」
凸「でも見たいやね」
凹「そういうことですよ。弟の妻はどうしても我慢できずに振り向いてしまって塩の柱にされてしまう」
凸「はい〜ぃ」

凹「余談ですが、このとき塩の柱になったのが『激しい季節』のエオノオラ・ロッシ・ドラゴ!」
凸「・・・・」
凹「失礼しました。それぐらいアブラハム一家と神の結びつきは強かったわけですよ。約束通り妻に息子が生まれ。彼が成長すると妻は召使親子を追い出すの」
凸「実子が生まれたわけですからね、可哀想だけど」
凹「でも可哀想なのは、ここからなのよ!」
凸「えええ?」

凹「召使親子を追い出して行方が判らなくなってから、神はアブラハムに神への忠誠を誓って、その実の子をいけにえに差し出せと伝えてくる!」
凸「なんという意地悪なことをするんだよ、神は!」

凹「本当さぁ。人でなしという言葉があるけど、神こそそうだよね。アブラハムは神の命に従い実子をつれ旅立ち、神にいけにえを供える場所にたどり着く。その時息子は、いけにえは自分であると気づくわけですよ」
凸「そりゃなおさらひどいじゃないですか」

凹「でしょ、でしょ。それでもアブラハムはナイフで最愛の息子を殺そうとする!ナイフを振り上げて、今まさに突き殺そうとするとき、天上より神が自分の子を犠牲にしてはならぬとようやく告げる」
凸「ん、もう、遅すぎるでぇ」
凹「ラストはね、アブラハムが近くにいた子羊をイサクの代わりにいけにえにしてね、天上に向けて子羊を高々と持ち上げて終るわけ」

【 引用が長過ぎて焦点がぼやけた 】
凸「あのぅ、すっごく興奮しちゃったんですけど、イライザがなぜわざと間違えたんです?」
凹「あ、やっぱり分かりません?仕方ないですなぁ。類推ば聞いてくれっとですか」
凸「言うちゃんない(笑)」
凹「一気にいきますよ、ついてきてね。(笑)」
凸「はいっ」

凹「やっぱり、いくら賢く聡明だとしても少女は少女です。父がいて母がいて兄と自分がいて、初めて自分の家であり家庭なんですよ。つまり彼女にとっては先ほど言ったように“世界”そのものです。」
凸「・・・」

凹「彼女はここで自分の栄光をかなぐり捨てて賭けに出た。“ORIGAMI”が言えたことは父親と自分だけが知っている共通の秘密であるが、イライザは彼女なりに最後の賭けにでたわけ。父親のライフ・スタイルからすれば絶対に容認できないその賭けは、彼女がいったんは手にした栄光を捨てて敗北者となる。つまり自らの身をいけにえに捧げるという賭けであった」
凸「な、なるへそ」

凹「そのいけにえ、アブラハムが我が子に短剣を突き立てようとする直前まで神は反応を見せなかったことに似ている。それは村娘が人々の命を助けるために自分の命を捧げますと一粒の涙を流すまでは慈愛の埴輪が大魔神には変貌しないように、命懸けの賭けなるがゆえに奇跡を起こした・・・んだね」
凸「あぁ、それで」

凹「アーロンが父親の衝撃が分かって歩み寄って抱き合うラスト・カットこそ、イライザが身をもって持ちこたえた、彼女の“世界”崩壊を阻止できた瞬間なんだろう、と思う」 

コメント(5)

胸のつかえがおりました。凸凹さん、ありがとう^^
こうなのかな?と自分の考えに色づけ出来たので、消化不良も治り完成された形に
なりました。上手く説明できるか自信ないけど友達に報告しますね。お疲れ様でした。どうもありがとうございますm(._.)m
『綴り字のシーズン』は息子が熱さえださなければ、みにいく予定でした。『キングコング』よりもみたい映画でした。
でも、今日で終わりです。本当に残念です。

映画はみれませんでしたが、凹凸さんのお話に納得してしまいました。

みてから読むか、読んでからみるか・・・。

たまには、読んでからみるのもいいかもしれません。

名画座にかかったら、DVDがでたら、必ずみます。
友達の疑問です。お母さんが精神を病んでいたのは、彼女自身も娘と同じように大会に出たことがあり、そのトラウマが出たからでしょうか?
パンダさん、それは違うでしょう。

母親は、少女時代に両親を事故で亡くし、いわば無垢で甘えられる少女時代をむりやり終了させられた人間です。温かな家族関係を分断、中止させられたのです。

そんな彼女が両親から贈られた万華鏡を覗くたびに、両親との形見としての思い出とともに、この万華鏡だけはいつも変わらぬ変化を彼女に与えたのでしょう。

様々に変化するきらめくパターンは際限ないように見えて、外側の筒そのものに庇護された、いわば慈愛の象徴ではなかったでしょうか。

彼女は万華鏡を覗いて家族を思い、またいつか自分が得るであろう家族への強い夢の象徴となっていたのだろうと思います。

しかるに結婚したリチャード・ギアは一緒に歩んでいく夫婦としての柔らかな慈愛の余裕がありません。しかも彼自身がその縛りに気がついておらず、対外的には非の打ちどころがない男性であり、夫であり、社会人なのです。

満足な愛情生活を送ってこなかった彼女は真剣に悩んだことだと思います。

こんなはずじゃなかった、こんなはずないよぅ。

そこで自分を、自分のアイデンティティーを守るために、誰にも知られない巨大な万華鏡をつくることになるのです。

母親が神経を病んだのは、本来そういう裏の生活などがあってはならない家庭人である自分の二重生活そのものが重荷となり、盗みもあるでしょうが、夫への声に出せない屈服・忍従への反撥もあるでしょう。

なによりも愛という鎖でがんじがらめに追い込んできた最愛の夫への怒りがあるのではないでしょうか。

単純な罪悪感などでは片付けられないやむにやまれぬ叫びこそ、彼女の精神を苛んだと考えます。

こんなとこですか、ね?
ありがとうございますm(._.)m
早速伝えます。奥の深い映画ですね〜でも、もう少し説明が欲しかったな。
観終わった後は置いてかれたような気になりました。
北京波さんが解説してくれたから理解できたものの、とんでもない方向で納得していた私たちでありやした(^^;)

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